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ブリッジレポート:(6160)ソディックハイテック vol.2

(6160:大証ヘラクレス) ソディックハイテック 企業HP
渡貫 雄一 社長
渡貫 雄一 社長

【ブリッジレポート vol.2】2009年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「前期より販売を開始したハイスピードミーリングセンタの新ラインナップ「HSシリーズ」の拡販に努めたが、第1四半期に関しては期待外れに終わ・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ソディックハイテック
社長
渡貫 雄一
所在地
横浜市港北区新横浜1-5-1
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 16,410 1,147 1,106 659
2007年3月 15,587 892 777 616
2006年3月 14,229 1,017 1,016 570
2005年3月 13,416 881 905 583
2004年3月 5,621 292 298 266
2003年3月 0 0 0 0
株式情報(8/11現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
32,450円 132,325株 4,294百万円 23.2% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 5,070.85円 6.4倍 23,525.65円 1.4倍
※株価は8/11終値。
 
ソディックハイテックの2009年3月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
高速・高精度リニアモータ駆動小型マシニングセンタ(以下、ハイスピードミーリングセンタ)の製造・販売、放電加工機やミーリングセンタの周辺機器・消耗品の販売、メンテナンス、技術コンサルティング、及び金型・成形製品の製造・販売を行なっている。グループは、同社の他、研究や海外での製造・販売等を行う子会社4社(うち連結子会社2社)及び関連会社2社により構成されている

2003年2月、ソディックグループで分散していた放電加工機のアフターサービス、メンテナンス、消耗品関係・金型、成形加工を1つに統括する(株)ソディック・サービスセンターとして設立された。その後、ソディックの関連会社3社、更にマシニングセンタ部門を買い取り、同年8月、社名を(株)ソディックハイテックに変更、放電加工機関連機器及び工作機械の開発・製造・販売を開始した。05年12月、大証ヘラクレスに株式を上場。
現在、議決権の41.5%を東証2部に株式を上場するソディックが、11.3%をソデッィクの創業者であり、ソディックハイテックの会長でもある古川利彦氏が、それぞれ保有している。
 
*マシニングセンタとは
マシンニングセンタとは、工作機械受注総額の約35%を占める代表的な工作機械であり、フライス加工(平面や溝等の加工)や中ぐり加工(工作物の穴の内面切削)、ねじ立て(下穴にめねじを切る事)等の切削加工に使われる。自動工具交換機能を持ち、目的に合わせてフライス加工、中ぐり加工、ねじ立て等の異種の加工を1台で行なう事ができる。具体的には、工具マガジンに、多数の切削工具を格納し、数値制御を行うコンピュータの指令によって、工具を自動的に交換し、機械加工を行う。つまり、マシンニングセンタとは自動工具交換装置を搭載した「NCフライス盤」であり、とかく自動工具交換機能に目がいきがち。しかし、新ラインアップ「HSシリーズ」に代表されるように、同社製品の最大の特徴は、リニアモータ駆動による「高速・高精度」。その技術を駆使して切削加工を行うため「ハイスピードミーリングセンタ」と呼び、他社の「マシンニングセンタ」と区別している。
尚、「NCフライス盤」とは、数値制御機能(正確な加工が可能)を搭載した「フライス盤」の事。切削用工具の刃先の動作を座標値(数値)によって定義し、その情報をもとにサーボモータが切削工具を動作(制御)させ加工が行われる。このNC(数値制御)をコンピュータが行うものを特にCNCと呼び、当初は NC(非コンピュータ制御)と区別していたが、コンピュータ制御が一般的となった今では、NC=CNCと考えていい。
余談ではあるが、代表的な工作機械である「旋盤」がワーク(加工対象物)を回転させて削るのに対して、「フライス盤」は刃物を回転させて固定したワークを削る。
 
<事業セグメント>
事業セグメントは、精密工作機械関連事業、サプライ品事業、サービス事業、精密金型・精密成形事業に分かれ、08/3期の売上構成比と事業内容は次の通りである。
 
 
尚、精密工作機械関連事業においては、リニアモータを使った高精度でコンパクト(立て型でストローク500mm以内)なマシニングセンタに特化している。大手の工作機械メーカーが汎用性の高い大型機の分野を中心としているのに対して、同社は高精度・小型の分野に特化する事で差別化を図っている。
 
