ブリッジレポート
(3034:大証ヘラクレス) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.7】2010年3月期業績レポート
取材概要「少子高齢化の進展、薬剤の長期投与等を背景に医療費は増加傾向にあり、今後、ジェネリック医薬品の推進やスイッチOTCの進行等、医療費抑制策の・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年6月15日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。全国に約270店舗を展開。同業・異業種との積極的なアライアンスを推進。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 56,305 2,001 2,003 828
2009年3月 49,010 1,502 1,482 653
2008年3月 38,002 1,295 1,278 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(6/9現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
91,100円 123,744株 11,273百万円 8.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,000.00円 1.1% 6,943.97円 13.1倍 79,310.58円 1.1倍
※株価は6/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
クオールの2010年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
主に民間病院・クリニックを対象とした調剤薬局をチェーン展開している。「“クオリティ オブ ライフ”の向上」を企業信念として掲げ、社名の「クオール」もこれに由来する。首都圏中心に東北、中部、北陸、関西に店舗展開しており、出店は常に医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除している。また、地域に根ざした店舗運営を進めると共に、従来の調剤薬局のイメージを一新するような外観や明るく快適な店舗づくりで差別化を図っている。この他、医薬品治験関連(SMO)事業や薬のパンフレット作成等を手掛ける出版事業も手掛けており、10/3期の売上構成は、調剤薬局を展開する保険薬局事業が95.7%、医薬品治験関連(SMO)事業が0.6%、出版事業が3.5%、薬剤師を中心とした労働者派遣・紹介の派遣事業が0.1%。10年3月末現在のグループ店舗数は274店舗。
 
<沿革>
92年10月、調剤及び医薬品の販売を目的に設立された。03年5月、子会社フェーズオン(株)を設立し、医薬品治験関連(SMO)事業に参入。07年1月には、第一製薬(現:第一三共)傘下の第一メディカル(株)(現メディカルクオール)の全株式を取得し、医療・医薬情報資材の制作関連事業を開始した。06年4月、大証ヘラクレスに株式を上場し現在に至る。
 
<クオールグループ>
グループは、同社の他、下記の連結子会社11社、及びその他の関係会社2社で構成されている。
 
保険薬局事業(クオール及び連結子会社7社)
同社が、主に中規模の民間病院・クリニック(処方せん応需枚数100枚/日前後)の門前を中心に東北、関東、関西等、全国へ展開しているのに対して、子会社の(株)福聚、(株)イムノファーマシー大阪(08年7月子会社化)、クオール東日本(株)(08年8月設立)の3社がクリニック等の門前薬局として展開。事業エリアは、(株)福聚が首都圏、(株)イムノファーマシー大阪が関西、クオール東日本が東北。この他、(株)お茶の水調剤薬局(08年10月持分法適用→連結子会社)、クオール関東(株)(09年2月設立)、医療事務受託の医療総合研究所。
 
その他事業(連結子会社4社)
医療・医薬情報資材制作関連事業を手掛けるメディカルクオール(株)、医薬品治験関連(SMO)事業のフェーズオン(株)の他、労働者派遣・紹介事業のクオールメディス(株)(08年12月設立)、社内業務代行事業(「障害者雇用の促進」を目的とした特例子会社)のクオールアシスト(株)(09年2月設立)。
 
