ブリッジレポート
(1754)

ブリッジレポート:(1754)東新住建 vol.21

(1754:JASDAQ) 東新住建 企業HP
深川 堅治 社長
深川 堅治 社長

【ブリッジレポート vol.21】2009年6月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期に長期滞留在庫の処分が進み、第2四半は営業損益が黒字転換する見込み。更に下期は採算の良い新規完成物件の販売により利益率も大幅に改善・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年12月22日掲載
企業基本情報
企業名
東新住建株式会社
社長
深川 堅治
所在地
愛知県稲沢市高御堂 1-3-18
決算期
6月
業種
建設業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年6月 98,213 1,461 448 357
2007年6月 104,467 1,985 954 267
2006年6月 90,857 2,183 1,255 -147
2005年6月 72,227 3,130 2,518 1,328
2004年6月 58,925 2,567 2,010 989
2003年6月 43,418 1,932 1,629 628
2002年6月 36,722 1,503 1,205 506
2001年6月 31,704 496 230 49
2000年6月 25,736 1,299 1,028 534
株式情報(11/17現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
145円 13,022,620株 1,888百万円 6.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.0円 6.9% - - 216.12円 0.7倍
※株価は11/17終値。発行済株式数は直近第1四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
東新住建の2009年6月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独自の商品と独自のシステムを駆使しエリアを拡大するハウスメーカー。地元である東海圏での強いブランド力と販売力が特徴で、分譲戸建てに限れば、着工棟数で10年連続No.1の実績を誇る(マーケティングシステムズ社調査)。
 
<事業内容>
事業は、住宅建築請負業(08/6期売上構成比17.1%)、分譲不動産販売事業(同74.6%)、兼業事業(同8.4%)で構成される。
 
住宅建築請負事業
「古き良き長屋文化の承継」をうたった「ザ・借家」に代表される賃貸住宅と、100年品質の「ダグラス」シリーズや環境共生住宅「樹流」などの注文住宅で構成される。同社本体で事業展開するほか、近畿圏ではカメヤグローバル、首都圏では東新ハイトスが展開している。
 
分譲不動産販売事業
分譲戸建販売事業と分譲マンション事業で構成され、同社本体で展開している。
 
兼業事業業
不動産の賃貸管理・売買仲介、一括借上システム等による賃貸事業、有料老人ホームの運営等の事業。
 
 
2009年6月期第1四半期決算
 
 
前年同期比28.8%の増収ながら、2,209百万円の経常損失となった。

悪化する不動産市況を踏まえて、分譲住宅販売事業において在庫削減を第一に考えた販売活動を行なった。このため、厳しい販売環境にもかかわらず売上高は21,413百万円と前年同期比28.8%増加したものの、十分な利益確保するには至らず、2,011百万円の営業損失となった。
加えて、棚卸資産の評価に関する会計基準の変更に伴い、評価損を売上原価に246百万円を、特別損失に1,988百万円を、それぞれ計上した。四半期純損失が2,547百万円にとどまったのは、税効果による。
 
財政状態
 
不動産各社が販売に苦戦する中、猛烈なスピードで在庫と有利子負債の削減を進めた。この結果、長期滞留在庫を中心に棚卸資産(販売用不動産+仕掛販売用不動産)が前期末に比べて5,946百万円減少。有利子負債も同9,648百万円減少した。引き続き資産の回転率を意識した経営を進める考え。
 
 
 
前年同期はキャッシュ・フロー計算書を開示していないため比較はできないが、営業CFも黒字を確保した。
 
2009年6月期業績予想
 
 
前年同期比18.3%の増収ながら、1,870百万円の経常損失が見込まれる。
第2四半期に入っても、販売は比較的順調。長期滞留在庫の処分も一巡しつつあり、売上総利益率の改善も見込まれる。ただ、厳しい販売環境に変わりは無く、チラシの活用等による販促活動の強化で販売費が5億円増加する見込み。
 
 
前年同期比25.5%の減収ながら、同62.3%の経常増益が見込まれる。
下期の住宅・不動産業界を取り巻く環境は一層厳しさを増すものと予想されるが、中部圏の住宅需要は首都圏ほど冷え込んでいない模様。分譲不動産販売事業における在庫処分が一巡した事で、1物件当たりの収益性が正常化する見込み。また、販管費の使用効率の見直しによる支出の抑制にも取り組む考え。中部圏における事業の更なる強化に加え、比較的順調な注文住宅や賃貸住宅の営業人員の増強を行い、住宅建築請負事業も強化する。
 
 
前期比5.7%の減収ながら、71.9%の経常増益予想。
住宅建築請負事業で約12 億円の増収が見込まれる一方、分譲不動産販売事業で約65 億円の減収が見込まれる。利益面では、新規完成物件の販売による売上総利益率の改善が見込まれる他、経費削減効果も期待できるが、上期の損失をカバーするには至らず、営業利益は同15.8%減少する見込み。ただ、支払利息の減少により、大幅な経常増益が見込まれる。
 
四半期(3ヶ月)業績の推移
 
会社側では第2四半期以降の業績急回復を予想している。厳しい不動産市況を考えると、にわかには納得できない面もあるが、第2・第4四半期の業績がポイントとなる収益特性、第1四半期の営業の成果(販売環境の悪い中で前年同期比30%弱の増収)、及び急減した有利子負債(金融収支の改善)等を考えると、十分に根拠のある予想と言える。また、地盤である中部圏の住宅需要が、首都圏程には冷え込んでいないという幸運も忘れてはならない。
 
 
取材を終えて
第1四半期に長期滞留在庫の処分が進み、第2四半は営業損益が黒字転換する見込み。更に下期は採算の良い新規完成物件の販売により利益率も大幅に改善、6ヶ月間で06/6期通期を上回る営業利益の計上が見込まれる。会社側の予想通りの業績改善を前提にすると、配当利回り6.9%、PBR0.7倍の水準にある現在の株価は言うまでも無く割安だが、不動産デベロッパーの相次ぐ破綻を目の当たりにしては、なかなか手を出せない。
先ずは第2四半期の業績予想を確実に達成する事で市場からの信頼回復を図る必要がある。