ブリッジレポート
(3751)

ブリッジレポート:(3751)ジー・エフグループ vol.11

(3751:東証マザーズ) ジー・エフグループ 企業HP
岡田 博之 社長
岡田 博之 社長

【ブリッジレポート vol.11】2008年10月期業績レポート
取材概要「08年6月の大酒販との経営統合に続き、09年2月に、ジー・エフグループを存続会社とし、日本アジアグループ及びモスインスティテュートを消滅会社・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年1月13日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ジー・エフグループ
社長
岡田 博之
所在地
東京都文京区大塚 3-20-1
決算期
10月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年10月 34,436 -123 -148 -187
2007年10月 1,689 -421 -468 -584
2006年10月 2,387 20 1 -110
2005年10月 2,547 337 306 179
2004年10月 2,035 264 211 113
2003年10月 1,608 96 60 18
2002年10月 1,398 202 198 97
2001年10月 1,049 104 105 59
2000年10月 962 56 54 -78
株式情報(1/8現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
14,500円 108,298株 1,570百万円 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0円 0.0% - - 18,867.97円 0.8倍
※株価は1/8終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数。
 
ジー・エフグループの2008年10月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
自社で開発した全自動テレマーケティングシステムを中心としたシステムサービスを展開。
同システムの特徴は、"速い・安い・簡単・的確"。顧客に対する電話の受発信からメッセージの伝達、回答の記録と結果の集計・分析までを自動的に行うことがでること。具体的には、16回線で一日約8,000件にコールすることができ、結果レポート及び見込み客リストを瞬時に出力できる。結果別にDMラベル印刷も可能で、運営費用が通常のコールセンターより割安。業種毎のシステム運用ノウハウを蓄積していることも強み。

2008年6月2日付で商号を「株式会社ジー・エフ」から「株式会社ジー・エフグループ」へと変更し、同社の保有する事業・権利義務を、会社分割により新設した「株式会社ジー・エフ」へ承継させ、また、株式交換により、飲料食料品等の卸売販売事業を展開する大酒販株式会社を完全子会社化することで純粋持株会社体制へと移行した。大酒販との経営統合により、主力業態は従来のテレマーケティング事業から酒類食品卸販売事業となった。

さらに、同社と日本アジアグループ株式会社(4663)及び株式会社モスインスティテュート(2316)は、09年2月20日を期して、ジー・エフグループを存続会社とし、日本アジアグループ及びモスインスティテュートを消滅会社とする3社間の吸収合併を実施する。

日本アジアグループは、現在、ファイナンシャル・サービス事業、空間情報サービス事業、投資再生事業及びコンピュータシステム開発事業を展開する企業をその傘下に有する持株会社。旧社名は、株式会社エーティーエルシステムズ。
モスインスティテュートは、臨床試験ビジネスをベースとした事業展開を行っている企業をその傘下に有する持株会社。

ジー・エフグループが傘下企業を通じて運営するマーケティング事業は汎用性が高く、その独自性と優位性のあるマーケティング資源をグループ内に幅広く提供し有効に活用することにより、3社グループ企業各社の事業を継続的に発展させて行くことが可能であるとの考えだ。
 
2008年10月期決算
 
<連結業績>
 
*同社は、2008年6月2日をもって大酒販株式会社を株式交換により完全子会社化した。ただし、企業結合会計基準上は逆取得に該当することになるため、同社の連結財務諸表は大酒販株式会社の財務諸表が基準となる。このため、2007年10月期と2008年10月期の連結財務諸表数値との間には連続性がなくなっており、対前年同四半期増減率については全て「-」表記となっている。

*当年度の連結経営成績は、大酒販株式会社の07年11月1日から08年10月31日までの損益計算書に、ジー・エフグループおよび同社の大酒販株式会社以外の連結子会社の08年6月2日から08年10月31日までの連結損益計算書を連結した金額となっている。


酒販業界はビール類の18年ぶりの相次ぐ値上げの実施、景気の減速感と個人所得の伸びの停滞、若者の酒離れ傾向等冷え込んだ市場環境の中、価格競争による疲弊感が強まった。また、テレマーケティング業界は、顧客企業の要望も高度化しテレマーケティングでは収まらないサービス支援を求められ、業務範囲が広がる状況となってきている。

同社テレマーケティング事業の主要顧客である中小企業において景況感は厳しい状況にある。

このような経営環境において同社は、事業環境の変化に対応しつつ、コストの削減や事業の見直しなど収益の改善に努めてきた。

その結果、当連結会計年度の業績は売上高34,436百万円、営業損失123百万円、経常損失148百万円、当期純損失187百万円となった。
 
<事業の種類別セグメント状況>
(酒類食品卸販売事業)
 
酒販業界は、飲酒運転の社会問題化で業務用需要も低迷している上に、ビールメーカーの値上げと若者中心のビール離れが進み、市場が一段と縮小傾向となり、引き続き厳しい環境が続いている。このような事業環境の中で、業務委託費や人件費等の一般管理費の削減や、プライベートブランド(PB)・ストアブランド(SB)の商品開発により、収益構造の抜本的変革とキャッシュ・フローの改善に取り組んだ。その結果、売上高34,030百万円、営業利益102百万円となった。

