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(8947)

ブリッジレポート:(8947)ノエル vol.2

(8947:東証2部) ノエル 企業HP
金古 政利 社長
金古 政利 社長

【ブリッジレポート】ノエル vol.2
(取材概要)2008年2月19日掲載
「第1四半期の業績発表時に、早くも今期の業績予想の修正となりました。売上高は若干上方修正ですが、利益は下方修正です。第1四半期業績と業績予想下方・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社ノエル
社長
金古 政利
所在地
川崎市高津区二子5-1-1
決算期
8月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年8月 80,493 4,506 3,065 1,640
2006年8月 51,845 2,732 1,642 1,065
2005年8月 33,608 1,607 945 455
2004年8月 26,526 886 471 245
2003年8月 12,806 538 306 97
2002年8月 6,156 182 106 8
2001年8月 3,318 81 60 26
株式情報(2/1現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
47,950円 68,519株 3,285百万円 19.9% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4,000円 8.3% 8,026円 6.0倍 118,631.73円 0.4倍
※株価は2/1終値。
 
ノエルの2008年8月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
神奈川県及び東京都を中心に、マンション・戸建分譲及び一棟卸、法人投資家や不動産ファンド向け不動産開発、及び賃貸住宅や中古住宅の斡旋等のコンサルティングを行っています。
 
<沿革>
1966年12月に創業。72年2月に不動産売買、売買仲介、賃貸仲介、及び不動産管理業務を目的とした有限会社野村不動産として法人化され、87年2月に株式会社に改組しました。2000年9月に株式会社エルアシスト(現在ノエル代表取締役社長を務める金古政利氏が97年9月に設立)と合併、商号をノエルに変更。05年9月にJASDAQ上場を経て、07年8月に東証2部に株式を上場しました。
社名の「ノエル」は、野村不動産の「ノ」、エルアシストの「エル」を組み合わせたものですが、「ノエル」には英語・フランス語で"クリスマスやクリスマスのお祝いの歌"という意味があります。「クリスマスのような幸せな毎日を願う」、そんな思いも込められています。
 
<事業内容>
事業は、デベロップメント事業、不動産投資開発事業、アセットコンサルティング事業に分かれ、2007年8月期の売上構成比はそれぞれ、62%、34%、 4%でした。地価が下落し、金利も低い不況期にはデベロップメント事業が、不動産の開発投資が活発な好況期には不動産投資開発事業が業績を牽引。また、アセットコンサルティング事業はローリスクで財務(BS)を圧迫しないフィービジネスです。
 
デベロップメント事業
不動産分譲事業者等への分譲事業用地卸売り、マンションの1棟卸売り(同社が土地を仕入れ、居住用マンションを建築して物件1棟を丸ごと売却する事)や一般顧客向けの宅地、戸建住宅、及び居住用マンションの開発分譲等を行っています。
 
不動産投資開発事業
法人投資家や不動産ファンドに対し、マンション、オフィスビルなど収益不動産の企画、開発、販売を行います。改装、用途変更、機能向上等により空室率を改善して既存建物の価値を高めた後に販売するケースと、同社が事業用地を取得し、賃貸用マンション等を建築して販売するケースがあります。
 
アセットコンサルティング事業
賃貸住宅のあっせんや中古住宅のあっせん、プロパティマネジメント等を行う。
 
 
2008年8月期第1四半期業績
 
<連結>
 
 
当第1四半期の連結業績は、デベロップメント事業において不動産事業者等向け分譲事業用地卸売りが前年度を下回ったこと等から、売上高は13,112百万円(前年同期比18.9%減)となりました。
また、マンション・戸建住宅の一般顧客向け事業及び買取再販事業において利益率が低下したこと及び分譲事業の拡大に伴う広告宣伝費等の費用負担等により、営業損失339百万円(前年同期は営業利益1,122百万円)、経常損失826百万円(前年同期は経常利益713百万円)、四半期純損失523百万円(前年同期は四半期純利益389百万円)となりました。
 
