ブリッジレポート
(2462:東証1部) ジェイコム 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート】ジェイコム vol.7
(取材概要)2008年1月22日掲載
「中間期は売上高が大きく伸びたものの、利益が期初予想に届きませんでした。この要因は、業務委託から派遣へユーザーニーズが一時的に変化したことに・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
ジェイコム株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市中央区西心斎橋 2-1-3
事業内容
携帯電話の販売支援を中心とした総合人材サービス会社
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(1/11現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
237,000円 46,823株 11,097百万円 15.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3,000円 1.3% 12,564.37円 18.9倍 73,551.91円 3.2倍
※株価は1/11終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ジェイコムの2008年5月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
大阪市に本社を置き、販売支援等の総合人材サービス事業と携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業を展開しています。主力の総合人材サービス事業は、携帯電話業界に特化した差別化戦略が奏功。業界動向や顧客ニーズを的確に捉えたサービスと情報の提供が、顧客企業から高い評価を得ています。
大阪本社、東京、東海、中国、東北、九州、北海道の6支社、栃木、群馬、静岡、岡山、新潟のサテライトオフィス5ヶ所、及び携帯電話ショップ 3ヶ所を展開しています。
 
<沿革>
1993年9月にパッケージ旅行の企画事業を目的に設立され、96年4月にマルチメディアサービス事業に参入、同年11月に商号をジェイコム(株)に変更すると共に業態も変更。98年10月には丸紅テレコムと販売業務に関する委託契約を締結し、総合人材サービス事業を開始。2005年12月の東証マザーズ上場を経て、2007年2月23日に東証第一部に指定替えとなりました。
基幹ビジネスの構築が終えた事を受けて、2007年6月にはMF事業部を新設し就職支援サービスを開始。更に同年11月には体育会系学生の就職支援を行うインダス(株)を連結子会社化する等、就職支援事業の育成・強化に取り組んでいます。
 
 
<事業内容>
事業は総合人材サービスとマルチメディアサービスに分かれます。2008年5月期中間決算では前者の売上高が全体の93.9%を占めました。
 
1.総合人材サービス
総合人材サービス事業は、更に営業支援サービスと就職支援サービスと人材派遣サービスの3つに分かれます。
 
(1)営業支援サービス
ジェイコムスタッフと呼ばれる同社のスタッフが、携帯電話ショップや量販店等販売店での接客、商品説明、販売活動、販売員に対するアドバイスや営業情報の収集・報告といった店舗巡回業務等のサービスを提供します。また、販売業務自体を請負うアウトソーシングサービスも提供しています。
 
(2)就職支援サービス
携帯電話販売の枠に捉われず職業紹介や紹介予定派遣をおこなう事業です。一部企業において派遣社員の直雇用化を進める中で採用に関するコストや手間を削減できる紹介予定派遣が認知されはじめるなど、潜在需要を取り込んでいきます。また、平成19年11月に子会社化したインダス株式会社において体育会系大学生に特化した新卒向け就職支援を行っており、フリーター、学生、社会人と就職支援サービスの対象となる求職者層を拡大しております。
 
(3)人材派遣サービス
営業支援サービス以外のオフィスやコールセンターへのスタッフ派遣が中心で、同社が雇用し、教育・研修を行ったスタッフを派遣します。
 
2.マルチメディアサービス事業
携帯電話端末の販売及び加入契約取次代理店事業を行っています。各通信キャリアと丸紅テレコムとの三者間契約により、関西地区でドコモショップ1店舗、ソフトバンクショップ2店舗を運営しています。
 
<中長期戦略と2008年5月期の重点施策>
 
 
中長期の経営戦略として、携帯電話業界向け営業支援サービスでの圧倒的なシェア獲得を目指しており、この一環として、08/5期は後発で参入し、拡大途中でもある首都圏での売上・シェアの引き上げ、及び全国拠点の拡大に取り組んでいます。
また、新規事業の本格的開始による第2の収益の柱を構築するべく、就職支援サービスを本格化すると共に、携帯電話以外の業界への進出を本格化しました。また、若年層のステップアップ(派遣から正社員へ)を支援する体制の確立に向けて教育研修の更なる充実に取り組んでいる他、管理部門の人員増強などコンプライアンス体制の強化にも努めています。
 
2008年5月期中間決算
 
インダス(株)を11月1日に連結子会社化した事により、当中間期より連結決算となりますが、当中間決算におけるインダスの寄与は2007年11月の1ヶ月のみです。以下の説明では、07/5期は個別数値、08/5期は連結数値を用いて、期間比較を行ないます。
 
<連結>
 
 
売上高はほぼ計画どおりに推移。特に東京支社は計画を大幅に上回るペースで推移し、売上高が前年同期の2倍以上に拡大しました。ただ、主要クライアントであるキャリアとの契約形態の変更(業務委託から派遣形態へ)による影響で利益率の高いラウンダー業務が減少した等により利益面では計画を下回りました。
 
