ブリッジレポート
(4849) エン・ジャパン株式会社

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ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン vol.24

(4849:大証ヘラクレス) エン・ジャパン 企業HP
越智 通勝 会長
越智 通勝 会長
鈴木 孝二 社長
鈴木 孝二 社長
【ブリッジレポート vol.24】2010年12月期第1四半期業績レポート
取材概要「日本経済新聞によると、上場企業の10/3期は売上高が11%減少したものの、コスト削減により経常利益が24%増加した。増益は売上の増加よりもコ・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年6月15日掲載
企業基本情報
企業名
エン・ジャパン株式会社
会長
越智 通勝
社長
鈴木 孝二
所在地
東京都新宿区西新宿 6-5-1
決算期
12月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2009年12月 10,209 1,259 1,212 459
2008年12月 21,329 5,943 5,906 3,090
2007年12月 22,686 7,564 7,573 4,168
2006年12月 16,919 5,605 5,607 3,105
2005年12月 11,491 3,791 3,826 2,203
2004年12月 6,980 2,245 2,254 1,253
2003年12月 4,372 1,749 1,754 1,038
2002年12月 3,107 1,305 1,283 663
2001年12月 1,876 933 898 464
2000年12月 620 254 249 132
株式情報(6/3現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
130,600円 233,146株 30,449百万円 3.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,070.00円 0.8% 3,560.34円 36.7倍 55,800.05円 2.3倍
※株価は6/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
エン・ジャパンの2010年12月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
インターネット上での[en]ブランドの5つの転職・就職情報サイトの運営、及び人材採用から社員教育、人事評価制度までのコンサルティングサービスを提供している。求人・求職をめぐっては、「実際の業務に就いてみたら、業務内容が事前の説明と違った」と言うトラブルが多いが、同社では、営業担当者が求人企業を取材し、求人企業やその業務内容について、客観的で公正かつ詳細な情報提供を念頭に原稿作成が行われている。こうした取材に基づく公正で詳細な企業情報が求職者から高い評価を受けている事はもちろんだが、求職者は企業や業務内容を十分理解して入社するため、「戦力化が早い一方、離職者が少ない」と求人企業からも高い評価を受けている。尚、売上高の大半を求人企業からの求人広告掲載料収入が占め、求職者に負担は生じない。
また、人事トータル支援システム「FINE」の販売や結婚式場情報サイト「[en]グリーン・ウエディング」の運営を開始する等、新たな事業分野への進出も積極的に展開している。
 
 
 
2010年12月期第1四半期決算
 
 
前年同期比28.5%の減収、同63.3%の経常増益
2010年に入り完全失業率や有効求人倍率が改善傾向にあるものの本格的な回復には至っておらず、全てのサイトで売上が減少。本年1月から開始した会員制ビジネス教育講座「[en]カレッジ」を含む教育・評価事業の売上のみが増加した。ただ、人員減等による人件費の減少やプロモーション戦略の変更による広宣・販促費の減少により営業利益は同64.9%増加した。
 
 
 
中途採用事業の売上高には、[en]社会人の転職情報、[en]転職コンサルタント、[en]派遣のお仕事情報、[en]本気のアルバイトの各サイト売上高、及び適性テストなど中途関連その他が含まれている。 サイト別の状況は次の通り。
 
[en]社会人の転職情報
売上高は前年同期比12.0%減の956百万円。3月末の会員数は前年同期比24.0万人(9.8%)増の268万人。景気の底打ち感もあり、欠員補充を開始する企業が出始めた。競争激化で単価が弱含みで推移したものの、平均月間納品件数は前年同期比7.1%増と、07/12期第4四半期以来の前年同期比プラス。通期予想売上高4,300百万円に対する進捗率は22.2%(前年同期は26.7%)。
 
[en]転職コンサルタント
売上高は前年同期比45.9%減の234百万円。3月末の会員数は前年同期比7.0万人(13.7%)増の58万人。人材紹介案件の減少により、人材紹介会社の廃業・撤退が相次いだ。平均掲載単価も同22.4%低下した。ただ、平均掲載単価は前四半期(09/12期4Q)比では2.7%の小幅な下落にとどまり、落ち着きつつある。通期予想売上高950百万円に対する進捗率は24.7%(前年同期は32.2%)。
 
