ブリッジレポート
(2462) ライク株式会社

プライム

ブリッジレポート:(2462)ジェイコム vol.12

(2462:東証1部) ジェイコム 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート vol.12】2009年5月期第3四半期業績レポート
取材概要「割賦販売の一般化に伴う買替え期間の長期化や携帯電話端末の高価格化による需要の低下に景気悪化が追い討ちをかけ、第4四半期以降も厳しい事業環・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年4月7日掲載
企業基本情報
企業名
ジェイコム株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市中央区西心斎橋 2-1-3
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 12,404 885 907 489
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(3/31現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
76,700円 45,510株 3,490百万円 13.0% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4,000.00円 5.2% 6,287.55円 12.2倍 75,610.65円 1.0倍
※株価は3/31終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ジェイコムの2009年5月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
携帯電話業界向けの営業支援に強みを持つ人材派遣会社。携帯電話業界の動向や顧客ニーズを的確に捉えたサービスと情報の提供が、携帯キャリアや販売代理店から高い評価を受けている。また、自らも携帯電話ショップの運営を行なっている他、新規事業として就職支援サービスを育成中。

事業は、営業支援、就職支援及び人材派遣の総合人材サービスと携帯電話ショップ運営のマルチメディアサービスに分かれ、09/5期第3四半期は前者の売上高が連結売上高の96.1%を占めた。09年3月末現在、大阪本社、東京、横浜、東海、中国、東北、九州、北海道の8支社、栃木、茨城、群馬、静岡、岡山、新潟、四国、北陸、千葉、鹿児島のサテライトオフィス10ヶ所、及び携帯電話ショップ2店舗を展開している。
 
<沿革>
会社設立は1993年9月。旅行等の企画会社としてスタートしたが、その後、携帯電話販売事業に軸足を移し、更に携帯電話業界向け人材サービス事業に展開。携帯電話市場が拡大する中、携帯電話業界への特化戦略が奏功し、2005年12月に東証マザーズに株式を上場、07年2月には東証一部に市場を変更した。
同社では、基幹ビジネスの構築が完了した08/5期以降を第2の創業期と位置付けており、07年6月に新規事業として就職支援サービスを開始、同年11月には体育会学生向けに特化した就職支援サービスを展開するインダスを連結子会社化した。
 
<若年層のステップアップを支援>
主力事業である総合人材サービスは、派遣社員等やアルバイトを受け入れる企業側のメリットだけを追求するのではなく、働く側のキャリアアップにも配慮したシステムになっている。具体的には、派遣社員もしくはアルバイトとして採用した社会経験の浅い学生やフリーター等の若年層を、教育及びOJT(On-the-Job Training:実際の業務を通じて、必要な業務知識・技術・技能等を習得させる)により勤続年数に応じてステップアップさせ、最終的には希望する職業へ正社員として就職できるようシステム作りがなされている。
 
2009年5月期第3四半期決算
 
 
前年同期比17.6%の増収、同2.3%の経常減益。

割賦販売の一般化に伴う買替え期間の長期化や携帯電話端末の高価格化による需要の低下で、販売台数は前年同期比で大幅に減少しているものの、携帯電話の機能・サービスの複雑化等もあり、各通信キャリアの営業支援サービスに対する需要は根強いものがある。また、未だ事業規模は小さいものの、携帯電話業界以外への売上も、アパレル業界への販売員派遣を中心に同46%弱増加した。ただ、景気や企業業績の悪化による人材採用コスト圧縮の流れの中で、就職支援サービスの需要が大幅に減少した。

利益面では、利益率の高い業務委託から派遣への契約変更による影響に加え、前期半ばに実施したスタッフの時給アップの影響、更には健康保険の料率上昇等で売上総利益率が1.1ポイント低下。雇用情勢の悪化により、新卒採用支援のインダスが20百万円の営業損失(前年同期では38百万円の営業利益)となった事もあり、営業利益は同4.3%減少した。保険解約返戻金の計上等で営業外損益が改善したものの、インダス買収に際して発生した「のれん」の減損損失259百万円(個別では関係会社の投資損失316 百万円)など325百万円を特別損失に計上したため、四半期純利益は同50.3%減少した。

尚、個別業績は、売上高が前年同期比17.9%増の10,392百万円、経常利益が同9.1%増の704百万円、四半期純利益が同50.7%減の172百万円となった。
 
 
販売支援サービス
通信キャリア、家電量販店を中心に携帯電話業界向けが増加。アパレル等の販売員派遣も伸びた。
アウトソーシング
サービス
プロバイダの営業代行やプロモーション受注が増加したものの、請負契約から派遣契約への切り替えが響いた。
就職支援サービス
新卒採用の抑制でインダスの売上が減少した。
人材派遣サービス
金融業界向けや、コールセンター・一般事務の派遣サービスが増加した。
 