<セグメント別業績>
 
 
(デベロップメント事業)
当第1四半期は、マンション・戸建住宅の一般顧客向け事業において大型の新規竣工がなく完成在庫の販売にとどまったこと及び一般顧客向け事業展開の拡大に向けた仕入に注力した結果、不動産事業者等向けの分譲事業用地卸売りが前年同期を下回ったことから、売上高は7,544百万円(前年同期比33.6%減)となり、一般顧客向け事業の広告宣伝費等の負担に伴う経費増等により、営業損失56百万円(前年同期は営業利益916百万円)となりました。

(不動産投資開発事業)
当第1四半期は、保有資産残高の増大とその販売に努めた結果、売上高4,590百万円(前年同期比11.1%増)となりましたが、事業拡大のための人員増強等による経費の増加もあり、営業利益は411百万円(前年同期比37.8%減)となりました。

(アセットコンサルティング事業)
当第1四半期は、買取再販物件の販売が進捗し、売上高は977百万円(前年同期比44.5%増)となりましたが、買取再販物件の販売価格の伸び悩みにより利益率が低下したことから、営業損失281百万円(前年同期は営業損失147百万円)となりました。
 
<財政状態>
 
 
当第1四半期末における総資産は、前連結会計年度末に比べ、7,346百万円増加し、74,265百万円となりました。これは主として不動産投資開発事業の拡大に伴い開発型収益物件用地取得のため、開発土地が増加したこと及び既存収益物件の取得により販売用不動産が増加したことにより、たな卸資産が7,786百万円増加したためです。
また、当第1四半期末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、8,154百万円増加し、66,818百万円となりました。これは上記たな卸資産の増加に伴い、有利子負債が11,740百万円増加したことが主たる要因です。
 
<キャッシュ・フロー>
 
 
当第1四半期におけるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加に伴い営業キャッシュ・フローは減少しましたが、借入金の増加による財務キャッシュ・フローの増加で補いました。その結果、現金及び現金同等物の当第1四半期末残高は、前連結会計年度末に比べ、1,726百万円減少し、1,300百万円となりました。
 
2008年8月期業績予想
 
<連結>
第1四半期の業績発表と同時に、中間期・通期の業績予想(07年10月11日発表)を修正しました。
 
 
(08/8期中間期)
売上高は、不動産投資開発事業は第1四半期においてはほぼ計画通りの売上となるものの、第2四半期においては不動産に対する厳しい金融環境の影響から当社及び子会社としている特定目的会社の保有する物件の引渡し時期に遅れが生じる可能性が高く、当初計画を下回る見込みです。
また、デベロップメント事業は、顧客の買い控え等によりマンション及び戸建住宅の販売に遅れが生じていることに加え、中間期に竣工を予定していたマンション1物件の竣工時期に遅れが生じたこと及びデベロッパー等の仕入の抑制による分譲事業用地卸売りの売上が当初予算を下回ることから、売上が当初予算を下回る見込みです。
アセットコンサルティング事業は、買取再販事業が計画未達のため、当初計画を下回る見込みです。この結果、売上高は44,300百万円(当初予想比:11,000百万円の減少)となる見通しです。
営業利益は、上記売上高の減少及びデベロップメント事業におけるマンション・戸建住宅の販売価格の低迷等に伴う売上総利益率の低下により、480百万円(当初予想比:2,220百万円の減少)となる見通しです。
経常利益は、上記の理由により590百万円の損失(当初予想比:2,040百万円の減少)となる見通しです。
中間純利益は、上記の理由により470百万円の損失(当初予想比:1,230百万円の減少)となる見通しです。

