ブリッジレポート
(2462:東証1部) ジェイコム 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート vol.9】2008年5月期決算業績レポート
取材概要「08/5期は契約形態の変更や支払単価の引上げで営業利益の伸びが低くなったが、09/5期は一時的な要因が一巡し、本来の姿に近づく。当面、営業支援・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年7月22日掲載
企業基本情報
企業名
ジェイコム株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市中央区西心斎橋 2-1-3
事業内容
携帯電話の販売支援を中心とした総合人材サービス会社
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 12,404 885 907 489
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(7/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
169,000円 46,823株 7,913百万円 13.0% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4,000.0円 2.4% 13,010.79円 13.0倍 77,413.07円 2.2倍
※株価は7/10終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ジェイコムの2008年5月期決算についてブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
大阪市に本社を置き、販売支援等の総合人材サービス事業と携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業を展開している。主力の総合人材サービス事業は、携帯電話業界に特化した差別化戦略が奏功。業界動向や顧客ニーズを的確に捉えたサービスと情報の提供が、顧客企業から高い評価を受けている。大阪本社、東京、東海、中国、東北、九州、北海道の6支社、栃木、群馬、静岡、岡山、新潟、四国のサテライトオフィス6ヶ所、及び携帯電話ショップ3ヶ所を展開している。

中長期の経営戦略として、携帯電話業界向け営業支援サービスでの圧倒的なシェアの確立、新規事業の育成による第二の収益の柱の構築、若年層のステップアップを支援する体制の確立、コンプライアンスの徹底を掲げている。具体的には、携帯電話業界向け営業支援サービスでの圧倒的なシェアの確立に向けて、首都圏での営業強化、全国拠点網の拡大を図っている。また、新規事業については、就職支援サービスを本格化させると共に、携帯電話以外の業界へサービスの裾野を拡大。若年層の支援体制については、社員として企業から選ばれる人材を育成するべく、教育研修の更なる充実を図っている。
平成23年(2011年)5月期を目標として、増収率30%を維持した上で、営業利益率8%を再度達成する事。

会社設立は1993年9月。旅行等の企画会社としてスタートしたが、98年10月に現在のコア事業である人材ビジネスに参入、99年5月に一般労働者派遣事業の許可を取得。2005年12月の東証マザーズ上場を経て、07年2月に東証一部に市場を変更した。
同社では、08年5月期以降を第2の創業期と位置付けており、既に説明した中長期の経営戦略を進めている。この一環として、同年6月には、新規事業として就職支援サービスを開始。同年11月には体育会学生向けに特化した就職支援サービスを展開するインダスを連結子会社化した。
 
<事業内容>
事業は総合人材サービスと携帯電話ショップを運営するマルチメディアサービスに分かれ、2008年5月期は前者の売上高が全体の94.6%を占めた。マルチメディアサービスでは、各通信キャリアと丸紅テレコムとの三者間契約により、関西地区でドコモショップ1店舗、ソフトバンクショップ2店舗を運営している。
 
総合人材サービス
主力の総合人材サービス事業は、更に営業支援サービス、就職支援サービス、及び人材派遣サービスに分かれる。
 
営業支援サービス
ジェイコムスタッフと呼ばれる同社のスタッフが、携帯電話ショップや量販店等販売店での接客、商品説明、販売活動、販売員に対するアドバイスや営業情報の収集・報告といった店舗巡回業務等のサービスを提供。また、販売業務自体を請負うアウトソーシングサービスも提供している。
 
就職支援サービス
携帯電話販売の枠に捉われず職業紹介や紹介予定派遣を行なっている他、連結子会社インダスが体育会大学生に特化した新卒向け就職支援を行っている。
 
人材派遣サービス
営業支援サービス以外のオフィスやコールセンターへのスタッフ派遣が中心で、同社が雇用し、教育・研修を行ったスタッフを派遣する。
 
総合人材サービスの特徴は、派遣社員等やアルバイトを受け入れる企業側のメリットだけを追求するのではなく、働く側のキャリアアップにも配慮したシステムが構築されている事。具体的には、派遣社員もしくはアルバイトとして採用した社会経験の浅い学生やフリーター等の若年層を、教育及びOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)により勤続年数に応じてステップアップさせ、最終的には希望する職業へ正社員として就職できるよう支援するシステムが構築されている(下図参照)。
 
