ブリッジレポート
(6672)

ブリッジレポート:(6672)レイテックス vol.5

(6672:東証マザーズ) レイテックス 企業HP
高村 淳社長
高村 淳社長

【ブリッジレポート vol.5】2008年5月期決算業績レポート
取材概要「ウェーハ検査装置(エッジの自動検査装置)については、構造特許を取得している他、多くのユーザーと長年にわたる共同研究で蓄積されたノウハ・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年7月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社レイテックス
社長
高村 淳
所在地
〒206-0033 東京都多摩市落合1-33-3
決算期
5月 末日
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 6,011 -393 -585 -444
2007年5月 5,980 290 211 67
2006年5月 4,875 297 214 103
2005年5月 3,622 362 281 135
2004年5月 3,205 352 275 147
2003年5月 1,448 69 42 15
2002年5月 1,063 59 49 4
2001年5月 820 77 63 0
株式情報(7/11現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
287円 6,069,685株 1,742百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.0円 0.0% 15.98円 18.0倍 475.08円 0.6倍
※株価は7/11終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
レイテックスの2008年5月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
半導体の製造工程において、主に前工程(ウェーハ製造、マスク、ウェーハプロセス等の各工程)で使われるウェーハ検査装置及びウェーハ測定装置のファブレスメーカー。創業以来、オンリーワン製品の開発にこだわり、独自のマーケティング力で市場を開拓しシェアを獲得する事でビジネスを拡大してきた。自社開発したウェーハ検査装置やウェーハ測定装置をウェーハメーカー等に販売する他、米国Chapman 社等の代理店として、薄膜測定装置、表面粗さ計等を輸入販売している。
 
<製品及び商品>
ウェーハ検査装置
シリコンウェーハのエッジ(端面)、表面・裏面のキズ等の有無を検査する装置。同社の製品は独自のレーザースキャン方式を採用しており、エッジ検査装置「Edge Scan」、裏面検査装置「Back Scan」、エッジ裏面複合検査装置「EdgeScan B+plus」等のラインナップをそろえている。
ウェーハ測定装置
シリコンウェーハ表面の凹凸を測定する装置。同社の製品は、360度のウェーハロールオフ測定ができる「DynaSearch XP」、ウェーハの両面を非接触で測定できる「NanoPro NP2」等がある。
表面粗さ計
測定物の粗さやうねり等の表面形状を解析する装置。
 
 
2008年5月期決算
 
 
前期比0.5%の増収ながら、393百万円の営業損失となった。
当初は、新しいウェーハ測定装置(ナノプロ)の拡販を計画していたが、競合先の戦略転換に対応して期中に営業方針を転換。既に多数の販売実績を持ち利益率も高い既存のウェーハ測定装置(ダイナサーチ)の販売に注力した。しかし、半導体価格の下落や景気の不透明感からシリコンウェーハメーカーが予算執行の一部を一時的に見合わせる等で、下期以降、設備投資が低調に推移したため、当初予定していた販売台数を達成する事ができなかった。

利益面では、製品バリュエーション拡充のための開発コストの増加や値引き要請で新製品の販売価格が当初想定していた価格を下回った事等で売上総利益率が悪化、売上総利益は前期実績及び当初予想を下回った。一方、(株)ナノシステムソリューションズの子会社化や開発人員の増加で販管費が大幅に増加、営業損失は393百万円に膨らんだ。経常損失が営業損失を上回ったのは、金融収支の悪化と為替差損の計上による。

尚、国内ウェーハメーカー向けに新製品「表裏端複合検査装置」の販売を開始した他、国内の大学・研究機関向けに「マスクレス露光装置」の出荷を開始した。この他、国内デバイスメーカー向けにChapman社製「非接触高分解能粗さ測定装置」等を出荷した。
 
これからのレイテックス
 
(1)重点戦略
重点戦略として営業強化と財務改善を掲げている。具体的には、社長自らが営業の陣頭指揮を執る他、丸紅テクノシステムとの提携により営業を強化。業績向上により財務の改善を図る考え。
 
