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(2426)

ブリッジレポート:(2426)ピーアンドピー vol.2

(2426:JASDAQ) ピーアンドピー 企業HP
山室 雅之 社長
山室 雅之 社長

【ブリッジレポート vol.2】2010年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「業績の悪化で販促費用やアウトソーシングの利用を絞り込む企業が多く、人材サービス業界は依然として先行き不透明な状態が続いている。しかし・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年8月11日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピーアンドピー
社長
山室 雅之
所在地
東京都新宿区新宿3-27-4
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 18,853 635 642 372
2008年3月 15,808 822 827 404
2007年3月 14,056 678 684 340
2006年3月 6,075 269 255 133
2005年3月 4,667 312 295 156
2004年3月 3,637 281 270 110
2003年3月 2,586 171 172 93
2002年3月 1,891 151 158 28
株式情報(8/6現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
23,900円 103,379株 2,471百万円 13.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
900.00円 3.8% 3,414.62円 7.0倍 26,633.08円 0.9倍
※株価は8/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピーアンドピーの2010年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
携帯電話、デジカメや薄型TV等のデジタル家電、或いは食品等、様々な商品の販売促進活動を受託するセールス・プロセス・アウトソーシング(SPO)を中心に、小売店向け棚卸サービス等も手掛けている。全国に広がるサービスネットワークと、接客マナー研修、販売技術研修、商品知識研修などスタッフのスキルアップを支援する充実した教育・研修システムを強みとする。また、取引先も幅広く、最大手のKDDI(株)でも売上高全体の8.9%を占めるに過ぎない(上位10社で38.5%にとどまる)。
グループは、同社の他、棚卸サービスの(株)ピーアンドピー・インベックス(以下、PPI)、携帯ショップへの人材派遣事業拡大のため08年6月に資本参加した(株)ジャパンプロスタッフ(同、JPS)、及び(株)ピーアンドピーコンシューマーズ(同、PPC)の連結子会社3社(この他、09年7月1日付けで、一般事務及びコールセンター事業に強みを持つ株式会社プレミア・スタッフの全株式を取得した)。

1987年1月、メーカーの商品販売促進活動の支援を目的に設立。2000年8月に一般労働者派遣事業の許可を、03年10月に事業分野拡大を目的に有料職業紹介事業の許可を、それぞれ取得。04年12月、JASDAQに株式を上場した。現在、全国31の主要都市に展開しており、北海道から沖縄まで国内一斉のセールスプロモーションがワンストップで実現できる。
 
<サービス内容>
(1)モバイル・デジタル関連サービス
・セールススタッフ   :日時、キャンペーン形態等に応じて販売員を派遣・業務請負
・キャンペーンスタッフ :年末年始、シーズン毎にキャンペーンスタッフを派遣・業務請負
・ラウンダー      :店舗に出向き、販売状況やスタッフ等を管理する管理者の派遣・業務請負
(2)ストア支援サービス
・レジスタッフ     :レジスタッフ、レジトレーナーの派遣・業務請負、マニュアル作成等
・生鮮技術スタッフ   :生鮮加工技術と現場管理能力を備えたプロフェッショナルを派遣・業務請負
・デモ・スタッフ    :店頭での試食販売、キャンペーン等の販促活動支援スタッフの派遣・業務請負
(3)人材サービス
銀行・クレジットカード会社等のカード加入促進、コールセンター業務、事務・IT人材派遣、流通・小売業を中心とする人材紹介等。
(4)棚卸サービス
棚卸業務を代行し、業務の効率化と営業時間の有効活用を実現。365日、24時間体制で多様なニーズに対応。
 
2010年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比4.5%の減収、同27.1%の経常減益となった。
モバイル分野でのFMC関連の高スキルスタッフに対するニーズの高まりやエコポイント制度導入効果によるデジタル分野での需要底打ち等でモバイル・デジタル関連の売上が増加したものの、景気悪化や改正労働者派遣法の影響を受けたストアサービスや人材サービスの落ち込みをカバーできなかった。
利益面では、売上高の減少と利益率の高いキャンペーン案件の減少等による利益率の低下で売上総利益が減少、採用教育費の削減やグループ全体の管理部門統合によるコストの削減により販管費の圧縮が進んだものの、営業利益は同27.0%減少した。四半期純利益の減少幅が大きいのは、JPSの事務所移転費用等を特別損失に計上した事や税負担率の増加による。
 
 
モバイル・デジタル関連サービス  売上高:2,589百万円(前年同期比9.4%増)
移動体通信分野では、移動電話の4月~5月の国内出荷台数が4,617千台と前年同期比67.9%減少したものの(注.1)、各通信事業社で推進している光回線とのセット販売に伴うサービスの複合化や顧客獲得競争の激化により高スキルスタッフに対するニーズが高まっている。一方、家電業界においては、エコポイント制度の導入により、09年6月の薄型テレビの販売台数が前年同月比140.5%と大きく伸びた(注.2)他、冷蔵庫・エアコンにおける消費者の購買意欲も徐々に戻りつつある。また、家電量販店等の店頭においては、新たに導入されたエコポイント制度に対する説明ニーズも急速に高まっている他、一時期落ち込んだ利益率の高いキャンペーン案件も回復傾向にあると言う。
 
