ブリッジレポート
(3034:JASDAQ) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.9】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「地域社会のニーズに対応した展開と患者の利便性向上を目指した戦略業態である調剤薬局併設型コンビニエンスストアとドラッグストアとの融合店がオー・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年12月21日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。首都圏中心に東北、中部、北陸、関西に約280店舗を展開。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 56,305 2,031 2,032 828
2009年3月 49,010 1,526 1,506 653
2008年3月 38,002 1,314 1,298 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(12/3現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
72,800円 123,744株 9,009百万円 8.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,000.00円 1.4% 6,943.97円 10.5倍 81,256.31円 0.9倍
※株価は12/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
クオールの2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
主に民間病院・クリニックを対象とした調剤薬局をチェーン展開している。「“クオリティ オブ ライフ”の向上」を企業信念として掲げ、社名の「クオール」もこれに由来する。首都圏中心に東北、中部、北陸、関西に店舗展開しており、出店は常に医療機関とのマンツーマン体制を堅持する事で調剤薬局間の無駄な顧客獲得競争を排除している。また、地域に根ざした店舗運営を進めると共に、従来の調剤薬局のイメージを一新するような外観や明るく快適な店舗づくりで差別化を図っている。この他、医薬品治験関連(SMO)事業や薬のパンフレット作成等を手掛ける出版事業も手掛けており、10/3期の売上構成は、調剤薬局を展開する保険薬局事業が95.7%、医薬品治験関連(SMO)事業が0.6%、出版事業が3.5%、薬剤師を中心とした労働者派遣・紹介の派遣事業が0.1%。10年9月末現在のグループ店舗数は277店舗。
 
<沿革>
92年10月、調剤及び医薬品の販売を目的に設立された。03年5月、子会社フェーズオン(株)を設立し、医薬品治験関連(SMO)事業に参入。07年1月には、第一製薬(現:第一三共)傘下の第一メディカル(株)(現メディカルクオール)の全株式を取得し、医療・医薬情報資材の制作関連事業を開始した。06年4月、大証ヘラクレス(現:JASDAQ)に株式を上場し現在に至る。
 
<クオールグループ>
グループは、同社の他、下記の連結子会社11社、及びその他の関係会社2社で構成されている。
 
保険薬局事業(クオール及び連結子会社7社)
同社が、主に中規模の民間病院・クリニック(処方せん応需枚数100枚/日前後)の門前を中心に東北、関東、関西等、全国へ展開しているのに対して、子会社の(株)福聚、(株)イムノファーマシー大阪(08年7月子会社化)、クオール東日本(株)(08年8月設立)の3社がクリニック等の門前薬局として各地域に展開。事業エリアは、(株)福聚が首都圏、(株)イムノファーマシー大阪が関西、クオール東日本が東北。この他、(株)お茶の水調剤薬局(08年10月持分法適用→連結子会社)、クオール関東(株)(09年2月設立)、医療事務受託の医療総合研究所。
 
その他事業(連結子会社4社)
医療・医薬情報資材制作関連事業を手掛けるメディカルクオール(株)、医薬品治験関連(SMO)事業のフェーズオン(株)の他、労働者派遣・紹介事業のクオールメディス(株)(08年12月設立)、社内業務代行事業(「障害者雇用の促進」を目的とした特例子会社)のクオールアシスト(株)(09年2月設立)。
 
<異業種との提携>
大病院や大学病院の院外処方が一巡した事で医薬分業の進捗が鈍化している(現在、60%程度)。今後、中小病院やクリニックでの分業率向上に焦点が移るが、中長期的には「大資本の外資系ドラッグストアの日本進出も予想され、門前薬局だけでは安定した経営が難しい」と言うのが同社の考え。このため、従来型のマンツーマン薬局に加え、資本関係のある(株)メディセオ・パルタックホールディングス(議決権の32.26%を保有)や三菱商事(株)(同20.30%の保有)、及び提携関係にあるグローウェルホールディングス(株)との連携を強化し、コンビニやドラッグストアとのパートナー戦略を進めていく。
 