 
2008年5月期決算
 
 
※07年11月のインダスの連結子会社化に伴い、08/5期より連結を導入した。このため、期間比較は07/5期非連結と08/5期連結で行っている。

前期比29.1%の増収、同9.0%の営業増益。
携帯電話販売台数が過去最高を更新する等、携帯キャリアや携帯電話販売店の積極的な販促活動を背景に営業支援サービスが伸びた。ただ主要クライアントとの契約形態が業務委託から派遣契約に切り替わった事で利益率の高いラウンダー(販売スタッフの管理を行う)が減少、支払単価の引上げも負担となり利益率が悪化した。マザーズから東証1部への市場変更関連費用がなくなり営業外損益が改善した事で、経常利益は同15.3%増と営業利益の伸びを上回ったものの、事務所移転費用を特別損失に計上したため、当期純利益は同10.1%の増加にとどまった。
予想との差異は、関西圏での売上が予想ほどに伸びなかった事が要因。売上が予想に達しなかった事で、利益も未達となった。
尚、1株当たり配当金を500円増配し、年3,500円(中間配当金1,500円を含む)とした。
 
(1)セグメント別動向
 
競争激化等でマルチメディアサービスの売上が減少したものの、首都圏を中心とした携帯電話業界向け営業支援サービスの拡大により主力の総合人材サービスの売上が伸びた。総合人材サービスの詳細は次の通りである。
 
(1)サービス別売上高
営業支援サービスの売上高は前期比28.7%増の11,244百万円。最大のマーケットである首都圏において、通信キャリアや大手販売代理店を中心に営業を強化した。新たにサテライトオフィスを開設した群馬や新潟、及び既存の栃木を起点としたきめ細かなサービスの提供が取引先から評価され、売上高は当初の計画を上回った。
尚、東北等も含めた東日本地区の売上高は同2.1倍の4,204百万円、売上構成比は35.8%となり13.4ポイント上昇した(この他、西日本地区47.2%、東海地区17.0%)。新たなサテライトオフィスの開設は、群馬、岡山、新潟の3ヶ所。
今期より開始した就職支援サービスの売上高は220百万円。直雇用化のニーズに対応して、業界や業種にとらわれず職業紹介や紹介予定派遣を実施した他、体育会学生向け就職支援サービスを手掛けるインダスを子会社化し、新卒者の就職支援サービスにも参入した。尚、就職支援サービスなど新規事業の推進を目的に新設したMF事業部の売上が265百万円と計画を上回った他、インダスも170百万円の売上を計上し連結業績に貢献した。
また、人材派遣サービスの売上高は同139.1%増の268百万円。情報通信業界やこれまで取引の少なかった金融業界に対するサービス拡大を図った。
 
(2)業界別・顧客別売上高
携帯電話業界(売上構成比91.5%)向けが前期比31.3%増の10,741百万円と順調に拡大した他、情報通信業界(同4.3%)向けも495百万円と同35.9%増加したものの、上限金利問題でカードの加入促進業務の需要が減少した金融業界(同2.1%)向けが248百万円と同10.1%減少した。また、新規事業の寄与で、その他(2.1%)の業界向けが248百万円と同8.5倍に拡大した。
携帯電話業界向けが売上高全体の91.5%を占めたが、その内訳は、携帯キャリア(5社合計)が42.2%、大手携帯電話販売店(上位10社)が40.9%、その他販売代理店が8.4%。前期との比較では、携帯キャリアが同38.6%増、大手携帯電話販売店が同20.4%と、それぞれ高い伸びを示した。「携帯キャリアとの関係強化」と言う戦略に沿って、携帯キャリア向けが順調に拡大している。
 
(2)営業費用の分析
 
売上原価率が79.6%と、0.5ポイント悪化した。一部の契約が業務委託から派遣契約へ切り替わったため、利益率の高いラウンダーが減少した事、及び旺盛な需要に対応するべくスタッフの増加を図るため、給与ベースを引き上げたが(時給100円の引上げ)、その全てを派遣単価に転嫁できなかった事が要因で、個別の原価率が80.3%と1.2ポイント悪化した。もっとも、就職支援サービスを手掛けるインダスの利益率が高いため、連結では0.5ポイントの悪化にとどまった。
尚、その後の募集環境の軟化により08年2月〜3月にかけて、従来の水準に時給を引き下げた。定着率から考えて、09年の2月〜3月には単価の高い派遣社員は全体の50%程度に低下する見込み。足元、応募者数、来社数共に、単価引き下げの影響はない模様。

また、販管費率も13.3%と0.9ポイント悪化した。個別の販管費率は12.5%と0.1ポイントの上昇にとどまったが、インダスの販管費率が52.1%と高い事に加え、同社ののれん償却負担もあり、連結ベースでは0.9ポイントの悪化となった。科目別では、人件費、営業変動費、及び事務所移転に伴い地代家賃の比率が上昇する一方、求人効率の良化により採用教育費の比率が低下した。
 
