ブリッジレポート
(4783) NCD株式会社

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ブリッジレポート:(4783)日本コンピュータ・ダイナミクス vol.23

(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクス 企業HP
伊藤 敬夫 社長
伊藤 敬夫 社長

【ブリッジレポート vol.23】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「マクロ経済の不透明感が払拭できず下期も厳しい事業環境が続く見込みだが、IT関連事業は新規顧客からの引き合いの増加や生保業務の受注拡大など既存・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年11月16日掲載
企業基本情報
企業名
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社
会長
下條 武男
社長
伊藤 敬夫
所在地
東京都品川区西五反田 4-32-1
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 11,542 56 129 26
2009年3月 12,521 415 460 212
2008年3月 9,539 553 581 315
2007年3月 9,292 261 315 186
2006年3月 8,851 409 424 199
2005年3月 7,607 321 348 228
2004年3月 7,570 340 368 160
2003年3月 6,859 322 283 74
2002年3月 6,168 293 292 152
2001年3月 5,088 247 182 46
2000年3月 4,447 307 339 149
株式情報(11/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
232円 8,721,558株 2,023百万円 0.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 4.3% 1.14円 203.5倍 300.95円 0.8倍
※株価は11/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本コンピュータ・ダイナミクスの2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
独立系ソフトウェア開発会社のパイオニア。コンサルティングからシステム運用までを手掛けるシステム開発事業、システムの運用管理とテクニカル・サポートを主体としたサポート&サービス事業、及び自転車駐輪場システムの開発・運用を行なうパーキングシステム事業を展開。システム開発事業やサポート&サービス事業は優良顧客との継続的な取引が特徴。また、国内トップシェアを誇るパーキングシステム事業は成長性に富み、収益性も高い。
グループは、同社及び(株)日本システムリサーチ、天津恩馳徳信息系統開発有限公司、及び(株)ゼクシスの連結子会社3社(いずれも出資比率100%)。社名の"日本コンピュータ・ダイナミクス"には、「コンピューターをダイナミックユースして社会に貢献する(Dynamic use of Computer)」と言う創業時の思いが込められている。
 
<長期継続を特徴とする顧客資産が強み>
システム開発事業やサポート&サービス事業では、長期継続を特徴とする優良な顧客資産が同社の強みの一つ。主な取引先として、東京ガス、西部ガス、富士ゼロックス、商船三井、アリコジャパン、高砂熱学工業、三井住友海上火災、角川GHD、日本水産、エスアールエル、福岡県庁等を挙げる事ができる。
 
<顧客業界と同社が手掛けるシステム>
エネルギー業界   料金調停システム、資産管理システム等
保険業界      契約管理システム、クレーム管理システム等
運輸業界      運行管理システム、倉庫管理システム等
出版業界      著作権管理システム等
全業界       財務会計システム、人事システム等
 
<IT企業としては異色のパーキングシステム事業で社会貢献>
駐輪場の設計、ラックや精算機の開発、更には運用までを一貫して手掛けている。時間貸し駐車場の自転車版とも言える事業だが、駐輪場の売上は自転車1台を1日駐輪して100円程度。このため、コンピューターを使うには安過ぎて採算が合わないと言われ、IT業界とは縁の無い世界だった。しかし、自治体等からのシステム開発に対する強い要望に加え、放置自転車問題が深刻化する中で社会貢献の意味もあり参入。先行企業としての優位性と業界No.1の実績に基づく提案力を強みとしており、現在、同社を語る上で欠く事のできない事業となっている。
 
 
2011年3月期上期決算
 
 
前年同期比11.2%の減収、168百万円の経常損失(前年同期は65百万円の損失)
売上高は前年同期比11.2%減の5,043百万円。IT投資の抑制によりシステム開発事業やサポート&サービス事業の売上が減少した他、受注競争の激化でパーキングシステム事業の売上も落ち込んだ。利益面では、経費節減に努めたものの、システム開発事業やサポート&サービス事業の稼働率低下に加え、パーキングシステム事業における新規事業投資等で前年同期は90百万円だった営業損失が218百万円に拡大。補助金収入(11百万円→47百万円)の増加等により営業外損益が改善する一方、投資有価証券評価損(13百万円)や資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額(18百万円)の計上で特別損益が悪化したものの、法人税の還付もあり最終損失は128百万円にとどまった。
子会社では、(株)ゼクシスが既存顧客のIT投資予算削減により新規案件の受注が進まず苦戦。(株)日本システムリサーチもIT関連の要員派遣の需要が低迷した。
 
