ブリッジレポート
(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.3】2010年6月期上期業績レポート
取材概要「上期決算は厳しい事業環境を反映したものとなったが、期初の想定に比べると事業環境は改善しているようだ。「売上計上の前倒し」が上期の業績上振・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年2月23日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
事業内容
ソフト開発会社。クレジットカード決済システム首位。内部情報漏洩対策関連(CWAT)再強化
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(2/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
19,000円 246,782株 4,689百万円 4.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500.00円 2.6% 713.18円 26.6倍 16,385.06円 1.2倍
※株価は2/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
インテリジェント ウェイブの2010年6月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムに強みを持つソフトウェア開発会社。リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、更には高度なセキュリティ技術を技術的な基盤としており、証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する他、カード不正利用検知システムや内部情報漏洩対策システム等も手がける。
グループは、同社の他、米国の販売子会社と韓国の開発・販売会社子会社の2社(いずれも連結子会社)。
 
<事業内容>
事業は、カードビジネスのフロント業務、システムソリューション業務、及びセキュリティシステム業務に分かれ、09/6期の売上構成比は、それぞれ46.7%、37.3%、16.0%。
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社、銀行、大手小売業等向けに、自社開発パッケージ「NET+1」をベースにしたカード決済ネットワークシステムの構築を行い、大手クレジットカード会社向けではシェア70%の実績を誇る。
 
システムソリューション業務
証券取引所等から提供される市況データ等を素早く社内の各端末に配信する市況情報配信システム「FACE」、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」等の自社製品及び他社製品(海外商品)を用いたシステム構築を行っている。
 
セキュリティシステム業務
自社製品である内部情報漏洩対策システム「CWAT」の他、USBメモリ「Cstickシリーズ」やウイルス対策ソフト「Virus Chaser」といった他社製品の販売を行っている。
 
※カードビジネスのフロント業務の特徴
クレジットカードの利用に際しては、その都度、与信限度額や返済状況の確認作業が行われ、また、キャッシシングの際には口座残高の確認も必要となる。こうした確認作業はネットワークを介してリアルタイムで行われ、特にクレジットカードの場合、世界的なネットワークを介しての作業となる。また、システムが止まるとカードが使えなくなるため、24時間365日システムを止めないための技術やノウハウも必要だ。つまり、同社のビジネスには、リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、ノウハウ、そして何よりも顧客となる金融機関等からの信頼性が不可欠なため参入障壁は高い。
また、技術やネットワークの進歩に加え、様々な社会犯罪等への対応で更新需要が絶えず発生しており、振れはあるものの趨勢的に市場の拡大が続いている。
 
 
2010年6月期上期決算
 
 
売上の前倒し計上と受注好調で売上・損益共に期初予想を大幅超過
厳しい事業環境が続いたものの、主要取引先であるクレジットカード、証券、金融の各業界において、システム投資に動きが出てきた。上期決算の発表に先立つ2月3日に上期の業績予想を上方修正したが、売上の面では、下期に売上計上を予定していた一部の案件の検収が前倒しで完了した事と、期中受注・期中売上の案件が当初の予想を上回った事がその要因。未だ水準が低い事と新規受注案件についても小規模である事から、楽観するには時期尚早だが、顧客のシステム投資に徐々に動きが出てきたようで明るさが見えてきた。利益面では、売上の上振れに加え、自社パッケージの売上構成比が上昇した事やプロジェクト管理の厳格化、更には研究開発費の抑制もあり、カードビジネスのフロント業務とシステムソリューション業務において営業利益率が改善、389百万円を予想していた営業損失が4百万円にとどまった。四半期純損益が55百万円の黒字となったのは、匿名組合投資利益138百万円を特別利益に計上したため。
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高は前年同期比26.6%減の1,196百万円、営業利益は同20.3%減の421百万円。過払い金の返還等でクレジットカード会社各社の経営は厳しい状況が続いており、システム投資を全般に抑制する傾向が強い。また、改正貸金業法及び改正割賦販売法への対応を迫られている事も、フロント業務関連の投資が低調な一因。ただ、ネット銀行向けに自社開発パッケージの売上が計上されており、下期の開発売上の計上が見込まれる。
 
