ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.8

(4829:東証2部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.8】2009年5月期第3四半期業績レポート
取材概要「09/5期は20%を超える減収が予想されるものの、減収が続いていたコンテンツサービスに底打ち感が出てきた。来期も音楽分野は苦戦が続く可能性が・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年4月21日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(4/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
4,520円 377,000株 1,704百万円 10.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
130.00円 2.9% 464.19円 9.7倍 7,328.74円 0.6倍
※株価は4/10終値。
 
日本エンタープライズの2009年5月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。コンテンツの自社開発にこだわりを持ち、合言葉は「コンテンツで勝つ!」。音楽やゲーム・デコメ等のコンテンツを制作し携帯等を通じて配信するコンテンツサービスと、企業のコンテンツ制作・運営や業務効率化のためのシステム構築等を手掛けるソリューションが2本柱。また、海外展開にも力を入れており、中国において、コンテンツ配信等、多角的に事業を進めている他、インドでのビジネスもスタートした。
 
コンテンツサービス事業
携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイ、CLUB AIR-EDGEといったインターネットに接続が可能な携帯電話の公式サイトにコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリアから受取っている。代表的なコンテンツとしては、「うた&メロ取り放題」、「@LOUNGE RECORDS」といった音楽系コンテンツ、ゲームコンテンツ「最強!GAME王国」、デコレーションメールコンテンツ「デコデコメール」、携帯画面のカスタマイズができる「デコデコ★きせかえ」等の公式コンテンツがある。
 
 
ソリューション事業
コンテンツサービスから派生したビジネス。モバイルサイト構築・運用業務、ユーザーサポート業務、デバッグ業務、サーバ保守管理業務等の企業向けサービス、携帯電話ショップとの提携により成功報酬型のコンテンツ販売を行う店頭アフィリエイト、自社コンテンツの2次利用(以上、ソリューション)、他社コンテンツの制作・運営(ソリューションコンテンツ)、更には、広告、及び物販等を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提供している。
 
2009年5月期第3四半期決算
 
 
前年同期比20.0%の減収、同34.0%の経常減益。
音楽・ゲームの苦戦でコンテンツサービス事業が減収となった他、大型案件の売上計上が無かったソリューション事業の売上も減少した。経費削減に努め、販管費は同10.6%減少したものの、減収による売上総利益の減少をカバーできず、営業利益は284百万円と同38.4%減少した。
 
 
コンテンツサービス事業の売上高は前年同期比29.2%減の981百万円。リニューアル等の施策が奏功し年末年始需要の取り込みに成功したデコメールの好調で画像・ツールの売上が増加したものの、音楽・ゲームの売上減少をカバーできなかった。もっとも、四半期ベースでは07/5期4Q以来の前四半期比増収に転じ、底打ち感が出てきた。ソリューション事業の売上高は同7.6%減の938百万円。他社のコンテンツを開発するソリューションコンテンツが伸びたものの、モバイル関連のシステム開発受託で大型案件の売上計上が無かったソリューションの売上が減少した他、広告や物販も景気悪化の影響を受けて減収となった。ソリューションについては、前期良過ぎた反動に加え企業業績悪化等の影響が多少出ているようだが、モバイル関連の開発需要は旺盛で新規開拓も進んでいるとの事。
 
 
事業概況と今後の展開
 
(1)コンテンツサービス事業
「新たな端末需要を追い風にしたモバイルサイト利用者の獲得が難しくなる中で収益を拡大させていくためには、集客力の向上が不可欠」というのが同社の考え。この一環として、「デコデコ★」シリーズの新規サイト開設により好調な画像・ツールを強化すると共に、オリジナルキャラクターを利用したリアルとの連動により他社サイトとの差別化を図る。また、音楽分野では、「着うたフル」において、コンテンツとレーベルの2つの事業を有する強みを活かし企業とのコラボレーションを強化。「着うたサイト」においては、サイトのリニューアルとマーケティング強化により会員減少に歯止めをかける。
 
①画像・ツール
キャラクターを核とした「デコデコ★」シリーズの新規サイト開設によりラインナップを拡充すると共にマルチキャリア化を進める。例えば、「デコレーションメールサイト」では既に実施しているマルチキャリア展開に加え、SoftBankモバイルが3月にサービスを開始した「コンテンツ特パック」にコンテンツを提供している。同サービスは20社の26コンテンツをパッケージにして提供するものだが、同社のサイトは利用率でトップ3を維持している。この他、「モバイルウィジェット」、「きせかえ(UIカスタマイズ)コンテンツサイト」、「デコメアニメ(Flashメール)サイト」等が3Qから4Qにかけて順次オープン、来期以降の業績への寄与が見込まれる。
 
