ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.6

(4829:東証2部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.6】2009年5月期第1四半期業績レポート
取材概要「「社団法人電気通信事業者協会」の調査によると、08年8月末の携帯電話の契約数は前年同月末比 5.6%増の1億442万台と堅調に推移している。また・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年10月14日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(10/1現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
5,000円 377,000株 1,885百万円 10.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
130.0円 2.6% 464.19円 10.8倍 7,157.27円 0.7倍
※株価は10/1終値。
 
日本エンタープライズの2009年5月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。コンテンツの自社開発にこだわりを持ち、「コンテンツで勝つ!」がモットー。
音楽やゲーム・デコメ等のコンテンツを制作し携帯等を通じて配信するコンテンツサービスと、企業のコンテンツ制作・運営や業務効率化のためのシステム構築等を手掛けるソリューションが2本柱。また、海外展開にも力を入れており、中国において、現地有力企業との提携によるコンテンツ配信等、多角的に事業を進めている他、インドへの参入準備も進めている。
 
コンテンツサービス事業
携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイ、CLUB AIR-EDGEといったインターネットに接続が可能な携帯電話の公式サイトにコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリアから受取っている。同社の代表的なコンテンツとしては、「うた&メロ取り放題」、「@LOUNGE RECORDS」といった音楽系コンテンツ、ゲームコンテンツ「最強!GAME王国」、デコレーションメールコンテンツ「デコデコメール」、携帯画面のカスタマイズができる「まとめて★チェンジ」」等の公式コンテンツがある。
 
ソリューション事業
コンテンツサービスから派生したビジネス。モバイルサイト構築・運用業務、ユーザーサポート業務、デバッグ業務、サーバ保守管理業務等の企業向けサービス、携帯電話ショップとの提携により成功報酬型のコンテンツ販売を行う店頭アフィリエイト、自社コンテンツの2次利用(以上、ソリューション)、他社コンテンツの制作・運営(ソリューションコンテンツ)、更には、広告、及び物販等を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提供している。
 
2009年5月期第1四半期決算
 
 
前年同期比14.6%の減収、同14.6%の経常増益。
携帯電話を活用したビジネスの拡大を追い風にソリューション事業の売上が増加したものの、主力サイトの会員減少によるコンテンツサービスの売上の減少をカバーできなかった。ただ、制作コストの削減による売上原価の低減に加え、広告宣伝費の削減や東証上場及びサポートセンター移転費用等の一時的な費用が無くなり販管費が減少、売上の減少による影響を吸収して営業利益はほぼ前年同期並を維持した。加えて、受取利息・配当金等が増加する一方、株式上場費用が無くなる等で営業外損益が改善、税負担の軽減もあり、四半期純利益は同37.4%増加した。
 
<セグメント別動向>
 
 
コンテンツサービス
当セグメントの売上高は前年同期比29.7%減の354百万円。前年同期実績及び前四半期実績を下回ったものの、音楽におけるブランド強化やゲームにおけるサイト品質の改善、更には画像・ツール(デコメール)における新機能追加等のてこ入れが奏功し減収幅が縮小した(次項ジャンル別売上推移参照)。
同社のコンテンツ事業の特徴は、配信するコンテンツを自社で制作している事(言い換えると、提供するコンテンツの権利を自社で保有)、このため、収益性の高さはもちろんだが、上記のようにコンテンツの企画や品質にも自社の意向を反映させやすい。
 
 
また、同社はソリューション事業において“B2B”ビジネスを手掛けており、しかも、大手企業との取引実績が豊富なため、企業としての信頼性が高く異業種とのタイアップ事業も手掛けやすい。これは他のコンテンツプロバイダーには無い強みであり、今後、この強みを生かしたビジネス展開も強化していく考え。
9月1日に発表されたワコールとのコラボレーションキャンペーンはこの一環である。具体的には、(株)ワコールのヒット商品で体脂肪を燃やす下着「CROSS WALKER」向けに、モバイルサイト「@LOUNGE RECORDS」内でウォーキング専用音楽「Fit Music!」(商標登録申請中)を配信する。「CROSS WALKER」は、「はいて、歩いて、体脂肪を燃やそう」をテーマとした商品。一方、「Fit Music!」は音楽事業を手掛ける子会社アットザラウンジ(株)が「CROSS WALKER」向けに企画・開発したウォーキング専用音楽である。
キャンペーンサイトへは、「CROSS WALKER」の商品タグに記載されているQRコードからアクセスできる「スタイル サイエンス」や「クロスウォーカー」サイトを始め、(株)ワコールのモバイルサイトからもアクセスする事ができる。
 
