ブリッジレポート
(5162) 株式会社朝日ラバー

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ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー vol.14

(5162:JASDAQ) 朝日ラバー 企業HP
横山 林吉 社長
横山 林吉 社長

【ブリッジレポート vol.14】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「抑制していた経費の正常化もあり、業績の回復も一服といったところだ。今後は業績の底打ちから、成長軌道への回帰に向けたステージとなるが・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年12月14日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社朝日ラバー
社長
横山 林吉
所在地
埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2
決算期
3月 末日
業種
ゴム製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 4,667 125 91 41
2009年3月 4,904 46 14 -80
2008年3月 6,284 414 325 211
2007年3月 5,314 399 375 176
2006年3月 4,578 366 353 209
2005年3月 4,057 251 251 147
2004年3月 3,449 233 211 112
2003年3月 3,154 172 159 75
2002年3月 2,907 98 85 10
2001年3月 3,582 315 336 189
2000年3月 3,140 313 300 141
株式情報(12/7現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
315円 4,550,215株 1,433百万円 1.5% 500株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
8.00円 2.5% 13.41円 23.5倍 629.58円 0.5倍
※株価は12/7終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
朝日ラバーの2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明の他、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、文房具用・スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン材料の配合技術と調色技術に強みを有し、例えば、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、1万色以上の光を出す事やLEDの光のばらつきを均一化する事ができる。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かした製品である。
グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)ファインラバー研究所、米国の販売会社ARI International Corp.、及び中国・東莞市に工場(来料加工工場)を持つ朝日橡膠(香港)有限公司、また今年7月に中国・東莞市に設立した東莞朝日精密橡膠制品有限公司の連結子会社4社からなる。
 
<事業内容と主要製品>
事業は、自動車の内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓等の医療・衛生用ゴム事業に分かれる。10/3期の売上構成比は、それぞれ、83.4%、16.6%。 工業用ゴム事業は、更に自動車の内装照明の光源向けが中心の彩色用ゴム製品(売上構成比47.5%)、情報通信向けが多い弱電用高精密ゴム製品(同 11.5%)、卓球のラケット用ラバー等のスポーツ用ゴム製品(同 9.8%)、その他工業用ゴム製品(同 14.6%)に分かれる。
 
 
2011年3月期上期決算
 
 
自動車関連中心に売上が回復
売上高は前年同期比21.6%増の2,405百万円。自動車関連を中心に工業用ゴム事業の売上が伸びた他、医療用ゴム製品の一部が得意先の在庫調整等の影響を受けた医療・衛生用ゴム事業も独自の開発製品を中心に売上が増加した。利益面では、抑制していた人件費の正常化等で販管費が増加したものの、売上の増加と工場稼働率の上昇による売上総利益率の改善で吸収。営業利益は92百万円と同2.7倍弱に拡大した。
 
 
 
 
第1四半期(4-6月)
自動車関連製品の受注が回復。工場の稼働率の向上により売上総利益率も改善し、人件費カットの解除等による販管費の増加を吸収して営業損益が黒字転換した。
 
第2四半期(7-9月)
前年同期は経営合理化策の継続効果と自動車関連製品の受注回復が重なったが、今期は売上の伸びが緩やかになる中、人件費カットの解除や第二福島工場の医療工場の増築・立ち上げに伴う諸経費等による販管費の増加で前年同期比増収・減益となった。
 
 
 
 
研究開発費の増加で前期に削減した人員の復元で(株)ファインラバー研究所が大幅な増収・増益となった他、自動車関連製品の回復でARI International Corp.及び朝日橡膠(香港)有限公司も増収に転じ黒字転換した。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比59百万円増の7,458百万円。日本政策投資銀行の「ものづくりニッチトッププログラム」の第1号としての融資を受け、第二福島工場の増築資金に充当した。CFの面では、税負担の増加で営業CFが減少した他、設備投資の増加で投資CFのマイナス幅も拡大。政策投資銀行からの融資により財務CFが黒字となったものの、現金及び現金同等物の上期末残高は863百万円と前期末比172百万円減少した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比3.9%の増収、同9.0%の経常増益予想
工業用ゴム事業において、顧客販売戦略の変更に伴いスポーツ用ゴム製品の受注減少が見込まれる事や開発製品の量産立上げの遅れ等を理由に通期の売上予想を下方修正した。売上の下振れにつれて利益も期初予想を下回る見込み。営業外損益の悪化は為替差損を織り込んだため。設備投資は750百万円(前期比は215百万円)を計画しており、減価償却費380百万円(同397百万円)を織り込んだ。配当は1株当たり5円の期末配当を予定している(上期末配当と合わせて年8円)
 
