ブリッジレポート
(3021:東証マザーズ) パシフィックネット 企業HP
上田 満弘 社長
上田 満弘 社長

【ブリッジレポート vol.2】2008年5月期決算業績レポート
取材概要「09/5期は二桁の増益が見込まれるものの、売上の伸びに物足りなさを感じる面もある。ただ、リース会計の変更で、レンタル事業のビジネスチャンス・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月5日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社パシフィックネット
社長
上田 満弘
所在地
東京都港区芝5−20−14
事業内容
中古パソコン販売が主力。引き取り回収業務やレンタルも展開。自社でデータ消去等の体制整備
決算期
5月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 4,145 239 250 127
2007年5月 3,751 213 219 102
2006年5月 3,488 436 404 231
2005年5月 3,001 462 446 230
2004年5月 2,227 156 137 75
2003年5月 1,818 145 122 68
2002年6月 1,637 88 82 50
2001年6月 1,415 69 82 -119
株式情報(7/17現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
55,000円 25,443株 1,399百万円 - 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,800.0円 3.3% 5,783.58円 9.5倍 67,338.87円 0.8倍
※株価は7/17終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
パシフィックネットの2008年5月期決算について、ブリッジレポートにてご報告いたします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
パソコンを主とする情報機器等の買取・回収・販売を中心に、レンタルや廃情報機器等の産業廃棄物の収集運搬等も手掛ける。
地球温暖化、環境破壊、資源問題、異常気象等の地球規模の問題に対して、国際社会や日本政府、或いは各企業単位で、様々な方法によるCO2の削減やリユース・リサイクル等に取り組んでいる。こうした中、同社は環境マネジメント企業として、パソコン及び情報機器の分野で4Rを推進し、環境に優しい循環型社会の構築に貢献している。4Rとは、Reduce、Recycle、Reuseの3RにRentalを加えた4つの「R」である。毎年、1,200〜1,300万台のパソコンが新たに出荷されており、使用済みパソコンとそれらの廃棄に伴うCO2の排出も増加している。同社はパソコンのリユースを推進する事で(中古パソコンの販売で国内トップシェア)、間接的にCO2の削減に貢献している。

尚、3Rとは、環境と経済が両立した循環型社会を形成していくためのキーワードとして(循環型社会形成推進基本法において3Rの考え方が導入された)、経済産業省が中心となり国民への浸透に取り組んでいる。Reduceは、一般的には消費やゴミ減少等、「減らす」の意だが、同社ビジネスにおいては回収が相当する。回収する事によりごみを減らし、処分に必要なCO2を減らす。Recycleは、一般的には再資源化等の意だが、同社ビジネスにおいては、再生が相当する。リース期間や耐用年数等が経過し、不用になった情報機器にクリーニング等を施し、再び利用可能なように再生する。また、Reuseは、一般的には再使用の意だが、同社のビジネスにおいては、再使用に向けた販売が相当する。また、新品パソコンのレンタル事業(Rental)を手掛ける事で、自ら中古パソコン市場(循環型社会)を創出している。
 
<事業内容>
事業は、中古のパソコン本体など情報機器を販売する販売事業、専用車両を使って同社のドライバーが機器の回収を行う引取回収事業(手数料収入)、及びレンタルするレンタル事業に分かれる。
 
<同社の強み>
同社の強みは、一気通貫体制、全国展開、セキュリティ体制、独自システムにより、情報機器のリユース、リサイクルを実現している事。
 
一気通貫体制  回収から再生、販売、レンタルまで全て自社でカバーする体制を構築
 
 
全国展開
 
 
セキュリティ体制  「ISO27001(ISMS)」、「プライバシーマーク」に準拠した体制
入退室管理
事務所・テクニカルセンターにおいて、ISMSに準拠した管理体制を敷いている。具体的には、入退室にはカードキーによる認証等、部外者の侵入を阻止する措置を実施(全国12拠点)。
 
媒体管理
取り扱う書類・メディアに関しては、すべて鍵付きのキャビネットに保管し、廃棄の際も、書類・メディアからメモ書きに至るまでシュレッダーにかけ、媒体からの情報流出を防止している。
 
防犯カメラ
回収品が保管される、荷受場からチェック作業場において、防犯カメラ・Webカメラを設置し、外部からの侵入はもちろん、内部犯行に対しても厳しいチェック体制が敷かれている。
 
社内体制
社内にセキュリティ対策室を設置し、ISMSやPマークの体制をPDCAサイクル(Plan/Do/Check/Action)で維持・運用・改善・監査している。また、従業員の教育や情報セキュリティに特化した内部監査などISMSならびにPマークのフレームワークに準じた体制を敷いている。
 
