ブリッジレポート
(2660)

ブリッジレポート:(2660)キリン堂 vol.6

(2660:東証1部,大証2部) キリン堂 企業HP
寺西 忠幸 会長
寺西 忠幸 会長
寺西 豊彦 社長
寺西 豊彦 社長
【ブリッジレポート vol.6】2009年2月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期の決算を見る限りでは計画を上回った部分もあるが、下回った部分もあり強弱まちまちと言える。正念場はこれから。今期は中期経営計画・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年7月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キリン堂
代表取締役会長
寺西 忠幸
代表取締役社長
寺西 豊彦
所在地
大阪市淀川区宮原4-5-36
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年2月 106,098 2,321 2,530 804
2007年2月 72,803 1,312 1,651 577
2006年2月 66,690 1,308 1,574 753
2005年2月 58,165 745 985 414
2004年2月 48,281 1,084 1,283 607
2003年2月 39,144 1,095 1,215 577
2002年2月 33,274 868 982 253
2001年2月 28,192 718 742 341
2000年2月 25,537 535 596 309
株式情報(7/3現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
761円 10,582,453株 8,053百万円 7.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.0円 2.6% 88.71円 8.58倍 968.5円 0.79倍
※株価は7/3終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
キリン堂の2009年2月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
150~300坪の郊外型大型店(スーパードラッグストア)を中心にチェーン展開。関西7府県(和歌山県除く関西地域、徳島県、石川県)でドミナント戦略(店舗密度を上げ、地域での知名度や支持を集めることで店舗展開)による多店舗展開を進めている。
 
 
連結子会社2社を含めた2008年5月15日現在のグループ店舗数は、FCを除いて301店。また、子会社(株)健美舎が健康食品と医薬品を企画・販売している。
 
<沿革>
 
 
1958年3月、薬局店舗営業と薬品製造業を目的に設立。1991年10月に加島店(大阪市)をオープン以降、スーパードラッグストアの出店を強化、2007年2月期には200店舗を超える。また、2006年10月には四国地区での販売網の拡充の観点から(株)ジェイドラッグを、また、2006年12月には同じ関西に地盤を置き営業基盤で補完性の高い(株)ニッショードラッグを、それぞれ買収。「2015年 売上高2,000億円・500店舗」体制を目指し、グループ力の強化を進めている。
 
2009年2月期第1四半期決算
 
<連結決算概要>
 
キリン堂の新店効果に加えて、既存店売上高が前年同期比プラスで推移し、売上高は前年同期比1.1%の増収となったが、計画に対しては2.5%下回った。

出退店は予定どおり出店1店舗、退店1店舗であった。この結果、第1四半期末の店舗数は、キリン堂212店、ニッショードラッグ83店、ジェイドラッグ6店、FC3店の計304店となり前期末と変わらず。

化粧品・PB商品の販売強化、スケールメリットを生かした仕入努力によって粗利率は前年同期比で0.5ポイント改善、計画比でも0.2ポイント上回った。さらに、販売管理費も計画内で着地したことから、経常利益は前年同期比で大幅増益となり、計画も達成した。

四半期純利益においては、経常利益が大幅増になったことに加え、ニッショードラッグが2007年12月に100%子会社になったことから少数株主持分利益が発生しなくなった(前年同期の少数株主利益は15百万円)こと、特別損失が4百万円に止まった(前年同期10百万円、計画52百万円)ことなどから前年同期比、計画比とも大幅増益となった。
 
<小売事業売上高 253億62百万円(前年同期比1.1%増)>

1.小売事業の個別売上高
 
2.キリン堂(個別)の既存店売上高
キリン堂の既存店売上高は前年同期比+2.2%(客数+1.1%、客単価+1.1%)となる一方、計画(+4.2%)は下回ったが、滑り出しは順調といえよう。計画未達の主要因は、3月、4月の近畿圏における花粉の飛散量が前年比3~4割程度に止まったことなどによる。
 
 
<品目別売上構成比(連結小売事業)>
 
医薬品の売上高が前年同期比4.4%減となったが、これは花粉症関連の不振、ニッショードラッグの影響(*)による。
健康食品においてもニッショードラッグの影響(*)、さらに健康飲料やダイエット食品は増加したがサプリメントが苦戦したことから前年同期比でマイナスとなった。
化粧品はキリン堂での販売強化により前年同期比増収となった。
調剤は取扱店舗数の増加による処方箋受付枚数の増加によって増収となった。
PB(プライベート・ブランド)商品比率は、キリン堂が9.4%(前年同期9.5%)、ニッショードラッグは8.3%となった。

