ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.17

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
川村 治 会長
川村 治 会長
秋本 道弘 社長
秋本 道弘 社長
【ブリッジレポート vol.17】2009年6月期第3四半期業績レポート
取材概要「(株)電通の「2008年日本の広告費」によると、08年(1~12月)の日本の総広告費は6兆6,926億円で、前年比4.7%減少したと言う。総広告費は・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年7月14日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
会長
川村 治
社長
秋本 道弘
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 神谷町セントラルプレイス
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238
株式情報(6/26現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
569円 11,511,813株 6,550百万円 16.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
32.00円 5.6% 75.87円 7.5倍 413.01円 1.4倍
※株価は6/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
テー・オー・ダブリューの2009年6月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界のトップカンパニー。イベント及びセールスプロモーション(SP)の「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を手掛けており、SPに関するグッズ・印刷物の企画・制作も行っている。約8,000社がしのぎを削る業界にあって、売上高が140億円を超える同社は頭一つ抜け出た存在。また、競合他社が限られた大手広告代理店とだけ取引しているのに対して、同社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引しており、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイト等、大型会場でのイベントを1社で受注できる制作力と資本力を有する。2000年7月に株式を店頭登録。07年6月の東証2部上場を経て、08年6月25日に東証1部指定替えとなった。
 
 
2009年6月期第3四半期決算
 
 
前年同期比4.5%の増収、同7.1%の経常増益。
大手広告代理店の売上高が、4媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)を中心に大きく減少する等、広告業界を取り巻く環境は厳しい。また、同社の事業領域であり、堅調に推移していたプロモーション分野も、昨秋以降、広告予算の見直しを行う企業が増えており、厳しさを増してきた。こうした中、同社は値引きに頼らない企画提案重視の営業が成果を上げた他、外注費の効率化や経費の節減が進展。売上総利益率が1.3ポイント改善する一方、販管費はわずかな増加にとどまり、営業利益が同6.1%増加した。
 
 
第3四半期の3ヶ月間に限ると、前年同期比5.6%の増収、同32.1%の経常増益。
プロモーション分野を取り巻く環境が厳しさを増す中、大幅な増益となった。要因は売上総利益率の改善であり(1.4ポイント改善)、値引きに頼らない企画提案重視の営業が成果を上げている事に加え、制作管理チームが原価低減に貢献しているものと思われる。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態に大きな変化は無く、第3四半期末の総資産は前期末比73百万円減の83億17百万円。未成業務支出金や未収入金が増加する一方、税金の支払いもあり現預金が減少した。未成業務支出金の増加は第4四半期に向けた仕込みに伴うもので、未収入金は回収が期をまたいだためと思われる。このため、現預金の減少を含めて、いずれも一時的な現象と考える。
一方、CFをみると、営業CFが255百万円のマイナス。納税前の段階では黒字を維持し、かつ前年同期の実績を上回っていたものの、税負担が重かった。投資CFも本社移転に伴う敷金・保証金の差し入れ等で236百万円のマイナス。配当金の支払いや自己株式の取得により、財務CFも277百万円のマイナスとなり、現金及び現金同等物の第3四半期末残高は809百万円と前期末比769百万円減少した。
 
2009年6月期業績予想
 
 
6月23日に修正された通期の業績は、前期比1.8%の減収、同0.6%の経常増益予想。
昨秋以降、広告費を絞り込む動きが強まっており、好調だったプロモーション分野の事業環境も急速に悪化し下期の売上が伸び悩んだ模様。このため、全社的な生産性の改善は進んでいるものの、通期の売上高が想定したほどには伸びず、営業利益は前期並みの水準にとどまりそうだ。
 
 
第4四半期は売上の伸び悩みで、営業利益及び経常利益が前年同期比で減少する見込み。
 
(3)配当方針
同社は、将来の事業展開と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定配当を実施していく事を基本方針としてきたが、来期(10/6期)以降は、「連結ベースの配当性向」と「株価配当利回り」の2つの指標を基に利益配分を実施する。具体的には、本決算発表日(09年8月6日予定)に公表する来期の連結業績予想の当期純利益に対して、配当性向40%で算出された1株当たりの予想配当金と、同決算発表日の前日の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された1株当たりの配当金のいずれか高い方を配当金とする。尚、連結配当性向40%は下限目標とするものの、株価配当利回りについては、市場金利等の動向を勘案して変更する可能性がある。また、株価の急騰局面においては、内部留保の確保という観点から、連結配当性向換算で100%を上限とする。
 
(4)大型主催事業への参画
2009年6月に開催される「海のエジプト展」へ主催事業者(同社の他、朝日新聞社、TBS、博報堂グループの3社)として参画する。「海のエジプト展」は、横浜開港150周年記念事業の一環として、6月27日から約3ヶ月間に渡り開催される大型イベントで、2度の地震でエジプト沖に沈んだ古代文明の文化財を紹介する。
 
(5)執行役員制度の導入
同社は、09年6月15日開催の取締役会において、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応し、職務遂行の機動性を高めると共に職務責任の明確化を図る事を目的に執行役員制度の導入及び執行役員の選任について決議した。
執行役員は、取締役会が選任し、取締役会が決定した経営方針に従い代表取締役の指揮命令のもとで、担当分野での業務執行面における責任者としての役割を担う。尚、執行役員の任期は2 年とし、再選を可とする。また、本件は、09年5月14日開催の取締役会において決議した代表取締役及び役員の異動と同じ09年7月1日付とする。
 
取材を終えて
(株)電通の「2008年日本の広告費」によると、08年(1~12月)の日本の総広告費は6兆6,926億円で、前年比4.7%減少したと言う。総広告費は、景気回復とデジタル家電やインターネットの普及を背景に04年に増加に転じて以来、05年(同2.9%)、06年(同1.7%)、07年(同1.1%)と増加を続けてきたが、08年は世界的な金融危機や景気悪化の影響を受けた下期の大幅な落ち込みが響いたようだ。
こうした中、業績予想を下方修正したとは言え、前期並みの売上高及び営業・経常利益を確保できる見込みの同社は評価できるのではないか。ちなみに、東京モーターショーの反動で減収・減益となった2Q(10-12月)も、実質的には増収・増益だった。景気については、一部で楽観論も聞かれるようになってきたが、未だ先行きの不透明感は強い。ただ、ゴールデンウィーク中の人の動きは比較的活発だったようで、横浜開港150周年記念イベント「開国博Y150」(4月28日~9月27日:http://event.yokohama150.org/)の立ち上がりも順調だったようだ。また、秋には東京モーターショーの開催も予定されている。不景気を吹き飛ばすべく、こうした大イベントには盛り上がってもらいたいものだ。