(08/8期通期)
売上高は、不動産投資開発事業は中間期においては引渡し時期の遅れから計画を下回る売上となるものの、通期は中間期において当初予定していた販売及び中間期における仕入物件の販売を進めることにより計画を上回る見込みです。
一方、デベロップメント事業は、顧客の買い控え等によるマンション及び戸建住宅の厳しい販売環境が通期を通して継続するものと予想されることから、下期竣工物件の販売に遅れが生じ、売上が当初予算を下回る見込みです。
アセットコンサルティング事業は、中間期において販売に遅れの生じた買取再販事業の在庫の販売を進めるものの、通期見通しにおいても当初計画を下回る見込みです。この結果、売上高は100,000百万円(当初予想比:1,700百万円の増加)となる見通しです。
営業利益は、人員採用の抑制やその他の経費の削減策を実施するものの、デベロップメント事業におけるマンション・戸建住宅の売上総利益率の低下等により、3,200百万円(当初予想比:2,900百万円の減少)となる見通しです。
経常利益は、上記の理由により1,120百万円(当初予想比:2,630百万円の減少)となる見通しです。
当期純利益は、上記の理由により550百万円(当初予想比:1,430百万円の減少)となる見通しです。
 
(参考:個別業績予想)
 
 
(08/8期中間期)
修正理由については連結業績と同じ内容であり、売上高は42,500百万円(当初予想比:7,200百万円の減少)となる見通しです。
営業利益は、600百万円(当初予想比:1,700百万円の減少)となる見通しです。
経常利益は、400百万円の損失(当初予想比:1,900百万円の減少)となる見通しです。
当期純利益は、305百万円の損失(当初予想比:1,105百万円の減少)となる見通しです。

(08/8期通期)
売上高は、不動産投資開発事業は、第1四半期において在庫の積み上げを優先させた結果前回発表時の計画を下回るものの、第2四半期においては積み上げた在庫の販売が売上に寄与し、当初計画を上回る見込みです。
一方、デベロップメント事業は、第1四半期において戸建及び分譲事業用地卸売の引渡しの遅れにより前回発表時の計画を下回る実績となり、通期見通しにおいても当初計画を下回る見込です。
また、アセットコンサルティング事業は、買取再販事業が計画未達のため、第1四半期の実績は前回発表時の計画を下回り、通期見通しにおいても当初計画を下回る見込みです。
この結果、売上高は92,000百万円(当初予想比:1,300百万円の増加)となる見通しです。
営業利益は、デベロップメント事業及び不動産投資開発事業における売上総利益率の低下、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の当初計画比減少等により2,700百万円(当初予想比:2,850百万円の減少)となる見通しです。
経常利益につきましては、上記の理由により1,030百万円(当初予想比:2,570百万円の減少)となる見通しです。
当期純利益につきましては、上記の理由により490百万円(当初予想比:1,410百万円の減少)となる見通しです。
 
トピックス
 
<B2B間のフィービジネスに特化した「CREチーム」の拠点、虎ノ門オフィスをオープン>
現在、同社では、不動産投資市場において、自己ポジションによる不動産投資・開発(以後、自己投資)を主な事業形態として展開しておりますが、今後は自己投資だけでなく、事業法人・ファンド間の収益不動産の仲介業務や不動産投資・不動産活用のコンサルティングサービスの提供といったフィービジネスの領域にも充分にニーズがあると予測。
そこで同社では、独自に蓄積してきた不動産投資のノウハウやネットワークを活用し、不動産投資マーケットにおけるB2B間のフィービジネスに特化した新組織として「CREチーム」を立ち上げ、その拠点として「虎ノ門オフィス」をオープンしました。
 
<『NOEL版人生ゲームオンライン』スタート>
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取材を終えて
第1四半期の業績発表時に、早くも今期の業績予想の修正となりました。売上高は若干上方修正ですが、利益は下方修正です。第1四半期業績と業績予想下方修正を受け、大きく下落しました。
同社は、前期も第1四半期の業績発表時と、第3四半期の業績発表時に業績予想を修正しました。2度とも、売上高下方修正、利益上方修正という内容でした。昨年後半に米国サブプライム問題の影響が広がりを見せる中、同社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。こうした状況を勘案すれば、今回の利益下方修正はある程度仕方がないかと思われますが、株式市場では失望感が広がりました。
今後の事業環境も予断を許さない状況にあると思われますが、今回発表した業績予想はぜひ達成することを期待したいと思います。