(1)「ナチュラルローソン城山トラストタワー店」のオープン
調剤薬局併設型コンビニエンスストア「ナチュラルローソン城山トラストタワー店」が8月2日にオープンした。同店では、OTC医薬品の販売に加え、医療機関からの処方せんへの対応、更には薬剤師による健康相談等、クオールのノウハウを活かした医薬専門性の高いサービスを提供すると共に、ナチュラルローソンの健康をベースにした商品開発力を活かして医食同源を追求していく。同店の運営はローソンのフランチャイジーとしてクオールが行い、今後、関東地方を中心に多店舗展開を進めていく考え。
尚、「ナチュラルローソン城山トラストタワー店」は店舗面積が70坪(調剤12.7坪)で、処方せん受付時間は8:30〜19:00だが、第2〜第3類医薬品については24時間販売。店舗と同社のコールセンター(港北店)を24時間ON LINEでつなぐテレビ電話も設置されている。総品揃え数は約3,000アイテムで、このうち医薬品が約220アイテム、医療用医薬品が約1,000アイテム、ジェネリック医薬品が約100アイテム。薬剤師2名、登録販売者6名の体制で運営しており、患者のリピート率が42%と高く、処方せん応需医療機関数は既に約250機関に及ぶ。
 
 
(2)ジーエムキュー(株)の設立と1号店のオープン
グローウェルホールディングス(株)及び(株)メディセオ・パルタックホールディングスとの共同出資により、調剤薬局とドラッグストアの融合による新業態薬局の企画・運営及び薬剤師教育等を行うジーエムキュー(株)を5月6日に設立したが、その1号店「M&M(エムエム)薬局青葉台店」が10月1日にオープンした。
「M&M(エムエム)薬局青葉台店」は40歳以降をターゲットとし、売場面積は90坪(調剤30坪、ドラッグ60坪)で感染症ルームも備えている。薬剤師4名、登録販売者2名、スタッフ4名の体制で運営しており、営業時間は9:00〜21:00。また、ハピコムやトップバリューといったPB商品も扱っている。
 
・店名の由来:Mr.& Mrs. Maintenance &
 Medicine Meet & Merry
・物流・調剤:メディセオ、
 ドラッグ:ウェルシア関東
・処方せん応需枚数:平均14枚/day
・応需医療機関数:約70
・出店目標:11/3期2店舗、12/3期3店舗

(同社資料より)
 
2011年3月期上期決算
 
 
前年同期比7.3%の増収、同56.5%の経常増益
薬価改定等の影響を受け既存店が微増収(同0.4%増)にとどまったものの、本年2月に子会社化したテイオーファーマシー(株)を中心にしたM&A効果(17.9億円)や新規出店効果(1.1億円)で売上高が294.4億円と同7.3%増加した。利益面では、保険薬局事業における技術料率の改善や人件費率の低下等で売上総利益率が0.4ポイント改善する一方、クオール本体の新卒薬剤師の減少(161名→41名)や諸経費の節減により販管費が減少したため営業利益が9.3億円と同58.1%増加。賞与引当金戻入額等0.8億円を特別利益に計上する一方、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額1.0億円など特別利益2.0億円を計上した結果、四半期純利益は3.3億円と同39.8%増加にとどまった。期末店舗数は277店舗。7店舗の新規出店を行う一方、4店舗の退店を行った。
期初予想との比較では、新規出店の期ズレで売上がわずかに下振れしたものの、想定以上に販管費の抑制が効いた事と新規出店の期ズレの影響もあり営業利益、経常利益が上振れ。資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う影響額が予想を下回ったため、四半期純利益は期初予想を大きく上回った。
 
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比1.6億円増の277.0億円。フリーCFの改善による現預金の増加が総資産増加の主な要因。CFの面では、営業CFが減少したものの、M&A関連の支出の減少で投資CFのマイナス幅が大幅に縮小したため、前年同期比は1.1億円にとどまったフリーCFが4.1億円に増加した。配当の支払等で財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等の上物期末残高は26.9億円と前期末比3.8億円増加した。
 
 
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比11.9%の増収、同22.7%の経常増益予想
上期は各利益段階で期初予想を上回ったものの、下期は来期の新業態店舗の店舗展開を見据えて前倒しで人材の確保を進める事や上期に計上を予定していた一部の経費が下期にずれ込んだ事等を理由に期初予想を据え置いた。配当は特別配当を落とし、1株当たり年1,000円を予定している(うち上期末配当500円)。
 