 
<ジーエムキュー(株)の設立>
グローウェルホールディングス株式会社(以下、グローウェルHD)及び株式会社メディパルホールディングス(以下、メディパルHD)との共同出資により、超高齢社会に対応した新業態薬局の企画・運営及び薬剤師教育等を行う新会社ジーエムキュー株式会社を5月6日に設立した。
同社と上記2社は本年1月29日に業務提携契約書を締結し、その後、調剤薬局とドラッグストアの融合による新業態薬局の開発、薬剤師教育の共有化等、それぞれの会社が持つ経営資源の有効活用について具体的な内容の協議を進めてきたが、今後、ジーエムキュー(株)によって、検討してきた内容を事業化していく。
調剤薬局市場においては、今後、処方箋の流れが「門前型薬局」から顧客の生活圏で薬を受け取る「面分業対応薬局」へ移行していくものとみられている。また、急速に進む人口の高齢化に加え、膨張を続ける医療費抑制の観点から、通常窓口での服薬指導はもちろん、未病(疾病の予防)やセルフメディケーション、更には介護等の分野での調剤薬局に対する期待も高まっている。新会社はこれらの社会環境の変化に対応し、主に地域の中高年層の顧客を対象として、既存の業態には無い付加価値と専門性を備えた新業態薬局を開発・展開していく予定。
尚、ジーエムキュー(株)は東京都新宿区四谷に本社を置き、資本金は1億円(クオール 40%、グローウェルHD 40%、メディパルHD 20%)。
 
 
 
2010年3月期決算
 
 
店舗ネットワークの拡大と既存店の好調で最高益を更新
売上高は前期比14.9%増の56,305百万円。新規出店及びM&A等による店舗数の増加に加え、長期処方の進展に伴う処方せん単価の上昇で既存店も好調に推移した保険薬局事業の売上が伸長。製薬企業からの受注が堅調に推移した出版事業の売上も増加した。
利益面では、処方せん処理枚数の増加による労働生産性の改善により売上総利益率が11.5%と1ポイント上昇。人件費(1,653百万円→2,313百万円)を中心に販管費が増加したものの、売上の増加と売上総利益率の改善が相まって営業利益は2,001百万円と同33.2%増加した。当期純利益が同26.7%増の828百万円にとどまったのは、減損損失等274百万円を特別損失に計上したため。
期末店舗数は直営店269店舗、フランチャイズ5店舗の合計274店舗(前期末比40店舗増)。増減の内訳は、自社開発の保険薬局を15店舗、M&Aによる増加34店舗、FCの増加3店舗。一方、閉店または譲渡による減少が12店舗。配当は、1株当たり特別配当250円を含む1,250円(うち上期末配当500円)。
 
 
保険薬局事業
一般薬等の売上を除いた調剤売上高が52,936百万円と前期比16.0%増加した。内訳は、既存店売上高が同9.5%増の30,083百万円、M&Aが同27.9%増の22,047百万円、新店が同13.4%減の806百万円。既存店の好調は主に長期処方の進展による処方せん単価の上昇によるもので、新型インフレエンザ流行の影響は限定的で、花粉症や冬場のインフルエンザ関連も低調な結果となった。
治験事業
子会社フェーズオン(株)の事業領域である。10/3期は製薬企業の再編に伴うパイプラインの見直し等により売上高が減少した。
出版事業
メディカルクオール(株)の事業領域である。10/3期は製薬企業からの発注が堅調に推移し、売上高が増加した。
派遣事業
08年12月に設立したクオールメディス(株)の事業領域であり、10/3期より事業が本格化した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比3,846百万円増の27,600百万円。積極的な新規出店やM&Aにより運転資金や固定資産が増加。長期借入金を中心にした資金の調達によりM&A資金を賄った。CFの面では、利益の増加等で営業CFの黒字が増加したものの、M&A関連を中心に投資CFのマイナス幅が拡大したため、フリーCFのマイナス幅が拡大。M&A資金の調達に伴い財務CFの黒字が増加した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比11.9%の増収、同24.5%の経常増益予想
新規出店は直営店32店舗の他、ローソンとの共同店5店舗、合弁会社ジーエムキュー(株)3店舗、FC10店舗を計画。また、前期に17.6%だったジェネリック医薬品の比率(数量ベース)を、処方元との打ち合わせの上、25%に引き上げたい考え。配当は特別配当を落とし、1株当たり年1,000円を予定している(うち上期末配当500円)。
 
 
中期経営計画(11/3期〜13/3期)
 
