ブリッジレポート
(4783) NCD株式会社

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ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス vol.14

(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
伊藤 敬夫 社長
伊藤 敬夫 社長

【ブリッジレポート vol.14】2009年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期は株式会社ゼクシスが連結業績に加わったこともあり、連結売上高は前年同期比45%増、連結営業利益は同2.6倍と、大幅増となった。シ・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月12日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
会長
下條 武男
社長
伊藤 敬夫
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(7/29現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
324円 7,237,670株 2,345百万円 13.9% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13円 4.0% 45.59円 7.1倍 328.37円 1.0倍
※株価は7/29終値。発行済株式数は直近第1四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2009年3月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場対策として社会性も高いパーキング・システム事業を展開。社名の“日本コンピュータ・ダイナミクス”には、“コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)”と言う創業時の思いが込められている。
 
<経営戦略>
経営戦略として、成長の加速、収益構造の改善、株主重視経営の推進の3項目を掲げている。
 
(1) 成長の加速
①パーキング・システム事業の全国展開
当事業は、自治体の業務委託制度から指定管理者制度への移行、法改正による路上駐輪場建設の容認や建築基準法での公開空地駐輪場設置合法等により更なるビジネスチャンスの広がりが期待できる。ただ、今後の競争激化が予想されるため、先行メリットを活かし代理店方式による全国展開を図り拠点拡充を進める事で事業基盤の強化を図る考え。この結果、事業の拡大余地を広げるとともに、事業展開のスピードを加速させた。
 
②IT事業でのワンストップサービス実現
システム開発等のIT事業では、コンサルティング、システム構築、運用管理を網羅する一貫したサービス(ワンストップサービス)を提供する事で顧客満足度の向上を目指している。また、古くから付き合いのある大手顧客の深耕を図ると共に、中堅企業向けに(株)オービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)の会計ソフト「勘定奉行」の新ERP版奉行シリーズ等を用いたパッケージソリューションを展開している。
 
(2) 収益構造の改善
価格や納期等のユーザー要請に応えると共に一段の収益力強化を実現するため、コストダウンの拠点として中国拠点の強化・拡充、契約時の仕様確定の徹底、及びリスクマネジメントやプロジェクトマネジメントの強化による採算管理の徹底に取り組んでいる。また、コスト要請に応えうる体力のある協力会社との関係強化にも努めている。
 
(3) 株主重視経営の推進
配当性向等を総合的に判断し安定的な配当を維持する方針。現在の利益水準では利益が振れやすい事もあり、配当性向のみに基づく株主還元にも問題があると考えている。IR活動については、継続的に強化していく考え。
 
2009年3月期第1四半期業績
 
<連結業績>
 
当第1四半期の売上高は2,788百万円(前年同期比45.0%増)、営業利益は47百万円(同158.9%増)、経常利益は50百万円(同44.2%増)、四半期純利益は15百万円(同10.3%減)となった。

同社グループでは、中期経営計画の2年目として前期に続き以下の施策を進めるとともに、グループの事業戦略を明確化するため、子会社である株式会社日本システムリサーチのシステム開発要員を4月1日付けで同社へ転籍させ、システム開発事業の体制の強化をはかった。
① ワンストップサービス体制の強化による、新規顧客、業務の獲得
② オフショア活用も含めた、グループとしての開発体制の強化
③ パッケージベンダーとの関係強化によるパッケージ事業の事業化推進
④ 受注時審査とプロジェクト推進監視強化による利益率の向上
⑤ 株式会社ゼクシスとの経営情報共有によるシナジー効果向上

これらの結果、同社単独では前期の好調を維持するとともに、株式会社ゼクシスが連結業績に加わることで、当第1四半期における売上高、営業利益、経常利益を大幅に伸ばすことができたが、のれんの償却等により四半期純利益は微減となった。

