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(1754)

ブリッジレポート:(1754)東新住建 vol.18

(1754:JASDAQ) 東新住建 企業HP
深川 堅治 社長
深川 堅治 社長

【ブリッジレポート】東新住建 vol.18
(取材概要)2008年3月25日掲載
「同社の業績は「第4四半期次第」と言った感はありますが、通期計画に対する中間期の収益進捗率は、やや遅れが出ているようです。 同社の企業努力・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
東新住建株式会社
社長
深川 堅治
所在地
愛知県稲沢市高御堂 1-3-18
決算期
6月
業種
建設業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年6月 104,467 1,985 954 267
2006年6月 90,857 2,183 1,255 -147
2005年6月 72,227 3,130 2,518 1,328
2004年6月 58,925 2,567 2,010 989
2003年6月 43,418 1,932 1,629 628
2002年6月 36,722 1,503 1,205 506
2001年6月 31,704 496 230 49
2000年6月 25,736 1,299 1,028 534
株式情報(2/29現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
366円 13,022,620株 4,766百万円 5.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15円 4.1% 53.75円 6.8倍 416.45円 0.9倍
※株価は2/29終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
東新住建の2008年6月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
独自の商品と独自のシステムを駆使しエリアを拡大するハウスメーカーです。中部圏を地盤に、首都圏、近畿圏へ展開しています。
 
<事業内容>
事業は、住宅建築請負業(07/6期売上構成比16.4%)、分譲不動産販売事業(同 76.6%)、兼業事業(同 7.0%)で構成されます。
 
住宅建築請負事業
「古き良き長屋文化の承継」をうたった「ザ・借家」に代表される賃貸住宅と、100年品質の「ダグラス」シリーズや環境共生住宅「樹流」などの注文住宅で構成されます。同社本体で事業展開するほか、首都圏では東新ハイトス、近畿圏ではカメヤグローバル等が展開しています。
 
分譲不動産販売事業
分譲戸建販売事業と分譲マンション事業で構成され、同社本体で展開しています。
 
兼業事業
不動産の賃貸管理・売買仲介、一括借上システム等による賃貸事業、有料老人ホームの運営等の事業です。
 
 
<東海3県下No.1、メインマーケットは全国の7割弱>
マーケティングシステムズ社調査の「低層住宅の集計(4階建て以上のマンション等除く)」によると、分譲戸建てに限れば、同社は東海3県下で9年連続No.1。愛知県下の全住宅でも、トヨタホーム、積水ハウスに次ぐ3位に位置しています。

また、同社の営業エリアである、東海地方、首都圏、近畿圏における住宅着工件数は876千戸、金額で13兆円に上ります。全国の7割弱に相当する巨大市場が同社のターゲットです。
 
(データ:平成07年3月末日現在)
 
2008年6月期中間決算
 
<連結>
 
1月18日に、中間期の業績予想を修正しました。
2007年6月に改正建築基準法が施行された影響で建築確認許可が停滞し、同社においても着工の遅れおよび完成の遅延が発生し、物件の供給が計画を下回りました。

売上高は、上記の理由により新規物件の供給が遅れたこと、米国で発生したサブプライムローン問題、ガソリン価格の高騰、賃金の低迷、住民税の増税などの影響で、個人消費が伸び悩み、住宅市場においても買い控えが発生したことなどにより、期初予想を下回る結果となりました。

利益は、売上高が減少したこと、原油価格高騰により建築コストが上昇したこと、販売競争の激化による一部販売価格の見直し等により、売上総利益額が減少しました。
一方、販管費は、効率化を進め削減しましたが、営業利益、経常利益は期初予想を下回りました。
中間純利益は、営業利益、経常利益の減少により課税所得が減少し、法人税等調整額により利益の増加が見込まれますが、期初予想を下回りました。

当中間期の売上高は442億54百万円(前年同期比5.1%減)、営業損失は5億82百万円(前年同期は2億38百万円の営業損失)、経常損失は11億79百万円(前年同期は6億99百万円の経常損失)、中間純損失は7億73百万円(前年同期は5億77百万円の中間純損失)となりました。
 