2009年5月期業績予想
 
 
前期比25.0%の増収、同22.0%の営業増益予想。
携帯電話の多機能、料金プランの複雑化等で通信キャリア及び販売代理店の優秀な販売スタッフに対するニーズが高まっており、営業支援サービスを中心に総合人材サービスの高い伸びが見込まれる。地域別では、東日本地区で前期比40.9%の増加を見込んでおり、同地区の売上構成比が39.6%と同3.8ポイント上昇する見込み(西日本地区44.3%、東海地区16.1%)。
ただ、上半期は前年同期比27.0%増収ながら、営業利益は同4.4%の増加にとどまる見込み。売上の面では、新たに開設する四国と茨城のサテライトオフィスが寄与するものの、利益面ではのれん償却負担も含めると連結子会社インダスが45百万円の赤字となる。秋以降の就職活動シーズンがインダスの繁忙期にあたり、売上・利益の計上が下期に集中する。
尚、1株当たり配当金は、500円増配の年4,000円(中間配当金2,000円)を予定。これまでは、配当性向25〜30%を目処に配当を実施していたが、今後は配当性向30〜35%を目処に配当を実施していく考え。
 
 
当期の取り組み
主要マーケットである携帯電話業界は、契約件数が1億件を超え、安定的な買替え需要が期待できるものの、その一方で市場の成熟感は否めない。また、今後、割賦販売の増加により、買替えサイクルの長期化も予想される。ただ、それだけに携帯キャリア間の競争が激化し、料金プランの多様化や高機能な新機種の登場等で説明責任に対する要請も高まるものと思われる。このため、短期的には競争激化に対応した携帯電話販売代理店の派遣ニーズの増加を予想するものの、長期的には、キャリアショップへの回帰と更なる説明責任が問われる時代の到来を予想しており、人材サービス会社の取捨選択が進むと、同社では考えている。

上記の対応策として、同社が掲げているのは、携帯業界における圧倒的なシェアの確立、収益率の向上、第二の収益の柱の構築、ステップアップ支援とコンプライアンスの充実、の5項目である。
具体的には、業界における圧倒的なシェアの確立に向け、首都圏の更なる強化を図ると共にサテライトオフィスの設置・拡大により全国的なネットワークを拡充する。また、質的向上を図るべく、教育制度の更なる充実によるスタッフの質の向上と採用力の強化にも取り組んでいく考え。
収益率の向上策としては、高利益率案件の受注と新規事業の拡大を挙げている。具体的には利益率の高いキャンペーンやアウトソーシングサービスの受注を強化すると共に、既存の取引については不採算案件の見直し・改善により適正利益の確保に努める。尚、新規事業については、直雇用化の動きと求職者のニーズを踏まえ、就職支援サービスを強化する。また、セミナー開催数の増加や就職情報サイトの一新を図りインダスが手掛ける新卒向け就職支援事業の拡大にも努める。09/5期の売上高の目標はMF事業部が700百万円、インダスが300百万円である。
また、高い成長を維持すると共に経営基盤を強化するためには、第二の収益の柱を構築することも必要だ。既にMF事業部及びインダスの連結子会社化により取り組みを始めているが、この6月にモバイル向けのサイト構築とデジタルプロモーション等を手掛けるエクサージに、また7月に体育会学生の就職支援事業を手掛けるガーディアンシップに、それぞれ出資した。出資比率は、前者が50%、後者が45%。エクサージについては、同社の持つ携帯電話対応サイト構築のノウハウを有効活用すると共に、グループの社内システムの強化を図る。また、ガーディアンシップについては、連結子会社インダスの競合企業をグループに取り込む事で、体育会学生就職支援ビジネスの過当競争の緩和を図ると共にグループシナジーを追及していく考え。
この他、ステップアップ支援策として、携帯電話販売の複雑化に対応して教育研修を質・量両面から充実させると共に、ステップアップを希望する若年層のスキル習得を支援する。コンプライアンスの充実に関しては、法令遵守に対する教育を強化し周知徹底を図る。
 
取材を終えて
08/5期は契約形態の変更や支払単価の引上げで営業利益の伸びが低くなったが、09/5期は一時的な要因が一巡し、本来の姿に近づく。当面、営業支援サービスをけん引役に成長が期待できる同社だが、中期的には、携帯電話市場の成長のいかんに関わらず、成長を維持できる収益構造を構築していく必要がある。このため、「携帯キャリアとの関係強化」により既存事業の基盤強化を図ると共に、新規事業を育成していく考えだ。前者については、キャリア向けの売上高が前期比38.6%増と高い伸びを示した事からもわかるように順調なようだ。後者については緒に就いたばかりだが、積極的に進めているM&Aにしても、既存事業との整合性のとれたもので気負いは感じられない。M&Aにより経営の難易度は高まっているものの、既存事業と新規事業の両面で戦略が着実に進行しているものと考える。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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