ブリッジレポート
(4849:大証ヘラクレス) エン・ジャパン 企業HP
越智 通勝 社長
越智 通勝 社長

【ブリッジレポート】エン・ジャパン vol.15
(取材概要)2008年3月18日掲載
「2007年12月期は経常利益が11月の上方修正値を上回る着地となりました。その最大の原動力は、前期比39%の増収となった主力の[en]社会人の転職情報です。・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
エン・ジャパン株式会社
社長
越智 通勝
所在地
東京都新宿区西新宿 6-5-1
事業内容
ネット利用の求人転職情報サービス。求人企業からの広告掲載料が収益源。
決算期
12月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年12月 22,686 7,564 7,573 4,168
2006年12月 16,919 5,605 5,607 3,105
2005年12月 11,491 3,791 3,826 2,203
2004年12月 6,980 2,245 2,254 1,253
2003年12月 4,372 1,749 1,754 1,038
2002年12月 3,107 1,305 1,283 663
2001年12月 1,876 933 898 464
2000年12月 620 254 249 132
株式情報(3/7現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
205,000円 241,812株 49,571百万円 36.5% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 18,521.87円 11.1倍 54,419.05円 3.8倍
※株価は3/7終値
 
エン・ジャパンの2007年12月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
 
インターネット上で、[en]ブランドの5つの転職・就職情報サイトを運営。取材に基づく公正で詳細な企業情報が高い評価を受けています。
 
<ビジネスモデル>
 
 
<運営サイト>
 
 
2007年12月期決算
 
<総括>
 
1.売上高は前期比34%増の226.8億円、経常利益は同35%増の75.7億円となり、7期連続の増収・増益。売上高(+1.8億円)、経常利益(+3.7億円)共に11月1日の修正予想を上回る着地となりました。
 
 
売上高が修正予想を1.8億円上回ったのは、中途採用事業の売上高が予想を1.8億円上回った事が要因です。費用面では、売上原価が0.3億円、販管費が1.6億円、それぞれ修正予想を下回りました。このうち販管費は、人件費が0.2億円予想を上回る一方、広告宣伝費が0.4億円、その他が−1.4億円、それぞれ予想を下回りました。この結果、経常利益が3.7億円、修正予想を超過しました。

2.全サイトで売上が堅調に推移しました。効果にこだわり質を追求する「[en]社会人の転職情報」が量的にも着実に成長しました。また、新卒採用事業では、上位2社(リクルート、毎日ナビ)が社数獲得競争を繰り広げ、社数を急増させた結果、1社当たりの学生の応募数が大きく低下した模様です(掲載企業にとっては応募効果が悪化した事になります)。同社は上位2社のような無理な拡大策をとらなかったものの、掲載社数は着実に増加、また1社あたりの効果が飛躍的に向上し、今年の10月にオープンする2010年卒業者向け新サイトの売上に反映されてくるものと思います。
 
 
<業績>
 
 
<全社四半期業績>
 
 
1.第4四半期の売上高が大きいのは、新卒採用事業の売上が第4四半期に集中するためです。
2.第1と第4四半期に広宣・販促費の比率が上昇したのは、テレビCMの影響です。
3.第1と第4四半期の人件費比率が低いのは、売上のボリュームが拡大したためです。
 
<セグメント別概要>
 
1.中途採用事業
通期では、売上高が前期比50億円(34.8%)増加。規模拡大(人員は207名増加)や営業強化に伴う人件費増やテレビCM等プロモーションに伴う広宣・販促費の増加はあったものの、増収効果等で通期の売上高経常利益率は38.6%と前期比0.2ポイント改善しました。
第4四半期(10-12月)の3ヶ月間では、売上高が増加したものの、広告費の積極投下により利益が減少しました。
 
 
2.新卒採用事業
売上高は伸びたものの、会員増に対応したサイト開発等による減価償却費の増加や人員増等で通期の売上高経常利益率は3.4%と0.1ポイント低下しました。事業の性格上第3四半期までは赤字ですが、通期では黒字となりました。
 
 
3.教育・評価事業
売上高は増加しましたが、人件費の増加に加え、派遣手数料や業務委託費(サーバー手数料等)の増加等により、通期の売上高経常利益率は14.8%と8.7ポイント低下しました。尚、当事業は社内教育等も行っており、数字には現れない面で貢献度の大きい事業です。また、研修が上期に集中するため、売上は上期偏重の傾向があります。
 
 
<サイト別の概要>
 
1.[en]社会人の転職情報
期末会員数は191万人。リクルートのリクナビネクストの値下げ攻勢が強まる中、第4四半期、通期共に増収を維持、特に第4四半期は35.7億円(前年同期比20.2%増)と過去最高を更新しました。業界毎に若干の差はあるものの、企業の採用意欲は引き続き旺盛です。ただ、企業は採用効果に対して敏感になっており、効果のあるサイトと効果の出ないサイトの選別を進めています。売上高の伸びは、高い採用効果が評価され、選ばれるサイトとなっている事の証です。
また、難易度の高い経験者採用では、採用アウトソーシングを絡めた商品や有料オプションが単価アップに寄与しました。一方、事務職等の難易度の低い採用案件向けに開発した低単価商品も件数の増加に寄与しました。
 