(テレマーケティング事業)
 
テレマーケティング事業における新たな事業展開と収益構造の改善を進めながら、全自動テレマーケティングシステムを活用したシニアマーケティングや顧客企業に対するCRM支援、大手企業向けのSIP技術によるシンクライアント対応CTIシステム等の新商品・新サービスの開発を進めてきた。しかし、当事業の売上の過半を占めるシステム販売においては、主要顧客である中小企業の景況感の悪化により、商品紹介セミナーからの受注率の低下と平均購買単価の下落が起こった結果、08年6月2日から08年10月31日までの期間で、売上高406百万円、営業損失75百万円となった。
 
<財政状態>
 
<キャッシュ・フロー>
 
当年度における連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが135百万円のプラスとなったことなどにより、現金及び現金同等物の当期末残高は期首残高に比べ7百万円増加し、307百万円となった。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、135百万円のプラスとなった。これは主に売上債権の減少による収入によるもの。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,147百万円のマイナスとなった。これは主に貸付による支出によるもの。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは2,019百万円のプラスとなった。これは主に短期借入金の増加による収入によるもの。

なお、大酒販株式会社との株式交換は企業結合会計基準上の逆取得に該当するため、大酒販株式会社の貸借対照表に、株式交換時における旧ジー・エフの連結ベースの資産・負債を時価で引き継いでいる。
 
<2008年10月期業績予想>
同社は、09年2月20日をもって、当社を存続会社、日本アジアグループ株式会社および株式会社モスインスティテュートを消滅会社とする吸収合併を行う予定。

当該合併は、「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」上は日本アジアグループを取得会社、当社およびモスインスティテュートを被取得会社とする「逆取得」に該当する可能性がある。そのため本合併後の連結財務諸表上においては、パーチェス法が適用されのれんが計上される予定。

また、決算期を、正確かつ速やかに連結決算を開示できるよう、毎年10月31日から毎年4月30日に変更し、これにより、09年4月期は6ヶ月決算となる予定。

合併後の連結業績予想は現在策定中で、明らかになり次第速やかに開示する予定。
 
3社合併について
 
11月14日に、同社と日本アジアグループ株式会社(4663)及び株式会社モスインスティテュート(2316)は、09年2月20日を期して、ジー・エフグループを存続会社とし、日本アジアグループ及びモスインスティテュートを消滅会社とする3社間の吸収合併を実施すると発表し、11月27日に合併契約を締結した。

日本アジアグループは、現在、ファイナンシャル・サービス事業、空間情報サービス事業、投資再生事業及びコンピュータシステム開発事業を展開する企業をその傘下に有する持株会社。旧社名は、株式会社エーティーエルシステムズ。
モスインスティテュートは、臨床試験ビジネスをベースとした事業展開を行っている企業をその傘下に有する持株会社。

ジー・エフグループが傘下企業を通じて運営するマーケティング事業は汎用性が高く、その独自性と優位性のあるマーケティング資源をグループ内に幅広く提供し有効に活用することにより、3社グループ企業各社の事業を継続的に発展させて行くことが可能であると考えた。

日本アジアグループの普通株式1株につき、ジー・エフグループの普通株式4.3株の割合を、モスインスティテュートの普通株式1株につき、ジー・エフグループの普通株式0.004株の割合をもって割当て交付する。

日本アジアグループとモスインスティテュートは09年2月16日に上場廃止となる見通し。
 
<再編予想図>
 
 
<財務資料>
 
<社長交代>
今回の再編に伴い、新たな経営体制を構築し、経営基盤の強化と企業の活性化を図るため、呉文繍(うー うぇん しょう)氏が社長に就任する。09年1月27日開催予定の第21期定時株主総会決議ならびに総会終了後の取締役会決議、監査役会議および09年2月20日合併効力発生日に開催予定の取締役会において正式決定する予定。

(新任代表取締役の略歴)
氏名:呉文繍(うー うぇん しょう)
生年月日:昭和38年12月23日生
出身地:台湾
最終学歴:国立台湾大学卒業

(略歴)
平成 5年 3月:野村国際香港入社
平成 7年 7月:中華策略投資入社
平成11年 1月:Japan Asia Holdings Limited 代表取締役副社長
平成13年 8月:日本アジア証券株式会社 代表取締役社長
平成13年 8月:日本アジアホールディングズ株式会社 代表取締役社長(現任)
平成15年 8月:琉球ホールディングズ株式会社 取締役(現任)
平成17年 6月:株式会社プロテックキャピタル 取締役(現任)
平成20年 6月:国際航業ホールディングス株式会社 取締役(現任)
平成20年 11月:日本アジアグループ株式会社 代表取締役社長(現任)
 
取材を終えて
08年6月の大酒販との経営統合に続き、09年2月に、ジー・エフグループを存続会社とし、日本アジアグループ及びモスインスティテュートを消滅会社とする3社間の吸収合併を実施する。この1年で、全く違う会社と言ってよいほどの変化となった。事業領域がほとんど重ならない3社の統合であり、相乗効果がどの程度表れるかは現段階では推測し難い。まずは09年4月期(6カ月決算)の業績予想に注目したい。