主力の総合人材サービス事業においては、サテライトオフィスの出店により営業エリアの拡大を図りました。新たに出店したのは、群馬、岡山、新潟です。いずれも順調に成果を上げており、既に収益面で貢献しています。特に栃木(07年3月出店)や群馬はオープンから数ヶ月で当初の計画を達成しました。また、5月に開設した北海道支社も計画通りの滑り出しです。
 
2007年6月に新規事業の推進を目的として新設したMF事業部の売上高は97百万円となり、当初の計画を上回る実績を上げました。また、インダス(株)を2007年11月に連結子会社化し、体育会系の大学生やOB・OGを対象とした就職支援事業を開始しました。
 
<損益計算書>
 
 
連結の利益が個別の利益を下回ったのは、インダス(株)を連結したことによるのれん代等の販管費の増加のためです。インダス(株)は新卒の就職支援事業を行っていますが、一般的に新卒採用は12月くらいから本格化し4、5月に終了します。このため、ジェイコムグループの中間期は、インダス(株)にとって先行投資の時期に当たります。
 
<総合人材サービス事業の動向>
1.サービス別売上高
 
 
販売支援サービスが順調に拡大、イー・モバイル(株)向けの伸長でアウトソーシングサービスも大きく伸びました。
 
2.業界別売上高
 
 
引き続き携帯電話業界向けが好調に推移しました。一方、上限金利規制や過払い金返還問題で苦戦が続くカード各社向け(カード加入促進業務)の売上高が大きく落ち込んだため、金融業界向けが減少しました。もっとも、現在力を入れている証券・銀行・損保向けは増加しており、注力分野では成果を上げています。
 
3.顧客別売上高
顧客別売上高の状況
 
今後、携帯電話販売の商流が変わる可能性があるため、携帯キャリアとのパイプ作りに力を入れています。この成果が現れ、携帯キャリア向けの販売が前年同期比55.5%増加しました。また、構成比は落ちているものの、代理店向けの売上高も増加しています。
取引者数は前年同期比67社増加。小型代理店への営業強化により大幅に増加しました。
 
4.地域別売上高
 
 
東京支社を中心に東日本地域の売上高が大きく伸びました。ただ、東日本地域での売上構成比は33.1%にとどまします。一方、取引先は、東日本での売上が全体の50%〜60%を占めています。このため、同社の東日本地域での売上拡大余地は大きいと言えます。
 
5.月次売上高(前年同月比)の推移
 
 
同社は年率35%成長を念頭に経営を進めています。中間期は新製品や新サービス導入の投入を控えて、キャリア各社が人員の投入を抑えていましたが、売上高は前年同期比35.6%と高い伸びを示しました。
 
6.稼動スタッフ数・四半期別売上高の推移
 
 
<営業費用分析>
 
 
利益率の高いラウンダーの減少等で売上原価率は上昇したものの、個別ベースの販管費率は前年同期の水準(12.8%)を維持しました。
 
売上原価率の上昇 78.9% → 79.8%(0.9ポイント悪化)
業務委託から派遣への契約内容の変更に伴い利益率の高いラウンダーが減少した事、及び繁忙期におけるスタッフ獲得のための給与や手当の引上げた事が原価率上昇の要因です。
 
販管費率の上昇率の上昇 12.8% → 13.1%(0.3ポイント悪化)
ラウンダー需要の減少等の影響で一人当たり採用コストが低下した事により、売上高に対する採用教育費が低下しました。
 
<貸借対照表>
 
 
資産は前年同期に比べて465百万円減少しました。余資資金をCPで運用した事等で少現金預金が511百万円、自己株式取得資金としてFBを解約した事等で有価証券が500百万円、それぞれ減少しました。一方、無形固定資産の増加は、インダス取得によるのれんの増加(335百万円)が要因です。
負債は前年同期比20百万円減少。事業拡大に伴う未払給与の増加等で未払金が86百万円増加する一方、マルチメディアサービスでの仕入の減少により買掛金が32百万円減少しました。
純資産は同444百万円の減少。主な要因は、簡易合併の際に反対株主から自己株式を取得したためです(自己株式が566百万円増加)。
 
<キャッシュ・フロー>
 
 
フリー・キャッシュ・フロー(営業CF+投資CF)が629百万円の黒字となる一方、自己株式の取得で財務CFが661百万円の赤字となりました。
 
営 業 C F
・税金等調整前中間純利益 416百万円
・売上債権の増加額 △48百万円
・未払消費税等の減少額 △51百万円
・法人税等の支払額 △216百万円
 