営業強化
・社長自ら営業本部の指揮を執る体制
・総代理店の丸紅テクノシステムのマーケティング力の取り込み
・社内の情報共有/意思伝達がスムーズな組織
 
財務改善
・丸紅テクノシステム経由の販売による有利子負債の削減と効率的なキャッシュ・フロー
・更なるコスト削減
 
(2)今期の販売戦略
ウェーハメーカーにおいて引続き設備投資が低調に推移するリスクを考慮し、これまでの増産設備投資予算に依存した売上計画から、工場の検査合理化予算(ウェーハ検査自動化)をにらんだ新製品の販売に取り組む。具体的には、次世代多機能検査装置(エッジ、エッジ形状、表裏面、表面異物)や、エピウェーハ(高品質ウェーハ)用多機能検査装置(表面のスリップライン、表裏面検査、エッジ)を投入する事で増産投資依存体質からの脱却を図る。
また、450mmウェーハ対応の検査・測定装置の早期市場投入により、ウェーハ検査装置メーカーとしての確たる地位を維持すると共に、更なる成長を目指す。

上記の販売戦略を進めるに当たって、次世代用多機能検査装置、エピウェーハの表面スリップライン検査装置、及び450mmウェーハ向け装置等の開発に取り組む。また、販売面では、ウェーハメーカー用3D概観検査装置、内部欠陥検査装置、量産用ナノプロ、マスクレス露光装置の拡販を図ると共に、デバイスメーカー用裏面検査装置の販売を開始する。
 
 
(3)中期経営計画
 
新技術・新製品への積極的な展開、開発の効率化、営業部門と技術部門の連携の緊密化、更には財務体質の強化に取り組み、11/5期に売上高10,360百万円、営業利益1,916百万円の達成を目指す。
 
①技術・製品について
新製品・新技術への積極的な展開を行う。具体的には、結晶欠陥装置を始めとする革新的な新製品の有用性をウェーハメーカーに強く訴求していくと共に、顧客の生産設備の増強に伴う既存製品の拡販、既存生産設備の合理化対策用の新製品の投入を行う。また、開発の最終段階を迎えている450mmウェーハ対応の検査・測定装置の早期市場投入に注力する。
 
②開発の効率化について
製品開発の効率化を進める。従来の同社製品は顧客毎にスペックが異なる「オーダーメイド品」が主流だったが、開発効率を高めるための製品の標準化・汎用化を進める。
 
③営業体制について
営業部門と技術部門の連携を緊密化し、迅速な意思決定ができる体制を構築する。
 
④財務体質の強化について
代理店システムを採用することなどにより、売上債権の回収の短期化、有利子負債の削減、及びキャッシュ・フローの改善を目指す。
 
(4)09/5期品目別売上高予想
 
丸紅テクノシステムとの提携効果でウェーハ測定装置の売上が大きく伸びる他、合理化対応新製品の寄与でウェーハ検査装置も伸びる。また、マスクレス露光装置の売上拡大により、その他装置の売上が倍増する見込み。
 
取材を終えて
ウェーハ検査装置(エッジの自動検査装置)については、構造特許を取得している他、多くのユーザーと長年にわたる共同研究で蓄積されたノウハウも強みとなっている。また、裏面検査装置との複合化も進める等、製品の競争力自体は強いものの、未だユーザーの開拓が途上にあり、現状では特定のユーザーへの依存度が高い。このため、これらユーザーの設備投資動向や方針等により、業績が大きく変動してしまう。もちろん、こうした課題は同社も認識するところであり、既に説明した高村社長自らの営業の陣頭指揮や丸紅テクノシステムとの総販売代理店契約は課題克服に向けた取り組みの一環である。増産投資依存体質からの脱却を目指す施策と共にこれら取り組みの成果に期待したい。