ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.15

(4829:東証2部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.15】2011年5月期上期業績レポート
取材概要「国内では昨年の初めに再参入した店頭アフィリエイトが順調に売上を伸ばしており、海外では独自のプラットフォーム開発により中国での電子書籍事・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年1月25日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年5月 2,147 150 173 77
2009年5月 2,475 292 317 175
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(1/11現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
8,960円 377,000株 3,378百万円 2.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
100.00円 1.1% 464.19円 19.3倍 7,397.54円 1.2倍
※株価は1/11終値。
 
日本エンタープライズの2011年5月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。コンテンツの自社開発にこだわり、合言葉は「コンテンツで勝つ!」。音楽やゲーム・デコメ等のコンテンツを制作し携帯等を通じて配信するコンテンツサービスと、企業のコンテンツ制作・運営やシステム構築等を手掛けるソリューションが2本柱。また、日本のコンテンツを世界へ広げるべく海外展開にも力を入れており、第3世代携帯電話(3G)向けサービスが開始された中国で3Gサービスの普及を睨み、各種コンテンツを配信している他、携帯電話の加入者数が急拡大しているインドでは現地法人を設立し、本格的な参入に向けて準備を進めている。
 
コンテンツサービス事業
携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイといったインターネットに接続が可能な携帯電話の公式サイトや、mixi、モバゲーTOWN、GREEといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へ自社開発したコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリアから受取っている。オリジナルキャラクター等によるライセンスビジネスへの参入や、中国事業として、中国の携帯キャリア向けにコンテンツの提供も行っている。
 
モバゲーオープンプラットフォーム向けゲームアプリ「楽団つくーる!」(同社資料より)
 
50体以上のキャラクターの中からメンバーを集め楽団を構成。楽団メンバーの能力を高める事でベートーベンの「運命」やモーツァルトの「トルコ行進曲」等、定番の楽曲を演奏する事ができるようになる。
また、バーチャル空間での定期演奏会の開催やコンクールへの参加に加え、自分の楽団の演奏曲を「着うた」としてダウンロードも可能。一定の条件をクリアすると、メタル、クラブ、日本民謡等のオリジナルリミックスとして楽しむ事もできる。
 
ソリューション事業
コンテンツサービスから派生したビジネス。モバイルサイト構築・運用業務、ユーザーサポート業務、デバッグ業務、サーバネットワークの運用・監視・保守、自社コンテンツの2次利用(以上、ソリューション)、他社コンテンツの制作・運営(ソリューションコンテンツ)、更には、広告、及び物販等を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提供している。
 
 
2011年5月期上期決算
 
 
前年同期比0.5%の減収、同9.7%の経常増益
売上高は前年同期比0.5%減の11.2億円。店頭アフィリエイト(広告)を中心にソリューションが5.6億円と同7.3%増加したものの、音楽やゲームの苦戦でコンテンツサービスの売上が5.6億円と同7.2%減少した。利益面では、広告の売上構成比の上昇等で売上総利益率がわずかに低下したものの、外注費の削減や全社的なコスト管理の徹底により経費削減が進み営業利益は1.0億円と同15.5%増加した。
 
 
第2四半期の3ヶ月間では前年同期比1.6%の増収、104.0%の経常増益
広告(4百万円→75百万円)をけん引役にソリューションが伸びた他、デコメを中心にコンテンツサービスも堅調に推移。利益面では、積極的に広告宣伝費を投下したものの、増収効果とコスト削減の進展により営業利益は58百万円と同121.2%増加した。また、第1四半期(6-8月)との比較では、2.2%の増収、51.3%の経常増益となり、広告(50百万円→75百万円)をけん引役とする業績回復が鮮明となった。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比0.5億円増の30.6億円。長期預金からの振替で現預金が増加した他は前期末比で大きな変化は無かった。CFの面では、税負担が増加したものの運転資金の減少等で営業CFが増加。一方、定期預金の預入の増加やインド子会社の増資及び中国子会社の100%子会社化等で投資CFがマイナスとなった。配当の支払で財務CFもマイナスとなったものの、現金及び現金同等物の上期期末残高は11.7億円と前期末比でわずかに増加した。
 
 
 
2011年5月期業績予想
 
 
前期比9.4%の増収、同61.1%の経常増益予想
売上高は前期比9.4%増の23.5億円。コンテンツサービスの売上が11.8億円と同2.5%減少するものの、店頭アフィリエイトやスマートフォン関連を中心にソリューションの売上が同24.8%増の11.7億円と大きく伸びる。利益面では、増収効果に加え、外注費の削減や全社的なコスト管理の徹底により営業利益率が11.5%と4.5ポイント改善する見込み。配当は1株当たり20円増配の100円を予定している。
尚、コンテンツサービスは、公式サイトの会員を維持しつつ、新たな成長市場として期待されるソーシャルアプリ・スマートフォン市場への参入を図る事で下期は前年同期比増収に転じる見込み。また、ソリューションは、携帯販売代理店との協業による店頭アフィリエイトの拡大やスマートフォン関連の需要取り込みによる受託領域の拡大で下期は増収ペースが加速する見込み。
 