独自システム  競合他社とは一線を画す物品管理システムでデータ漏洩を防止
 
回収管理支援システム「ReLease」によって、顧客はインターネット上で回収の依頼はもちろん、回収状況の確認もできる。そして、トレーサビリティ管理システム「SIPS」が、これらの履歴を管理。回収された機器は査定が行われ、査定価格が決まると、商品名やスペック、傷の有無等が書かれたシールが打ち出される。中古品の購入者は、これらの情報を確認して購入できるため、ほとんどクレームが発生しないと言う。商品管理支援システム「Lightning」が、これらの情報を管理する。査定を終えた商品は、在庫管理システム「C-Brain」に基づいて管理される。商品が入荷した支店で商品に張られたバーコードシールを読み込んで入荷処理すると、瞬時に本社のサーバーにデータが転送され、即時にデータベースが更新されるため、全国の拠点在庫を、タイミングを逃す事なく効率よく販売する事ができる
 
<同社事業のCO2削減への貢献>
 
年間1200万台以上新品パソコンが出荷されており、これに伴い、使用済みパソコンの廃棄と廃棄に伴うCO2の排出も増えている。
しかし、それらをリユースする事により、間接的にではあるが、CO2の排出を削減できる。
この分野(中古パソコン販売)で同社は業界トップシェアを誇る。
 
2008年5月期決算
 
 
前期比13.7%の増収、同8.4%の営業増益。今期より1株当たり1700円で配当を開始した。
全国展開のメリットと新規開拓強化で情報機器の仕入台数が同23%程度増加。仕入の増加が売上の増加につながり、販売事業が同16.2%の増収。また、未だ事業規模は小さいものの、レンタル事業の売上も同15.1%増加した。利益面では、主要仕入先であるリース会社がオークションで中古機器を処分するケースが増えている事や、大口入札案件が増加した事等から売上総利益率が低下したため(52.0%→47.0%)、売上総利益は同2.7%の増加にとどまったものの、外注していた業務の内製化対応や拠点の見直し、更にはデータ消去作業の効率化等で販管費の増加を押さえた事で、営業利益は同8.4%増加した。雑収入の増加等で営業外損益が改善したことに加え、投資有価証券関連の損失や減損損失等がなくなった事で特別損益も改善、当期純利益は同23.3%増加した。
 
販管費の増減要因
 
外注していた業務の内製化により委託人件費が減少した他、拠点の見直しにより地代家賃も減少。データ消去ソフトの刷新(アドバンストデザイン社製「Data Sweeper Handy」)により、消去作業が20%程度効率化した事も人員増の抑制につながった。一方、Web広告等を積極的に行なったため、広告宣伝費が増加した。
 
セグメント別売上高・営業利益
 
販売事業は同16.2%の増収、同6.7%の営業増益。中古パソコンの需要は引き続き強く、特に中古情報機器等取扱企業向け卸販売が大幅に増加したものの、原価の上昇と卸販売の増加により利益率が低下した。引取回収事業は同3.3%の減収、同14.3%の営業増益。官公庁・金融機関・一般法人の開拓が好調に推移したものの、地方拠点での大口案件が減少したため減収となったが、引取回収費用の見直しによる採算改善で営業利益は増加した。レンタル事業は、同15.1%の増収、同8.3%の営業増益。「営業部レンタル課」から「レンタル営業部」に改組し、既存顧客のゼネコンやレンタル会社を中心に営業を強化すると共に、ベンチャー・中小企業を中心に新規開拓に取り組んだ。
 
販売・回収事業の強化
(1)2007年7月、パシフィックネット長野支店を移設
2007年4月のPCNET長野店閉店を受け、回収・再生事業に適し、より地代家賃が安価な場所に移転した。
 
(2)2007年9月、中国地区の販売体制を再編
地域特性を勘案し、個人向け販売を中心とした営業形態から、中古品取扱業者向けの卸売りに特化し、PCNET広島店を閉店し広島支店に集約した。
 
(3)2007年11月、100%連結子会社を吸収合併。2008年2月、同社施設を移転
グループ全体の経営資源の効率的運用の観点から唯一の子会社であるシステムイン郡山を吸収合併し、より効率的な立地に移転した。
 
この他、回収チャネルの多様化と循環型社会の実現に向けて、下記のアライアンス戦略を進めた。主な提携先は次の通り。
 
 
2009年5月期業績予想
 
2007年11月に唯一の子会社システムイン郡山を吸収合併したため、09/5期より非連結決算となる。
 
 
前期比7.8%の増収、同16.9%の営業増益予想。
売上の伸びは前期を下回るものの、売上総利益率は、ほぼ前期並みを見込んでいる。引き続き業務の効率化に務め、販管費の伸びを抑える事で、営業利益以下の各利益段階で二桁の増益を目指す。尚、前期の上半期は大口案件の前倒しの入荷等により例年以上に好調に推移した。この反動もあり、今上半期(第2四半期累計)は、前年同期比12.1%の増収ながら、同23.2%の営業減益が見込まれる。
 
