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ブリッジレポート:(8947)ノエル vol.4

(8947:東証2部) ノエル 企業HP
金古 政利 社長
金古 政利 社長

【ブリッジレポート vol.4】2008年8月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期の業績予想については、今期2度目の利益下方修正となった。昨年後半から、不動産業界は激変とも言える急激な事業環境の変動に見舞われた・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月5日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ノエル
社長
金古 政利
所在地
川崎市高津区二子5-1-1
決算期
8月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年8月 80,493 4,506 3,065 1,640
2006年8月 51,845 2,732 1,642 1,065
2005年8月 33,608 1,607 945 455
2004年8月 26,526 886 471 245
2003年8月 12,806 538 306 97
2002年8月 6,156 182 106 8
2001年8月 3,318 81 60 26
株式情報(7/22現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
33,600円 68,519株 2,302百万円 24.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0円 - - - 118,631.73円 0.3倍
※株価は7/22終値。
 
ノエルの2008年8月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
神奈川県及び東京都を中心に、マンション・戸建分譲及び一棟卸、法人投資家や不動産ファンド向け不動産開発、及び賃貸住宅や中古住宅の斡旋等のコンサルティングを行っている。
 
<沿革>
1966年12月に創業。72年2月に不動産売買、売買仲介、賃貸仲介、及び不動産管理業務を目的とした有限会社野村不動産として法人化され、87年2月に株式会社に改組した。2000年9月に株式会社エルアシスト(現在ノエル代表取締役社長を務める金古政利氏が97年9月に設立)と合併、商号をノエルに変更。05年9月にJASDAQ上場を経て、07年8月に東証2部に株式を上場した。
社名の「ノエル」は、野村不動産の「ノ」、エルアシストの「エル」を組み合わせたものであるが、「ノエル」には英語・フランス語で"クリスマスやクリスマスのお祝いの歌"という意味がある。「クリスマスのような幸せな毎日を願う」、そんな思いも込められている。
 
<事業内容>
事業は、デベロップメント事業、不動産投資開発事業、アセットコンサルティング事業に分かれる。地価が下落し、金利も低い不況期にはデベロップメント事業が、不動産の開発投資が活発な好況期には不動産投資開発事業が業績を牽引。また、アセットコンサルティング事業はフィービジネスが中心。
 
デベロップメント事業(2007年8月期の売上構成比:62%)
法人向けの分譲用事業用地卸売り、マンションの1棟卸(同社が土地を仕入れ、居住用マンションを建築して物件1棟を丸ごと売却する事)、及び一般顧客向けの宅地・戸建住宅・居住用マンションの開発分譲等を行っている。
 
不動産投資開発事業(2007年8月期の売上構成比:34%)
法人投資家や不動産ファンドに対し、マンション、オフィスビルなど収益不動産の企画、開発、販売を行う。改装、用途変更、機能向上等により空室率を改善して既存建物の価値を高めた後に販売するケースと、同社が事業用地を取得し、賃貸用マンション等を建築して販売するケースがある。
 
アセットコンサルティング事業(2007年8月期の売上構成比:4%)
資産の有効活用、相続税対策等のアセットマネジメント、家賃入金及び契約の管理、建物管理、サブリース等のプロパティマネジメント、賃貸・売買仲介、中古不動産再販(買取・販売)等を行なっている。
 
2008年8月期第3四半期業績
 
<連結業績>
 
不動産業界は、地価及び建築資材の高騰等により上昇した販売価格に対する顧客の買い控え現象、金融機関の不動産融資に対する姿勢の厳格化、それらに起因するデベロッパーの事業用地仕入抑制傾向等の影響で、調整局面が続いている。

このような環境下、同社グループでは、マンション・戸建住宅の販売価格、引渡しの低迷及びデベロッパー等の仕入抑制による分譲事業用地卸売りの停滞の影響を強く受けたため、デベロップメント事業における分譲住宅販売部門の人員強化、収益不動産及び分譲事業用地卸売りの販路拡大等、販売用不動産の販売促進による棚卸資産の圧縮に努めてきた。

当第3四半期の連結業績は、売上高は、主にデベロップメント事業における不動産事業者向け分譲事業用地卸売りが前年度を下回ったこと等から、50,960百万円(前年同期比10.0%減)となった。
また、主に一般顧客向けのマンション・戸建住宅販売及び買取再販事業において売上総利益率が低下したことに加え、分譲マンションの販売拡大に伴う広告宣伝費等の増加、及び、たな卸資産の評価の見直しに伴う評価減の計上等により、営業損失1,445百万円(前年同期は営業利益3,591百万円)、経常損失2,921百万円(前年同期は経常利益2,719百万円)、四半期純損失3,733百万円(前年同期は四半期純利益1,519百万円)となった。
 
