ブリッジレポート
(8097) 三愛オブリ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(8097)三愛石油 vol.4

(8097:東証1部) 三愛石油 企業HP
金田 凖 社長
金田 凖 社長

【ブリッジレポート vol.4】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「羽田空港の4本目の滑走路であるD滑走路の共用が始まった。これにより同空港の年間の発着能力が、これまでの約30万回から約41万回に増加し・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年12月14日掲載
企業基本情報
企業名
三愛石油株式会社
社長
金田 凖
所在地
東京都品川区東大井5-22-5 オブリ・ユニビル
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 833,991 6,364 6,675 1,005
2009年3月 981,734 9,353 9,714 4,618
2008年3月 861,914 7,537 7,456 3,298
2007年3月 791,583 7,044 7,354 3,281
2006年3月 726,445 5,713 5,799 4,032
2005年3月 360,046 5,892 6,385 3,814
2004年3月 266,352 3,576 4,088 1,780
2003年3月 261,719 3,051 3,146 692
株式情報(11/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
368円 74,810,632株 27,530百万円 1.9% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
11.00円 3.0% 53.47円 6.9倍 723.70円 0.5倍
※株価は11/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
三愛石油の2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
石油販売大手。主力の石油関連事業では、グループで約1,400のサービスステーション(以下、SS)に石油製品を供給しており、販売数量を安定的に伸ばしている。また、独自に開発した航空機への給油システム「ハイドラントシステム」により羽田空港の航空燃料供給を支えている他、LPガス(LPG)や天然ガスの販売も手掛けている。傘下に、キグナス石油(株)や國際油化(株)等の有力子会社を有し、子会社31社(うち連結子会社29社)及び関連会社4社(うち持分法適用会社1社)と共にグループを形成している。社名の“三愛”は、リコー三愛グループ(09年11月現在、63社・団体が加盟)各社の創業精神として受け継がれている「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の「三愛精神」を基とする。
 
<事業内容>
事業は、石油製品の販売や化学品の製造・販売等の石油関連事業、LPGや天然ガスの販売を中心としたガス関連事業、及び航空燃料の給油業務や建設業等の航空関連事業他の3セグメントに分かれ、売上構成比は、それぞれ93%、6%、1%(10/3期)。
 
石油関連事業
SS向けの石油販売や法人向けの産業エネルギー販売と共に、溶剤、工業薬品、防腐・防カビ剤、自動車用ケミカル商品、金属表面処理剤等、様々な化学品の開発・製造・販売も手掛けている。
 
ガス関連事業
LPG、天然ガス、及び関連する機器の販売を行っている。LPG販売では直販子会社による家庭への供給と工業用の高圧ガス販売を手掛けており、天然ガス販売では佐賀県佐賀市で天然ガスを供給すると共に、電気と熱を生むコージェネレーションシステム等、省エネに必要な仕組み作りも提案している。
 
航空燃料事業他
航空燃料の保管及び航空機への給油を行う航空燃料取扱業と子会社三愛プラント工業(株)が手掛ける金属表面処理や建設工事等のその他に分かれ、売上高の約80%をその他が占めるが、営業利益の大半を航空燃料取扱業が稼ぎ出す。航空燃料取扱業では、羽田空港において、油槽船の接岸を含めた埠頭の管理や空港内の貯蔵タンク等の管理、及び地下パイプライン(全長約40km)を通して航空機に直接燃料を圧送するハイドラント式給油システムの運営・管理を独占的に行っている(実際の航空機への給油作業でも同空港の55~60%のシェアを有する)。また、神戸空港、佐賀空港、茨城空港他でも子会社で同様のサービスを提供しており、中部国際空港へは運営社員を派遣。
 
 
2011年3月期上期決算
 
 
前年同期比11.7%の増収、同145.5%の経常増益
猛暑が追い風となり燃料油全体の需要が増加する中、石油製品を中心に販売価格引き上げが進み売上高が4,300億円と前年同期比11.7%増加した。利益面では、原油高による仕入れ価格の上昇を価格転嫁で吸収し売上総利益が同9.7%増加。一方、経費節減や変動費の減少で販管費が減少したため、営業利益は51.8億円と同135.8%増加した。金融収支の改善や軽油引取税交付金(1.3億円)の計上等で営業外損益も改善し、経常利益は52.2億円と同145.4%増加。旧川崎ガスターミナルの土地売却益31.4億円など特別利益31.6億円を計上する一方、羽田空港の航空機給油施設の一部撤去に伴う固定資産除売却損19.2億円など特別損失35.7億円を計上し、四半純利益は22.7億円(前年同期は12百万円)となった。
 
