ブリッジレポート
(4323) 日本システム技術株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4323)日本システム技術 vol.13

(4323:東証2部) 日本システム技術 企業HP
平林 武昭 社長
平林 武昭 社長

【ブリッジレポート vol.13】2010年3月期業績レポート
取材概要「2010年3月期は営業利益、経常利益ともに前年比で大幅減益となったが、業界環境、経済状況を考慮すれば仕方ない結果であろう。業態のバランスが・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年6月15日掲載
企業基本情報
企業名
日本システム技術株式会社
代表取締役社長
平林 武昭
所在地
〒530-0005 大阪市北区中之島2-2-7
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 9,322 456 497 300
2009年3月 10,449 806 852 447
2008年3月 10,705 931 945 426
2007年3月 9,711 389 405 138
2006年3月 7,917 111 125 605
2005年3月 8,189 522 502 319
2004年3月 7,767 540 537 67
2003年3月 7,064 676 635 194
2002年3月 6,939 658 606 181
2001年3月 6,285 834 814 282
株式情報(5/24現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
625円 4,739,153株 2,962百万円 7.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.0円 4.0% 65.41円 9.55倍 890円 0.70倍
※株価は5/24終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本システム技術の2010年3月期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソフトウェアの受託開発(10/3期売上構成比60%)、教育機関向け業務パッケージの開発・販売(同21%)、及び情報システム関連機器等の販売(同19%)を行っている。
 
<沿革>
設立は、1973年3月。JAST(同社)の特徴である教育機関向け業務パッケージには、90年代前半から取り組んでおり、94年10月に学校事務支援統合システムパッケージソフト「GAKUENシリーズ」の販売を、98年8月に大規模大学向けERP「GAKUEN REVOLUTION(学務)」の販売を、2000年2月に学校関係者間の情報ネットワークを実現する統合型Webサービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT」の販売を、それぞれ開始。01年11月のジャスダック上場を経て、03年2月に東証二部に株式を上場した。
 
<特徴>
1.理念重視の経営
 
「情報化の創造・提供による社会貢献」をモットーとして、いかなる企業系列にも属さない完全独立の立場を堅持することにより、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを経営の基本方針としている。

この基本方針に則り、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、それぞれの価値を最大化し、全体としての企業価値を高めることにより、安定的成長を実現することを目標としている。

また、このような成長の原動力となるのは従業員一人一人の情報システム開発に対する情熱と顧客への誠心誠意のサービス製品であり、そのためには人間力の研鑽が何よりも先行すべきである、との信念に基づいた「人ずくり」経営に徹することにしている。
 
(経営理念の基本的考え方)
「天爵を修めて人爵これに従う」=天爵を修めることで、はじめて人爵を与えられる。人爵を得て、その結果として天爵を与えられることはない。
 
2.広範な情報サービスの提供
 
メーカーや系列等一切の成約を受けず、自由な立場で広範な分野でサービスを提供することが出来る。
 
(サービス内容)
1. ソフトウェア開発
2. システムコンサルテーション
3. システム管理運用
4. システムインテグレーションサービス
5. ソフトウェアパッケージの開発・販売
6. 情報機器の販売、ネットワーク構築
 
(事業セグメント)
1.ソフトウェア事業(ソフトウェアの受託開発) ⇒ SIerの側面
①ビジネスアプリケーション分野    (事務処理系システム)
②エンジニアリングアプリケーション分野(制御、技術系システム)
③イベントアプリケーション分野 (スポーツ・文化イベント関連システム)
④アウトソーシングサービス   (情報システムの一括運営管理)
 
2.パッケージ事業(ソフトウェアパッケージの開発、販売)
    ⇒ パッケージメーカーの側面
戦略的大学経営システムの開発・販売、導入支援、保守等
 
3.システム販売事業(ハード、ソフトの販売、ITインフラの構築)
    ⇒ 販社(BtoB)の側面
ハードウェア・ソフトウェアパッケージの販売、保守、ネットワーク構築等
 
3.大手優良企業群との長期取引
 
下表のように、大手企業群と長期取引が多いのも同社の特色。しかもすべてが直接取引きである。
長期取引であるため、先方顧客からは同社が「コア・パートナー」となっている場合が多く、そのため不況期でも受注が大きく落ち込むことが少ない、と会社側は述べている。
 
 
4.グループ拠点展開
 
大阪と東京の2本社制を敷いており、早くから海外に開発拠点を展開している事も特徴。また、2006年8月には、大学向けマーケットを中心とする文教分野での業容拡大を図るべく、首都圏の大規模大学を中心に、システム機器等の販売で実績のあるアルファコンピュータ(株)の全株式を取得した。これにより、パッケージ、情報機器及びネットワーク等を一貫して提供する大学向けSI(システム・インテグレーション)事業の大規模展開が可能となった。
 
5.国内トップシェア誇る教育機関向け業務パッケージ
 
 
大学向け経営改革ソリューションとして提供している統合業務パッケージは、94年10月の発売以来、303校(10年5月17日現在)への導入実績を有し、文教マーケットにおいて高い評価を受けている。

特徴は、大規模な総合大学から小規模の短期大学に至るまで、主要業務を全方位でカバーしているため、パラメーターの設定だけで大学個々のニーズに柔軟に対応できる事。つまり、カスタマイズの必要がないため、ユーザーは導入時及びその後の運用・メンテナンスに関わるトータルコストを削減する事ができる。なお、1案件あたりの導入金額は数10万円~数億円と、導入規模により広範囲にわたる。

