ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.7

(4829:東証2部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.7】2009年5月期第2四半期業績レポート
取材概要「モバイルに特化したソリューションが好調だ。コンテンツサービスの苦戦で減収傾向が続いていた同社だが、この下期はモバイル・ソリューションをけん・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年1月20日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(1/15現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
4,410円 377,000株 1,663百万円 10.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
130.00円 2.9% 464.19円 9.5倍 7,321.14円 0.6倍
※株価は1/15終値
 
日本エンタープライズの2009年5月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。コンテンツの自社開発にこだわりを持ち、「コンテンツで勝つ!」がモットー。
音楽やゲーム・デコメ等のコンテンツを制作し携帯等を通じて配信するコンテンツサービスと、企業のコンテンツ制作・運営や業務効率化のためのシステム構築等を手掛けるソリューションが2本柱。また、海外展開にも力を入れており、中国において、コンテンツ配信等、多角的に事業を進めている他、インドへの参入準備も進めている。
 
コンテンツサービス事業
配信するコンテンツを自社制作する事で、「提供コンテンツの権利を自社で保有する」と言う独自のビジネスモデルを基本方針としている。携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイ、CLUB AIR-EDGEといったインターネットに接続が可能な携帯電話の公式サイトにコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリアから受取っている。同社の代表的なコンテンツとしては、「うた&メロ取り放題」、「@LOUNGE RECORDS」といった音楽系コンテンツ、ゲームコンテンツ「最強!GAME王国」、デコレーションメールコンテンツ「デコデコメール」、携帯画面のカスタマイズができる「デコデコ★きせかえ」等の公式コンテンツがある。
 
ソリューション事業
コンテンツサービスから派生したビジネス。モバイルサイト構築・運用業務、ユーザーサポート業務、デバッグ業務、サーバ保守管理業務等の企業向けサービス、携帯電話ショップとの提携により成功報酬型のコンテンツ販売を行う店頭アフィリエイト、自社コンテンツの2次利用(以上、ソリューション)、他社コンテンツの制作・運営(ソリューションコンテンツ)、更には、広告、及び物販等を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提供している.
 
2009年5月期第2四半期決算
 
 
前年同期比19.1%の減収、同23.3%の経常減益。
セグメント別売上高は、音楽・ゲームが苦戦したコンテンツサービスが同31.1%減の666百万円、広告・物販の売上が減少したソリューションが同1.7%減の656百万円。減収による売上総利益の減少が響き、営業利益以下の各利益が減少した。ただ、制作コストの削減等で売上総利益率が予想以上に改善した他、プロモーションを下期にシフトさせた事等で販管費が予想程には増加しなかったため、期初予想に対しては大幅な利益超過となった。
尚、販管費が前年同期比で減少したのは、プロモーションを下期にシフトさせた事に加え、東証上場費用やサポートセンター移転費用等の一時的な費用が無くなったため。また、四半期純利益が同4.2%の減少にとどまったのは、中国での不動産売却益など27百万円を特別利益に計上したため。
 
 
第1四半期は48%だったソリューションの売上構成比が、第2四半期は52%に上昇し、両事業の売上構成比が逆転した。利益面では、原価低減効果もあり第1四半期に63.2%だった売上総利益率が63.8%に上昇したものの、広告宣伝費の増加やJ-SOX法対応等で販管費が第1四半期比で増加した。
 
 
 
国内事業の概況と今後の展開
 
(1)コンテンツサービス
①音楽   「着うたフル」への経営資源の集中
上期は、「着うた」の減少が続いた上、下げ止まり感が出てきた「着うたフル」もいま一つ力強さに欠けた。下期以降は、「着うたフル」に経営資源を集中すると共に、コンテンツ事業とレーベル事業を保有する強みを生かした事業展開を図る。具体的には、サイトのクオリティやビジュアルを向上させると共にJ-POP、UIカスタマイズ等の新規サイトの開設によりモバイルサイト「@LOUNGE RECORDS」を強化する。また、様々な広告媒体を多面的に活用した広告展開に加え、新規性・話題性の提供や他社ブランドとのコラボレーションにより集客力を強化する。

他社ブランドとのコラボレーションの事例としては、(株)ワコールのヒット商品で体脂肪を燃やす下着「CROSS WALKER」向けに、モバイルサイト「@LOUNGE RECORDS」内でウォーキング専用音楽「Fit Music!」を配信している他、新星堂とのコラボでは、店舗にat the LOUNGE商品の販売コーナーを設け、店頭ディスプレイも含めてat the LOUNGEが売り場の一部をジャックした。この他、香水の企画・開発や海外ブランドの香水の輸入卸・販売を手掛ける(株)フィッツコーポレーションとは、新たな販売ルートの開拓につなげるべく、同社の香水名を冠したCDを発売し同社の香水販売ルートに乗せる予定。また、同社のオリジナルCDで楽曲をカーバーしているアーティストのライブ開催とCDの販促を兼ねたイベントの開催等にも取り組んでおり、公式サイトを中心にした縦割り型の事業ではなく、横展開型事業を進めている。
 
 
 
②画像・ツール   キャラクターのブランディング
キャラクターのブランディングを強化し、キャラクターを核にした「デコデコ」ブランドでサイトのマルチ展開を進める他、企業とのコラボレーション、リアル連動、PC展開、クロスメディア等、広告・プロモーションの本格展開により集客力を強化する考え。足下、食品メーカーとのコラボによるキャラクターコンテンツ等で実績も上がりつつある。
 
 
③ゲーム   乙女系・美少女系への集中
乙女系ゲーム(女性向け)及び美少女系ゲーム(男性向け)に経営リソースを集中し、前者では新機軸「らぶ★乙女ゲーNo.1」のコンテンツ展開、後者では「最強!美少女王国」のマルチキャリア展開を進める。また、ゲームに登場するキャラクターの「待受画面」、「Flash」、「ケータイ小説」への横展開にも取り組む他、映像・雑誌(マンガとの連動)、ゲーム(PCゲームとの連動)、ボイス(ドラマCDとの連動)、グッズ(フィギアとの連動)等、モバイルの枠組みを超えた展開も視野に入れている。
 
 
④一般サイト
高付加価値な「公式サイト」展開と、「一般サイト」への参入へ
一般サイトにおいて、無料ゲーム、無料デコメ、ニュース・天気・占い、更には無料SNS等のサービス提供で無料会員を獲得し、ポイント連携等で公式サイトへ誘導し有料ゲーム、有料デコメ、UIカスタマイズ(有料)等のサービスの利用拡大につなげる。
 
 
(2)ソリューション
IT関連事業を手掛けるインプレスの調査によると、法人のモバイルサイト開設目的が、「利用者の利便性」から「直接的な収益」や「ビジネスチャンスの拡大」をにらんだものに変わりつつある(下図参照)。
 
 
また、景気や企業業績の悪化を受けて、今後、企業が販売促進費や広告宣伝費を抑制する可能性があるが、同社が得意とする売上ソリューションや管理ソリューション等は影響を受け難いと思われる。その理由として、前者については、比較的高額で効果が見え難いマス媒体から少額で効果がわかりやすいモバイルへ需要がシフトしている事を挙げる事ができる。また、後者については、業務効率向上等、管理面での経費圧縮に寄与するソリューションについては、不況下でもニーズが高まっているためである。
実際、同社のソリューション事業においても、企業向けソリューション案件が増加しており、中でも安定的な売上高計上につながるストック型・シェア型案件が増加していると言う。
 
海外事業の概況と今後の展開
 
(1)中国ビジネス
①中国の3G(第3世代携帯電話)の動向
09年1月7日に、中国の国内通信キャリア3社に3Gの免許が発行された。中国・工業情報化部では、今後の3G関連投資を2,800億元(約2兆7,000億円)と予想しており、外資企業での取得が困難とされる中国でのコンテンツ配信のライセンスを有する同社も、このビジネスチャンスを生かすべく中国での3G向けサービスを本格化していく考え。
尚、中国では、中国移動(チャイナモバイル)が「TD-SCDMA」方式で、中国聯通(チャイナユニコム)が「WCDMA」方式で、更には中国電信(チャイナテレコム)が「CDMA2000」方式でのサービスを予定しているが、同社はいずれの方式にも対応が可能だ。
 
②コンテンツ制作強化
現在、日本向けのコンテンツとして、電子書籍、デコメ・UI等の制作を手掛けており、また、中国向けとして、Flashアニメ、Flashゲーム、電子書籍、Java、BREWアプリの制作を手掛けており、今後更に事業を強化する。
 
③観光情報
観光情報瑞思豊通(北京)信息科技有限公司を100%子会社化して事業再構築を進めている。既に、チャイナモバイル向けに飲食店紹介コンテンツ「美食天下」の配信を開始しており、今後、マルチキャリア化を進める。
 
④教育事業
江南大学において2期生(9月)をスタートした他、1期生の来日対応を進めている他、北京建設大学の3G教育(2期生)や因特瑞思(北京)信息科技有限公司独自による日本語・CG教育(2期生展開、3期生募集)を展開した。
 
⑤コンテンツ配信
引き続き2Gコンテンツの配信を行い、中国キャリアとの良好な関係を維持すると共に、3Gコンテンツ配信に向け準備を進める。
 
(2)インドビジネス
①インドのモバイル市場
インドの携帯電話加入件数は約3億件を数え、09年1月末以降に3Gキャリアの入札が実施される予定。また、現在、約1,115億円のモバイルコンテンツ市場が、2年後には3,188億円へ拡大すると見られている。
 
②インド向けコンテンツ配信開始
同社は、インドのコンテンツプロバイダである「Astute Systems Technology社」経由で、ゲームコンテンツの配信を順次開始している。
08年10月 「Virgin Mobile」向け、及び「RELIANCE Communications」向けに配信を開始
08年12月 「Tata Teleservices Limited」向けに配信を開始
 
2009年5月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更は無く、前期比4.0%の減収、同46.4%の経常減益予想。

コンテンツサービスの売上減少が続くものの、企業ニーズの高まりを背景にソリューションが伸び、減収率は同4.0%にとどまる見込み。ただ、来期のコンテンツサービスのV字回復を目指して、新規サイト構築・広告宣伝費等、積極的に先行投資を実施するため、下期は減益幅が拡大。営業利益は同51.1%減少する見込み。
 
 
コンテンツサービス
下期は減収率が前年同期比4.0%程度に縮小する見込み。来期にかけて増収トレンドへ転換を図るべく成長カテゴリへ資源を集中させ、 集客力を高める。
 
ソリューション
企業ニーズの高まりを背景に、トータルなモバイル・ソリューションを提供していく。下期は同32%弱の増収が見込まれ、通期では過去最高の売上高を見込む。
 
取材を終えて
モバイルに特化したソリューションが好調だ。コンテンツサービスの苦戦で減収傾向が続いていた同社だが、この下期はモバイル・ソリューションをけん引役に増収に転じる見込み。利益面での会社側の下期予想は慎重だが、特に大きな投資やこれまでに無かった特別な費用が発生しない限り、下期の計画である17億円弱の売上高が確保できれば、2億円前後の営業利益の計上が可能であると考える(会社予想の下期営業利益は0.5億円)。
また、同社が得意とするモバイル分野のソリューションは1件当たりの受注金額が相対的に小額なうえ、サービス品質に対するユーザーの目が厳しい一方で、世代毎の機種対応の検証やサポートが必要である等、手間隙がかかる。つまり、高品質なサービスを低コストで提供する必要があり、利益確保が難しい。このため、競合企業の多くが既に脱落してしまったが、収益に直結する売上ソリューションや経費削減につながる管理ソリューションに対するニーズは足下も堅調。加えて、コンテンツサービスにおいても、デコメやゲームに底打ち感が出てきている事から、来期は増収・増益に転じる可能性が高い。