個別ベースでの主なサブセグメントの増減(個別と連結のセグメント売上高は同額)
ソフトウェア開発  874百万円 → 610百万円
自社パッケージ    71百万円 →  36百万円
保守売上      203百万円 → 200百万円
ハードウェア販売  460百万円 → 319百万円
 
システムソリューション業務
売上高は前年同期比0.9%増の792 百万円、営業利益は同216.1%増の122百万円。東証の新売買システム「arrowhead」の稼動に伴い自社パッケージである高性能メッセージ連携ミドルウェア「RIX」の販売が順調に推移。クレジットカード会社向けハードウェアの販売も寄与した。
 
個別ベースでの主なサブセグメントの増減(個別と連結のセグメント売上高は同額)
ソフトウェア開発  550百万円 → 451百万円
自社開発パッケージ  25百万円 →  60百万円
保守売上      104百万円 → 137百万円
ハードウェア販売   5百万円 →  81百万円
 
セキュリティシステム業務
売上高は前年同期比46.7%減の188 百万円、営業損失280 百万円(前年同期は196 百万円の損失)。(株)村田製作所との間で情報漏洩対策システム「CWAT」の大型商談が進んでいるものの、業績への寄与は新年度予算が執行される4月以降になる見込み。
 
個別ベースでの主なサブセグメントの増減
(個別ベースの当セグメントの売上高は09/6期上期:354百万円、10/6期上期:188百万円)
ソフトウェア開発   68百万円 → 13百万円
自社開発パッケージ  110百万円 → 37百万円
保守売上       113百万円 → 105百万円
仕入商品       53百万円 → 28百万円
 
 
上期末の受注残高が前年同期を下回っているものの、正式な受注には至っていないが、上期に販売した自社パッケージ関連の開発が見込まれる等(一部、先行して着手している案件もある)、実質的にはほぼ前年同期並の受注残を確保している。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比171百万円減の4,840百万円。借方では、期中受注・期中売上の増加で売上債権やたな卸資産が増加したものの、運転資金の増加で現預金が減少した他、投資有価証券(売却による)や繰延税金資産が減少。貸方では、商品売上の減少等で仕入債務が減少した他、配当金の支払で純資産も減少した。
CFの面では、上期末にかけての期中受注・期中売上の増加による運転資金の増加で営業CFが248百万円のマイナス(前年同期は79百万円の黒字)となったものの、匿名組合出資金の払戻による収益等で投資CFが279百万円の黒字(同68百万円のマイナス)となり、フリーCFは31百万円の黒字(同11百万円の黒字)となった。
 
 
2010年6月期業績予想
 
(1)業績予想
通期業績予想に変更は無く、前期比9.5%の減収、同30.7%の経常減益予想。下期は東証の新売買システム対応関連の需要一巡によりシステムソリューション業務の売上が前年同期比で減少するものの、改正割賦販売法のリボルビング規制に対応した案件等でカードビジネスのフロント業務が伸びる他、セキュリティシステム業務も大型案件の収益寄与が徐々に始まる。売上の増加とプロジェクト管理の徹底による利益率の改善により、前期比では営業減益ながら、上期比では営業損益が大幅に改善する見込み。配当は、1株当たり500円の期末配当を予定。
 
 
 
(2)下期の事業環境と取り組み
同社では、システム投資がプラス成長へ転換するのは、金融機関や製造業等の投資が本格的に回復する2011年以降と考えているが、足下、競争力強化に向けた投資が動き始めている。こうした中、ユーザー企業は、ビジネス環境の変化に伴う業務の見直しを行う上で、個別のシステムの改善にとどまらず全体最適化に必要な支援を求めている。このため、同社では、全社営業を集中し新規案件開拓強化と下期案件の確実な達成を図るため、2010年1月1日付けをもって、営業本部を新設し各事業部内の営業部を統合。新組織体制の下、来期以降の受注拡大に向けた次に示す取り組みを推進する。
 
.ードビジネスのフロント業務
・下期の取組み
ネット銀行のシステム案件の受注強化
小口海外送金事業のシステム案件受注
改正割賦販売法対応システム開発受注
・中期的な取組み
大型化する案件に対するプロジェクトマネジメントの徹底
 
