ブリッジレポート:(2680)日本オプティカル vol.5
(2680:JASDAQ) 日本オプティカル |
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企業名 |
株式会社日本オプティカル |
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社長 |
長村 隆司 |
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所在地 |
名古屋市中区栄 4-2-29 |
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決算期 |
12月 末日 |
業種 |
小売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2007年12月 | 18,856 | -1,015 | -761 | -1,416 |
2006年12月 | 19,268 | 612 | 638 | -251 |
2005年12月 | 19,240 | 845 | 800 | 226 |
2004年12月 | 16,198 | 635 | 594 | 299 |
2003年12月 | 14,204 | 707 | 665 | 278 |
2002年12月 | 13,890 | 377 | 375 | 112 |
2001年12月 | 12,647 | 477 | 465 | 182 |
2000年12月 | 10,755 | 446 | 449 | 193 |
1999年12月 | 9,232 | 402 | 396 | 142 |
株式情報(4/11現在データ) |
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会社概要 |
<店舗展開>
<「EDNS」を利用した販売>
<ビジネスモデル特許の取得>
処方箋データの登録によって安全性を担保しながら、顧客のライフスタイルに合わせて購入方法を選択できる「EDNS」は、2003年8月にビジネスモデル特許を取得しています。同社では「Eye-Data Network System」がコンタクトレンズ購入のスタンダードになると考えています。
<ビジョン産業の市場規模・推移>
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2007年12月期決算 |
<業界動向>
CL業界は、医療費改正の影響を受けて混乱が続いています。影響とは、保険診療報酬の大幅削減によるCL診療所の収入減、及び不正請求による業界混迷です。
1.保険診療報酬の大幅削減によるCL診療所の収入減
CL小売マーケットは微増ですが、保険診療報酬の大幅削減によりCL診療所の収入は激減しています。改正前のCLにかかる診療報酬は約2,000億円と言われており、改正後は約1,000億円に縮小(約50%の収入減)すると見られていました。このため、CL診療所が生き残るためには、全額が受益者負担となる自由診療によるサービスを提供するか、或いは50%の減収でも存続できるコスト体制を構築するか等の施策を講じる必要がありました。しかし、多くの診療所が診療報酬の不正請求を(約600億円)を行い、経営を維持していました。
2.不正請求による業界混迷
自由診療を選択した同社協力医療機関は、不正請求横行による不公正競争を余儀なくされました。受益者が全額を負担する「自由診療診察料」は高額との評価を受けて、患者離れが起きたためです。同社では医療機関経営持続のため、多額の支援金負担を余儀なくされました。この原資を確保するため、価格維持に努めると共に販売促進費を抑制したため、顧客離れが発生して縮小スパイラルに陥りました。
<2007年12月期の重点施策>
販促費の圧縮を図りつつ、M&A及び薬系5MINI(ドラッグストア内へ出店するハートアップ5MINI)による効率的出店に努めたものの、予想以上の医療費改正の影響の長期化により減収・減益となりました。
1.出店戦略 薬系5MINIの積極的出店とM&A
薬系5MINIを118店出店。上期には子会社(株)コンタクトプラザが「協和コンタクト」の事業を譲り受け、下期には集客力のある大型SCや路面店への移転を行いました。
2.コンタクトレンズ販売
ハートアップ5MINIを基点に新規顧客の開拓に努めており、その一環として、上期はリフレプラン(定額制会員システム)を開始しました。下期は、医療費改正により痛手を受けた協力医療機関における新たな収益モデルの模索を開始しました。また、EDNS登録者200万人獲得キャンペーンをスタートさせ、新会員カードの発行、リフレプランの全店導入、PB新商品投入を行いました。
3.グラス販売
上期は、コンタクトレンズ顧客への眼鏡販売徹底によるCLと眼鏡の併売率の向上に取り組むと共に、集客力を重視した大型店の出店を行いました。下期は、引き続き併売に取り組むと共に、郊外店出店の成功とグラス販売成功事例の水平展開を進めました。
4.内部体制
日本版SOX法に準じた内部統制の構築を進めると共に、販売マネジメントバイブルや店舗マネジメント規格によるプロセスの徹底と、モニタリングシステムによる運用チェックの強化に取り組みました。
5.その他
残業時間ゼロベースを実施、ロジスティクスのスリム化と総合販売管理システムの整備を進めました。
<損益計算書>
1.医療費改正の影響
業務受託料の減少によりその他粗利が減少する一方、協力支援金が大幅に増加(1,312百万円、前年比1,010百万円増)しました。
2.直販粗利増減
コンタクトレンズ販売は、販促費の抑制に伴う新規顧客の減少が再購入客数に波及(減少)したものの、5MINIの新規出店により売上高は前年比3.2%増加しました。一方、グラス(眼鏡)販売は、シニアマーケットの価格破壊による客単価の下落が響き、売上高は同0.8%減少しました。グラスの粗利の減少をコンタクトレンズの粗利増で補い直販粗利は同2.2%増加しました。 <コンタクトレンズ販売>
販促費の抑制に伴う新規顧客の減少が再購入客数に波及(減少)したものの、5MINIの新規出店により売上高は前年比3.2%増加しました。また、価格政策の見直しによる利益確保施策が奏功して粗利もわずかに増加しました。
店舗
販促費を増やした効果で下期の売上が増加、通期で前期比4.5%の増収となりました。
ネット
