ブリッジレポート
(2462:東証1部) ジェイコム 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート vol.11】2009年5月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期は携帯電話端末の販売台数が前年同期比で大幅に減少する中、同社は前年同期比で20%を超える増収を達成した。成熟期に入った感がある携帯電話・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年1月13日掲載
企業基本情報
企業名
ジェイコム株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市中央区西心斎橋 2-1-3
事業内容
携帯電話業界向けを中心とした総合人材サービス会社
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 12,404 885 907 489
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(1/8現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
104,400円 45,510株 4,751百万円 13.0% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4,000.00円 3.8% 13,010.79円 8.0倍 78,044.25円 1.3倍
※株価は1/8終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ジェイコムの2009年5月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
携帯電話業界向けの営業支援に強みを持つ人材派遣会社。携帯電話業界の動向や顧客ニーズを的確に捉えたサービスと情報の提供が、携帯キャリアや販売代理店から高い評価を受けている。また、自らも携帯電話ショップの運営を行なっている他、新規事業として就職支援サービスを育成中。

事業は、営業支援、就職支援及び人材派遣の総合人材サービスと携帯電話ショップ運営のマルチメディアサービスに分かれ、09/5期上期は前者の売上高が連結売上高の96.2%を占めた。08年11月末現在、大阪本社、東京、東海、中国、東北、九州、北海道の7支社、栃木、茨城、群馬、静岡、岡山、新潟、四国、北陸、千葉、鹿児島のサテライトオフィス10ヶ所、及び携帯電話ショップ2店舗を展開している。
 
<沿革>
会社設立は1993年9月。旅行等の企画会社としてスタートしたが、その後、携帯電話販売事業に軸足を移し、更に携帯電話業界向け人材サービス事業に展開。携帯電話市場が拡大する中、携帯電話業界への特化戦略が奏功し、2005年12月に東証マザーズに株式を上場、07年2月には東証一部に市場を変更した。
同社では、基幹ビジネスの構築が完了した08/5期以降を第2の創業期と位置付けており、07年6月に新規事業として就職支援サービスを開始、同年11月には体育会学生向けに特化した就職支援サービスを展開するインダスを連結子会社化した。
 
<若年層のステップアップを支援>
主力事業である総合人材サービスは、派遣社員等やアルバイトを受け入れる企業側のメリットだけを追求するのではなく、働く側のキャリアアップにも配慮したシステムになっている。具体的には、派遣社員もしくはアルバイトとして採用した社会経験の浅い学生やフリーター等の若年層を、教育及びOJT(On-the-Job Training:実際の業務を通じて、必要な業務知識・技術・技能等を習得させる)により勤続年数に応じてステップアップさせ、最終的には希望する職業へ正社員として就職できるようシステム作りがなされている。
 
2009年5月期第2四半期決算
 
 
前年同期比21.8%の増収、同3.1%の経常減益。
ジェイコム個別では、同21.0%の増収、同6.2%の経常増益となったが、子会社のインダスの赤字のほか、先行投資やのれん償却負担分を吸収できなかった。尚、四半期純利益の減少幅が大きいのは、投資有価証券評価損32百万円を特別損失に計上したため。
 
売上高  5,702百万円 → 6,947百万円
携帯電話の販売台数が大幅に落ち込む厳しい事業環境にもかかわらず、前年同期比21.8%の増収と健闘した。
セグメント別では、携帯電話業界向けが伸びた総合人材サービス事業の売上高が6,681百万円と同24.8%増加する一方、近隣に家電量販店が進出し売上が伸び悩んでいたソフトバンク伊丹西野を08年9月23日に閉店したマルチメディアサービス事業の売上高が265百万円と同24.1%減少した。
尚、総合人材サービス事業においては、新たにアパレル業界の販売員派遣を開始する等、携帯電話以外の業界開拓も計画通りに進捗。全国営業網の充実を図るべく、千葉、北陸、鹿児島にサテライトオフィスを開設した。
 
売上総利益率  20.2% → 19.2%
採用条件の見直し効果(支払い単価の引き下げ)に加え、雇用環境の変化による利益率の改善を見込んでいたものの、高付加価値の業務委託(請負)から派遣への契約変更による利益率低下が響いた。
 
販管費  745百万円 → 950百万円
人件費(343→431百万円)や東京支社移転による地代家賃(53→95百万円)等が増加したものの、全般に経費抑制効果が現れた。ただ、インダスは、広告宣伝や体育会各部の支援等の先行投資負担から、販管費が売上高を上回った(売上高販管費率が107.5%)。
 
