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(9374)

ブリッジレポート:(9374)トラステックスホールディングス vol.15

(9374:大証2部) トラステックスホールディングス 企業HP
谷中 譲 社長
谷中 譲 社長

【ブリッジレポート】トラステックスホールディングス vol.15
(取材概要)2008年3月11日掲載
「コア事業に資源を集中する環境を整えるべく、事業の改革を進めています。上半期中に、当社の収益に大きな影響を与えていた子会社の整理をほぼ完了させる・・」続きは本文をご覧ください。、
企業基本情報
企業名
トラステックスホールディングス株式会社
社長
谷中 譲
所在地
大阪府門真市垣内町 12-32
決算期
3月
業種
陸運業(倉庫・運輸関連業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年3月 43,559 -623 -1,230 -14,945
2006年3月 39,995 2,347 1,885 1,314
2005年3月 39,177 1,028 656 -3,787
2004年3月 39,579 817 528 256
2003年3月 36,111 1,197 1,257 541
2002年3月 32,208 2,245 2,346 1,053
2001年3月 25,809 1,148 1,256 680
2000年3月 23,569 1,299 1,353 680
株式情報(2/28現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
44円 87,977,028株 3,871百万円 10株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0円 0.0% 6.80円 6.5倍
※株価は2/28終値。
 
トラステックスホールディングスの2008年3月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
大証2部に株式を上場していた軽貨急配(株)が2007年4月に持株会社化し、商号をトラステックスホールディングス(株)に変更しました。
自らは車両を保有せず、荷主から依頼された貨物の配送を、同社規格の軽トラックを保有するドライバーやグループ企業、更には協力会社に委託するノンアセット経営が特徴です。「トラックを持たない運送会社」として、受託した業務を外部に委託する事から、同社ではこの方式を「ダブル・アウトソーシング・システム」と呼んでいます。
また、契約により一定期間専属のドライバーを顧客毎に割り当て、非標準・規格外の貨物、役務等の附帯サービスにも対応することも特徴です。
 
<事業概要概念図>
 
 
<中期事業計画「TRUSTEX 2010」>
同社グループは、経営体制の刷新を機に、CLSAサンライズ・キャピタルLP(以下、CLSA)をビジネスパートナーに迎え入れて、2007年4月から 2010年3月までの3年間における中期事業計画「TRUSTEX 2010」を策定しました。経常的に年間30 億円の営業利益を確保出来る体制作りを視野に経営基盤の強化を図り、企業価値向上に努めいく考えです。同社の荷主企業の大半は中小企業ですが、中小企業の物流コストは4 兆円にも上ると言われており、このコスト削減に寄与する事が同社のビジネス。潜在需要は非常に大きいと言えます。
 
2008年3月期第3四半期業績
 
<連結>
 
 
CLSAサンライズ・キャピタルLPをビジネスパートナーに迎え入れて、5月29日に中期事業計画「TRUSTEX2010」を策定して以降、専属型軽貨物運送を柱とした物流アウトソーシング企業への回帰を図り、グループ内の一般貨物自動車運送事業における不採算部門である積合せ事業からは撤退し、子会社の収益改善と整理統合を推進してきました。上半期中に、同社の収益に大きな影響を与えていた子会社の整理をほぼ完了させることができ、同社のコア事業に資源を集中する環境が整いました。この結果、日本経済の先行きに不透明感が増す状況下において、同社グループは、下半期に入り収益構造に改善が現れ始め、10-12月の期間では当期純利益が計上できるところまで改善してきました。今後同社グループのより安定的な成長を図るため、コア事業である軽トラックを活用した専属型軽貨物運送事業に経営資源をさらに集中していく予定です。

当第3四半期の連結売上高は、前年同期比30.6%減少し22,944百万円となりました。このうち運送売上高は、前年同期比23.2%減少の21,629百万円となり、開発売上高は、前年同期比73.0%減少の1,315百万円となりました。