少子化問題への取り組み戦略のひとつとして、大学各校は優秀な学生を確保するべく、学生向けサービスや経営品質の向上に取り組んでいる。しかし、全国に約1,200校あると言われる大学・短大の大半がメインフレーマー等による手作りのシステムやカスタマイズを前提としたパッケージを使っていという。品質・価格両面での優位性から競合は少ないようで、販売拡大の余地は大きいと思われる。現在20%のシェアを、早期に30%に引き上げたい考え。
 
 
6.その他の特長
 
(人材重視) ⇒ 品質安定、低コスト体質
新卒中心の採用と長期的な人材育成
人材流動の激しい業界内で高い定着率を維持
 
(品質、信頼へのこだわり) ⇒ 高いリピートオーダー率、大手顧客との長期取引
「一括丸投げ」は行わず、社員中心のプロジェクト編成
請け負った案件は顧客が満足するまでやり抜く、途中退場はしない
 
(特徴的な営業戦術) ⇒ 受託開発パッケージ販売・機器販売の共存共栄に成功
既存顧客はSE自らリピート案件を発掘(営業なき営業)
新規顧客は専門営業がソリューション提案
パッケージ事業は代理店販売が主体
 
(徹底したコスト管理) ⇒ 問題の早期発見による不採算案件の最小化、低コスト体質
 
2010年3月期業績
 
<連結業績>
 
2009年3月期の業績結果は上表のようになったが、一般管理費は前年比で微減となった。事業セグメント別の動向および営業利益の増減は以下のようになった。
 
<事業セグメント別業績動向>
 
(ソフトウェア事業)
第3・第4四半期の受注減少および受注案件のマージンが低位で推移(営業利益は340百万円減)
不採算案件(同80百万円減)、R&D投資(同60百万円減)、技術シフト=技術者の部門間異動(20百万円減)

これらの結果、当事業の営業利益は前年比で504百万円減少した。

(パッケージ事業)
保守・導入支援が増収。さらにEUC(パッケージ販売後の個別案件)・保守の収益性向上などにより営業利益は90百万円増。またR&D投資減少などで一般管理費が50百万円減。これらの結果、当事業の営業利益は前年比で154百万円増加した。

(システム販売事業)
文教系が堅調に推移し損失が縮小した。部門営業利益は上表のように24百万円の赤字だったが、のれん償却負担(58百万円)を除けば黒字状態を維持した。
 
<分野別売上構成推移>
 
分野別の売上高構成比は下表のようになった。
 
 
 
 
またパッケージ事業の売上構成は上表のようになった。PP販売、EUC開発は減収になったが、導入、保守、仕入販売が好調で増収となった。
 
 
<最終顧客の業種別売上構成推移>
 
顧客の業種別売上構成は下表のようになったが、多分野バランス展開による安定成長戦略を継続している。
 
 
 
(通信):微増
(金融):IT投資抑制の影響を大きく受けて3割減収
(サービス・流通):約1割増収
(製造):IT投資抑制の影響を大きく受けて4割減収
(教育機関):パッケージ事業は好調だったがトータルでは微減
(官公庁他):システム販売事業でのシェア変動により3割台の減収
 
<売上先構成>
 
売上先(顧客別)構成は下表のようになった。
銀行プライム案件は主に地銀向け。
 
 
2011年3月期業績予想
 
<連結業績>
 
会社側では2011年3月期の業績を下表のように予想している。以下は主要なポイント。
 
 
・3事業ほぼ同じ増収率を見込んでいる
・前期第3・4半期のボトムからの回復 ⇒ 下期傾斜型の利益計画(下表参照)
・受注残は既にV字回復(下表参照)
 
 
 
・下期費用および損失発生を見込み、それを吸収しての増益計画
研究開発費増加:パッケージ事業では投資規模は微増の予定だが、ソフトウェア事業では新ビジネス、新ソリューションの開発等により投資は拡大を見込む。
資産除去債務に係る会計基準への対処:運用初年度における過年度分の特別損失計上(約30百万円)を見込む
・配当は前期までと同水準を維持する。 株式市場での流動性向上が課題。
<事業別戦略>

(ソフトウェア事業)
形式にこだわらず事業部門別戦略にジャストフィットした組織形態をとる。下記のように東西で戦略を分ける ⇒ 地域別Best Practiceで現状のような景況下でもコスト増を克服して成長を実現する
 
 
 
<中期的展望>
 
さらに会社側では、今期から来期(12年3月期)にかけての展望を以下のように述べている。

(11年3月期)
売上高105億円、経常利益5.9億円目標:コスト増等を克服したうえでの増益を計画

ソフトウェア事業:各事業部門戦略にフィットした体制強化および研究開発投資
パッケージ事業:東京、大阪各拠点別に事業部相当組織を設置
システム販売事業:文教系・公共系でのバランス展開進めると同時に新ビジネス商材開発を目指す

(12年3月期)
中堅SI から準大手へ(規模、プレゼンス、流動性、上場市場)

ソフトウェア事業:新サービスおよび新ビジネスの事業化
パッケージ事業:文教市場での圧倒的ブランドの確立
システム販売事業:既存ビジネスの伸張および新ビジネスの事業化
 
 
取材を終えて
2010年3月期は営業利益、経常利益ともに前年比で大幅減益となったが、業界環境、経済状況を考慮すれば仕方ない結果であろう。業態のバランスが取れていること、長年取引の顧客が多いことなどにより、この程度の結果で済んだとも言えよう。

今期(2011年3月期)については、会社側では回復(増収、増益)を予想しているが、景気動向を考えれば達成は容易ではないだろう。下ぶれ懸念は残る。

株価も低位に留まっており、バリュエーション的には割安と思われる。下方修正が有り得ることを織り込んでいる株価とも思えるが、反対に予想利益が達成されれば見直される可能性は大である。目標利益達成に全力で努力して欲しい。また、流動性が低いので投資家に見放されている面もある。会社側も認めているように、流動性の向上も必要だろう。