 
(2)今後の取り組み
中国に進出した顧客の現地での調達ニーズに応えるべく中国に新会社を設立した他、新製品の開発や標準化対応でLED関連事業を強化する。また、安定した需要が見込める医療事業においては、第二福島工場を増築しシェア拡大を図る。
 
①中国での事業展開
中国に進出した顧客の現地での調達ニーズに応えるべく、10年7月、中国広東省東莞市に東莞朝日精密橡膠制品有限公司を設立した。自動車向けの工業用ゴム製品を中心に事業展開を図る考えで、従来の製造部門だけでなく、営業、見積り、設計、品質管理等の主要部門を備えた本格的な法人組織とする考え。現在、東莞市で稼動している来料加工工場は、年内に設備を新法人工場に移管し閉鎖する予定。
 
・設立2010年7月8日
・朝日橡膠(香港)有限公司の100%子会社
・資本金176万米ドル
・地上3階
 (1、2階は生産スペース、3階は事務所等)
・延床面積約5,600m2
(同社資料より)
 
②LED関連事業の拡大
これまではLED単品に後付けして付加価値を提供してきたが、市場の拡大に追従するためには価格対応が急務であり、今後も継続的な価格低下が見込まれる。このため、耐熱性、耐紫外線特性に優れたシリコーンの特長を生かし、これまでの後付けのレンズやキャップだけでなく部材分野にも参入する。この一環として9月に開発を終えたレジスト材料「ASA COLOR RESIST INK」は、白色LED用を実装するプリント配線基板に塗布する事で光取り出し効率(95%の反射率)を高める事ができ、また、対紫外線特性に加え、耐熱性にも優れるシリコーン製品であるためハイパワーのLEDにも対応できる。今後、同製品の拡販と共に新たな部材開発も進めていく考え。
 
 
また、「ASA COLOR LED」の標準化展開も進める。これまでは、色のバリエーションとバラつき低減を提案してきたが、LEDの一層の低価格化で「ASA COLOR LED」も今後の苦戦が予測される。このため、LEDの供給元である日亜化学工業(株)との連携を強化し、標準品をラインアップする事で付加価値を落とさずに低価格化への対応を図る考え。既に、自動車内装照明向けとして、白色系63色×4種類の明るさで、252種類を標準化し低価格と短納期対応を可能にした製品の開発を終えている他、一般照明向けでは、日本のJIS規格や米国照明基準の8分類を更に細分化し、規格外のためLED単体では発光が難しい色にも対応した。
 
③医療事業の強化
第二福島工場を増築し生産スペースを1.5倍に拡張した。ゴムの表面を加工する独自の表面改質技術でシェア拡大を図り、13/3期に売上高12億円を目指す。
 
 
 
取材を終えて
抑制していた経費の正常化もあり、業績の回復も一服といったところだ。今後は業績の底打ちから、成長軌道への回帰に向けたステージとなるが、中国での事業展開の拡大に加え、LED関連事業における部材分野の強化や標準化といった施策は興味深い。これまでも同社は中国に工場を有していたが、中国での本格展開と言う訳ではなく、補完的な意味合いが強かった。また、LED関連事業における部材分野への展開は耐熱性に優れるシリコーンの特性やシリコーンの扱いに関する同社のノウハウを活かせる分野であり、標準化施策も色のバリエーションとバラつき低減に注力してきた同社にとって手付かずの分野であるため伸び代が大きい。売上や利益も大切ではあるが、今後は拡販に向けた先行投資も予想される事から、表面的な数値だけでなくその中身に注意した。