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(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.3

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.3】2010年8月期業績レポート
取材概要「主力のカラオケ事業が安定成長期を迎え、高い利益成長を実現すると共にキャッシュ・フローも改善している。また、中期的な成長力を担保するべく・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年11月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
群馬県前橋市大友町1-5-1
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(10/15現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
274,500円 24,000株 6,588百万円 35.3% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10,000.00円 3.6% 97,062.00円 2.8倍 153,648.52円 1.8倍
※株価は10/15終値。
 
コシダカホールディングスの2010年8月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「既存業種新業態」戦略を推進。「カラオケ本舗まねきねこ」のブランドで全国展開するカラオケ事業を基盤に、子会社を通してフィットネス(カーブス)事業及びボウリング事業を展開中。カーブス事業では、連結子会社(株)カーブスジャパンが女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」のFC(フランチャイズ)本部運営を手掛けており、連結子会社(株)北海道コシダカがそのフランチャイジーとして運営を行っている。10年9月には第3の柱を育成するべくボウリング事業を手掛ける(株)スポルトを子会社化した。
 
<沿革>
1954年に都内で飲食店として創業した同社だが、現在、社長を務める腰髙博氏のリーダーシップの下、90年にカラオケボックス事業に参入。レーザーディスクを使ったスナックやバー等でのカラオケから通信システムを活用したカラオケボックスへ需要がシフトする流れをつかみ事業を軌道に乗せた。95年8月の腰髙博氏の社長就任以降は、営業不振等で撤退するカラオケボックスを再生利用する出店モデル(居抜き出店)を開発し業容を拡大。2000年3月には株式会社コシダカに組織及び名称を変更した。また、06年には(株)カーブスジャパンのフランチャイジーとしてフィットネス事業に進出。07年6月のJASDAQ上場を経て、08年10月に(株)カーブスジャパンを子会社化した。更に、10年9月には純粋持株会社体制へ移行すると共に、日本におけるボウリング場運営事業のパイオニアであり、ボウリングを通じた周辺地域の健康増進活動に取り組む(株)スポルトを子会社化(議決権の99.9%を取得)した。
 
<純粋持株会社体制への移行>
2010年9月1日をもって、会社分割により同社の全事業(カラオケ事業)を子会社である(株)北海道コシダカ(以下、「承継会社」)に承継し、純粋持株会社へ移行すると共に商号を「(株)コシダカホールディングス」に変更した。
また、「承継会社」は商号を「(株)コシダカ」に変更すると共に、会社分割(新設分割)により「(株)北海道コシダカ」を設立してカーブス事業を分離し、「(株)北海道コシダカ」の株式を(株)カーブスホールディングスへ譲渡した。

目指すところは、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4つの事業分野において、「既存業種新業態」を展開する“総合余暇サービス提供企業”。そのためには、「各事業により深く特化し競争力を高める事、グループ間のシナジーを追及できる体制にする事、及び第4・第5の事業の創造、取り込みが容易にできる体制にする事が必要」というのが同社の考え。今後、純粋持株会社体制の下、各事業で自律的な経営体制を構築していく。
 
 
<事業セグメント>
事業は、カラオケ事業、カーブス事業、及びボウリング事業に分かれ、売上構成比は11/8期予想ベースで、カラオケ事業63.3%、カーブス事業24.4%、ボウリング事業12.3%。
 
カラオケ事業
「カラオケ本舗まねきねこ」及び新業態開発を目的とした「アミューズメントリゾートORTO&K」と「下町唱酒場浅草まねきねこ」の3業態により、全国に309店舗(2010年8月末現在)を展開。カラオケ業界では、店舗数でNo.1、売上高で5位のポジションにある (2009年11月18日付け日経MJ)。高いリピート率と初期投資を抑えた居抜き出店が相まって、客単価が低い地方中心の店舗展開ながら、売上高で業界トップのシダックスや第2位の第一興商を上回る投下資本利益率(営業利益ベース)を実現。成熟したカラオケボックス業界にあって、高成長を続ける原動力となっている。
 
 
カーブス事業
「カーブス」は米国発の女性専用サーキットトレーニング・ジムで、「女性のための30分フィットネス」をコンセプトに世界60ヶ国で約8,000店舗を展開する世界最大のフィットネスチェーン。日本国内での独占的事業展開権利(米国総本部からマスターフランチャイズ権利を取得)を有する(株)カーブスジャパンがフランチャイザーとしてFC本部の運営を手掛け、(株)北海道コシダカがフランチャイジーとして直営店を展開。地域に密着した店舗展開と運動に縁のなかった中高年層でも気軽に来店できるサービスの仕組み作りにより、健康でイキイキとした生活を送るための運動習慣づくりを提案している。2010年8月末現在、864店舗のネットワークと32.2万人の会員を有する。
 