営業利益  403百万円 → 381百万円
ジェイコム個別では、増収効果で利益率の低下及び販管費の増加を吸収して営業利益が同4.1%増加したものの、連結ベースではインダスの赤字を吸収できなかった。インダスは新卒就職セミナー等による収益計上が下期に集中し、先行投資期間にあたる上期は利益計上に至らない事が多い。今上期はのれん償却(19百万円)も負担となり、48百万円の営業損失となった(前年同期は1ヶ月間のみの連結で、のれん償却費3百万円を含む9百万円の損失)。
 
財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態に大きな変化は無く、第2四半期末の総資産は前期末比126百万円減の5,100百万円。減少要因は自社株買い等によるもので、無借金の健全経営が続いている。また、CFの面から見ると、営業CFは164百万円の黒字となり黒字幅が拡大(前年同期は85百万円の黒字)。一方、投資CFは461百万円のマイナス(同544百万円の黒字)となったものの、これは余資の運用に伴う投資有価証券の取得や預金の預け入れ等によるもので、実質的なフリーCFは黒字。自社株買いや配当金の支払い等で財務CFは262百万円のマイナスとなり、この結果、第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は973百万円と前期末比559百万円減少した。
 
(1)総合人材サービス事業の動向
 
携帯電話業界向けを中心とした営業支援サービスの売上高は6,359百万円と同22.3%増加。請負から派遣への需要シフトでアウトソーシング事業が落ち込んだものの、販売支援サービスが同33.4%と伸長。この他、未だ金額はわずかだが就職支援サービスの売上高がほぼ倍増、一般事務等の人材派遣サービスも同2.2倍に拡大した。
 
 
主力の携帯電話業界向けを中心に全ての業界向けの売上高が増加した。その他の売上高が大きく伸びたのは、アパレル業界に販売員派遣を開始したため。
 
 
量販店への派遣契約が大手代理店経由から量販店との直接契約に変わったため、大手代理店向けの売上高が前年同期比6.4%の増加にとどまる一方、その他の販売代理店向けの売上高が大きく伸びた。
 
 
取引先の派遣スタッフの地域別利用状況は、東日本が50〜65%を占める。これに対して、同社の東日本の売上構成比は43.9%にとどまり、未だ東日本での事業拡大余地が大きい。
 
 
 
拡大が続いていた総合人材サービス事業の四半期売上高だが、09/5期第2四半期(9-11月)は新製品発売前の買い控えや今秋は特段のイベントが無かった事等で前四半期比横ばいにとどまった。
 
事業環境と下期の施策
 
(1)事業環境
世界的な金融危機のあおりを受けて企業収益が悪化しており、多くの企業が雇用調整を強いられている。このため、人材ビジネス業界においても製造・事務派遣が大幅に削減されるケースが増えてきた。収益確保に直結する販売スタッフ派遣は比較的影響が少ないものの、需給ギャップが不足から過剰に転じつつあり、同社では、今後、量から質の要求が高まると考えている。

また、同社が主要マーケットとする携帯電話業界では、割賦販売制度の一般化による買替えサイクルの長期化やインセンティブの見直しによる携帯端末の高価格化により、携帯電話の販売台数が前期比で大幅に減少している。インセンティブが減少した結果、各キャリアは高収益を上げているが、携帯電話とブロードバンドのセット販売等による販売手法の多様化と差別化が推進されている。このため、人材サービス業界に対して、消費者の目的やスタイルに応じた販売支援サービスを求める動きを強めている。
 
(2)下期の施策
同社は、外部環境に左右されない安定的な成長を目指して、中長戦略ロードマップに従いつつ、下記4施策を継続推進する。
 
〃搬啅罰Δ砲ける圧倒的なシェアの確立
⊆益率の向上
B2の収益の柱の構築
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〃搬啅罰Δ砲ける圧倒的なシェアの確立
首都圏での営業を強化すると共に、地方展開を更に進め全国拠点網の拡充を図る。この一環として、下期は1月に横浜にも開設を予定している(上期はサテライトオフィス5拠点を開設)。尚、サテライトオフィスは初期投資の負担が軽く(300万円程度)、社員も2〜3名と軽装備。既存社員を配置するため新たに社員を採用する必要も無く、開設から数ヶ月で月次損益が黒字化する。
 