 
2.[en]転職コンサルタント
第4四半期の売上高は過去最高の5.6億円(前年同期比28.2%増)。期末の掲載社数は前年同期比71社増の385社。第4四半期の平均月末掲載社数は381社、単価は49.3万円と、共に過去最高を更新しました。オプション枠の拡販が、下期の単価がアップにつながりました。
 
3.[en]派遣のお仕事情報
第4四半期の売上高は過去最高の8.3億円(前年同期比19.9%増)。12月末時点の掲載社数は前年同期比106社増の628社。11月にサイトリニューアルを実施して広告掲載枠を拡大しました。 掲載枠の拡大により大手からの受注を拡大することで、2010年に売上高50億円を目指しています。
 
4.[en]本気のアルバイト
第4四半期の売上高は2.75億円(前年同期比7.4%増)。12月末の会員数は18.8万人。モバイルサイトのアクセス数が同2.4倍、応募者数も同1.5倍と順調に拡大しました。08年2月25日に一般アルバイト向けサイトを立上げ、従来サイトをサテライトサイトに衣替えしました。
 
5.[en]学生の就職情報
売上計上方法の変更により、年間売上の約58%が第4四半期に計上されました。掲載社数の獲得では、大手2社の掲載社数獲得競争のあおりを受けたものの、同社は値引きに走らず質を重視。学生の認知度向上等もあり1社当たりの早期個別エントリー数(サイトオープン時〜12月末)は業界No.1と思われます。早期個別エントリー数とは、意欲的で志望度合いの高い学生数と言い換えることができます。
 
6.その他事業及びトピックス
(1)[en]高校生 12月にサイトオープン!
フィルタリング規制で話題となっている若年層のモバイルコミュニケーションですが、同社はかねてより安全性の高い若年層向けコミュニティの必要性を認識しており、今回健全なコミュニティの実現と高校生ユーザーの自立支援を目的に高校生限定のSNSサイトビジネスを始めました。同サイトは、実名登録と厳正な入会審査で本人確認を徹底すると共に、24時間365日体制でサイトを監視します。ただ、実名とニックネームの2種類のページを用意しているため、利用時のプライバシーは守られます。「好きな事に熱中して取り組む経験」を積む事ができる場を提供していく考えです。
1月に、ストリートダンス、リフティング、じゃんけんゲーム等のコンテンツやコンテストがスタートしました。今期は2億円の売上を見込んでおり、来期には黒字化させる考えです。
 
(2)VC事業
企業に対する中長期的な投資だけでなく、同社の本業により投資先成長企業の人材採用もサポートしています。投資の状況は次の通りです。
4Qにおける新規投資 4社、 80百万円
12月末現在の投資状況 11社、290百万円
今期の投資見込額 3億円
 
(3)中国事業
06年に設立した英才網聯(北京)科技有限公司は、エン・ジャパンの指導による業務改善で生産性が向上、経常損益が約80百万円改善し、黒字化に成功しました。
2007年通期実績
売上 : 1,515万元(2.3億円) 対前年比65%増
経常 : 27万元(420万円) 前期は7,400万円の経常損失
今期見込
売上 : 2,500万元(3.9億円) 対前年比65%増
経常 : 250万元(3,900万円) 対前年比9.2倍
 
2008年12月期業績予想
 
<非連結>
 
 
新人事制度の導入や新規事業に伴う先行投資負担を吸収して、最高益更新が見込まれます。
 
<コスト比較>
 
前期比15%の増収が見込まれる中、営業利益が同5.8%の増加にとどまるのは、人件費の増加と新規事業の立上げに伴う先行投資が負担となるためです。
このうち人件費の増加は、社員の定着率向上と更なる能力の発揮のための新人事制度の導入、人員増、及び既存社員の昇給等が要因です。また、新規事業の立上げとは、アルバイト分野の新サイトと[en]高校生の立上げです。この他、広宣・販促費も6,866百万円と同11.8%増加しますが、対売上比は26.3%と同0.8ポイント低下します。認知度の向上等もあり、対売上高比において広宣・販促費割合は減少傾向です。

尚、上記費用を除くと、今期の予想経常利益は8,870百万円となり、前期比17.1%の増加です。また、新規事業の予想売上高を除くと、今期の予想売上高は25,600百万円となり、同12.8%の増加。つまり、既存事業ベースでは、2桁の経常増益。また、経常利益の伸びが、売上高の伸びを上回ります。
 
<セグメント別損益>
1.中途採用事業
人件費増と新サイトの立上げ費が負担となり経常利益率は低下するものの、経費の増加を吸収して増収・増益が見込まれます。
 
 
2.新卒採用事業
前期に大幅な組織変更及び営業方針の変更を行ったため、生産性の向上には今しばらく時間を要する見込みです。来期以降の生産性向上に向けて、今期は組織固めに注力します。
 