携帯電話業界
首都圏を中心とした市場シェアの拡大と新規店舗向けの派遣増で二桁成長を持続した。
情報通信業界
プロバイダの営業代行サービスやブロードバンド加入促進サービスが伸びた。
金融業界
クレジットカードの獲得推進業務が減少する一方、金融業界向けの一般事務派遣が増加した。
その他
アパレル業界を中心とした販売員派遣や店舗請負業務が増加した。
 
量販店への派遣契約が大手代理店経由から量販店との直接契約に変わったため、大手代理店向けの売上高が前年同期比6.8%の増加にとどまる一方、その他の販売代理店向けの売上高が大きく伸びた。また、アパレル業界への販売員派遣を中心に携帯電話業界以外の顧客向け(上記セグメントのその他)も同45.7%増加した。
 
 
 
西日本地区
携帯業界で高いシェアを有する関西地区が前年同期比17%増。シェア拡大が続く九州地区も同23%増加した。
東海地区
携帯業界でのシェア拡大やキャンペーン案件の受注で前年同期比15%増を確保した。
東日本地区
首都圏が前年同期比33%増、東北支社も同29%増と大幅な増収。北海道支社の売上も伸びた。首都圏での更なる事業拡大を目指し、09年2月に横浜支社を開設した。
(3)営業費用の分析(累計)
売上原価  8,491百万円(前年同期比1,377百万円増加、19.4%増)
利益率の高い業務委託から派遣への契約変更及び健康保険の料率変更により、連結(79.5%→80.7%)、個別(80.2%→81.3%)共に原価率が上昇した。
 
販管費  1,403百万円(前年同期比223百万円増加、19.0%増)
営業変動費の増加に加え、人件費(111百万円増)、東京支社の移転や横浜支社・サテライトの開設等に伴う地代家賃(55百万円増)、及びインダスの「のれん」償却(16百万円増)等が主な増加要因。この他、インダスを期初から連結している事も販管費の増加要因となった。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態及びCFで特に言及する事は無く、健全な財政状態が維持されており、フリーCFも減少はしたものの黒字を確保した。
第3四半期末の総資産は、前期末比450百万円減の4,776百万円。借り方では、連結子会社インダスの「のれん」償却等で無形固定資産が307百万円減少した他、投資信託の償還や株価下落で投資その他の資産が106百万円減少。貸し方では、納税により法人税等が減少した他、自己株取得等により純資産も減少した。この結果、バランスシートのスリム化が進み、自己資本比率は72.0%と前期末比2.7ポイント上昇した。
CFの面からみてみると、売上債権の増加が小幅にとどまった事や現金支出を伴わない減損損失を計上した事等で、営業CFの黒字が前年同期の144百万円から292百万円に増加したものの、有価証券の償還等が減少したため、投資CFの黒字幅は同644百万円から40百万円に減少した。この結果、フリーCFは332百万円となり、前年同期比456百万円減少。自社株買いの減少で財務CFのマイナスは同727百万円から347百万円に減少したものの、現金及び現金同等物の第3四半期末残高は1,517百万円となった(前期末比14百万円減少)。
 
 
総合人材サービス事業 稼動スタッフ数・四半期別売上高の推移
 
 
2009年5月期業績予想
 
 
第3四半期の業績を踏まえて下方修正された通期業績予想は、前期比13.7%の増収、同4.1%の経常減益。
携帯販売台数の減少に伴い販売支援サービスの新規受注が減少傾向にあり、一部販売スタッフの雇用調整及び就業時間の削減も目に付くようになってきた。また、顧客の販売促進活動の中止や減少によりキャンペーン等の販促支援も想定したほどには伸びない見込み。利益面では、収益性の高いアウトソーシング(業務委託)の減少等による売上総利益率の悪化に加え、新卒採用市場の縮小によりインダスが営業損失となる見込み。加えて、特別損失として、インダスの「のれん」の減損損失259百万円や投資有価証券評価損等62百万円を織り込んだ。
尚、配当予想に変更は無く、1株当たり4,000円(中間配2,000円を含む)を実施する予定。
 
 
主力の総合人材サービスは通期で二桁成長が続く見込みだが、従来予想を下回る見込み。
 
 
取材を終えて
割賦販売の一般化に伴う買替え期間の長期化や携帯電話端末の高価格化による需要の低下に景気悪化が追い討ちをかけ、第4四半期以降も厳しい事業環境が予想される。ただ、第4四半期の売上高及び利益の予想に無理は無く、通期業績は予想に沿った着地になるものと思われる。実際、各キャリア共に販売促進活動を継続しており、年度末3月の販促キャンペーンの受注は順調だったようで、また、4月以降も大きな変動は無い模様。利益面では、第3四半期にインダスの「のれん」を減損処理した事により今後の償却負担が軽減されるため、金額はそれほど大きくは無いが収益性の改善も期待できる。