*ニッショードラッグについて
 前期に不採算店6店を閉店し、前年同期と比べ店舗数が減少したことにより減収に。(閉店理由:当期以降、既存店の収益向上を図るためにリロケーションや改装に注力できる体制をつくるため。)
 
<キリン堂とニッショードラッグの品目別売上構成比の比較(連結調整後ベース)>
 
 
ニッショードラッグは雑貨等の売上構成比が高いことが特徴。
なお、ニッショードラッグの前年同期比がマイナスの理由は、前期に不採算店6店を閉店し、前年同期と比べ店舗数が減少したことによるもの。
 
<キリン堂とニッショードラッグの品目別粗利率(商品売上高+調剤売上高ベース)>
 
(注)子会社に対する商品供給に伴う売上高並びにFC手数料収入を主体とする「その他」は、08/2期と09/2期の比較が困難なため除外し、商品売上高+調剤売上高ベースで算出。
 
キリン堂においては、「化粧品」の販売強化、「雑貨等」の値引きコントロールや値入改善、「PB商品拡販効果」、スケールメリットを生かした仕入努力などにより粗利率は改善した。
 
<販管費(連結)  63億8百万円(前年同期比1.3%増、計画内で着地>
 
ニッショードラッグの一部店舗での販促チラシ実施によって販売費が増加したものの、計画は下回った。
また、キリン堂の水道光熱費など一部経費が予想を上回ったことから、営業費は計画比プラスとなったが、人件費、施設費ともに計画内で着地したことから、販管費率としては、計画を1.7%下回る結果となった。
 
<新株予約権>
1.発行目的
(1)M&A実施(ニッショードラッグ)の借入金の返済に加えて、不採算店の整理、ローコストオペレーションによる経費の効率化を図りながら、積極的な出店を推進するための機動的な資金調達を企図しつつ、資本政策の柔軟性を確保するため。
(2)既存株主ヘの影響に配慮(過度な希薄化の回避)
 
2.第三者割り当てによる第1~5回の新株予約権発行(本新株予約権)
(1)割当先:野村證券株式会社
(2)発行日/行使期間:2006年12月25日/2006年12月26日~2008年12月25日
(3)本新株予約権の総数:各回5個ずつ合計25個
(4)本新株予約権の払込総額: 2,825千円(1個あたり113,000円)
 
3.本新株予約権の行使状況(2008年6月24日現在)
(1)第1回新株予約権:2008年1月17日付で権利行使が完了→普通株式数698,476株増加
(2)第2回新株予約権:2008年4月16日付で権利行使が完了→普通株式数999,984株増加
(3)第3回および第4回新株予約権:2008年6月4日付で取得および消却を実施
(4)第5回新株予約権:権利行使状況(2億円) ⇒ 普通株式数273,336株増加
 
2009年2月期(連結)業績予想
 
今回の第1四半期の決算発表時点で、会社側は中間期および通期の予想を変えていない。以下は期初に発表された会社予想の要約である。(通期計画の詳細は前回ブリッジレポート参照)
 
<中間期>
 
<通期>
 
質疑応答
 
Q: 粗利率が改善傾向にあるが、M&Aによるシナジーが出ているのか?
A: 最も効果が出たのは前期であるが、この第1四半期も効果は出ている。粗利率は通期でも上振れする可能性はある。
 
Q: 第2四半期の売上計画および6月の売上状況を聞きたい。
A: 第2四半期は前年比+3.8%を計画している。6月の売上高はキリン堂単体で+2.4%。無理して売上高を取るよりも粗利率を重視している。
 
Q: もっとM&Aをやるのか?
A: 案件しだいだが営業CFを悪化させてまではやらない。
 
Q: PB製品が増えているが、どの分野に力を入れているか?
A: 健康食品は伸ばしたい。雑貨も注力しているが、医薬品については見直しが必要と考える。
 
Q: 第2四半期に伸びるのはどの分野か?
A: 雑貨および調剤と見ている。
 
取材を終えて
第1四半期の決算を見る限りでは計画を上回った部分もあるが、下回った部分もあり強弱まちまちと言える。正念場はこれから。今期は中期経営計画の初年度であり、計画を達成出来るかどうかが非常に重要なポイントになる。粗利率は改善傾向にあるため、売上高を伸ばせれば計画値は十分達成できると思われるので、今後の月次売上高は特に要注目である。