ボウリング事業
(株)スポルトが12店舗のボウリング場を運営しており、運営に行き詰ったボウリング場の運営受託など再生事業型の店舗展開が中心。また、社員の半数以上がプロもしくはインストラクター資格者で、ボウリングをアミューズメントとして捉えるのではなく、スポーツないしは健康管理の一環として捉えた営業政策を特徴とし、LTB(ボウリング教室)という独自のプログラムで新規顧客開拓と既存顧客の固定化に取り組んでいる。
 
 
2010年8月期決算
 
 
前期比15.7%の増収、同80.7%の経常増益
売上高は前期比15.7%増の21,932百万円。(株)カーブスジャパンの通期寄与でカーブス事業の売上が大きく伸びた他、新規出店効果でカラオケ事業の売上も増加した。利益面では、カラオケ事業の新規出店の減少や利益率の高いカーブス事業の売上構成比の上昇等で売上総利益率が改善。従業員給与(980→1,184百万円)やのれん償却費(226→301百万円)等を中心にした販管費の増加を吸収して営業利益は同67.3%増加した。営業外収入の増加や支払手数料の減少等で営業外損益が改善した他、減損損失の減少等で特別損益も改善し(230→117百万円)、当期純利益は2倍強に拡大した。
 
 
カラオケ事業
売上高は前期比5.3%増の16,495百万円、営業利益は同46.2%の1,974百万円。期末店舗数は業界トップの309店舗。居抜出店15店、建築出店2店の計17店舗を新たに出店(「カラオケ本舗まねきねこ」15店舗、「下町唱酒場浅草まねきねこ」2店舗)する一方、2店舗を閉鎖した。また、既存店の集客力の維持と拡大を図るべく、内外装の一新と料金等営業施策の見直し及び集中的な販促キャンペーンを同時に行う大規模リニューアルを48店舗で実施した。「感激!元気かんげん(還元)フェア」や「Bグルフェア(全国B級グルメフェア)」等の販促が好評を得た事もあり、飲食売上比率が前期の39.8%から40.7%に上昇。消費が低迷する厳しい事業環境の中で、既存店売上高は前期比99.0%(客数:同99.6%、単価:同99.4%)と堅調に推移した。利益面では、事業環境を鑑みて新規出店を抑制したため(09/8期の新規出店は27店舗)、売上総利益率が22.9%と1.9ポイント改善する一方、買収関係費用が無くなった事や新店舗立ち上げに伴う先行投資負担が減少した事等で販管費が1,802百万円と同5.6%減少した。
 
カーブス事業
売上高は同65.3%増の5,436百万円、営業利益は同264.8%増の529百万円。前期の第2四半期に連結対象となった(株)カーブスジャパンが通期で寄与した。期末店舗数は前期末比110店舗増の864店舗(カーブス直営4店舗、北海道コシダカ運営10店舗、FC 850店舗)、期末会員数は同68千人増の322千人となり、1店舗当たりの会員数は前期末の336.9人から372.7人に増加した(会員の67.8%が50歳以上の女性)。(株)北海道コシダカの直営店は同3店舗の増加。増収の要因は、スポット売上(加盟金収入など店舗出店に関わる一時的な収入)の増加が543百万円、ベース売上(ロイヤルティ収入など継続的な収入)の増加が1,416百万円、その他の増加が189百万円。直営展開するフィットネスクラブ大手と比較すると、売上高(加盟店総売上)で5位、店舗数(加盟店総数)で1位。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比1,460百万円増の11,975百万円。借方では、フリーCFの改善で現預金が増加した他、新規出店に伴い有形固定資産や投資その他が増加。一方、償却により無形固定資産が減少した。貸方では、純資産が大幅に増加した他、預り金や未払法人税等も増加。一方、有利子負債が減少した。CFの面では、運転資金や税負担の増加を利益の増加で吸収し営業CFが増加。M&A関連費用の減少で投資CFのマイナス幅が縮小したため、前期は609百万円のマイナスだったフリーCFが1,050百万円の黒字に転換。長期借入金を中心に有利子負債の削減を進めたため財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物の期末残高は3,036百万円と前期末比798百万円増加した。
 
 
(4)トピックス
①韓国コシダカの設立
7月に(株)韓国コシダカをソウル市に設立した。日本国内で培ったノウハウを活かし、東アジアで「カラオケ事業」を展開していく考えで、今回はその第1弾。早ければ、来春、遅くとも今期中の第1号店のオープンを目指している。
 