<セグメント別業績>
 
(デベロップメント事業)
当第3四半期は、マンション・戸建住宅の販売において主に中型の新規竣工が中心となり、また、不動産市況の悪化から不動産事業者等の事業用地需要が急減し、不動産事業者等向けの分譲事業用地卸売りが前年同期を下回ったこと等から、売上高は24,567百万円(前年同期比28.9%減)となった。
また、一般顧客向け事業の広告宣伝費等の増加等により、営業損失は1,566百万円(前年同期は営業利益2,864百万円)となった。

(不動産投資開発事業)
当第3四半期は、棚卸資産の圧縮に努めた結果、売上高は22,139百万円(前年同期比11.4%増)となったが、主に既存収益不動産の販売価格の低迷により売上総利益率が低下したこと等から、営業利益は2,134百万円(前年同期比0.2%増)となった。

(アセットコンサルティング事業)
当第3四半期は、買取再販物件の販売が進捗し、売上高は4,252百万円(前年同期比90.8%増)となったが、買取再販物件の販売価格の低迷による売上総利益率が低下したことを主な要因として、営業損失は808百万円(前年同期は営業損失333百万円)となった。
 
<財政状態>
 
当第3四半期末における総資産は、前年度末に比べ、6,170百万円減少し、60,749百万円となった。これは主として、たな卸資産が3,629百万円減少したこと等によるもの。
当第3四半期末の負債合計は、前年度末に比べ、2,167百万円減少し、56,497百万円となった。これは主として、上記たな卸資産の減少に伴い、有利子負債が921百万円減少したこと等によるもの。
 
<キャッシュフロー>
 
当第3四半期におけるキャッシュ・フローは、上記たな卸資産の減少に伴い営業キャッシュ・フローのマイナスは大幅に縮小したものの、借入金の返済により財務キャッシュ・フローはマイナスに転じた。その結果、現金及び現金同等物の当第3四半期末残高は、前年度末に比べ、1,789百万円減少し、1,237百万円となった。
 
2008年8月期業績予想
 
第3四半期の業績発表と同時に、連結・個別の通期業績予想(08年4月10日発表)を修正した。
 
 
<売上高>
デベロップメント事業は、マンション、宅地、戸建分譲等のエンドユーザー向け販売において、住宅価格の高騰に比して所得の増加が限定的であることに起因する買い控え傾向が予想以上に強く、分譲住宅価格も想定以上に下落している。
また、分譲事業用地の卸売りは、エンドユーザーの住宅買い控えや、金融機関の不動産融資に対する姿勢の慎重化、厳格化等に起因する、不動産開発事業者の仕入抑制傾向が一段と強まっており、分譲事業用地価格も想定以上に下落している。
このように、エンドユーザー向け販売、分譲事業用地卸売り共に販売価格、引渡数が低迷した結果、売上高は前回予想を下回る39,980百万円(前回予想比:15,392百万円の減少)となる見込み。

不動産投資開発事業は、米国のサブプライムローン問題に起因する金融市場・株式市場の悪化等や金融機関の融資姿勢の慎重化、厳格化により不動産取引が急速に鈍化し、不動産投資ファンド等の投資意欲は著しく減退している。
また、同社の連結子会社である特定目的会社ゴールドが保有する物件をはじめ数物件は、売却契約が完了しているにもかかわらず、売却先の資金調達が困難となったこと等に起因して、決済時期の延期、場合によっては解約する事態も生じている。これらの理由により、収益不動産の販売価格、引渡数も低迷し、売上高は前回予想を下回る23,818百万円(前回予想比:14,627百万円の減少)となる見込み。

アセットコンサルティング事業は、主に、買取再販において、引渡しは計画通りの進捗を見込んでいるものの、マンション・戸建住宅分譲と同様に、エンドユーザーの買い控えの影響を受け、販売価格が想定以上に落ち込んでいる。
加えて、同社の連結子会社である株式会社ENRの事業領域である、高額物件に関する賃貸仲介業、賃貸管理業、売買仲介業等も、市況の悪化を受け各種手数料収入が大きく落ち込んでいる。これらの理由により、売上高は前回予想を下回る4,800百万円(前回予想比:1,380百万円の減少)となる見込み。

以上の結果、売上高は68,600百万円(前回予想比:31,400百万円の減少)となる見込み。
 
<営業利益>
営業利益は、人件費の削減、企業広告活動の縮小による広告宣伝費の削減等により、販売費及び一般管理費を抜本的に見直したものの、上記売上高の減少、及びそれに伴う売上総利益の減少に加え、たな卸資産の評価の見直しに伴う評価減の計上等により、2,130百万円の損失(前回予想比:5,330百万円の減少)となる見込み。
 
