ブリッジレポート
(2426)

ブリッジレポート:(2426)ピーアンドピー vol.4

(2426:JASDAQ) ピーアンドピー 企業HP
山室 雅之 社長
山室 雅之 社長

【ブリッジレポート vol.4】2010年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「業績が回復傾向にある事は確かだが、想定したほどの回復ペースではないように思われる。新年度商戦の需要次第といった面はあるものの、通期の・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年3月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピーアンドピー
社長
山室 雅之
所在地
東京都新宿区新宿3-27-4
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年3月 18,853 635 642 372
2008年3月 15,808 822 827 404
2007年3月 14,056 678 684 340
2006年3月 6,075 269 255 133
2005年3月 4,667 312 295 156
2004年3月 3,637 281 270 110
2003年3月 2,586 171 172 93
2002年3月 1,891 151 158 28
株式情報(2/23現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
18,200円 103,379株 1,881百万円 13.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
900.00円 4.9% 1,934.63円 9.4倍 26,758.21円 0.7倍
※株価は2/23終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピーアンドピーの2010年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
携帯電話、デジカメや薄型TV等のデジタル家電、或いは食品等、様々な商品の販売促進活動を受託するセールス・プロセス・アウトソーシング(SPO)を中心に、小売店向け棚卸サービス等も手掛けている。全国に広がるサービスネットワークと、接客マナー研修、販売技術研修、商品知識研修などスタッフのスキルアップを支援する充実した教育・研修システムを強みとする。また、取引先も幅広く、最大手のKDDI(株)でも売上高全体の8.9%を占めるに過ぎない(上位10社で38.5%にとどまる)。
グループは、同社の他、棚卸サービスの(株)ピーアンドピー・インベックス(以下、PPI)、携帯ショップへの人材派遣を手掛ける(株)ジャパンプロスタッフ(同、JPS)、一般事務及びコールセンター事業に強みを持つ(株)ピーアンドピー・キャリア(同、PPC)、及びPPIの100%子会社である迎倍客股有限公司(台北市)。
1987年1月、メーカーの商品販売促進活動の支援を目的に設立。2000年8月に一般労働者派遣事業の許可を、03年10月に事業分野拡大を目的に有料職業紹介事業の許可を、それぞれ取得。04年12月、JASDAQに株式を上場した。現在、全国31の主要都市に展開しており、北海道から沖縄まで国内一斉のセールスプロモーションがワンストップで実現できる。
 
<サービス内容>
モバイル・デジタル関連サービス
・セールススタッフ  :日時、キャンペーン形態等に応じて販売員を派遣・業務請負
・キャンペーンスタッフ:年末年始、シーズン毎にキャンペーンスタッフを派遣・業務請負
・ラウンダー     :店舗に出向き、販売状況やスタッフ等を管理する管理者の派遣・業務請負
ストア支援サービス
・レジスタッフ    :レジスタッフ、レジトレーナーの派遣・業務請負、マニュアル作成等
・生鮮技術スタッフ  :生鮮加工技術と現場管理能力を備えたプロフェッショナルを派遣・業務請負
・デモ・スタッフ   :店頭での試食販売、キャンペーン等の販促活動支援スタッフの派遣・業務請負
人材サービス
銀行・クレジットカード会社等のカード加入促進、コールセンター業務、事務・IT人材派遣、流通・小売業を中心とする人材紹介等。
棚卸サービス
棚卸業務を代行し、業務の効率化と営業時間の有効活用を実現。365日、24時間体制で多様なニーズに対応。
 
 
2010年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比16.6%の増収、同48.6%の経常減益(前年同期比は決算短信の数値を採用)
事務派遣・コールセンター派遣を中心とするピーアンドピー・キャリア(以下、PPC)の子会社化効果で人材サービスが伸びた他、子会社が手掛ける棚卸サービスの売上も増加したが、デジタル分野の苦戦で主力のモバイル・デジタルの売上が減少した他、大手GMS・スーパー等の業績悪化や生鮮技術者の抵触日の影響等で、ストアサービスの売上も落ち込んだ。利益面では、一部クライアントの販促費削減による利益率の高いキャンペーン案件の減少や、PPC及び10月に吸収合併した子会社(株)ピーアンドピー・コンシューマーズの事業再編等により売上総利益率が悪化。グループ全体で諸経費の削減を進めたものの、営業利益は同48.4%減少した。尚、四半期純利益が23百万円にとどまったのは、事業構造改善費用等99百万円を特別損失に計上した事と税負担率の上昇による。
 
 
PPCの子会社化効果で人材サービスが伸びた他、業務の効率化・人件費の抑制を目的とした外部棚卸委託ニーズを背景に子会社が手掛ける棚卸サービスの売上も増加したが、主力のモバイル・デジタルの売上が減少した他、大手GMS・スーパー等の業績悪化や生鮮技術者の抵触日の影響等で、ストアサービスの売上も落ち込んだ。
モバイル・デジタルでは、携帯電話端末の2 年間の割賦契約終了時期の到来に伴う端末の買替やMNP(Mobile Number Portability:契約している電話会社を変更しても、従来の電話番号を引き続き使用できる制度)の促進に対する販売支援やデータカードの販売促進支援等でモバイル分野の売上が前年同期比9.2%増加したものの、一部クライアントの案件縮小等によるデジタル分野の減収の影響をカバーできなかった。また、ストアサービスでは、大手GMS及びスーパー等の業績悪化や生鮮技術者の抵触日の影響を受け、技術者派遣及びレジ請負・派遣のニーズが減少した。
 
 
事業の91%以上を派遣事業が占めるPPCの子会社化で人材派遣の売上が大きく伸びた。
 
 
(5)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比628百万円増の5,556百万円。有利子負債に依存しない健全な財政状態が維持されている。主な増加要員は、年末にかけての売上の増加で売上債権、仕入債務、預り金が増加した他、有価証券の現金化で現預金が増加。また、PPCの子会社化に伴うのれんの増加で無形固定資産も増加した。
CFの面では、利益の減少と年末にかけての運転資金の増加で営業CFが減少。M&A関連の支出の減少で投資CFのマイナスが減少したものの、フリーCFは84百万円のマイナスとなった。財務CFの減少は配当の支払による。
 
 
 
2010年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更は無く、前期比20.9%の増収、同25.2%の経常減益予想
期末にかけてモバイル・デジタルを中心に新年度商戦関連の需要が見込まれる他、ストアサービスにも底打ち感が出てくる見込み。利益面では、増収効果に加え、子会社の事業再編効果も徐々に顕在化してくる見込みで営業利益率の改善が進む。配当は、1株当たり50円増配の900円を予定している。
 
 
 
取材を終えて
業績が回復傾向にある事は確かだが、想定したほどの回復ペースではないように思われる。新年度商戦の需要次第といった面はあるものの、通期の業績予想を達成するためのハードルが若干高いかも知れない。しかし、その一方で、第4四半期の販管費にはかなり余裕を持たせているようで、収益性の改善を十分に織り込んでいない。このため、仮に売上が下振れしたとしても、利益面ではほぼ予想に沿った着地になるのではないか。もっとも、既に業績モーメンタムは好転しており、来期は増益に転じる可能性が高い。株価が反応するとしたら、今期の着地点よりも、来期の利益水準であろう。