(2)各事業における取り組み
①国内事業
コンテンツサービス及びソリューションにおける取り組みは次項の通り。
 
・コンテンツサービス
選択と集中を進め、デコメ、着うた、健康といった強みを有する分野にフォーカスし有料会員数の拡大を図る事で公式サイトの収益力維持に努めると共に、ソーシャルアプリ及びスマートフォン分野で成長基盤の構築を図る。
ソーシャルアプリでは、第2四半期にmixi、Yahoo!モバゲー、モバゲーTOWNに3タイトルがサービスインした他、第3四半期も既にGREE、モバゲーTOWNにおいて3タイトルがサービスインしており、今後も開発費を抑えた軽量タイプのタイトルを月1タイトルのペースで投入していく考え(下期に約10タイトルの投入を予定)。また、mixi、Yahoo!モバゲー、モバゲーTOWN、GREEへ同一タイトルの横展開も進める。
 
 
スマートフォン向けでは、Android端末向けの乙女ゲームアプリ「ケータイ王子」(8月サービスイン)や目覚ましアプリ「めざメロ♪」(11月サービスイン)の課金を開始する他、継続的な新タイトルの投入によるコンテンツの拡充を進める。
 
・ソリューション
コンテンツ集客力の強化と広告事業の推進によるタッチポイントの拡大、サイト運営やコンテンツ制作による継続収益モデルの確立、及びスマートフォンへの対応による新しい軸の確立、の3点を下期の戦略として掲げている。
 
 
タッチポイントの拡大
携帯販売代理店(携帯ショップ)とのタイアップを強化すると共に他社コンテンツの取り扱い等で商材を拡充し携帯ショップの顧客とのタッチポイントを拡大する。また、共通ポイントプログラムをはじめとしたプラットフォームへの参画を進める。
 
 
スマートフォンへの対応
受託領域を広げるべく、従来の携帯電話向けサイト制作に加えて、既存クライアントのスマートフォン関連の需要取り込みに注力する。この一環としてスマートフォン専任組織を新設し、新機種、新機能対応を含め、企画・技術の両面で積極的かつスピーディに対応できる体制を整えた。
 
 
②海外事業
中国での電子書籍事業を中心に海外事業を進めていく考えで、この他、中国及びインドにおいて携帯通信キャリアとの連携を強化し更なるビジネスチャンスを模索すると共に、中国及びインドへ進出する日本企業の支援事業を立ち上げる。
電子書籍事業においては、現在、配信(中国向け。有料化を推進中)と制作(紙ベースの作品のデジタル化。中国向け及び日本向け)を手掛けている他、漫画家新媒体連盟を通じたコミックコンテンツ流通の活性化にも取り組んでいる。また、電子書籍事業の収益化に向け10年12月にモバイル向け電子コミックストア「漫魚(まんぎょ)」をオープンした。「漫魚」は、同社独自の課金システムによる有料サービスであり、Android端末はもちろん、2G・2.5G携帯端末も対象としたサービスで通信キャリアを問わない。現在、同社が保有する中国オリジナルコミック240タイトルの他、ソフトバンク クリエイティブ(株)と(株)ハーレクインの協力の下、ハーレクインのロマンス小説を原作としたコミック「ハーレクインコミックス」中国語(簡体字)版20本を配信している。また、現地の携帯キャリアのサイトや携帯メーカーのサイトへの供給に向けた商談も進行中である。
一方、インドにおいては、インド子会社「NEモバイル」がボリウッド関連アプリ 「Bollywood on the GO」の配信を開始した。Bollywoodとはインド・ムンバイ(旧地名「ボンベイ」)の映画産業で、米国のHollywoodを意識して付けられた名称。「Bollywood on the GO」ではボリウッドカレンダー、ボリウッド待ちうけ、ボリウッド占い、ボリウッドニュース、ボリウッドゴシップ、ボリウッド上映スケジュール、ボリウッドレビューを配信している。今後、配信先のアプリケーションプラットフォームを拡大させると共に無料版の有料化を順次進めていく。
 
 
 
取材を終えて
国内では昨年の初めに再参入した店頭アフィリエイトが順調に売上を伸ばしており、海外では独自のプラットフォーム開発により中国での電子書籍事業の収益化に向けた取り組みが軌道化しつつある。店頭アフィリエイトは、携帯ショップとのタイアップにより同社及び他社の携帯コンテンツの勧誘を携帯電話販売時に行うもの。ネットのアフィリエイトを活用したコンテンツ販売の場合、1ヶ月以内に退会してしまうケースがほとんどだが、店頭アフィリエイトは丁寧な商品説明の下で販売されるため比較的退会率が低く、コンテンツプロバイダーの評価も高いと言う(ビジネスの成功には携帯ショップとの良好な関係の構築や携帯ショップへのきめ細かい対応が必要となる)。また、詳細については語られていないが、このビジネスモデルを活用したスマートフォン関連の新ビジネスの立ち上げ作業も進んでいる模様。
一方、中国での電子書籍事業では独自の配信・課金システムを備える「漫魚」をオープンした事で今後事業展開が加速する見込み。これまではキャリアの思惑に左右され、同社は中国でのコンテンツ配信の有料化が進まなかった。
こうした国内外で新たな事業の芽が育ちつつある中、多様な機能を有しビジネスでの利用シーンの増加が予想されるスマートフォン市場の拡大で、スマートフォン関連の各種コンサル、受託開発、サイト運営等、既存のソリューション事業においてもビジネスチャンスも広がっている。07/5期の最高益更新以後、苦戦が続いたが、ここにきて成長軌道への回帰に向けた材料が揃ってきた事に注目したい。