また前期よりサービス基盤を整備するために進めていた、ITSMS(※1)の認証は4月に取得できた。これにより、サポート&サービス事業におけるサービスについて一定の評価が得られるものと思われる。
(※1)ITSMS(IT Service Management System)
ITSMS適合性評価制度は、ISO/IEC20000-1:2005を認証規格としたITサービスの運用管理が一定の品質で提供されていることを第三者が認証する制度のこと。
 
<事業の種類別セグメント動向>
(システム開発事業)
IT投資が縮小する状況のなか、既存顧客に対する積極提案により順調に受注を拡大する事ができた。また、株式会社ゼクシスの業績が加わったことにより、売上高1,528百万円(前年同期比40.7%増)、売上総利益256百万円(同14.8%増)となった。

(サポート&サービス事業)
今まで要員不足で要望に応えられなかった業務が、要員の確保が順調に進んだことや、ITSMSの取得でサービス品質に一定の評価が得られ、マネージドサービスセンター業務(※2)が順調に獲得できたこと、また、株式会社ゼクシスの業績が加わったことにより、売上高634百万円(前年同期比61.5%増)、売上総利益91百万円(同41.0%増)となった。
(※2)マネージドサービスセンター
このサービスは、顧客のシステム運用部門に代わり24時間365日障害対応やシステム運用・保守まで、顧客のITインフラ全体をサポートするもの。

(パーキングシステム事業)
新規大型案件は受注までに時間がかかり第1四半期での売上には結びついていないが、既存駐輪場の機器老朽化による入れ替え需要が順調に伸びたことや、自治体の指定管理駐輪場、その他受託管理駐輪場が安定的に収益を確保できたことに加え、新型ラックや精算機の原価低減が寄与し、売上高572百万円(前年同期比42.2%増)、売上総利益117百万円(同193.2%増)となった。
 
<財政状態>
 
当第1四半期の財政状態は以下のとおり。
総資産は、前年度末に比べ273百万円減少し、6,949百万円となった。減少した主なものは、受取手形及び売掛金の600百万円、現金及び預金の138百万円。一方、増加した主なものは、投資その他の資産の240百万円。
負債は、前年度末に比べ238百万円減少し、4,295百万円となった。減少した主なものは、未払法人税等の335百万円、短期借入金の162百万円。
また、純資産は、前年度末に比べ35百万円減少し、2,653百万円となり、自己資本比率は、前年度末の32.9%から33.7%となった。
 
2009年3月期業績予想
 
<連結業績>
第2四半期連結累計期間、通期の業績予想は前回予想(08年5月12日発表)から修正はない。
 
 
システム開発事業は、今まで培ってきた技術・業務ノウハウを活用した提案活動により、既存顧客の継続的案件および新規案件を確実に獲得するとともに、パッケージソリューションを武器として新規顧客案件の獲得に注力し、受注拡大に努めていく予定。

サポート&サービス事業においても、既存顧客の安定的な業務受注を柱に、新サービスのマネージドサービスセンター業務を着実に増やし、当業務において品質の高い効率的運用を行うことで、お客様の満足度を高めていく。

パーキングシステム事業は、原油の高騰や環境問題の高まりから自転車の利用が促進されており、既存駐輪場の利用率が向上するものと思われる。また、既存駐輪場の老朽化対策での機器入れ替え需要や駐輪場不足に対する新規駐輪場ニーズの増加を追い風に、積極的営業活動を推進することで受注拡大に努めていく。
 
取材を終えて
第1四半期は株式会社ゼクシスが連結業績に加わったこともあり、連結売上高は前年同期比45%増、連結営業利益は同2.6倍と、大幅増となった。システム開発事業、サポート&サービス事業、パーキングシステム事業の同社事業の3本柱がいずれも大幅増収となっており、バランスのとれた業績拡大と言える。業界全体としては企業業績低下の影響が少しずつ出てきており、同社の事業環境も厳しさを増すことが予想されるが、当面、勝ち組として業績の拡大が続く可能性が高い。