利益面では、子会社の整理により足許の業績に改善の傾向が見えるものの、前述の車輌販売の抑制により、開発事業で売上総利益が前年同期比1,685百万円と大きく減少しました。この影響が大きく、販売費及び一般管理費において前年同期比2,024百万円の改善があるものの、当第3四半期における営業利益は前年同期比136百万円減少し△51百万円、経常利益は前年同期比96百万円減少し△350百万円となりました。

当期純損失は、転リース物件売却益の繰延処理の影響で1,874百万円の特別損失などを計上しており、3,349百万円の純損失となりました。

※従来、セール・アンド・リースバックによるリース物件を転リースする取引において、リース物件を売却した時点で利益計上していましたが、期間損益の適正化と財務内容の健全化を図るため、この会計基準を早期適用して当中間期よりリース物件売却益を繰延処理する方法に変更しました。
 
<事業別売上高>
 
 
運送事業は、改革を進めて行く過程で社内体制の整備に時間を要したこと、採算性の低い大口取引の解消等により、7-9月にかけて、オーナー・オペレーターの稼動数が減少し、運送事業の売上高の減少を招く結果となりました。これを受けて、個人目標の適切な設定、目標管理体制の見直をしました。これにより、10-12月にかけてはオーナー・オペレーターの稼動数は増加に転じています。また並行して進めておりました子会社の不採算な運送事業を整理した結果、売上高は前年同期比大幅に減少しています。

開発事業は、余剰リース車輌解消による事業構造の強化を優先したため、車輌販売を抑制しており、第3四半期の売上高は前年同期比減少しています。
 
<財政状態>
 
 
(資産)
当第3四半期末の総資産は、前年期末比1,392百万円増の13,484百万円となりました。その主な要因は、子会社整理および売掛債権のファクタリングの影響により受取手形及び売掛金が前年期末比998百万円減少したこと、リース取引に関する会計基準の早期適用によりリース投資資産を3,693百万円計上したことなどによるものです。

(負債及び純資産)
当第3四半期末の負債総額は、前年期末比463百万円減の12,546百万円となりました。その主な要因は、借入金及び社債残高の合計が前年期末比3,299百万円減少したこと、リース取引に関する会計基準の早期適用によりリース債務を合計3,693百万円計上したこと、転リース物件の売却益の繰延処理によりリース前受収益を1,444百万円計上したことなどによるものです。

純資産合計は、減資の実施、CLSAに対する51億円の第三者割当増資の実施などにより1,856百万円増加し、937百万円となりました。
 
<キャッシュフロー>
 
 
当第3四半期は、営業活動による資金は10月以降不採算子会社の影響が大幅に改善された影響により改善傾向が見えるものの、中間期までに発生した子会社整理などに関する支出の影響もあり1,857百万円の減少となりました。投資活動による資金は351百万円の増加となりました。また、財務活動による資金は51億円のCLSAによる第三者割当増資の実施等により5,162百万円の株式発行による増加、3,122百万円の借入金及び社債の返済などにより、2,037百万円の増加となりました。

現金及び現金等価物の当第3四半期末残高は、前年度期末に比べて313百万円増加し、1,837百万円となりました。
 
2008年3月期業績予想
 
<連結>
 
通期の業績予想は、前回予想から修正はありません。
 
 
当社の引当基準に基づき、既に引当金を計上しているオーナー・オペレーターに対する長期未収債権に関して、その債権の回収状況による追加引当の発生の可能性があり、その額によっては、実際の業績は上記の業績予想と大きく異なる可能性があります。
 
取材を終えて
コア事業に資源を集中する環境を整えるべく、事業の改革を進めています。上半期中に、当社の収益に大きな影響を与えていた子会社の整理をほぼ完了させることができ、第3四半期までの営業利益、経常利益、純利益は、いずれも中間期に比べて赤字幅が縮小しています。
今後、コア事業である軽トラックを活用した専属型軽貨物運送事業にさらに経営資源を集中していく予定です。収益回復の道筋が少し見えてきたようです。第4四半期以降に期待したいと思います。