<事業の種類別セグメント動向>
 
(住宅建築請負事業)
賃貸住宅「ザ・借家」は、ペットとの快適な暮らしを実現する「ザ・借家 P・E・T」の販売を開始しました。
注文住宅は、「強く」「永く」「美しい」総タイル貼り企画型注文住宅「タイルダクラス」、環境共生住宅「樹流」など家族と自然にやさしい家づくりを進めています。
住宅建築請負事業の売上高は65億80百万円(前年同期比11.6%減)、営業損失は6億27百万円(前年同期は8億円の営業損失)となりました。

(分譲不動産販売事業)
分譲戸建は、愛知県三好町において、「家族みんなを笑顔にする」をコンセプトにした大型タウンプロジェクト「スマイルコート三好」の販売を開始しました。また、商品面では、総タイル貼り住宅にさらに磨きをかけた「ウイズ・スタイル」の販売を開始しました。しかし、改正建築基準法の影響により着工が遅れ、新規物件の供給が計画を下回りました。
分譲不動産販売事業の売上高は337億89百万円(前年同期比5.2%減)、営業利益は13億98百万円(前年同期比39.6%減)となりました。

(兼業事業)
兼業事業は、不動産の賃貸管理および売買仲介、一括借上システムによる賃貸事業、有料老人ホームの運営等です。
一括借上を中心とした賃貸事業において、入居率向上のための諸施策を進めました。また、有料老人ホーム「はぴね岐阜」についても、入居者が順調に増加しました。
兼業事業の売上高は38億84百万円(前年同期比8.4%増)、営業損失は2百万円(前年同期は2百万円の営業利益)となりました。
 
<財政状態>
 
当中間期間における総資産は、前年同期比76億27百万円減少し700億6百万円となりました。また、負債は、前年同期比74億94百万円減少し655億76百万円、純資産は、前年同期比1億33百万円減少し44億30百万円となりました。なお、自己資本比率は、前年同期より0.4ポイント改善し6.3%となりました。主な内容は以下のとおりです。

(資産)
資産の減少の主な要因は、流動資産では現金預金が27億28百万円、分譲用不動産仕掛品が57億63百万円減少しました。一方、分譲用不動産が16億60百万円増加しました。分譲不動産仕掛品の減少は、改正建築基準法施行の影響により、建物の着工が前年同期を下回ったこと、また当期においては、大型用地の仕入がなかったことによるものです。現金預金の減少は、支払条件の変更によるものです。分譲用不動産の増加は、販売競争の激化により、建物完成から引渡しまでの期間が長期化していること等によるものです。

(負債)
負債の減少の主な要因は、支払手形・工事未払金等が54億98百万円、長期借入金が22億70百万円減少したことです。改正建築基準法施行の影響による工事量の減少および大型用地の仕入れがなかったことによるものです。

(純資産)
純資産は、中間純損失であったため、純資産合計は44億30百万円となりました。
 
<キャッシュ・フロー>
 
当中間期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前中間期末に比べ27億32百万円減少し、51億92百万円となりました。
当中間期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は43億84百万円(前年同期比69.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失が11億98百万円(前年同期は7億60百万円の損失)であったことおよび仕入債務の減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は4億90百万円(前年同期比44.3%減)となりました。これは主に、自社所有賃貸物件などの有形固定資産の取得によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は28億23百万円(前年同期比69.9%減)となりました。これは主に、用地等の仕入れのための事業用資金としての短期借入金によるものです。
 
2008年6月期業績予想
 
<連結>
通期の業績予想は、従来予想からの修正はありません。
 
 
顧客ニーズにあった商品の供給、下期の物件供給を増やすなど、生産、販売体制の強化を進めていく予定です。
さらに商品企画の見直しによる付加価値の向上、工事原価の圧縮による生産性の向上など、業務の効率化や経費削減に取組む予定です。
以上により、通期の見通しは、売上高1,066億円、営業利益28億50百万円、経常利益16億50百万円、当期純利益7億円を見込んでいます。
 
取材を終えて
同社の業績は「第4四半期次第」と言った感はありますが、通期計画に対する中間期の収益進捗率は、やや遅れが出ているようです。
同社の企業努力以上に、改正建築基準法の影響、米国で発生したサブプライムローン問題、ガソリン価格の高騰、賃金の低迷、住民税の増税の影響などによる個人消費の伸び悩みなど、外部環境の変化が大きく、収益圧迫要因になっています。下半期も外部環境は不透明感が強く、その辺りも注意深く見ていく必要がありそうです。