投 資 C F
・有価証券の取得及び償還 1,001百万円
・子会社の取得による支出 △301百万円
 
財 務 C F
・自己株式の取得による支出 △566百万円
・配当金の支払額 △95百万円
 
2008年5月期業績予想
 
<連結>
 
 
営業拠点の拡充や首都圏強化などに伴う先行投資負担を吸収して、30%を超える増収・増益が見込まれます。
 
<下期のポイント>
1.携帯電話業界の販促強化
中間期は、新製品及び新サービス導入前ということもあり、各社キャリアが様子見でしたが、12月以降ドコモ、au、ソフトバンクモバイルの販売促進活動が活発化しています。また、イーモバイルの音声サービスが2008年3月に開始する予定です。
 
2.新規事業及びインダス株式会社の業績寄与
中間期に立ち上げたMF事業部が順調に拡大する見込みです。また、インダス(株)は新卒就職シーズンを迎え、新卒向けセミナーの開催や情報誌の発行等により下期に売上増及び収益寄与が見込まれます。
 
3.高い利益率案件の受注強化
利益率の高いキャンペーン、アウトソーシングサービス、紹介予定派遣を強化します。
 
今後の展開
 
携帯電話需要の拡大に向けた対応の強化、営業拠点の拡充による全国展開とシェアの拡大、新規事業の推進、及び高利益率案件の受注強化に取り組みます。
 
<携帯電話向け需要の拡大>
 
 
昨今の携帯電話販売は料金プランの多様化等で、消費者からすれば「わかり難い」、販売する側からすれば「十分に説明しないと、後々のトラブルにつながりかねない」と言った状況です。このため、キャリア各社が販売スタッフの増員に向けて動き出しました。
このため、同社はキャンペーンや各社増員体制による受注増へ向けた取り組みを強化して、収益性の高い業務を中心に対応していく考えです。
 
<営業拠点の拡充による全国展開とシェアの拡大>
 
 
前下期に出店したサテライトオフィスは、いずれも順調に売上を拡大させています。今後のサテライトオフィスとしては四国、北陸、また、採用専用の拠点として横浜等への拠点展開を検討しています。
尚、東京オフィスは、通期で2,950百万円の売上高を計画していますが、足元、前期比倍増のペースで進捗しています。
 
<新規事業の推進>
1.MF事業部
企業の直雇用化のニーズ拡大や、人材不足という環境のもと、紹介予定派遣や金融業界向けの人材派遣等が好調に推移しています。下期においても更なる業績拡大が見込まれ、当期予算の200百万円は、早期に達成できる見込みです。
 
2.インダス(株)
下期は新卒の就職活動が本格化するため、セミナー開催や情報誌発行等により収益貢献が見込まれます。
体育会学生に特化した強みを求人企業にアピールする事で、事業の拡大余地は大きく、また、利益への貢献度が多きい事も特徴です。
 
*インダス(株)について
インダス(株)は、体育会系学生に特化した新卒就職支援、及び体育会OB・OGを対象にした転職支援サービスを行なっています。登録者は体育会系学生約3万名で、セミナー動員数も大きい。体育会OB・OGとのネットワーク、大学関係者のとのパイプが太い事も特徴です。
インダス(株)の事業は、アスリート事業とアスリートFA事業に分かれます。
 
アスリート事業
新卒体育会系・スポーツ学生のための就職支援を行なっており、Webサイト「アスリート就職ナビ」の運営、全国主要都市での「アスリート就職セミナー」の開催、就職情報誌ATHLETE(年1回)の発行が主な業務です。
 
アスリートFA事業
体育会OB・OGのためのライフデザイン・キャリア支援紹介事業を行っており、Webサイト「アスリートFAナビ」を運営しています。
 
配当政策
 
前期より、配当による株主還元を開始しました。当面、年間配当性向当面25〜30%を目処に中間配当及び期末配当を実施する予定です
 
 
取材を終えて
中間期は売上高が大きく伸びたものの、利益が期初予想に届きませんでした。この要因は、業務委託から派遣へユーザーニーズが一時的に変化したことによって高利益率のラウンダー業務が減少したためですが、これは業界全体の要因を受けたものであって同社の特定要因ではありません。業務受託や請負は、労働者保護の観点から職業安定法第44条で禁止されている偽装請負と見られやすいため、これまで業務委託や請負を利用していた企業が派遣の利用に変えるケースが増えています。さしずめ、「李下に冠を正さず」といったところであり、同社のサービスに問題があったわけではありません。
通期では、東日本強化に向けた先行投資負担を吸収して、売上・利益共に高い伸びが見込まれます。同社にとっては、未だ伸びしろの大きい東日本ですから、来期はこの先行投資が収益に貢献してくるものと思われます。このため、当面は携帯電話業界向けのビジネスだけで成長が続くと思われますが、中長期的には新規事業の育成が不可欠。就職支援事業の進捗に注目したいと思います。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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