②社員独立制度 「ビーアンビシャス」
「ビーアンビシャス」とは、勤続5年以上(店長経験3年以上)で独立意思表明した社員を対象とした社員独立制度で、社員のモチベーション向上、夢実現のサポートと自立した経営者・企業家の育成、更には店舗の売上増加等を念頭に導入された。研修、役員面接、筆記試験を経て、改めて研修を受けた後に社長面接を経て独立する。
 
 
2011年8月期業績予想
 
 
前期比29.4%の増収、同22.6%の経常増益予想
売上高は前期比29.4%増の28,370百万円。子会社化した(株)スポルトが寄与する他、加盟店の増加でカーブス事業の売上も大きく伸びる。一方、利益面では、新規出店の抑制と既存店のてこ入れにより収益性の改善が進むカラオケ事業を牽引役に営業利益が同29.6%増加。(株)スポルトの子会社化に伴う負ののれん発生益1,193百万円を特別利益に計上するため、当期純利益は2,329百万円と同107.0%増加する見込み。配当は1株当たり1,300円増配の年10,000円を予定(上期末配当5,000円を含む)。
 
 
カラオケ事業
新規出店は居抜10店舗、建築2店舗の計12店舗を予定しており、併せて集客強化に向けハード(内外装の一新)とソフト(料金等営業施策の見直し及び集中的な販促キャンペーン)が一体となった大規模リニューアルを45~50店舗で実施する。尚、前期に上記リニューアルを実施した店舗は、足下、前年同期比110~120%のパフォーマンスを示していると言う。
 
カーブス事業
営業ノウハウのブラッシュアップにより新規出店時の早期会員獲得プログラムと既存店会員増強プログラムを革新すると共に浸透させる事で加盟店の会員獲得を支援する。また、加盟店の経営安定化と多店舗展開に対応可能な経営体質作りを支援するべく、会員向け通信販売商品の開発と販促支援にも取り組む。期末店舗数は120~130店舗の純増を想定しており、(株)北海道コシダカは10店舗の新規出店を計画(前期の新規出店は3店舗)。ただ、(株)北海道コシダカの新規出店の増加に加え、期末にかけて来期の新規出店(現在6店舗を計画)分の先行投資も発生するため、前期比27.5%の増収が見込まれる中で、営業利益の伸びが同4.9%にとどまる。
 
ボウリング事業
3~4店舗のオープンを予定しているが、ボウリング場の閉鎖・譲渡案件の増加が予想され、臨機応変に対応していく考え。また、営業面では、全店で「健康ボウリング教室」を定期的に開催し、若い頃にボウリング経験を積んだシニア層の掘り起こしを中心に、新規の顧客開拓と固定客化に取り組む。
 
(3)株主還元
同社の株主還元は、配当と株主優待を二本柱としている。配当性向を公約しているわけではないが、ここ数年は16~21%で推移しており、11/8期は(株)スポルトの子会社化に伴う負ののれん発生益1,193百万円を特別利益に計上するため配当性向が10.3%にとどまるが1株あたり1,300円の増配。
 
 
また、株主優待として期末(8月末日)の株主名簿及び実質株主名簿に記載された、1株以上保有の株主に、保有株式数に応じて優待券(1,000円券)を発行している(利用の際には利用上の注意を確認の事)。
 
 
 
取材を終えて
主力のカラオケ事業が安定成長期を迎え、高い利益成長を実現すると共にキャッシュ・フローも改善している。また、中期的な成長力を担保するべく第2の柱として育成中のカーブス事業が順調に店舗数を伸ばしている他、今回新たにボウリング事業がポートフォリオに加わった。ボウリング事業で注目されるのは、「過去にボウリングブームを楽しんだシニア層を対象としたリバイバル需要の掘り起こし」と言う戦略だ。フィットネスもそうなのだが、ボウリングも、それ自体に目新しさがあるとは言えないが、若者向けのファッショナブルなフィットネスやアミューズメントとしてのボウリングではなく、健康志向の高まりやボリュームゾーンであるシニア層をメインターゲットとする同社の営業戦略と結び付けて考えると、フィットネスやボウリングの従来のイメージが一新され、両事業共に極めて斬新。今後、ボウリング事業においても、同社の強みであるコミュニティづくりのノウハウを活かした独自のビジネス展開がなされていくものと考える。アミューズメントの複合施設を展開する上場企業が複数あるが、似て非なるものである。この他、新規事業として温浴施設等にも挑戦していく意向のようだ。