ブリッジレポート
(5162) 株式会社朝日ラバー

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ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー vol.13

(5162:JASDAQ) 朝日ラバー 企業HP
横山 林吉 社長
横山 林吉 社長

【ブリッジレポート vol.13】2011年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「上方修正されたとは言え、第2四半期(7-9月)の予想は極めて慎重だ。エコカー減税が終了する下期以降については確かに不透明感があるものの・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年8月31日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社朝日ラバー
社長
横山 林吉
所在地
埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2
決算期
3月 末日
業種
ゴム製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 4,667 125 91 41
2009年3月 4,904 46 14 -80
2008年3月 6,284 414 325 211
2007年3月 5,314 399 375 176
2006年3月 4,578 366 353 209
2005年3月 4,057 251 251 147
2004年3月 3,449 233 211 112
2003年3月 3,154 172 159 75
2002年3月 2,907 98 85 10
2001年3月 3,582 315 336 189
2000年3月 3,140 313 300 141
株式情報(8/24現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
282円 4,550,590株 1,283百万円 1.5% 500株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
8.00円 2.8% 16.61円 17.0倍 629.22円 0.4倍
※株価は8/24終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
朝日ラバーの2011年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明の他、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、文房具用・スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン材料の配合技術と調色技術に強みを有し、例えば、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、1万色以上の光を出す事やLEDの光のばらつきを均一化する事ができる。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かした製品である。
グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)ファインラバー研究所、米国の販売会社ARI International Corp.、及び中国・東莞市に工場(来料加工工場)を持つ朝日橡膠(香港)有限公司の連結子会社3社からなる。
 
<事業内容と主要製品>
事業は、自動車の内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓等の医療・衛生用ゴム事業に分かれる。10/3期の売上構成比は、それぞれ、83.4%、16.6%。
工業用ゴム事業は、更に自動車の内装照明の光源向けが中心の彩色用ゴム製品(売上構成比47.5%)、情報通信向けが多い弱電用高精密ゴム製品(同 11.5%)、卓球のラケット用ラバー等のスポーツ用ゴム製品(同 9.8%)、その他工業用ゴム製品(同 14.6%)に分かれる。
 
 
 
2011年3月期第1四半期決算
 
 
自動車関連製品を中心に売上が増加
売上は前年同期比45.7%増の1,192百万円。自動車関連製品の海外向けの大幅な増加やRFID向けゴム製品の寄与で工業用ゴム事業の売上が同57.5%増加。独自の開発製品を中心に医療・衛生用ゴム事業も堅調に推移した。利益面では、工場稼働率の向上や生産性の改善により売上総利益率が改善。抑制していた人件費の正常化等に伴う販管費の増加を吸収して営業損益が黒字転換した。
 
 
工業用ゴム事業
自動車向け「ASA COLOR LED」を中心に彩色用ゴム製品の売上が伸びた他、各種パッキンに使われるOリングやスイッチ用ゴム等を中心に弱電用高精密ゴム製品の売上も増加。RFID向けゴム製品の寄与でその他工業用ゴム製品の売上も増加した。
 
医療・衛生用ゴム事業
医療用ゴム製品の一部で得意先の在庫調整等による受注減があったものの、独自の開発製品の拡販活動によりカバーした。
 
なお、当第1四半期からセグメント区分の変更を行い、工業用ゴム事業と医療・衛生用ゴム事業の二つとなっている。セグメント別業績の前年同期比は、変更後のセグメント区分に組み替えた前年同期実績をもとに算出している。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態に大きな変化はなく、第1四半期末の総資産は前期末比44百万円減の7,443百万円。期末を越えて売上債権・仕入債務が減少した他、法人税等や配当の支払いで現預金が減少した。CFの面では、損益の改善等で営業CFの黒字を確保。設備投資が増えたものの定期預金の預入の減少等で投資CFのマイナスも縮小し、フリーCFも改善した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
上期の利益予想を大幅に上方修正
売上の面では、第1四半期の実績がほぼ予想通りに推移した事から(売上構成比では期初予想と相違があったが)、第2四半期もほぼ当初予想通りに推移すると見ている。一方、利益面では、前期からの生産性向上策の取り組みや一段の費用低減策の推進に加え、香港法人の黒字転換等もあり当初予想を上回って推移しているとして、上期予想を上方修正した。
通期業績予想については、特に自動車関係の受注動向が不透明であるとして据え置いた。配当は、1株当たり上期3円、下期5円を予定。
 
 
 
取材を終えて
上方修正されたとは言え、第2四半期(7-9月)の予想は極めて慎重だ。エコカー減税が終了する下期以降については確かに不透明感があるものの、新規車種向けの寄与が見込まれる事から大きな不安は無い。このため、上期、下期共に上振れ余地を残しているものと考える。また、中期的にはカーライフ、ITネットワーク、及びヒューマンライフの3分野にフォーカスして、コア技術である、①色と光のコントロール技術、②表面改質技術及びマイクロ加工技術、及び③素材変性技術を活かした差別化戦略を進めていく考えで、中国事業も「日本から発注して日本に納品する」ビジネスモデルから「中国で受注・生産し、中国のメーカーに納品する」ビジネスモデルへの転換を図る。投資家の注目も業績回復から中期的な成長戦略へと移りつつある事から、上記施策の進展に注目したい。