 
ソリューション
 
当セグメントの売上高は前年同期比11.9%増の321百万円。携帯電話を活用したビジネス展開の拡大を背景に法人のモバイルサイト開設が増加している事が好調の要因。カテゴリー別の動向は上記グラフの通りで、幅広く企業向けサービスを提供するソリューションにおいて、大型案件や新規案件獲得が進んだ他、電子書籍の受注も拡大。クライアント企業やコンテンツプロバイダー向けのソリューションコンテンツでは、既存大手クライアントからの受注が継続・拡大。ソリューションやソリューションコンテンツの拡大に伴い、サーバやネットワークの運用・監視・保守を行うMSPの売上も増加した。一方、フィルタリング規制等不透明要因のあった「一般サイト」による広告展開を自粛したため、広告売上は前年同期の実績を下回った。尚、「@LOUNGERECORDS」ブランドによる総合音楽ソリューション事業の展開に向けて、「CD販売事業」をアットザラウンジ(株)として分社化した。
 
2009年5月期業績予想
 
 
業績予想に修正は無い。前期比4.0%の減収、同46.4%の経常減益予想。
引き続きソリューションの伸びが見込まれるものの、コンテンツサービスの減少をカバーできず、売上の減少が続く。売上が減少する影響に加え、売上構成比の変化や広告宣伝費等の先行投資も負担となり、営業利益は同51.1%減少する見込み。
 
<今後の展開>
同社の強みの源泉であるコンテンツサービスのてこ入れを図ると共に、好調なソリューションにおいて既存顧客の満足度向上と新規開拓により事業展開を加速する考えだ。両セグメントにおける事業毎の取り組みは次の通り。
 
コンテンツサービス
音楽
着うたの会員減少を抑え、着うたフルの会員を増やすため、サイトの改善やプロモーションの強化に加え、他社とのコラボレーションにも取り組む
ゲーム
恋愛ゲームを中心にサイト改善の効果を出しつつ、新規サイトをオープンさせ、プロモーションを実施する。
ツール・画像
キャラクターを軸にデコレーションメール及びUIカスタマイズに注力し新規会員獲得を目指す。
その他
楽楽車(らくらくカー)の有料コースを導入しプロモーションを強化する事で収益向上を目指す。
 
ソリューション
ソリューション
引き続き大型案件・新規案件の獲得に注力する。
ソリューションコンテンツ
既存大手クライアントからの受注を拡大させつつ、新規の顧客開拓に取り組む。
MSP
トータル提案を徹底し、ストック収益の拡大を図る。
物販
新譜CDを順次発売(10月29日リリース予定)すると共に、キャラクターグッズの販売拡大を図る。
広告
従来の公式サイトに加え、新たな一般サイトをオープンする事で広告売上の拡大を図る。
 
<中国モバイルコンテンツ事業の状況>
同社は、IVRを中心としたSMS・WAP・Java等のコンテンツ配信等、第三世代携帯電話向けのサービス開始に向けた準備を進めている。また、電子書籍をはじめとした日本向けコンテンツ制作や中国国内向けのFlashアニメ・ゲームの制作等も手掛けている他、デジタルコンテンツ制作者養成など中国の教育機関と連携した教育プロジェクト等も進めている。
 
中国の3G(TD-SCDMA)の動向
第1期テストに17.5万人が参加した他、全国28都市に合計2.3万カ所の通信基地局を設置するTD-SCDMAの第2期建設プロジェクトもスタートした。
 
中国事業の進捗状況
コンテンツ配信、コンテンツ制作、及び教育事業の進捗状況は次の通りである。
 
 
この他、新たな海外展開として、インドへの参入準備を進めている。具体的には、インドのコンテンツプロバイダーである「Astute Systems Technology社」経由でゲームコンテンツを順次配信していく考え。
 
<売上高及び利益の進捗状況>
 
前年同期との比較では、売上の進捗が若干遅れ気味のようにも思えるが、コンテンツサービスでゲームやツール・画像に改善の兆しが見られる事、及びモバイルビジネスの拡大を背景にソリューションが引き続き好調を持続している事等を考えると、今後、マクロ経済の激変等が無い限り、売上の大きな下振れは予想しにくい。
利益面では、既に第2四半期累計の利益計画を達成してしまったが、売上構成の変化で利益率の低下が予想される事や抑制している広告宣伝費を積み増す可能性がある等として、会社側は2Q以降の利益見通しについて慎重だ。使うべき時には、思い切って広告宣伝費を使うべきではあるが、それにしても会社側の計画はかなり慎重であると考える。
 
取材を終えて
「社団法人電気通信事業者協会」の調査によると、08年8月末の携帯電話の契約数は前年同月末比5.6%増の1億442万台と堅調に推移している。また、第三世代携帯電話端末(3G)に限ってみると、契約数は同19.1%増の9,268万台と引き続き大きな伸びが続いており、携帯電話加入台数の88.8%を占めるに至った。3G端末の増加で、今後、高機能で付加価値の高いサービスやコンテンツに対するニーズは益々強まるものと思われる。
足下、苦戦が続いている同社のコンテンツ事業ではあるが、同社の競争力の源泉であり、かつ、潜在的なビジネスチャンスは依然として大きいものと思われるだけに、次のステップに向けてしっかりと足下を固める事が必要だ。もっとも、コンテンツとソリューションの売上が拮抗してきたため、来期以降はコンテンツ事業の調整が続いたとしても、好調なソリューションをけん引役に業績は緩やかな回復軌道に乗るものと思われる。