 
システム開発事業
第2四半期(7-9月)に入り、既存顧客を中心に凍結していた案件が動き始め、保守業務での技術者ニーズも増えてきたが、第1四半期(4-6月)の苦戦をカバーできず売上高が2,434百万円と前年同期比9.9%減少した。ただ、大型案件の手戻りの影響が一巡した事等で売上総利益は255百万円と同23.2%増加した。
 
サポート&サービス事業
運用管理での要員減少に加え、24時間365日障害対応やシステム運用・保守まで顧客のITインフラ全体をサポートするマネージドサービスセンター(MSC)の受注苦戦もあり、売上高が1,091百万円と前年同期比5.0%減少。限界利益の減少で売上総利益は140百万円と同21.0%減少した。
 
パーキングシステム事業
受注競争の激化により受注条件の厳しい案件が増えており、予定通りに「エコステーション21」の新規駐輪場案件の受注が進まず売上高が1,463百万円と同17.4%減少。売上の減少に加え、新事業として取り組んでいる「エコポート事業」において、名古屋市をはじめ幾つかの自治体が実施する社会実験に積極的に参加し事業化への準備を進めた事も負担となり、売上総利益は146百万円と同57.1%減少した。尚、「エコポート事業」では、自転車の貸し出し・返却の拠点をサービス地域内に複数箇所設置し、利用者が各拠点に設置してある自転車を自由に利用・返却でき、利用時間によって課金するサービスを提供している(一般的にはコミュニティサイクルと呼ばれている)。
 
(3)財政状態
売上債権の回収が進み、余裕資金を有利子負債の削減に充てた事で、上期末の総資産は8,507百万円と前期末比457百万円減少した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
上期決算を踏まえて通期業績予想を下方修正、前期比9.0%の減収、経常利益70百万円を見込む
売上高は前期比9.0%減の10,500百万円。システム開発事業の受注が改善傾向にあるものの、サポート&サービス事業も含めて先行きの不透明感が払拭できない上、競争激化や既存駐輪場の維持業務のコスト増等でパーキングシステム事業もやや苦戦の見込み。IT関連事業で10億円、パーキングシステム事業等で1億円、しれじれ売上高を下方修正した。ただ、業務量の増加と大型案件の手戻りの影響一巡でIT関連事業の損益改善が進む他、パーキングシステム事業における「エコポート事業」関連の実験投資も一服するため下期は収益性が大幅に改善、通期で20百万円の営業黒字を確保できる見込み。子会社では(株)ゼクシスにおいて、継続案件である保守業務等が増加傾向にあり、また、(株)日本システムリサーチも一般派遣等にも営業範囲を広げた成果が現れ始めている。配当は1株当たり年10円(上期末5円、期末5円)を予定している。
 
 
 
IT関連事業(システム開発事業及びサポート&サービス事業)
システム開発事業では前下期に実施した受注ソリューションの展示会出展やセミナー等の成果が現れつつあり、新規顧客からの引き合いが増えてきた。また、既存顧客も、営業活動の成果が現れ生保業務の受注が拡大している。このため、技術者の稼働率が改善傾向にあるものの、サポート&サービス事業の苦戦が続く上、システム開発事業においても、下期の計画案件の一部で実施に不透明感があるものもあり、上期の苦戦をカバーできない見込み。
 
パーキングシステム事業他
パーキングシステム事業は、低炭素社会に向けた社会的意識の高まりから自転車を取り巻く都市環境の整備が進んでいるものの、受注競争の激化による受注条件の悪化や既存駐輪場の維持業務のコスト増等で下期も苦戦が続く見込み。また、社会実験経験によりノウハウの蓄積が進み他社に比べて比較優位を有するエコポート事業も、引き合いは増えているものの、未だ実験段階にあり、業績寄与は来期以降となる見込み。
 
 
取材を終えて
マクロ経済の不透明感が払拭できず下期も厳しい事業環境が続く見込みだが、IT関連事業は新規顧客からの引き合いの増加や生保業務の受注拡大など既存顧客向けの底打ちで、受注が緩やかながら回復傾向にある。利益面でも、業務量の増加に加え、手戻り案件の影響で前年同期の利益率が悪かった事もあり、下期以降は収益性の改善が進む見込み。加えて、子会社2社の状況も改善傾向にある事から、今後の業績回復に期待したい。