各事業における取り組み
販売・回収事業において、一般企業(非リース会社)保有物件の開拓を推進し商材の確保を強化すると共に、レンタル事業において、リース会計の変更に伴い、レンタルの優位性を打ち出すサービスを推進していく考え。
 
<カーボンオフセット付きサービスの推進>
カーボンオフセットとは、
排出権によるCO2排出の「相殺」、「埋め合わせ」の事。具体的には、発展途上国等で実施されるCO2削減プロジェクトに資金を提供する事で、日常生活や企業活動で排出されるC02排出量を相殺(オフセット)する。CO2削減プロジェクトで削減されるCO2量に相当するCO2排出権を購入する事によって、プロジェクトに対する資金を間接的に提供する事になる。
 
カーボンオフセット回収 〜 自社便回収で排出されたCO2をオフセット
パソコン等使用済み情報機器の買取に付随して発生する引取り回収において、自社車両の燃料使用量からCO2排出量を算出する。算出されたCO2を、COJを通じてCO2排出権の取得と同時に日本政府への償却を行なう。
償却されるCO2排出権は、京都議定書のメカニズムのひとつ「CDM」(クリーン開発メカニズム)から生まれる排出権(CER)であり、京都議定書で日本が削減しなければならない温室効果ガス削減目標値マイナス6%にカウントされる。また、償却が行なわれる排出権は、世界各国の自然エネルギープロジェクトからの排出権を予定しており、年間1,000tのCO2を償却する見込み。
尚、カーボンオフセットの費用は同社負担となり、取引先に通常の回収費用以外の負担はない。同社の自社便にて、引取回収を依頼された取引先は、環境への負荷を懸念する事無く使用済み情報機器の買取・引取を同社に依頼できる。
 
カーボンオフセットレンタル 〜 同社レンタルPC消費電力CO2排出量をオフセット
パソコン等情報機器のレンタル期間中発生する、CO2排出量をCOJを通じてオフセットサービスを購入し、日本政府への償却を行なう事でオフセットする。
償却されるCO2排出権は「CDM」から生まれる排出権(CER)のため、京都議定書で日本が削減しなければならない温室効果ガス削減目標値マイナス6%にカウントされます。この取組で同社は年間300tのCO2を償却する見込み。尚、カーボンオフセットの費用は、ノートパソコン1台/3ヶ月単位で100円と設定し、カーボンオフセットを希望する取引先はレンタル料金と別に負担する必要がある。また、証明書に関しては、1案件当たり別途500円で発行する。カーボンオフセット付きのレンタルを利用する取引先は、レンタル期間中の環境への負荷を懸念する事無くレンタルPCの利用ができる。
 
G8北海道洞爺湖サミットでのレンタル
「環境問題」が主要テーマの一つであった「北海道洞爺湖サミット」の意義に賛同し、外務省利用分(ノートパソコン164台、プリンタ75台)の同社レンタルパソコン・プリンタに関して、レンタル期間中発生すると予想されるCO2排出量 約1tを同社負担でカーボンオフセットした。
 
取材を終えて
09/5期は二桁の増益が見込まれるものの、売上の伸びに物足りなさを感じる面もある。ただ、リース会計の変更で、レンタル事業のビジネスチャンス拡大が期待でき、上振れの余地もあると思われる。また、同社はカーボンオフセット等、環境問題への取り組みも強化していく考えで、販売事業におけるCO2削減効果と共に、中期的には同社のイメージアップにつながっていくものと思われる。もっとも、環境問題への取り組みは大切な事だが、企業である以上、売上・利益を伸ばす事も必要だ。環境問題への取り組みが、業績の拡大にもつながっていく事に期待したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
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コメント

中古パソコンの需要は今後も増加すると考えています。

特に中小企業、零細企業の経営者は、「情報機器は中古またはリースで充分」という話を多く聞きます。

私もそう考えていますし、リース会計の変更によるレンタルの優位性は相当な追い風になるのでは。

中古品で最も心配されるセキュリティの問題も、回収から再生、販売からレンタルまで全て自社でカバーする体制を敷いており、「仕入れと販売の両面」から考えても取引先に対して「安全と信頼」を与える非常に大きい要素となっている。

仕入れ台数の増加に加え、販売先の新規開拓が進めば需要はあるだけに、更なる成長が期待できます。

中・長期的視点で検討したい魅力的な独自の通貫体制を構築されています。

投稿者 Y.K. : 2008年08月14日 16:29

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