ブリッジレポート
(7866)

ブリッジレポート:(7866)アトラス vol.4

(7866:JASDAQ) アトラス 企業HP
猪狩 茂 社長
猪狩 茂 社長

【ブリッジレポート vol.4】2009年7月期第3四半期業績レポート
取材概要「同社は、現在進行中の中期経営計画(09/7期~11/7期)において、業務用ゲーム関連事業及びアミューズメント施設関連事業の資産圧縮を進める一方・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年7月14日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社アトラス
社長
猪狩 茂
所在地
東京都新宿区神楽坂4-8
決算期
7月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年7月 23,305 1,401 1,636 587
2007年7月 7,984 258 300 -844
2007年3月 21,340 759 785 425
2006年3月 16,730 327 285 -2,764
2005年3月 17,846 30 147 -23
2004年3月 17,160 189 497 37
2003年3月 16,290 151 496 256
2002年3月 17,850 782 1,114 480
株式情報(7/3現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
514円 14,017,369株 7,205百万円 5.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% - - 616.98円 0.8倍
※株価は7/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
アトラスの2009年7月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
家庭用ゲームソフトの企画・開発・販売、オンラインゲームのパブリッシング、及びアミューズメント施設の運営等を手掛けている。現在、家庭用ゲームソフトやオンラインゲームを中心にした資産効率重視の経営スタイルへの転換を進めており、2009年3月31日に業務用ゲーム機の開発・製造・販売を行っていた業務用ゲーム関連事業から撤退、2011年7月期にかけてアミューズメント関連の資産の圧縮に取り組む考え。
<事業構成>
家庭用ゲーム関連事業 家庭用ゲームソフトの企画・開発・販売、オンラインゲームのパブリッシング
アミューズメント施設関連事業 アミューズメント施設の開発・運営
主な家庭用ゲームソフト(同社Webサイトより)
 
 
2009年7月期第3四半期決算
 
 
前年同期比3.0%の増収、同36.9%の経常減益となった。
家庭用ゲーム関連事業が堅調に推移したものの、業務用ゲーム関連事業やアミューズメント施設関連事業の苦戦が響き、売上高、営業利益共に小幅な増加にとどまった。経常減益となったのは、前期に営業外収益として計上されていた匿名組合投資利益(135百万円)がなくなった事が主な要因。加えて、業務用ゲーム機の開発・製造・販売からの撤退に伴う事業撤退損1,432百万円など、特別損失として2,767百万円を計上したため、四半期純利益は2,483百万円の純損失となった。

特別損失については、今期を再構築期と捉え資産圧縮を進めている中で、第2四半期にて、業務用ゲーム関連事業の撤退に関する損失のほか、第3四半期においては、アミューズメント施設関連事業における「のれん」の減損処理(263百万円)、アミューズメント施設の店舗撤退予定に伴う、固定資産の処分等の引当金(213百万円)の計上が新たに加わっている。
 
 
 
家庭用ゲーム関連事業
パッケージソフト事業では、国内市場においては、「デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王」(PS2)、「女神異聞録 デビルサバイバー」(DS)、「ペルソナ」(PSP)等を発売し、計画を上回る好調な販売実績をあげた一方で、北米市場は、「Persona4」(PS2)等を発売したものの、アメリカ市場全体の消費低迷の影響もあり、計画を若干下回った。
オンラインゲーム事業は、連結子会社(株)シーアンドシーメディアが展開するオンラインゲーム「パーフェクトワールド -完美世界-」、「夢世界 -武林外伝-」、「Legend of CHUSEN -誅仙-」が引き続き堅調に推移したものの、新規タイトルの課金開始の遅れも影響し、計画を若干下回る結果となった。
また、米国連結子会社のAtlus U.S.A.,Inc.が新たに参入するオンライン事業の先行投資なども利益を押し下げる一因となった。
 
業務用ゲーム関連事業
09年3月末をもって事業を廃止(一部の消耗品販売はコンテンツ事業として継続)。
 
アミューズメント施設関連事業
マシン投資や運営コストの見直し等、運営効率の改善に努めたものの、ロードサイド型単独店を中心にした既存店(前年同期比10.3%の減収)の苦戦が響いた。
 
 
第3四半期の3ヶ月間では、前年同期比14.5%の減収、同89百万円の経常利益となった。
 
 
 
業務用ゲーム関連事業における売掛・買掛の決済が進んだこと、および、減損処理等で固定資産が減少、また有利子負債の削減を進めたことから、資産全体のスリム化が進んだ。
 
 
法人税等の支払額が増加したものの(59百万円→262百万円)、運転資金が減少した事等で営業CFの黒字が増加。当期はアミューズメント施設関連事業における新規投資を抑えていることなどから、投資CFのマイナス幅も縮小し、フリーCFが大幅に改善した。この結果、有利子負債の削減を進めたものの、現金及び現金同等物の残高ほぼ前年同期並の水準を維持した。
 
2009年7月期業績予想
 
 
通期の業績予想に変更はなく、前期比11.4%の減収、同72.2%の経常減益予想。 家庭用ゲーム関連事業が伸びるものの、業務用ゲーム関連事業からの撤退や景気悪化によるアミューズメント施設関連事業の苦戦で売上高は同11.4%減少する見込み。売上高の減少と海外のオンラインゲーム事業における先行投資などから、営業利益は同60.8%減少する見込み。配当は無配。
 
 
取材を終えて
同社は、現在進行中の中期経営計画(09/7期~11/7期)において、業務用ゲーム関連事業及びアミューズメント施設関連事業の資産圧縮を進める一方、クオリティの高い「 IP(知的財産)」を世界へ広げるべく家庭用ゲーム関連事業において積極的な投資を行っていく考え。09/7期は再構築期との位置付けで、既存事業の再構築、高効率事業への経営資源の再配分、及び世界に通用するIPの開発、の3点に重点を置いて取り組んでいる。来10/7期は効率経営の実現を目指す期として海外展開を本格化し、11/7期は世界企業として一段の飛躍を図る。中期経営計画の進捗に期待したい。