 
②オリジナルキャラクターを利用したリアルとの連携
同社のオリジナルキャラクター「うたがめ」のキャラクターグッズを利用したアミューズメント施設(クレーンゲーム機)とモバイルサイトとの連携、「すぽんじニャーコ」をモチーフにした単行本の出版(河出書房新社より)、更にはアートメーカーとの連携よるグリーティングカードとの連動等が具体化している。
 
 
 
(2)ソリューション事業
インプレス R&Dの調べによると、企業はモバイルWebサイトに対して、「売上に対する直接的な効果」や「宣伝・広報効果、ブランド認知」等を求めており、その傾向は年を追う毎に強まっているようだ。このため、今後もモバイルソリューションに対する需要は堅調に推移するもと思われる。
 
 
ソリューション事業の中心はソリューションとソリューションコンテンツだが、前者はサイト構築やシステム開発等の大型受託案件の有無で売上が振れやすい。一方、他社コンテンツの制作・運営を手掛ける後者は、制作にかかる一時的な収益だけでなく、コンテンツ利用にかかるフィーが継続的に発生するストック型・シェア型ビジネスだ。このため、後者を安定収益源として育成していく一方、前者については、大口案件と短期のスポット案件のバランスをとりながら事業の拡大を図っていく。
 
(3)海外モバイルコンテンツ事業
①中国
1月に通信キャリア3社(チャイナモバイル、チャイナユニコム、チャイナテレコム)に第3世代携帯電話(3G)の免許が発給され、中国でも3Gが動き出した。中国でのコンテンツプロバイダ資格を有する唯一の日本企業(正確には、後述する中国子会社が有する。中国でコンテンツを提供するためには中国政府からライセンスを受ける必要がある)。既に2G・2.5Gでのコンテンツ提供の実績を有するが、今後、3Gコンテンツの提供に加え、電子書籍、UIカスタマイズ、カラオケ等、コンテンツを提供するための仕組みの提供やコンサルティングでもビジネスチャンスが広がる。
また、2月に開催された電気通信コンテンツ協力シンポジウムでは(中国3キャリアと中国国内外のコンテンツプロバイダ等360名が参加)、同社の植田社長が日本企業を代表して講演を行った他、事務局(海外企業担当)として日本企業を招致した子会社 因特瑞思(北京)信息科技有限公司が、3Gの先進国である日本のコンテンツのデモンストレーションを実施。同じく子会社の北京業主行網絡科技有限公司は、中国で携帯電話コンテンツを提供できる全国ライセンスを持つ数少ない日系コンテンツプロバイダとして、中国に進出を検討している日本企業へのソリューション提案を行った。
 
②インド
昨年の10月から12月にかけて、現地コンテンツプロバイダ経由でインドキャリア向けにコンテンツ配信を開始した。今後は、現地法人の設立を視野に入れ、インドにおけるモバイルコンテンツビジネスの可能性を探っていく。
 
2009年5月期業績予想
 
 
前期比20.9%の減収、同46.4%の経常減益予想。
第3四半期までの実績を踏まえて、売上高予想のみ下方修正した。セグメント別売上高は、コンテンツサービスが同30.0%減の1,270百万円(期初予想:1,430百万円)、ソリューションが同11.8%減の1,200百万円(同:1,570百万円)。コンテンツサービスでは、来期以降、増収トレンドへ回帰させるべく成長カテゴリーへ資源を集中させ集客力の強化を図る。また、ソリューションでは、売上増や宣伝・広告・ブランド認知度の向上といった企業ニーズを汲み取り、ストック型・シェア型ビジネス(ソリューションコンテンツ)の比率を高めつつ、ソリューションにおいて大型案件・小型案件のバランスをとりながら事業の拡大を図る。
利益面では、制作・運用等でコスト削減を進めつつ、来期のコンテンツのV字回復を目指して、新規サイト構築・プロモーション活動に取り組む。
 
取材を終えて
09/5期は20%を超える減収が予想されるものの、減収が続いていたコンテンツサービスに底打ち感が出てきた。来期も音楽分野は苦戦が続く可能性があるが、画像・ツールの伸びでカバーできそうだ。具体的には、SoftBankモバイルの「コンテンツ特パック」で採用されている「デコデコメール」の寄与が見込まれる他、NTTドコモ向けで好評を得ているFLASHアニメ「デコデコ☆アニメ」のau、SoftBankモバイル向けサービスが本格化する。音楽を中心にした業績のサイクルが終了し、画像・ツールを中心にした新たなサイクルが始まりつつある。
また、ソリューションも09/5期は減収が予想されているが、これは過去1~2年の良過ぎた反動ではないか。携帯電話の普及を考えると、モバイルソリューションへの需要の底堅さは理解できるが、好景気・好業績で需要がオーバーシュート気味であった事も事実であろう。今期減収となる事で来期はスタート台が低くなるため、来期業績への期待は高まる。来期は両セグメントが増収に転じる可能性が高い。