<基本方針>
(1)「QOLサポート企業」としてのクオールブランドを確立し、変化に強い企業体質を実現する。
(2)「お薬のことならクオール」と認知されるように全社一丸となり、創意工夫する。
(3)より良い医療を全国に広めるという社会的責任を果たし、成長を持続する。
(4)ネットワークを組んでいる各社と総合的なコラボレーションを発揮し、それぞれの発展に寄与する。
 
 
中計では保険薬局事業を中心に毎期2ケタの増収を目指し、11/3期に3.8%の営業利益率を13/3期には5.2%に引き上げたい考え。また、新卒を中心に薬剤師の採用を積極的に行っていく考えで、薬剤師の派遣を中心にした人材派遣も高い伸びを見込んでいる。
 
 
 
出店は3ヵ年で184店舗を計画しており、10/3期末に274店舗の店舗ネットワークを13/3期末には458店舗に拡大させる。内訳は直営店92店舗、FC49店舗、ローソンとの共同店舗30店舗、ジーエムキュー店舗13店舗。直営店の出店には売り場面積が10坪の面分業対応薬局4店舗が含まれており、11/3期末までに既存の4店舗と合わせて8店舗を出店し、その後、収益性を見極めた上で方向性を決める。ローソンとの共同店舗についても、12/3期までに30店舗を出店し、その後、収益性を見極めた上で方向性を決める。
 
 
10/3期は約200人の薬剤師を採用したが、一人当たりの処方せん処理枚数は増加した。12年4月(12/3期期初)には薬剤師500人が入社する予定のため、人件費が大幅に増加する見込み。人件費の増加を処方せん処理枚数の増加と医療事務の採用・教育強化による店舗業務の効率化(労働生産性の向上)、派遣事業の拡大、新業態店舗の出店等で吸収する考え。
 
 
在宅医療への取組みと提携による既存事業の強化
 
中長期的な取り組みとして、在宅医療の強化や異業種との提携によりサービスを拡充していく考え。
 
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セルフメディケーションへの貢献から通常窓口での服薬指導、更には在宅医療と一気通貫のサービス体制の確立を目指している。現在、グループ50店舗で年間16,000枚の在宅処方せんを応需しているが、更なる在宅医療の拡大に向け、オムツフィッターの資格取得に力を入れている。オムツフィッターは、(株)排泄総合研究所が04年9月から始めた認定資格で、排泄ケアの専門相談員として、排泄に関する用具の提案・選定、アドバイスができる人材の育成を目的に作られた。オムツの提案にとどまらず、医療や住環境、適切な福祉用具など幅広い視点から適切な排泄ケアを提案できる。実験店となった川越店(埼玉県)では、在宅医療を拡大していくために、薬剤師やメディカルコンシェルジュが積極的に相談に乗っている他、紙オムツ等関連商品の品揃えを拡充している。将来的には、在宅に特化した薬局を開設し、地域ネットワークや医療資源を活用しながら在宅医療関連のサービスを提供していく考え。
 
異業種との取組み
・クオールカードの導入
クオールカードの導入により全国のクオール薬局において患者個々の処方情報の照会を可能にし、持ち時間の短縮や同じ調剤方法・一包化サービス等、患者の利便性を高める。今夏を目処に福島県郡山エリアと埼玉県川越エリアでの導入を予定している。
 
 
 
 
 
 
取材を終えて
少子高齢化の進展、薬剤の長期投与等を背景に医療費は増加傾向にあり、今後、ジェネリック医薬品の推進やスイッチOTCの進行等、医療費抑制策の強化が予想される。また、保険薬局業界にとどまらず、医薬品関連業界や異業種からの参入も含めた業界再編、更には業界構造そのものの変化も予想される。同社を含めた調剤薬局各社は、こうした変化への対応を誤れば変化の波に飲み込まれてしまうが、変化の波に乗る事ができれば更なる業容の拡大が可能になる。このため、同社では、中期経営計画の実行により、保険薬局事業において環境変化に耐えうる高機能薬局・新業態店舗の開発を進めると共に、グループ収益基盤の強化と収益構造の改革に取り組む事で環境対応力や市場競争力を強化していく考え。中期経営計画の進捗に注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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