ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

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ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.8

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 社長
山田 勝 社長

【ブリッジレポート vol.8】2008年3月中間期決算業績レポート
取材概要「同社は、必需品であり、かつファッション性が重視されるプレミアムヘルメットで勝ち残り、世界的に独走態勢を固めつつある。安定した営業基盤を・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年6月24日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
社長
山田 勝
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(6/13現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,923円 14,522,400株 27,927百万円 28.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
58.0 3.02% 116.37円 16.5倍 493.87 3.89倍
※株価は6/13終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数。
 
SHOEIの2008年3月中間期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
概要
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心にカート用などの4輪車用、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造しています。販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界50カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっています。
独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力により、右の3つの世界一を実現する事を経営方針に掲げています。
 
沿革
1954年、ポリエステル加工メーカーとして創業。59年3月に昭栄化工(株)として法人化、一般用ヘルメットの生産を開始。翌60年1月、二輪乗車用ヘルメットの生産に着手。68年7月、アメリカに子会社を設立し海外展開を開始、87年7月には子会社設立によりフランスへも進出しました。92年5月、会社更生手続開始を申立、同年9月、現山田社長が管財人となり更生手続きを開始。93年12月、更生計画が認可されました。更生手続き中の94年3月、子会社を設立し、ドイツに進出。98年3月、会社更生計画認可から4年3ヶ月という短期間で会社更生手続を終結しました。同年12月には社名を(株)SHOEIに変更。04年7月、JASDAQに株式を上場し、07年9月には、東証第二部に上場(JASDAQは上場廃止)しました。
 
三位一体の事業展開
同社は「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略の推進により、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めています。
 
 
事業内容
オートバイ用のヘルメット(二輪乗車用ヘルメット)の売上高が約90%を占めています。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県東磐井郡)の国内2工場で生産。国内生産により高い品質を維持すると同時に技術の流出防止にも努めています。
また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇ります。
 
2008年3月中間期決算
 
 
サブプライムローン問題や経済減速に伴い、消費マインドが低下した影響を北米向けなどで受けたものの連結子会社が直販するドイツ及びフランスでの販売が好調であったこと並びにロシア、ブラジルなど新興市場への販売が急拡大し、2008年3月中間期の連結売上高は前年同期比17.5%増の7,369百万円、経常利益は同45.8%増の2,028百万円と順調に推移している。
連結の販売状況を地域別に見ると、北米向けが、円高の進行(1ドル=118.62円から1ドル=109.90円と7.4%の円高)もあり1,445百万円と同17.2%減少している。しかし主力の欧州向けが、円安(1ユーロ155.36円から1ユーロ160.80円と3.5%の円安)も手伝い、4,253百万円と同40.6%と大幅な増収となっている。これは欧州子会社が直販するドイツ及びフランスでの販売が好調だったほか、ロシアやポーランドなどの東欧圏での販売急増によるものである。ロシア向けは2年ほど前から販売を開始しており、今後2年ほどでスウェーデンやスイスなどより大きくなる可能性を秘めている。日本国内での販売は縮小傾向に歯止めが掛かり始めており、新商品の投入効果なども貢献し1,354百万円、同4.7%増となっている。
欧州向けの製品は1物1価、円ベースで行っており、ユーロでの販売単価は半年に1回見直している。そのためユーロが強く推移したことが、子会社に有利に働き、子会社で利益が急増した。これが単独ベースの増益率を連結ベースの増益率が大きく上回った主な理由となっている。なお北米向けは1円の円高で2000万円、ユーロ向けは1円の円高で1200万円、利益に影響する。 連結ベースの売上総利益はコスト削減により3,462百万円、同20.8%増と増収率以上の増益となった。販売管理費は上期の広告宣伝費の約半分相当が下期にずれ込んだこともあり、1,433百万円、同2.8%減少した。営業利益の大幅増益は売上総利益の増益と販売管理費の減少によるものである。
 
 
経常利益の増減要因分析を行うと、経常増益額740百万円のプラス要因としては、子会社の増益450百万円、製品売上高の増346百万円、販売管理費減57百万円、為替影響額28百万円、その他76百万円があり、マイナス要因としてはコスト増218百万円が挙げられる。

総資産残高は、10,751百万円と2007/9前期末比1,340百万円増加した。主な増加項目は利益増に伴う現預金の増加584百万円、ユーロ高、販売増による欧州子会社における棚卸資産増加284百万円、資金運用の効率化による長期性定期預金の増加200百万円である。 負債は前期末比581百万円増加したが、その内訳は買掛金の増加423百万円、未払い法人税の増加251百万円が主なもの。利益剰余金の増加に伴い純資産は758百万円増加した。
 
 
2008年9月期業績予想
 
当初計画に変更なく、順調に拡大
 
 
2008年9月通期の業績予想は期初予想のまま据え置かれた。前期は、生産能力の問題とモデルチェンジがあったために、下期に売上が偏ってしまった。今期は上期から業績は好調に推移している。しかし、現在、為替予約を2、3ヶ月後までしか実施していないことや、原油や穀物などの資源高による世界的な経済減速の悪影響も出てくる可能性があるかもしれない。
しかし資源高で潤うブラジルやロシアなど新興国市場向けの好調などもあり、海外市場全体で増収が続くと想定され、期初の業績予想は上期実績から見て増額含みでほぼ達成される可能性が高いと思われる。
 
取材を終えて
同社は、必需品であり、かつファッション性が重視されるプレミアムヘルメットで勝ち残り、世界的に独走態勢を固めつつある。安定した営業基盤を背景に、2007年9月期で12.0%と高い売上高純利益率を誇るだけでなく、効率的な経営と売掛金が殆ど増加しない良好な販売条件を基に連結配当性向50%を維持していく方針である。長期保有に適した銘柄と言えそうだ。
同社としては、中期的な売上高成長率のイメージとしては5%前後の増収を想定しており、①商品構成を各々の国で広げ布石を打つ、②販売対象の国を増やす、③商品内容のバリエーションを増加させる、新しい技術を導入し10年でモデルチェンジしていく。この3つのベクトルで深堀りして行くとしている。高い粗利益率を考慮すると、利益ベースでは増収以上の増益が持続するものと期待される。