ブリッジレポート
(3034:大証ヘラクレス) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポートvol.1】2009年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「全国に約5万件あると言われている調剤薬局だが、9割強が中小零細店。薬価改定やジェネリック医薬品へのスイッチ等で薬価の下落傾向が続いており・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年11月18日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都新宿区四谷1-17
事業内容
調剤薬局チェーン上位。首都圏地盤だが出店地域拡大中。医薬品治験事業、出版事業も展開
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 38,002 1,295 1,278 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(11/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
81,700円 61,872株 5,055百万円 10.2% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,000.0円 2.4% 9,526.88円 8.6倍 141,570.93円 0.6倍
※株価は11/10終値。発行済株式数は直近第2四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
クオールの2009年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
主に民間病院を対象とした調剤薬局をチェーン展開している。「“クオリティ オブ ライフ”の向上」を企業信念として掲げ、社名の「クオール」もこれに由来する。首都圏中心に東北、中部、北陸、関西に全店直営で展開しており、出店は常に医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除している。また、地域に根ざした店舗運営を進めると共に、従来の調剤薬局のイメージを一新するような外観や明るく快適な店舗づくりで差別化を図っている。この他、子会社を通して薬のパンフレット作成等を手掛ける医療・医薬情報資材制作関連事業や医薬品治験関連(SMO)事業も手掛けており、09/3期上期の売上構成は、調剤薬局を展開する保険薬局事業が95.0%、医療・医薬情報資材制作関連事業が4.1%、医薬品治験関連(SMO)事業が0.9%。

92年10月、調剤及び医薬品の販売を目的に設立された。03年5月、子会社フェーズオン(株)を設立し、医薬品治験関連(SMO)事業に参入。07年1月には、第一製薬(現:第一三共)傘下の第一メディカル(株)(現メディカルクオール)の全株式を取得し、医療・医薬情報資材の制作関連事業を開始した。
06年4月、大証ヘラクレスに株式を上場した。
 
<クオールグループ>
同社が、大型・中型の民間病院の門前を中心に東北、関東、関西等、全国へ展開しているのに対して、(株)福聚、(株)イムノファーマシー大阪、クオール東日本の子会社3社はクリニック等の門前の中小型薬局を展開しており、(株)福聚が首都圏、(株)イムノファーマシー大阪が関西、クオール東日本が東北をそれぞれ事業エリアとしている。

メディカルクオール(株) 医療・医薬情報資材制作関連事業
フェーズオン(株)    事業医薬品治験関連(SMO)事業
 
 
<店舗展開>
 
<市場動向>
 
医薬分業率は60%に達しようとしており、上記グラフが示すとおり分業化の動きは鈍化しつつある。ただ、処方箋枚数が少ないクリニック、或いは薬剤師を確保できない地域において、受け皿となる薬局が無い等の問題があり、引き続き分業率の上昇が続くものと思われる。
 
<三菱商事等との連携強化で効率的かつ積極的な企業経営>
07年10月に薬局の経営、医薬品の製造販売等を手掛ける(株)エーベルと合併。この合併により(株)エーベルの株主であったメディセオ・パルタックホールディングスと三菱商事が、第1(出資費率 31.8%)、第2(同 20.0%)の主要株主となった。ジェネリック医薬品の普及促進や患者負担増等、医療費削減が求められる中で調剤薬局業界は大きな変革期を迎えている。これまで両社が事業運営の中で蓄積してきた経験・情報・ノウハウ・ネットワーク等を活かすと共に、上記主要株主との連携を強化し、効率的かつ積極的な企業経営に取り組んでいく考え。
 
<在宅医療への積極的な取り組み>
在宅医療への積極的な取り組みも同社の特徴である。具体的には、東北、関東、関西の3地域に在宅支援専門の薬局を出店し、各地の医療機関から処方せんを集め、薬剤師が在宅治療を受ける高齢者宅に医薬品を届ける。尚、在宅支援専門薬局にはコールセンターが併設され、患者の希望する同社店舗が紹介される。このため、患者が希望する店舗の薬剤師が医薬品を届けてくれる。
在宅専門薬局の第1号店としてオープンした京都下鴨店は、京都市内で在宅医療を手掛ける総合病院から処方せんを受け、居宅や介護施設で治療を受ける患者に医薬品を届ける他、併設したコールセンターが深夜など緊急の処方せんも受け付けている。
 