 
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・下期の取組み
大証次世代システム対応案件の受注強化
(東証新システム対応案件の実績をアピールし、市況情報配信システム「FACE」の販売につなげる)
クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」を中心にしたカード会社向け業務システム販売の推進
・中期的な取組み
新製品・新市場の開拓強化
 
 
セキュリティシステム業務
下期の成約に向けて、現在進行中の大型商談に注力する。また、中期的には、コンサルティングサービス・サービスを強化すると共に、大日本印刷との提携を生かし、1月にフルバージョンを発売した「EUC Secure」の拡販を図る。
 
ち桓凖な取組み
・組織力強化
営業本部の新設と社員スキルの向上により、急激な環境変化にも対応できる筋肉質な体制作りを進める。
・周辺業務システムの受注拡大
業務経験者の採用とサービスビジネスの拡大により「IT×業務」を強化する。
 
・海外戦略
エリア特性に応じた販売戦略を進める中で、アジア市場向けシステム開発を強化する。
 
 
 
大日本印刷(株)による株式の公開買付
 
(株)インテリジェント ウェイブとの更なる関係強化を図るために、大日本印刷(株)が株式の公開買付け(以下、TOB)を実施する事となった。(株)インテリジェント ウェイブは、このTOBの買付価格その他の条件、安定した株主関係の構築のメリット、更には大日本印刷(株)との間に生じるシナジー等が(株)インテリジェント ウェイブの企業価値ひいては株主共同の利益の向上に資すると判断しTOBに賛同。保有する自己株式16,618株(発行済株式総数の約6.31%)をもってTOBに応募する考えだ。
 
買付け等の期間  2010年2月12日(金)〜同年4月2日(金)(35営業日)
買付け等の価格  普通株式1株につき、金26,100円
 
尚、大日本印刷(株)は、過去(08年8月20日〜同年9月18日)にも(株)インテリジェント ウェイブ株式のTOBを試みたが、応募がTOBの成立に必要な下限株数に達しなかったため成立しなかった(買付予定株数に上限及び下限を設定していた)。このため、今回は上限数及び下限株数を設定しない。応募株数によっては上場廃止となる可能性があるが、大日本印刷(株)、(株)インテリジェント ウェイブ共に、TOB成立後の上場維持を前提としており、本公開買付けの結果により、ジャスダック証券取引所の上場廃止基準に抵触する恐れがある場合には、両社で上場廃止を回避するための方策について速やかに協議する予定。

既に両社は、大日本印刷(株)が持つIC カードを使った機器や設備へのアクセスを管理するセキュリティ技術と(株)インテリジェント ウェイブが持つ情報へのアクセスを管理するセキュリティ技術を融合し、より強固なセキュリティサービスを提供するための業務提携や人事交流を行っており、2009年10月に発売したオフィス文書等のデータへのアクセス管理を行う新製品「EUC Secure」の協同販売にも取り組んでいる。今後、「SSFC(Shared Security Formats Cooperation)」をはじめとしたセキュリティ関連ビジネスも強化していく考え。
尚、「SSFC」とはICカードのデータフォーマットの事。FeliCa等のICカードシステムを用いた社員の個人認証に加え、プリンター等のOA機器とICカードの認証システムとの連携による重要書類の管理といった、セキュアなオフィス体制の構築を目指しており、「SSFC」を推進する業界団体の事務局長を大日本印刷が務めている。
 
 
取材を終えて
上期決算は厳しい事業環境を反映したものとなったが、期初の想定に比べると事業環境は改善しているようだ。「売上計上の前倒し」が上期の業績上振れの一因だが、顧客がシステム投資を前倒しで進めているために検収が早まったわけで、期中受注・期中売上の好調と合わせて事業環境の好転を意味するものと考えて良い。上期末時点では前年同月の水準を下回っていた受注残高も、足下では上回っている模様。厳しい事業環境が続いている事に加え、セキュリティ業務が顧客の新年度予算の組み方で振れる可能性はあるものの、通期業績の上振れ期待は高まっている。大日本印刷(株)による同社株の公開買付も、経営の更なる安定とセキュリティ業務の強化につながり同社の潜在成長力を高めるものと考える。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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