[en]派遣のお仕事情報
売上高は前年同期比41.9%減の449百万円。3月末の会員数は前年同期比9.0万人(15.8%)増の66万人。2月、3月は季節要因により派遣案件数が増加したものの、本格的な派遣ニーズの回復には至っていない。ただ、掲載ニーズの取りこぼしがないよう顧客フォローを徹底した結果、08/12期2Q以来、8四半期ぶりに掲載事業所数が前四半期を上回った。通期予想売上高1,740百万円に対する進捗率は25.8%(前年同期は33.6%)。
 
[en]本気のアルバイト
売上高は前年同期比5.5%減の190百万円。3月末の会員数は前年同期比10.8万人(31.9%)増の44万人。一般アルバイトサイトの案件数は、前年同期比143.0%増、前四半期比25.8%増と09/12期2Q以降回復傾向にある。ただ、価格競争の激化が響き売上高が減少した。通期予想売上高970百万円に対する進捗率は19.6%(前年同期は27.0%)。
 
 
新卒採用事業の売上高には、[en]学生の就職情報のサイト売上高の他、適性テストなど新卒関連その他が含まれている。
 
[en]学生の就職情報
売上高は前年同期比49.8%減の184百万円。3月末の会員数は前年同期比19.1万人(43.6%)減の24万人。年明け以降、新卒採用を決定する企業が出てきたものの全体的には慎重な姿勢が続いており、10年1月から3月の掲載開始企業数は前年同期比28社(17.0%)減少。新卒採用を実施する企業が少なく価格競争が激化したため、掲載単価も下落した。通期予想売上高970百万円に対する進捗率は19.0%(前年同期は26.2%)。
 
 
 
2010年12月期業績予想
 
「広告宣伝費等の一部が第3四半期以降へずれる見込みである(新卒採用事業及び新規事業のプロモーションに使用する予定)」として上期の業績予想を上方修正した。下期は中途採用事業を中心に前年同期比で増収・増益に転じる見込み。水準は低いが、会員制ビジネス教育講座「[en]カレッジ」の寄与で教育・評価事業の売上も増加する。配当は1株当たり1,070円を予定している(10周年記念配当200円を落とす一方、普通配当を470円増配する)。
 
 
(2)セグメント別予想
 
[en]社会人の転職情報
新商品の投入により新規顧客の獲得を強化すると共に、リピート顧客の増加に向け、引き続き顧客・ユーザーフォローの徹底を図る。
 
[en]転職コンサルタント
人材紹介会社の成約数を高めるためのサポートを強化し、継続掲載率の向上に努める他、引き続き人材紹介会社のニーズに沿った商品の提案により掲載社数の維持・拡大に努める。
 
[en]派遣のお仕事情報
顧客接点を増やし掲載事業所数及び掲載単価の維持に努めると共に、派遣会社の営業力強化にもつながる[en]カレッジの活用を提案する。
 
[en]本気のアルバイト
顧客ターゲティングを強化し効率的な営業活動を展開する他、顧客ニーズに対応した商品ラインナップの充実を図る。
 
 
商品の独自性を高め他社と差別化を図る事で2012年卒業予定学生向けサイトの受注増を目指す。また、知名度の向上とサイトコンセプトの浸透を図るためプロモーションを強化する。
 
 
 
取材を終えて
日本経済新聞によると、上場企業の10/3期は売上高が11%減少したものの、コスト削減により経常利益が24%増加した。増益は売上の増加よりもコスト削減を優先した結果であり、採用を増やす余地はなかったと思われる。しかし、11/3期は増収(+6%)・増益(+35%)に転じる見込みであり、言い換えると、企業活動は縮小均衡から拡大均衡に転じる。このため、新年度予算が執行される4月以降、採用活動も活発化してくるものと思われ、第2四半期以降の同社の業績に期待が高まる。