前期の新規顧客の減少が響き、通期で同6.9%の減収となりました。ただ、PB比率が通期で25.5%と2.2ポイント上昇した事等で、粗利率が57.2%と7.4ポイント改善、粗利が同6.8%増加しました。
<グラス(眼鏡)販売>
CLとの併売促進により購入者数は増加したものの、シニアマーケットの価格破壊による客単価の下落が響き、売上高は同0.8%減少しました。大幅に価格を引き下げた他社に対抗して集客力を高めるべくフレームバリエーションを低価格帯まで広げた事が、大幅な客単価低下の要因です。
<貸借対照表>
<キャッシュ・フロー>
<設備投資の状況と店舗数の推移>
1.設備投資の状況
連結ベースの設備投資は、453百万円。店舗の移転統合・業態変更等に334百万円を投じた他、新規出店に74百万円、本社関連に44百万円を投じました。
一方、一般管理費計上分の減価償却費は454百万円でした。
2.店舗数の推移
薬系5MINIの加速度的出店により、期末店舗数は337店舗と前期末に比べて136店舗増加しました。
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2008年12月期業績予想 |
<経常損益黒字化の要因分析>
子会社人件費(協和コンタクトの3ヵ月分)、広告宣伝費で経費が増加(328百万円)し、営業外損益が悪化(219百万円)するものの、及びその他経費(125百万円)の減少に加え、薬系5MINIの通期稼動、新店効果、データ販売の開始、協和コンタクトの通期稼動、既存店その他の粗利増(トータルで1,180百万円)に加え、仕入れコストの減少やコアショップの人員効率化による人件費の減少(トータルで443百万円)等で経常損益が黒字転換する見込みです。
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経営V字回復プログラム -PL構造の変化による黒字化達成- |
<外部環境予測>
同社では、CL診療の第二次改正とも言える2008年4月の医療費改正はCLマーケットを大きく変化させると考えています。具体的には、CL検査料の実質的一本化がなされる事で、不公正環境が是正されると共に、CL診療所収入の大幅減少及びCL処方医療機関の激減が予想され、この結果、「自己申告によるCL購入の増加やCL販売価格の上昇等、消費構造が大きく変化する」というのが同社の見方です。実際、2006年4月の医療費改正でも消費構造が大きく変化し、改正前は全体の10~15%だったネットでの購入者が、改正後には25%に上昇したとの事です。
<V字回復のための重点施策 -黒字化達成に向けての新たなビジネスモデルの構築>
1.出を制する
(1)協力支援金抑制策の実施(2)コアショップのEDNS-Data販売化による人件費効率向上 (3)間接コストの削減 2.入るを計る
(1)「EDNS一般会員登録制度」の導入(支援金原資の確保)(2)利益商材の確保 1.出を制する
協力支援金抑制策を実施する一方、CL専門店としてCL診療所との提携は堅持していく考えで、支援金原資の確保に努めます(協力支援金を無くすわけではありません)。この一環として、コアショップのEDNS-Data販売化を軸とした業態変更を実施します。協力支援金削減のため、一部のCL診療所との提携を解消し、人員の効率化(人件費の削減)を図ります。ただ、売上の減少が予想されるやめ、EDNS一般会員登録制度で補完する考えです。 *2007年の協力支援金実績と2008年予測(減額の推移予測)
間接コストの低減策としては、管理部門のスリム化と在庫管理費用の圧縮により年間約260百万円の経費削減を見込んでいます。具体的には、本社部門の統合と販売部門への人員再配置により管理部門のスリム化を図ると共に、物流部門において、ロジスティクスセンターへの在庫預け入れに対するセンターフィーをメーカーから徴収します。 2.入るを計る
増収効果等で粗利の増加を図ります。具体的には、新しいビジネスモデルによる展開及び出店・販売政策の実施に加え、前期に実施した施策の効果も見込まれます。
(1)新しいビジネスモデル展開による増収
EDNS一般会員登録制度を導入してコンタクトレンズデータ販売を開始します。医療費改正後のCL診療所激減が予想される一方、CL装用人口は減らないため、消費者はCLを購入できる場がなくなってしまいます(CL難民の発生)。同社では、EDNS一般会員登録制度をCL難民の受け皿とすると共に、コアショップの減少により懸念される客数・売上高への影響を吸収する考えです。
認知度を高めるため全国335店舗及び薬系5ミニで提携を結ぶ各ドラッグストアチェーンの全店舗(約1,800店舗)に、「EDNS一般会員登録申込書」を配布していく考えです。 *ドラッグストア来店者シミュレーション
同社のヒアリングによると、1店舗当たりのドラッグストアの来店者数は月間17,000人ですが、来店頻度は月2回のため、同社では実質来店者数を月間8,500人と推測しています。1店舗当たり月2人が登録(歩留0.02%)とした場合、2人×1,800店舗で、月間3,600人を獲得できる計算です。尚、現在、登録者の25%が実際に購入しており、1回当たりの購入単価は9,000円です。また、CL一般会員のCL購入サイクルは年2.2回ですが、申告者が再購入を目的に登録しているため、実際の購入サイクルは年間3回と推測されます。
(2)前期に実施した施策の効果による増収または粗利率の向上
前期に出店した薬系5MINI(118店舗)及びハートアップ協和コンタクト(07年4月事業譲受)が通期で寄与する他、1日使い捨てレンズ等の高粗利益商材の投入効果が期待できます。現在、仕入れ価格の低減と中期的目標としての戦略PB商品投入を念頭に、利益商材の開発・確保と将来的なPB展開の見直しを進めています。 (3)出店・販売政策による増収
大型SC(ショッピングセンター)内店舗・郊外店(コアショップモデル店)での新規出店(3店舗)、及び不正請求減少による競争環境の変化と積極販売策への転換により顧客数の回復が見込まれます。コアショップは、SC内や郊外の路面店への移転等で売上を増やしているケースが多い事から、集客の見込める場所への移転を積極的に進めていく考えです。 (4)内部体制の再構築と、内部統制への取り組み
①内部体制の再構築
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中期経営計画 |
<店舗数の推移>
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