 
在宅医療支援ビジネスは、処方元医療機関とマンツーマンの関係を保ち、常に医療に対する相談・アドバイスをし合える関係を築いている同社の強みを活かしたビジネスであり、競合他社が容易に真似をできない。中期的にはネットワークを拡充していく事で、現在の服薬指導、後発品対応、残薬管理等の調剤薬局業務に加え、保健指導や市民講座など地域貢献活動による未病、在宅訪問薬剤、管理指導、クオール在宅チームによる支援サービス等による看取り、といった包括的なサービス提案ができる体制を整えていく考え。
 
在宅医療によるメリット
(1)患者のメリット
〆濛隶緡鼎料蠱盟觚ができる
∈濛陲砲凸剤師から直接薬を受け取り、説明を受けることができる
処方元の門前でマンツーマンの出店スタイルをとっている同社だからこそ、医師と連携して取り組める

ケアマネージャーの資格を持つ薬剤師も配置する
 
(2)同社のメリット
ヾ擬圈地域社会への貢献
患者、処方元とのつながりが強くなる⇒かかりつけ薬局へ
今後、在宅医療の重要度が増すと予想される中で、いち早くノウハウの蓄積ができる
ぬ剤師として、在宅の経験を積むことができる ⇒ 薬剤師としての幅が広がる
ヌ剤師の効率的な活用(空き時間を在宅業務で埋める事が可能)
 
2009年3月期第2四半期決算
 
 
(株)エーベルとの合併効果や積極的な新規出店で薬価・調剤報酬改定の影響を吸収、経常利益が前年同期比5.5倍に拡大した。

07年10月の(株)エーベルとの合併効果が最大の増収要因(約61億円)となった事は事実だが、新たに出店した6店舗やM&Aで傘下に収めた26店舗の寄与に加え、前期に新規出店した6店舗や既存店が堅調に推移した事、更には付随事業である医薬品治験関連事業や医療・医薬情報資材制作関連事業の売上が増加した事等で合併の影響を除いても10%強の増収となった。

利益面では、売上総利益率の低下を0.2ポイントに抑える一方、スケールメリット等で販管費比率が1ポイント低下、営業利益は前年同期比3.9倍に拡大した。

主力の保険薬局事業の売上高は前年同期比51.6%増の21,306百万円。このうち、オープン等から13ヶ月を経過した既存店売上高は前年同期比23.4%増の13,914百万円。処方箋応需枚数が同20.6%増加すると共に、処方箋単価も同2.3%上昇した。
期末店舗数は、前期末比30店舗増の228店舗。増減の内訳は、新規出店6店舗、M&A26店舗、退店2店舗。
 
上期の主なM&A
(株)イムノファーマシー大阪  08年7月に株式譲受により100%子会社化
大阪市を中心に直営店舗・フランチャイズ店舗24店舗展開(10月末現在25店舗)。
クオール東日本(株)      08年8月に100%子会社として設立
08年9月に山形県で調剤薬局を4店舗展開していたブレーントラストから事業譲受。
 
 
財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第2四半期末の資産合計は21,509百万円となり、前期末比804百万円増加。借入金の返済や積極的な投資活動により現預金が1,232百万円減少する一方、固定資産が1,926百万円増加した。
負債合計は12,750百万円となり、同626百万円増加。M&A資金の調達に伴い長期借入金が594百万円増加した。また、四半期純利益の計上等で純資産合計は8,759百万円と同177百万円増加した。

積極的なM&Aや新規出店によりフリーCFは、1,493百万円のマイナスとなった。営業CFは、税負担の増加等で前年同期(595百万円のプラス)を下回ったものの、501百万円のプラス。一方、投資CFは子会社株式の取得(1,099百万円)、有形固定資産の取得(567百万円)、及び定期預金の預入(402百万円)等で1,891百万円のマイナスとなった(前年同期は691百万円のマイナス)。
財務CFは長期借入により468百万円のプラスとなったものの、現金及び現金同等物の第2四半期末残高は、1,539百万円となり前期末比921百万円減少した。
 
 
 