<経常利益>
経常利益は、上記営業利益の減少を、有利子負債の圧縮に伴う金融費用の削減により一部吸収するものの、第4四半期において、一部物件の売買契約の解約等に伴う費用を見込んでおり、4,280百万円の損失(前回予想比:5,400百万円の減少)となる見込み。
 
<当期純利益>
当期純利益は、同社が共同事業として参加していたマンション事業の一部プロジェクトについて、同社事業比率を引き下げ変更したことに伴い、事業比率の変更分に相当する支出済みの事業費について一部不返還金が発生し、第3四半期に特別損失として364百万円を計上した。
また、財務健全性の観点から、繰延税金資産の取り崩しを402百万円見込んでいる。その結果、5,360百万円の損失(前回予想比:5,910百万円の減少)となる見込み。
 
<個別業績>
個別業績予想は、上記と同様の理由から、売上高は65,300百万円(前回予想比:26,700百万円の減少)、営業利益は1,900百万円の損失(前回予想比:4,600百万円の減少)、経常利益は4,150百万円の損失(前回予想比:5,180百万円の減少)、当期純利益は5,430百万円の損失(前回予想比:5,920百万円の減少)となる見込み。
 
<配当>
上記のとおり、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上する見込みとなり、純資産額の大幅な減少が予想されることから、期末の1株当たり配当(=年間配当)は0円(前回予想4,000円)とする。前期は3,300円だった。
 
経営改善策
 
上記の業績予想の修正を踏まえ、事業再構築と経営合理化を柱とする経営改善策を実施する方針を決定した。
 
<事業再構築の方針>
(1)収益構造の変革
外部環境に依存しない収益構造へと転換すべく、以下の収益増大を図る。
① 付加価値創出による利益率向上に向けたエンドユーザー向け分譲事業の強化
戸建・マンション分譲において安定した流動性の確保できるマーケット(エリア・価格帯)に事業を集中する。
② 不動産の価格変動及び流動性リスクの影響が軽微な収益の拡大
事業構築→企画・開発→販売→アフターという一連の事業フローの中で、不動産の価値向上を通じた顧客への貢献を主たる源泉とする低リスク収益の拡大を図る。

(2)財務体質の強化
環境変化に動じない強靭な財務体質を目指し、以下の方針を推進する。
① 利益率の向上
仕入れの厳選他、コスト抑制による売上総利益率の改善と収益に見合った経費構造への転換を推進する。
② 自己資本比率の向上
事業規模縮小、棚卸資産回転率の向上及びノンアセットビジネス等の事業の効率化により、資産規模及び有利子負債の圧縮を推進する。

(3)人員規模の縮小及び組織体制の再構築
今年度の業績見通しを踏まえ、以下の推進により経営効率の向上を図る。
① 収益力に合致した適正な人員規模・組織体制の再構築
② 生産性に合致した経費構造の構築と徹底的な経費節減
 
<経営合理化の概要>
(1)役員報酬の減額
業績状況を踏まえ、役員報酬の減額を行う。
08年8月より1年間、代表取締役社長は月額報酬の40%を減額。取締役は月額報酬(使用人分給与も含む)の30~33%を減額。監査役は月額報酬の30%を返上。

(2)希望退職者の募集
適正な人員体制を構築するため、希望退職者の募集を行う。
満31歳以上の正社員を対象に、約50名の募集を行う。

(3)給与体系の見直し
業績変動給(月給者の賞与及び年俸者の業績年俸)の基準額の見直しを実施する。

(4)子会社化の推進
デベロップメント事業におけるエンドユーザー向け販売部門及びアセットコンサルティング事業部門を各々別会社化することで、役割の明確化による業務の効率化及び生産性に合致した事業推進体制の構築を図る。
 
取材を終えて
通期の業績予想については、今期2度目の利益下方修正となった。昨年後半から、不動産業界は激変とも言える急激な事業環境の変動に見舞われたため、2度の修正もある程度は仕方がないかもしれない。ただ、期初段階では通期の営業増益率は35%と大幅増益を見込んでいたため、投資家の失望は大きいと思われる。
一方で、第3四半期の業績発表と同時に、経営改善策を公表し、役員報酬の減額・返上、希望退職募集の実施を発表するなど、同社の危機感が伝わってくる。
今後は、今回公表した経営改善策を着実に実行に移すことによって、早期の収益回復を期待したい。