ブリッジレポート
(2660)

ブリッジレポート:(2660)キリン堂 vol.10

(2660:東証1部,大証2部) キリン堂 企業HP
寺西 忠幸 会長兼社長
寺西 忠幸 会長兼社長

【ブリッジレポート vol.10】2010年2月期第1四半期業績レポート
取材概要「10/2期は厳しいスタートとなったが、既に寺西忠幸会長が社長を兼務する新体制が始動している。また、経営環境の変化に対応し、より一層の・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年7月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キリン堂
代表取締役会長兼社長
寺西 忠幸
所在地
大阪市淀川区宮原4-5-36
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年2月 106,695 1,781 2,030 500
2008年2月 106,098 2,321 2,530 804
2007年2月 72,803 1,312 1,651 577
2006年2月 66,690 1,308 1,574 753
2005年2月 58,165 745 985 414
2004年2月 48,281 1,084 1,283 607
2003年2月 39,144 1,095 1,215 577
2002年2月 33,274 868 982 253
2001年2月 28,192 718 742 341
2000年2月 25,537 535 596 309
株式情報(6/29現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
502円 11,331,440株 5,688百万円 4.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 4.0% 22.06円 22.8倍 906.72円 0.6倍
※株価は6/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
キリン堂の2010年2月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
関西圏を地盤とするドラッグストア大手。(株)ニッショードラッグ及び(株)ジェイドラッグの連結子会社2社とともに、和歌山県を除く関西地域、徳島県、石川県でドミナント戦略(特定地域内に集中出店することで経営効率を高めるとともに地域内でのシェアを向上させ、競争優位に立つ戦略)を進めており、2009年5月15日現在、グループで309店舗(FC3店舗を含む)を展開している。
 
 
この他、製造卸売事業として、連結子会社(株)健美舎が健康食品と医薬品の企画・販売を行っている。
 
<沿革>
1958年3月、薬局店舗営業と薬品製造業を目的に設立され、その後、ドラッグストアのチェーン展開を開始した。91年10月、大阪市にスーパードラッグストア第1号店をオープン以降、出店を強化、2007年2月期には200店舗を超えた。また、M&Aにも積極的に取り組み、2006年10月には四国地区での販売網の拡充の観点から(株)ジェイドラッグを、同年12月には同じ関西に地盤を置き営業基盤で補完性の高い(株)ニッショードラッグを、それぞれ買収。「2015年 500店舗」体制を目指し、グループ力の強化を進めている。
 
2010年2月期第1四半期決算
 
 
前年同期比0.1%の減収、同61.0%の経常減益。
改正薬事法への対応に加え、課題である収益率改善を推進すべく、来店促進の一環としてのクレジットカードの導入や販売価格の見直しを行う等、既存店の活性化に取り組んだ。しかしながら、消費者の買い控え傾向の強まりと企業間の競争激化により、来店客数が伸び悩んだ結果、売上高は前年同期比微減となった。既存店売上高はキリン堂が前年同期比2.5%減(計画:同0.4%増)。内訳は客数が同5.1%減、客単価が同2.8%増。ニッショードラッグが同4.4%減(計画:同0.2%減)。内訳は客数が同7.1%減、客単価が同2.9%増。
 
小売事業    売上高25,342百万円(前年同期比 0.1%減)
内部売上控除後企業別売上高
キリン堂
19,275百万円
(寄与度439百万円)
 
ニッショードラッグ
5,974百万円
(同 △ 341百万円)
 
ジェイドラッグ
91百万円
(同 △ 117百万円)
製造卸事業   売上高  47百万円(前年同期比20.5%減)
利益面では、コストコントロールに注力した結果、販管費が計画内にとどまったものの、消費者の節約志向の高まりから利益率の高い商品の売上が伸び悩んだ事等による売上総利益の減少を補うにはいたらず、営業利益は同72.9%減少した。四半期純損失となったのは、営業店内の商品在庫の評価方法を従来の売価還元原価法から売価還元低価法へ変更した事に伴いたな卸資産評価損919百万円など特別損失985百万円を計上したため。