 
中長期の成長に向けた取り組み
 
同社は中長期的な成長力の維持に向け、積極的な店舗展開、在宅医療への取り組み、及びジェネリック医薬品への対応強化に取り組んでいる。
 
(1)積極的な店舗展開
現在進行中の中期経営計画(11/3期〜13/3期)では、3ヵ年で184店舗の新規出店を計画しており、内訳は直営店92店舗、FC49店舗、ローソンとの共同店舗30店舗、ジーエムキュー店舗13店舗。直営店の出店には売り場面積が10坪の面分業対応薬局4店舗が含まれており、既存の4店舗と合わせて12/3期末までに8店舗を出店し、その後、収益性を見極めた上で方向性を決める。また、ローソンとの共同店舗についても、12/3期までに30店舗を出店し、その後、収益性を見極めた上で方向性を決める考え。
 
\儷謀な人材採用
上記の新規出店計画を進めるために、クオール本体が積極的に新卒薬剤師の採用を行っている(6年制新卒薬剤師の13/3期の採用目標500名)他、子会社のクオールメディス(労働者派遣・紹介事業)も薬剤師及び登録販売者の確保に注力している。また、出産等で退職した女性薬剤師(ママ薬剤師)を掘り起こして正社員や派遣社員としてクオールグループに取り込むべく、ママ薬サイトをオープン(http://www.mamayaku.com/)した。尚、クオールメディスは人材の登録・提携先への人材派遣共に順調に推移しており、11/3期第2四半期に営業損益が黒転転換した。
 
11/3期上期の新規出店と店舗戦略
 
上期は面分業対応薬局2店舗(銀座、名駅店)、地域医療店舗1店舗(能登町薬局)、及びナチュラルローソンクオール薬局城山トラストタワー店を含む7店舗を新たにオープンした。面分業対応薬局は今期3店舗、来期1店舗を、ローソンとの提携店舗は今期5店舗、来期25店舗を、それぞれ予定している。また、能登町薬局では、医師、薬剤師、看護師、及びヘルパーが一体となったチーム医療の実現を目指し、患者とのコミュニケーションや処方内容への理解度及び病態に対する知識の向上を目的に医師の往診に随行している。
 
(2)在宅医療への取り組み
在宅に特化した店舗を開設し、地域ネットワークや医療資源を活用しつつ在宅医療関連のサービスを提供していく考えで、在宅処方せんを応需する在宅・施設対応薬局を現在75店舗(前期末50店舗)展開している。また、排泄ケアの専門員相談員である「オムツフィッター」の取得に力を入れている(現在23名、前期末比10名増)他、クリーンルームの設置店舗の拡充にも取り組んでいる(現在8店舗)。オムツフィッターは、(株)排泄総合研究所が04年9月から始めた認定資格。排泄ケアの専門相談員として、排泄に関する用具の提案・選定、アドバイスができる人材の育成を目的に作られた資格だが、実施の業務では、オムツの提案にとどまらず、医療や住環境、適切な福祉用具など幅広い視点からアドバイスを行っている。
 
 
(3)ジェネリック医薬品への対応強化
ジェネリック医薬品への対応にも力を入れており、前期末に18.2%だったジェネリック医薬品の比率(数量ベース)を、11/3期は処方元との打ち合わせの上、25%に引き上げたい考え(9月末20.7%)。
 
 
取材を終えて
地域社会のニーズに対応した展開と患者の利便性向上を目指した戦略業態である調剤薬局併設型コンビニエンスストアとドラッグストアとの融合店がオープンした。また、全国のクオール薬局で患者が個々の情報を照会でき、かかりつけ薬局と同様のサービスが受けられるクオールカードの導入も開始する等、新たな取組みが次々とスタートしている。
少子高齢化の進展や薬剤の長期投与等を背景に医療費は増加傾向にあり、今後、ジェネリック医薬品やスイッチOTCの進行等、医療費抑制策の強化が予想される。また、保険薬局業界にとどまらず、医薬品関連業界や異業種からの参入も含めた業界再編、更には業界構造そのものの変化も予想される。同社を含めた調剤薬局各社は、こうした変化への対応を誤れば変化の波に飲み込まれてしまうが、変化の波に乗る事ができれば更なる業容の拡大が可能になる。調剤薬局併設型コンビニエンスストアにせよ、ドラッグストアとの融合店にせよ、当面の業績への寄与は大きくないが、上記の環境の変化を踏まえて同社の中長期的な成長を考えた場合、事業がスタートした事自体が極めて大きな意義を持つと考える。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2017 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(4282)イーピーエス vol.26 | ブリッジレポート:(3031)ラクーン vol.15»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE