ブリッジレポート
(2437:大証ヘラクレス) シンワアートオークション 企業HP
倉田 陽一郎 社長
倉田 陽一郎 社長

【ブリッジレポート vol.15】2009年5月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期との比較において、下期の業績予想は妥当であると考えるが、国内外の経済情勢いかんでは下振れの可能性も否定できない。同社が作成している近代・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年2月10日掲載
企業基本情報
企業名
シンワアートオークション株式会社
社長
倉田 陽一郎
所在地
東京都中央区銀座 7-4-12
事業内容
オークションの企画・運営 及び古物売買および委託販売ならびに輸出入等
決算期
5月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 1,621 194 201 98
2007年5月 2,228 449 451 256
2006年5月 2,334 562 567 311
2005年5月 1,940 440 410 235
2004年5月 1,680 319 311 174
2003年5月 1,222 234 231 122
2002年5月 1,158 139 129 70
2001年5月 1,105 200 202 38
2000年5月 1,302 218 201 109
株式情報(1/16現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
19,000円 55,666株 1,058百万円 4.9% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% -2,643.08 - 30,075.41円 0.6倍
※株価は1/16終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。
 
シンワアートオークションの2009年5月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
設立20周年を迎える美術品オークション運営のパイオニアで業界唯一の上場企業。国内シェア31%(「月刊美術」による)を誇る最大手であり、日本に高額美術品の換金市場を確立するため、公明正大なオークション市場の創造と拡大に取り組んでいる。
 
<事業内容>
同社の売上高は、オークション落札価額やプライベートセールの取引価格に対する手数料収入を中心に、カタログの販売、オークションの出品者から徴収するカタログ掲載料、及び商品売上で構成されている。プライベートセールとは、美術品の直接取引を希望する顧客間のマッチングを行うもので、オークションを介さない美術品の仲介販売。また、営業戦略上、同社が買取った後にオークションに出品するケースや、プライベートセールで売却するケースもあり、この場合、オークション落札価額や売却額が売上高(商品売上)として計上される。
 
 
2009年5月期第2四半期決算
 
 
07年9月にサブプライムローン問題が米国で顕在化して以来、日本の美術品取引業界の動きが急激に鈍化したが、08年に入り一段と停滞感が強まった。特に9月のリーマン・ショック以降、同社の主力である高額美術品の単価が一段と下落しており事業環境が厳しさを増した。
こうした中、同社の09/5期上期は、前年同期比44.5%の減収、94百万円の経常損失となった(前年同期は171百万円の利益)。平均落札価額の下落に加え、前期から低下傾向にあった落札率が9月のリーマン・ショック以降は更に落ち込んだ。急激な円高進行による海外顧客の購買意欲低下もあり、オークションの不調は前期まで好調に推移していたコンテンポラリーアートにも波及。11月にマカオで開催した「Asian Auction Week in Macao」でも取扱高が伸び悩んだ。
 
落札数の減少と平均落札価額の低下で手数料収入が大きく落ち込んだ他、商品売買も損失計上を余儀なくされた。
 
 
販管費は前年同期比20.1%減の436百万円。08年3月から経費削減を進めてきたが、第2四半期以降の厳しい事業環境を踏まえて一段と強化したため、期初計画を11.2%下回った。科目別では、社員数の自然減やプロフィットシェアリングに基づき賞与負担が無かった事等で人件費が減少したのに加え、広告宣伝費の効率的な活用にも取り組んだ。また、支払販売手数料及び支払手数料も、期初計画を下回った。
 
 
現預金を中心とする資産構成で高い流動性を維持しており、引き続き財務は健全。ただ、オークション未収入金や商品の増加に加え、四半期純損失の計上や自社株買いにより現預金が9億円強減少した。このうちオークション未収入金の増加は第2四半期末にオークションがあったためだが、商品についてはオークションへの出品作品確保に向けた買い取りが裏目に出た。具体的には、6、7月のサザビーズやクリスティーズのオークションが比較的順調であった事から、9月のオークションに向けて出品作品を確保するべく買い取りを実施したが、リーマン・ショック以降のオークション市況の悪化で売却する事ができなかった。商品については、1年ルールに基づき、取得から1年以内に売却する財務方針を貫いてきたが、上記商品については、現時点での損切りが得策ではないとの判断に加え、今年度から実施された棚卸資産の評価方法に関する会計処理の変更により評価減がしやすくなった事もあり、評価減をしながら暫く保有する考え。
(5)09/5期落札状況
落札予想価格1,000〜1,400万円
落札価額1,050万円
(08年9月13日開催 近代美術オークション)
坂本繁二郎「馬」
落札予想価格4,000〜6,000万円
落札価額4,000万円
(08年9月13日開催 近代美術オークション)
レオナール・フジタ「猫と少女」
落札予想価格2,500〜3,500万円
落札価額4,700万円
(08年9月13日開催 近代美術オークション)
横山大観「三保の不二」
落札予想価格900〜1,300万円
落札価額1,250万円
(08年9月13日開催 近代美術オークション)
東山魁夷「湖涼」
落札予想価格4,000〜6,000万円
落札価額3,500万円
(08年9月13日開催 近代美術オークション)
石田徹也「作品」
落札予想価格 HKD500,000〜700,000
落札価額 HKD1,550,000(約1,900万円)
(08年11月28日開催 コンテンポラリーアートオークション)
パテック・フィリップ「永久カレンダーメンズ」
落札予想価格400〜600万円
落札価額1,550万円(08年7月12日開催Jewellery&Watchesオークション)
「ダイアモンドリング」
落札予想価格750〜1,000万円
落札価額760万円(08年9月27日開催Jewellery&Watchesオークション)
(6)海外オークション開催
08年11月28日ヴェネツィアン・マカオ・リゾートホテル(マカオ)にて、アジアの有カオークション会社3社と共に「Asian Auction Week in Macao」を開催した。経済情勢の急激な変化により、取扱高は思うように伸びなかったものの、このオークション開催により新規のアジアの顧客を獲得できた事に加え、オークションハウス各社の連帯感も深まり、今後のアジア戦略を進めていく上で大きな布石となった。 今後も、コストを抑えながら定期的に継続し、根を張ったマーケティングを展開していく考え。次回は5月中旬、香港にてアジアのオークションハウス3社と開催の予定。
 