 
⊆益率の向上
収益率の向上に向け、総合人材サービス事業における高利益率案件の受注と新規事業の拡大に取り組む。
前者における具体的な取り組みとして、キャンペーンの受注強化、アウトソーシングサービスの受注強化、及び適正利益の確保を挙げている。
・キャンペーンの受注強化
新料金プラン等キャリア・販売代理店の販促活動強化に対応
・アウトソーシングサービスの受注強化
適正な請負により付加価値の高いサービスを提供
・適正利益の確保
不採算案件の見直し・改善による適正利益の確保
また、後者においては、就職支援サービスの強化と子会社インダスの売上・利益増を挙げている。
・就職支援サービスの強化
直雇用化の動き及び求職者のニーズに対応し、営業を強化
・子会社インダスの売上・利益増
新卒向けセミナー等、下期にかけて収益貢献
B2の収益の柱の構築
当初予定していた金融業界向けは需要減少により計画に届かない見込みだが、携帯電話の販売スタッフと共通点が多いアパレル販売スタッフの派遣サービスが軌道化しつつある。アパレル販売スタッフは、同社が得意とする若年層の女性と一致する上、ショッピングモ−ルやアウトレット等からの安定した需要が期待できる。また、付加価値を高める事により、収益性の高い業務受託へ発展する可能性がある。

尚、アパレル業界は、市場規模が携帯電話業界とほぼ同じで(同社調べ)、35歳以下が約8割を占めており、そのうち約7割が女性。また、アパレルへの人材派遣会社は、百貨店系、大手人材派遣系、独立系が存在しており、年商は20〜50億円クラスの企業が多く、比較的成長速度が速い。近年では、人材派遣や店舗業務請負など形態が多様化しており、参入しやすくなっている。加えて、首都圏では常時人手不足の状態で単価も悪くない。
 
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同社では、コンプライアンス(法令遵守)の充実が派遣業界全体の評価の向上につながると考えており、社員・スタッフ・得意先に対してコンプライアンスの周知徹底を図ると共に、法改正や緊急通達等への円滑な対応を実施していく考え。また、人材派遣会社としての役割を明確化し、スタッフの正規雇用化促進にも取り組む考えで、この一環として、教育研修・カウンセリング機能の充実を図る。
 
 
2009年5月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更は無く、前期比25.0%の増収、同22.4%の経常増益予想。
人材ビジネス業界を取り巻く環境は一段と厳しさを増しているものの、収益確保につながる販売スタッフへの影響は比較的少ない模様。1月に入り、新たな発注が増えている他、派遣先によるスタッフの絞込みも予想したほど厳しいものではなかった。年末・年始から入学・進学シーズンにかけての需要取り込みで、下期の増益を見込む。
上記の前提となるセグメント別売上高は、総合人材サービスが同27.4%増の14,950百万円、マルチメディアサービス事業が同18.0%減の550百万円。
尚、1株当たり配当金は、500円増配の年4,000円(中間配当2,000円を含む)を予定している。
 
(1)企業別業績
 
 
ジェイコム
主力の総合人材サービス事業においては、例年3月〜4月は、各キャリアがキャンペーンの実施や販売スタッフの増員等で販促活動を強化する事に加え、足下、コスト削減のためコールセンターの集約を進めている事も、トータルサービスが可能な同社にとって新規受注のチャンスである。また、携帯電話販売は中小の撤退等で大手代理店の寡占化が進んでおり、大手代理店との関係が強い同社にとって追い風である。
 
インダス
新卒採用に関するコストは、年度末にかけた予算編成にかかる部分が多い。2010年の採用については、各社とも人員採用枠を抑える傾向にあり、厳しい事業環境が予想される。
 
(2)株主還元策
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同社は配当性向30〜35%を目処に配当を実施していく考え。09/5期については、既に説明したとおり、1株当たり年4,000円(中間配当2,000円を含む)を予定しており、予想利益ベースの配当性向は30.7%になる。
 
⊆社株買い
自己株取得の規制緩和を受けて、10月(871株)及び11月(580株)の2度に渡り自社株買いを実施した。取得した株式は、合計で1,451株(取得価額170,361千円)。この結果、現在の自己株式は3,160株、発行済株式数の6.5%に当たる。
 
取材を終えて
上期は携帯電話端末の販売台数が前年同期比で大幅に減少する中、同社は前年同期比で20%を超える増収を達成した。成熟期に入った感がある携帯電話業界だが、同社は携帯キャリアと太いパイプを有する上、営業エリア拡大の余地も残しており、シェアアップによる成長が可能。利益面では、請負から派遣へのシフトが上期で一巡したため、利益率低下の要因が一つ無くなった。
ただ、他の上場企業同様、下期の業績は楽観を許さない。足下、派遣社員の残業時間が例年よりも減っており、売上が想定ほどには伸びない可能性がある。また、企業収益の悪化でインダスが手掛ける就職支援サービスも不透明感が強い。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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