 
 
石油関連事業
売上高は前年同期比11.2%増の3,994.6億円。猛暑が追い風となり燃料油全体の需要が増加する中、仕入れ価格上昇分の販売価格への転嫁が進んだ他、産業用や化学品の販売も堅調に推移した。利益面では、今期よりセグメント利益の開示が営業外損益を反映した経常利益ベースとなったため、前年同期との単純な比較はできないものの、前年同期のセグメント営業利益20.1億円に対して大幅な増益となった。

尚、石油製品販売業では、2010年のSS経営戦略 「共走共汗」によるリテールサポートを実施した他、特約店やSS販売会社の収益に直結する実践的な「接客サービスコンテスト」を開催する等、SSスタッフの販売力の強化を図った。また、産業用については、新規需要家の獲得や工業用潤滑油の拡販に努めた。一方、化学品製造販売業では、洗車機用ワックス・撥水コート等の自動車関連商品、防腐・防黴剤、微生物簡易測定器具(サンアイバイオチェッカー)等の自社製品、クリーニング溶剤等の工業薬品や粘接着剤(タッキファイヤー)の商品販売に注力した他、国際化粧品開発展への出展や防腐・防黴セミナーの主催など新規需要の開拓にも努めた。
 
ガス関連事業
売上高は前年同期比20.5%増の236.1億円。LPガス業界全体で家庭・業務用の需要が前年同期の実績を上回る等、事業環境にも恵まれLPガス販売が伸びた。また、天然ガス販売では佐賀ガス(株)の業績が堅調に推移する中、関東・関西地区において積極的な営業活動を行った。
 
航空関連事業他
売上高は前年同期比16.9%増の69.3億円。昨年10月より国際チャーター便として北京線が就航した事等から、羽田空港の燃料搭載数量は前年同期の実績を上回り同社もこの恩恵を享受。三愛プラント工業(株)が手掛ける金属表面処理業も、半導体及び液晶業界向けの需要回復により売上が増加した。また、本年10月の羽田空港の新滑走路供用開始と国際化に備えた航空機給油施設の整備・拡張など体制の整備も進んだ。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比55.6億円減の1,912.5億円。除売却損等の計上により資産の健全化を進めた事で固定資産が減少したものの、CFの改善により現預金が増加。余裕資金を活用して有利子負債の返済も進めた。CFの面では、運転資金が増加したものの、利益の増加や税負担の減少でほぼ前年同期並みの営業CFを確保。一方、羽田関連の投資がピークアウトする中、有形固定資産の売却もあり投資CFが大幅に改善。83.1億円のフリーCFを確保した(前年同期は14.3億円のマイナス)。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比7.9%の増収、同34.8%の経常増益予想
順調に拡大した上期の業績を踏まえて通期業績予想を上方修正した。原油高による販売価格の上昇で、主力の石油製品販売が伸びる。利益面では、石油製品販売を中心に仕入原価が上昇するものの、価格転嫁が進み売上総利益も増加する。諸経費の節減により販管費の伸びを抑え、営業利益は同33.6%増加する見込み。配当は1株当たり5.5円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年11円)。
 
 
取材を終えて
羽田空港の4本目の滑走路であるD滑走路の共用が始まった。これにより同空港の年間の発着能力が、これまでの約30万回から約41万回に増加し、この増加枠のうち6万回が国際便に割り当てられ国際定期便が就航する。便数の増加に加え、国際便は当然の事ながら国内便に比べて燃料の搭載量も多くなる。このため、羽田空港の給油インフラを担い、実際の航空機への給油作業でも同空港の55~60%のシェアを有する同社が受ける恩恵は大きい。同事業は公共性が高いだけに、自らの利益の追求だけでなく、顧客や空港の利用者への配慮も必要となるが、同社の収益基盤の強化につながる事は確かだ。