「Asian Auction Week in Macao」の結果
 
 
 
価格下落もさることながら、足下の流通量の減少は過去の最悪期をしのぐと見られている。
 
 
2009年5月期業績予想
 
 
上期の実績を踏まえて修正された通期の業績予想は、前期比35.0%の減収、146百万円の経常損失(前期は201百万円の利益)。
09年3月と5月にメインオークションの開催を予定しており、このうち3月は会社設立20周年記念のオークションとなる。また、出品点数を30〜50に絞り込むものの、5月中旬にはアジアのオークションハウス3社と2回目の「Asian Auction Week」を香港で開催する予定。
 
 
下期も損失計上が避けられないものの、設立20周年記念オークション等の寄与で上期に比べて取扱高及び売上高が増加する見込み。引き続き経費削減に努めると共に、国内富裕層に対する営業の深化とアジアを中心とした海外への営業活動を強化する。
 
 
(4)日本のオークション業界の展望
日本の美術品オークション業界はここ数年間、成長率が鈍化しており、当面は調整局面が続くものと思われる。しかし、「長期的には非常に大きな成長余力を残しており、21世紀における高額品の換金市場としてのオークション市場は、数千億円にまで発展していく」と同社では考えている。つまり、この停滞期の向こうに、新たな成長期が待っているというわけだ。
もっとも、眠っている成長力を顕在化させるためには、日本のオークション会社がグローバル化し、国際的な競争力を持つ事で世界中から参加者を日本に呼び込む等の努力が必要であると言う。同社では、世界中の参加者が日本市場を刺激し、巨大な潜在需要のある日本市場の活性化を図り、新たに成長させていくと考えている。
また、近代美術中心のポートフォリオを、近代美術の規模を維持した上で他のアイテムの比重を高めたポートフォリオに組み替える等の取組みが必要で、Jewellery&Watchesやその他の高額品アイテムを育成していく必要もあると言う。
 
 
(5)09/5期下期及び10/5期に向けての戦略
国内において、富裕層ネットワークの拡大・深化を図ると共に、海外において、アジアコネクションの構築に取り組む。
 
国内戦略富裕層ネットワークを更に拡大・深化させていく
〕郢ケ超
 ・クオリティの高い作品(相場の下落局面でも価値評価が残るもの)を販売していく
 ・最気の影響を比較的受けにくい安定したハイクラスの富裕層ネットワーク作りを強化
⊇佗扮超
 ・法人営業の強化
 ・不況下における企業の美術品換金需要を捉える
 
海外戦略PRを拡大し、アジアコネクションを構築する
^貉的に高級品市場が低迷しているが、耐え忍ぶ時期である
∋埔譴硫麌は中国本土より始まり、その他アジア、日本へと拡大していく
 
企業理念と財務方針
(1)企業理念
公明正大かつ信用あるオークション市場の創造と拡大
常に信用を重んじる中での慎重かつ大胆な挑戦>
豊かで美しく潤いある生活文化の追求
 
(2)財務方針
目標ROE15%回復へ
配当性向30%以上の回復へ
経常黒字化ヘの努カ
在庫リスクの低減      (原則1年以上の在庫は持たない)
固定資産・固定負債の管理  (フロー・ビジネスの徹底)
いかなる金融商品も保有しない
原則的に不動産は保有しない
高い流動比率と自己資本比率の継続
前渡金システムの有効活用
役員退職慰労金制度の廃止
 
取材を終えて
上期との比較において、下期の業績予想は妥当であると考えるが、国内外の経済情勢いかんでは下振れの可能性も否定できない。同社が作成している近代美術インデックスを見ると、価格面では、未だ過去最低となった99年6月の水準までは落ち込んでいないものの、「量的な面(流通量)では当時よりも悪いのでは」と言うのが、倉田社長の実感だ。美術品オーナーはオークションの不調を嫌い、出品手控えの傾向を強めており、それが更にオークションの不振につながると言う悪循環に陥っている。
ただ、今後、国内では、業績悪化を背景に企業の美術品換金需要が高まる可能性がある他、11月に開催した「Asian Auction Week in Macao」では、アジアの顧客開拓や各国オークションハウスとの連携強化等で一定の成果を上げる事ができた。当面厳しい事業環境が予想されるものの、悲観材料ばかりではない。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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