注.1 (社)電子情報技術産業協会「2009年5月 移動電話国内出荷台数実績 月次推移」
注.2 (株)BCN 市場動向分析
 
ストア支援サービス    売上高: 782百万円(前年同期比26.9%減)
食料品関連企業は、販売促進支援サービスに対して「全国一括」で「統一したサービス」を求める傾向を強めている。このため、同社のビジネスチャンスも拡大しているが、第1四半期は、大手GMS及びスーパー等の業績悪化や生鮮技術者の派遣制限期間(改正労働者派遣法の規定による最長3年)の満了等の影響を受けて技術者派遣及びレジ請負・派遣のニーズが減少した。
 
人材サービス       売上高: 309百万円(前年同期比32.6%減)
昨年から続く一般事務派遣の人材需要の減少で第1四半期の売上高は減少した。しかし、新たに進出したメディカル分野では、09年6月1日の薬事法改正を受けて、薬剤師・登録販売者の派遣ニーズが従来の調剤薬局・ドラッグストアに加え、スーパーや家電量販店等の異業種分野でも高まっており、中期的な見通しは明るい。
 
棚卸サービス       売上高: 499百万円(前年同期比 3.3%増)
業績が悪化した一部の大型店で需要の鈍化が見られたものの、コンビニエンスストア(以下、CVS)の棚卸のニーズは引続き強く、全般には堅調な推移となった。
 
 
キャンペーン案件の減少もありアウトソーシングの売上構成比が40%を割り込んだが、2009年問題等を受けて派遣化の流れが一巡しつつあるため、今後は構成比が高まっていくと同社では見ている。
 
 
東日本地区がモバイル・デジタルを中心に堅調に推移したものの、人材サービスの比率が高い西日本地区の売上が大きく減少した。モバイル・デジタルの強化で、西日本地区のてこ入れを図る考え。
 
(5)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第1四半期末の総資産は4,687百万円と前期末比241百万円減少した。法人税や配当等の支払いを行ったものの、期末を越えて売上債権の回収が進んだ事や有価証券を現金化した事等で現預金が増加した。借入金など有利子負債に依存する事の無い健全な財政状態が維持されている。また、資金効率の改善により営業CFも増加した。
 
 
 
トピックス -株式会社プレミア・スタッフの株式取得(子会社化)-
 
(1)子会社化の経緯と目的
同社は、09年7月1日付で、ラディアホールディングス株式会社(以下、ラディアホールディングス)の連結子会社で、一般事務及びコールセンター事業に強みを持つ株式会社プレミア・スタッフ(以下、プレミア・スタッフ)の全発行済株式を195百万円で取得した。

プレミア・スタッフの子会社化は、同社グループの規模の拡大につながる他、一般事務・コールセンター分野の体制強化、未取引クライアントの開拓、未出店エリアの拡充等、多くのシナジーが期待できる。一方、ラディアホールディングスは、今回の子会社株式売却によりグループの事業再編を進め、技術者派遣事業に経営資源を集中する考え。

尚、ラディアホールディングス・グループが保有していたプレミア・スタッフ向けの貸付債権(額面105百万円)も、株式の取得時に譲受した。
 
 
これまでは、管理面等で依存していた親会社 ラディアホールディングスへ払っていたグループ負担金が重かったが、ピーアンドピーの傘下に入った事でこの負担が大幅に減少した為、事務所移転等でコスト削減も進む。当初はシステム投資や拠点の統合及び移転等のコストが先行するものの、今期中には黒字転換し、通期の損益がほぼ均衡する見込み。来期以降は、利益貢献が期待できる。
 
2010年3月期業績予想
 
プレミア・スタッフの連結子会社化(09年7月1日から連結対象)に伴い、上期及び通期の売上高予想を上方修正した。利益予想を据え置いたのは、利益率の高いキャンペーン案件の減少により第1四半期の利益率が予想以上に低く推移した事に加え、プレミア・スタッフと同社との早期のシナジー発揮を目的にしたシステム投資、拠点統合及び移転により、第2四半期以降、一時的に販管費がかさむため。
 
 
前年同期比43.7%の増収、同17.4%の経常増益予想。
プレミア・スタッフの売上高として16億円が織り込まれており、これを除いた実質ベースでは同10.0%の増収。利益率の高いキャンペーン案件の増加が実質二桁増収の要因で、プレミア・スタッフの子会社化に伴う先行投資負担を吸収して営業利益は同20.7%増加する見込み。
同社は、営業面での企画提案力の強化、及び全国の営業部門の意思統一と営業力の強化を目的に、4月1日付けで営業企画部を新設した。第1四半期末にかけて積極的な提案営業の成果が早くも現れつつあり、デジタル関連の全国キャンペーンの受注に成功した他、様々な商材で全国規模の大型案件の商談が増えている。
 
 
 
取材を終えて
業績の悪化で販促費用やアウトソーシングの利用を絞り込む企業が多く、人材サービス業界は依然として先行き不透明な状態が続いている。しかし、同社においては、提案営業の成果が現れつつあり、全国規模のキャンペーンなど大型の商談が増えている。第2四半期以降、これらの案件の業績寄与が見込まれる上、子会社化したプレミア・スタッフも今期中には黒字転換する見込みで、来期は利益貢献が期待できる。このため、同社の業績は第2四半期から第3四半期かけて底打ちし、来期以降、再び成長軌道に乗る可能性が高いと考える。