2009年3月期第1四半期業績
 
<連結業績>
 
工作機械業界は、日本国内では設備投資に慎重になっているものの、欧州などの好調な外需が下支えとなり、受注額は堅調に推移した。

このような経済状況のもとで同社グループは、前年度より販売を開始したハイスピードミーリングセンタの新ラインナップ「HSシリーズ」の拡販に努めたが、市場浸透の拡大が進まなかったことなどにより、当第1四半期は売上予測を下回った。
また、売上の減少のほか、原材料価格高騰の影響による売上原価率の上昇などが損益面においても当初計画に対する業績の進捗に遅れが生じる要因となった。
以上の結果、当四半期間の売上高は、3,495,417千円を達成した。なお、損益面では、営業利益96,771千円、経常利益82,161千円、第1四半期純利益は、54,760千円となった。
 
<事業の種類別セグメント動向>
①精密工作機械関連事業
当事業は、国内の設備投資に鈍化傾向が見られるなか、リニアモータ駆動を利用したハイスピードミーリングセンタと他社製品との差別化を明確にした営業活動を実施した。また、日系企業が多い中国地区への日本人スタッフの増員等、海外拠点の営業強化を図った。
これらの結果、当事業の売上高は359,880千円となった。

②サプライ品事業
当事業は、主要顧客である製造業では原材料価格の高騰からコスト削減が進み、当事業の主力商品である「ワイヤ電極線」は、価格面での対応により売上を確保した。また、リサクイクルフィルターの新商品を追加するなどエコ商品の拡充にも努めた。
これらの結果、当事業の売上高は1,302,990千円となった。

③サービス事業
当事業は、放電加工機の据付検収業務は減少したが、海外向け補修部品の販売強化やメンテナンス契約の取得によるサービス業務の拡大を図った。また、他事業で販売している製商品の営業サポートを推進した。
これらの結果、当事業の売上高は713,079千円となった。

④精密金型・精密成形事業
当事業は、自動車関連業界を中心に超微細加工領域での受注獲得を目指した営業活動を進めるとともに、生産面においては、中国蘇州工場への生産体制のシフトを進め、コスト削減、製品の増産及び安定供給を図った。
これらの結果、当事業の売上高は1,119,467千円となった。
 
<財政状態>
 
当第1四半期末の総資産は、前年度末に比べて31,044千円増加し、13,809,166千円となった。これは主に売掛債権の回収が順調に進んだことによる現金及び預金の増加が要因。
負債合計は、前年度末に比べて323,922千円増加し、10,989,014千円となった。これは主に法人税等の支払による未払法人税等の減少があったものの、設備投資による短期借入金の増加が要因。
純資産合計は、前年度末に比べて292,878千円減少し、2,820,152千円となった。これは主に配当金の支払い及び在外連結子会社の換算レート変動による為替換算調整勘定の減少が要因。
 
<キャッシュ・フロー>
 
2009年3月期業績予想
 
<連結業績>
前回(08年5月14日)発表の業績予想から、第2四半期連結累計期間と通期の業績予想を修正した。
 
 
景気の後退懸念から、企業の設備投資は鈍化の傾向にある。このような状況のもとで同社グループも、ハイスピードミーリングセンタの市場開拓の遅れによる販売台数の伸び悩み、自動車産業の生産調整によるコネクター部品の需要落込み等により厳しい経営環境にある。
これらの要因から第1四半期における当初計画に対する業績の進捗に遅れが生じているため、第2四半期連結累計期間業績予想及び通期連結業績予想は、第1四半期の予想と実績の差額分を減額修正した。

今後の対策としては、新製品の市場投入や、中国蘇州工場への生産体制のシフトを進めることにより、更なるコスト削減を行い、利益の確保を図っていくとしている。
 
取材を終えて
前期より販売を開始したハイスピードミーリングセンタの新ラインナップ「HSシリーズ」の拡販に努めたが、第1四半期に関しては期待外れに終わった。同社は以前から技術先行で、営業力がやや弱いとしばしば指摘されてきた。企業の設備投資が鈍化傾向にある中で、この弱点が露呈したとも言える。さらに、収益面では原材料価格高騰の影響もあり、今期は苦しいスタートとなった。
修正した今期予想は、上期低迷・下期挽回という見通しになっているが、まず第2四半期で前年同期比の減益幅をどの程度縮めることができるかが注目点となる。