 
3.教育・評価事業、その他
従来の教育・評価事業は黒字ですが、[en]高校生の先行投資(売上高2億円、損失1億円を見込む)が負担となります。
 
 
<サイト別予想>
 
1.[en]社会人の転職情報   売上高14,430百万円(前期比11.7%増)
今期も質の向上を優先する考えです。このため保守的な予想となりました。
 
2.[en]転職コンサルタント   売上高2,300百万円(前期比12.6%増)
成熟期に入りつつある事から、保守的な予想となりました。
 
3.[en]派遣のお仕事情報   売上高3,540百万円(前期比11.3%増)
リニューアル効果による単価増が見込まれますが、契約の移行に伴うタイムラグがあるため、増収効果は来期以降となる見込みです。
 
4.[en]本気のアルバイト   売上高1,655百万円(前期比49.8%増)
新サイト効果による売上の伸びを見込んでいます。
 
5.[en]学生の就職情報   売上高3,760百万円(前期比15.6%増)
競争の激化を踏まえて、慎重な予想です。
 
市場環境及び今後の事業展開
 
<市場環境>
 
 
着実に同社のシェアは上昇していますが、都市部において、求人広告の紙媒体からネットへのシフトが予想以上に早かった事もあり、ここにきてネット求人広告マーケットの成長ペースが鈍化してきました。こうした中、注目すべきは、人材紹介事業です。人材紹介事業の対象が若年層にも広がりつつあり、人材紹介市場は拡大を続けています。ネット求人広告と人材紹介を合わせた中途採用マーケットは高い成長が続いています。
 
 
<今後の方策>
 
[en]社会人の転職情報
人材紹介と言うと、ある程度年齢の高い層を対象としているというイメージがありますが、人材紹介事業の大手であるリクルートエージェントとインテリジェンスの場合、30歳以下が人材紹介事業全体の64%を占め、35歳以下では全体の89%に達するようです。この年齢層は、従来人材紹介会社がターゲットとする年齢層ではなく、求人広告で十分カバーできるゾーンなのです。同社の「[en]社会人の転職情報」に登録されている質の高い求職者のデータベースを活用することで人材紹介マーケットに流出している企業の採用費用を取り戻すことは可能です。このため、同社は、ネット求人広告において効果にこだわる質的No.1路線を継続し顧客の拡大を図ると共に、採用アウトソーシング商品を強化して人材紹介マーケットからの収益奪取を図ります。
 
[en]本気のアルバイト
2月25日に、一般のアルバイト市場(推定市場規模2,000億円)をターゲットとしたアルバイトサイトがオープン。正社員登用限定サイト「[en]本気のアルバイト」が、更なる売上の拡大を目指して一般のアルバイト市場に参入しました(従来の正社員登用ありのアルバイトサイトは、「めざせ!正社員」に衣替え)。これまで、単なる「小遣い稼ぎ」の手段であったアルバイトを「学び・成長の場」へと高め、求人企業に質の高いアルバイト労働力を提供します。今期の売上高は16.5億円(めざせ!正社員サイトと合算)を見込んでいます。
 
<今後の事業展開>
 
既存事業(採用関係ビジネス)と新分野に加え、新規事業及びM&Aによる更なる事業拡大で、利益成長率2桁ペースの早期回復に努めます。
 
既存事業(採用関係ビジネス)
[en]社会人の転職情報 ネット求人広告マーケットにおけるシェア拡大と採用アウトソーシングサービスの強化
[en]転職コンサルタント 社数獲得と単価増で安定成長を目指します
[en]派遣のお仕事情報 リニューアルにより2010年度売上50億を目指します
[en]学生の就職情報 社数の拡大によりシェア・アップを目指します
[en]本気のアルバイト 新サイトと合わせて2010年度売上40億を目指します
新分野
VC事業 有望企業への投資を継続
[en]高校生 2010年に売上10億を目指す
中国事業 市場拡大と共に安定的な業績向上を目指す
取材を終えて
2007年12月期は経常利益が11月の上方修正値を上回る着地となりました。その最大の原動力は、前期比39%の増収となった主力の[en]社会人の転職情報です。一方、最大のライバルであるリクルートは、リクナビネクストの売上が15%程度(推計)ダウンしたようです。徹底的な価格競争を挑んできたライバルの単価は36〜37万円に低下したそうですが、エン・ジャパンは値下げに追従せず質の向上を重視。このため、既に逆転していた両社の価格差は一段と開き、さらには12月12〜25日時点の広告掲載社数においても、掲載料の高いエン・ジャパンが一時的ではありますが、リクナビネクスト抜きNo.1となりました。ちなみに、ライバルは代理店政策をとっているため、営業マンの規模は少なくとも同社の5倍以上との事です。価格差やマンパワーの違いを、質が凌駕したわけです。2007年は厳しい価格競争にさらされた結果、売上高が期初予想に達しなかったものの、[en]社会人の転職情報が、質だけでなく量的にも成長した画期的な年でした。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
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