 
2009年3月期業績予想
 
 
前期比18.7%の増収、同14.6%の経常増益予想。
下期は8店舗の新規出店を計画しており、通期では過去最多(14店舗)の出店となる。売上増と売上総利益率の改善(10.9 → 13.3%)により、売上総利益が同44.7%増加する見込み。連結対象企業の増加に加え、のれん償却(170 → 344百万円)や減価償却費(452 → 638百万円)の増加等で販管費も大幅に増加するものの、売上総利益の増加で吸収、営業利益は同14.2%増加する見込み。当期純利益が同7.7%の増加にとどまるのは、店舗撤退費用等を特別損失に計上するため。保険薬局事業以外では、下期にCRC(治験コーディネーター)の稼働率が落ちる医薬品治験関連事業が減益となるものの、医療・医薬情報資材制作関連事業は増収・増益が見込まれる。
1株当たり配当金は、250円増配の年2,000円を予定している(中間配当金1,000円)。
 
 
クオール薬局四谷店(08年11月1日開局)
四谷駅から徒歩3分の距離にあるクオール薬局四谷店は、同社が目指す姿を表現した薬局。顧客に富裕層や女性が多い事を意識してホテルをイメージした内装に仕上げた。また、同社のPB商品を陳列し、待ち時間に手にとって見ることもできる。
 
業界動向と事業戦略
 
(1)保険薬局市場の推移と最近の動き
保険薬局市場は年率10%程度の拡大が続く成長市場である。大手保険薬局チェーンを中心に業界再編が進みつつあるものの、未だトップ4社のシェアは5.1%に過ぎない。このため、今後、更なる再編が予想される。
 
 
また、近年、保険薬局各社による総合商社や流通大手との提携が活発化している他、大手ドラッグストアが保険薬局事業に力を入れている。
 
 
(2)クオールの経営スタイル
こうした中、同社は処方元医療機関、医薬品卸企業、製薬企業との強い結びつきによるWin−Winの関係(垂直経営)を構築しており、価格交渉による薬価差益獲得に主眼を置いた医薬品卸との関係強化に走る競合他社とは一線を画している。
 
 
(3)薬剤師の採用実績・計画・教育
06年から薬学部6年制がスタートしたため、10年、11年の新卒薬剤師はごくわずか。このため、ほとんどの薬局が薬剤師の確保に頭を悩ませている。こうした中、同社は、空白の2年間を埋めるべく、09年に約250名の新入社員の採用を予定している。
 
 
また、薬学部の4年制と6年制のギャップを埋めるために、同社が独自で実施している教育プログラムを充実する。既に、糖尿病、高血圧、脂質異常症で実施している同社独自の認定薬剤師制度について、製薬企業等からの協力も得ながら、10疾患程度の展開を進めている(アルツハイマー、癌、骨粗しょう症、COPD、アレルギー性鼻炎等)。
 
(4)子会社設立と人材派遣事業の開始
同社の薬剤師採用力と薬剤師の教育・研修システムのインフラを活かし、薬剤師不足が懸念されるこの機会に、第4の事業として、薬剤師の派遣事業をスタートさせる。
具体的には、08年12月にクオールメディカル(株)を設立し、09年4月に一般及び特定労働者派遣業務を開始する予定。同社では、収益面での寄与だけで無く、これまで以上に同業他社との交流が可能となり、M&Aや業務提携等の展開余地も広がると考えている。

この他、地域密着型事業展開の強化、個人情報保護法や日本版SOX法への対応も含めた業務システム(クオール・オールインワンシステム)の機能拡充と運用強化、更には医薬品治験関連事業における競争力強化とCRCの育成に努める。
 
取材を終えて
全国に約5万件あると言われている調剤薬局だが、9割強が中小零細店。薬価改定やジェネリック医薬品へのスイッチ等で薬価の下落傾向が続いており、売上高が数十億円のチェーンの経営は厳しさを増している。このため、今後、大手の寡占が進むものと思われ、同社のビジネスチャンスも拡大しよう。
また、在宅への取り組みも興味深い。大手調剤薬局の在宅医療向けサービスの提供は同社が第1号のようだが、処方元医療機関とマンツーマンの関係を保ち、常に医療に対する相談・アドバイスをし合える関係を築いている同社の強みが活かせる事業である。医療費抑制を目指す政府の方針を受けて、今後、在宅患者の増加が予想されるだけに期待が高まる。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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株価は上場時の十分の一かつ漸減しており一見投資タイミングに思えるが、調剤薬局の診療報酬について国は厳しく見ており、かつ薬価差益も今後は獲得しにくくなる(と、医薬品卸の大型経営統合記事にあったことから)今後は経営はより厳しくなるのではないか?

投稿者 K.Y. : 2008年12月19日 12:51

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