第1四半期末のグループ店舗数は309店舗。同社がスーパードラッグストアを大阪府に1店舗出店する一方、連結子会社(株)ニッショードラッグがスーパードラッグストア1店舗を閉店した。また、同社の25店舗、連結子会社の78店舗、合計103店舗において、改正薬事法施行に伴うレイアウト変更等の簡易改装を実施した。
 
 
花粉症や新型インフルエンザ関連商品の販売好調により医薬品が増加したほか、1店舗当たりの処方箋受付枚数の増加により調剤売上高も増加した。一方、化粧品、雑貨等はニッショードラッグの店舗閉鎖等の影響で減少。PB比率は、キリン堂が前年同期の9.6%から9.8%に、ニッショードラッグが同8.3%から11.2%に、それぞれ上昇した。
 
(3)キリン堂とニッショードラッグの品目別売上総利益率
キリン堂の売上総利益率は21.7%と前年同期比0.4ポイント改善。販売価格の見直しや利益率の高い商品の売上の伸び悩等で医薬品、健康食品、化粧品、育児用品の利益率が低下したものの、雑貨等及び調剤売上高の利益率が改善した。一方、ニッショードラッグは26.0%と同0.8ポイント悪化。調剤売上高を除く全ての品目が低下した。
 
 
キリン堂の店舗の増加で人件費率、営業費率、施設費率がアップした。一方、販売費を除く各科目はいずれも期初計画を下回った。
 
 
前期末と比較して、財政状態に大きな変化は無い。借方では、現預金や売上債権が増加する一方、たな卸資産や償却によりのれんが減少。貸方では、有利子負債が13,586百万円と1,415百万円減少したほか、四半期純損失となった事で純資産が減少した。
 
 
在庫コントロールが進んだことや支払い税額の減少で営業CFが大幅に増加。設備投資を絞り込んだこと等による投資CFの改善もあり、フリーCFが大幅に改善した。
 
2010年2月期業績予想
 
上期、通期ともに業績予想に変更はない。
 
 
前年同期比3.8%の増収、同3.0%の経常増益予想。
既存店売上高の前提は、キリン堂が同0.4%増、ニッショードラッグが同0.3%増。出退店は、出店2店舗、退店3店舗。のれん償却208百万円、及び特別損失1,250百万円(内、たな卸資産評価損919百万円)を織り込んだ。
 
 
前期比5.2%の増収、同28.0%の経常増益予想。
既存店売上高の前提は、キリン堂が同2.2%増、ニッショードラッグが同0.6%増。出退店は、出店11店舗、退店3店舗。のれん償却420百万円、及び特別損失1,700百万円(内、たな卸資産評価損919百万円)を織り込んだ。
 
 
前期比0.3%の減収、同20.9%の経常増益予想。
既存店売上高は同0.6%増(上期:前年同期比0.3%増、下期:同0.9%増)。出店は下期2店舗、退店は4店舗(上期2店舗、下期2店舗)。特別損失300百万円(内、たな卸資産評価損218百万円)を織り込んだ。
 
業績予想の達成に向けて
 
 
 
取材を終えて
10/2期は厳しいスタートとなったが、既に寺西忠幸会長が社長を兼務する新体制が始動している。また、経営環境の変化に対応し、より一層の経営戦略の充実を図るべく、組織変更も行なった。具体的には、マーケティング戦略室の新設により売り方を含めた総合的な新商品開発に取り組んでいくほか、ドラッグ運営部内の変更により、不振店対策を強化するとともに、調剤や周辺業務(医療モール事業等)の強化・推進にも取り組んでいく考えだ。
足下の厳しい事業環境や利益率改善の遅れを考えると、前期比5.2%の増収、同28.0%の経常増益を目指す通期の業績予想の達成は容易でない。ただ、通期業績に占める第1四半期のウエートは小さいため、第2四半期以降の頑張りいかんでリカバリーは可能であろう。