ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.12

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
荻野 芳朗 社長
荻野 芳朗 社長

【ブリッジレポート vol.12】2011年2月期第3四半期業績レポート
取材概要「「ご飯がススム」シリーズは好調な販売が続いており、通期の売上高は期初予想の195.5億円を7.5%上回る見込み。しかし、天候要因による2度の・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年2月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
荻野 芳朗
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(1/14現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
360円 6,394,774株 2,302百万円 6.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 2.8% 34.87円 10.3倍 865.57円 0.4倍
※株価は1/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2011年2月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・惣菜の製造・販売及び青果物・漬物等の仕入販売を行なっている。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはISO9001、HACCPの取得や5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。

資本関係では、「きゅうりのキューちゃん」でお馴染みの東海漬物(株)が株式の49.6%を保有するが、取引はわずかにふる漬等の仕入があるのみ(10/2期は仕入高全体の4.3%)。むしろ同社を語る上で忘れてならないのが、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、10/2期は同グループ向けの売上が全体の47.1%を占めた。
10/2期の品目別売上構成は、製品売上が56%(浅漬41%、惣菜12%、ふる漬3%)、商品売上が44%(漬物38%、青果物6%)。
 
<新製品 「ご飯がススム 鍋の素」>
10年10月20日に、「ご飯がススム」シリーズの新商品として、野菜がたっぷり入った”鍋の素”を発売した。
市場で販売されているこれまでにある鍋つゆとは違い、スープの中に具となる野菜がたっぷり入っているため、肉を加えるだけで簡単に1~2人前の鍋が出来上がり。
包丁いらずで、調理時間も約5分と、簡単・便利にすぐできる、単身者や二人世帯に最適な商品設計。
希望小売価格はいずれも398円。

(同社資料より)
 
 
2011年2月期第3四半期決算
 
 
前年同期比16.7%の増収、同29.9%の経常減益
売上高は前年同期比16.7%増の160.7億円。青果物の取扱いがなくなる外食向けの売上やおでん用の大根(惣菜に含まれる)がなくなるコンビニ向けの売上が減少する中、スーパー等の量販店を中心に「ご飯がススム」キムチシリーズ(ご飯がススム、ご飯がススム 辛口、ご飯がススム カクテキ)の売上が大きく伸びた。ただ、春先の天候不順や夏場の猛暑等の影響による白菜、胡瓜等の原料野菜の仕入価格高騰で売上総利益率が悪化したため、テレビCM等の広告宣伝費の増加や関西地区新工場稼働に伴う費用増加等の先行投資負担を吸収できず同31.8%の営業減益。持分法投資損失の増加で営業外損益が悪化した他、固定資産処分損など特別損失56百万円を計上したため四半基純損失は1.6億円と同42.7%減少した。
 
 
(2)販売、製品開発、製造における取り組み
積極的なプロモーション展開
好調な「ご飯がススム」キムチシリーズを中心とした既存得意先への拡販や新規取引先の開拓に向け、全国各地でのテレビCMの放映や電車広告に加え、売場提案といった販売促進活動を積極的に推進した。
 
製品開発
「ご飯がススム」シリーズの新商品となる「ラ~油うま辛きゅうり」、「うま辛ザーサイキャベツ」、「ねぎキムチ」、「カレー福神漬」、「生姜福神漬」、更にはチーズやワインに合う程良い甘みとすっきりとした酸味が特長の「チーズとワインとピックルス」シリーズ等の新規分野でナショナルブランド商品を開発した。
 
製造
関西地区の生産能力増強を図るべく、子会社(株)ピックルスコーポレーション関西が新工場を建設し、10年4月より稼働を開始した。また、既存工場においても新規設備の導入を行い、全国でキムチの生産能力増強を行った。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比4.9億円増の124.9億円。借方では、子会社の新工場建設や既存工場の能力増強投資に伴い固定資産が増加。貸方では、長期借入金を中心に設備投資資金を調達したため有利子負債が増加した。CFの面では、利益の減少や税負担の増加(1.9億円→3.3億円)等で営業CFが減少。新工場建設や既存工場の能力増強投資を吸収できず、フリーCFが3.0億円のマイナスとなった。
 
 
 
2011年2月期業績予想
 
 
前期比15.3%の増収ながら、同19.3%の経常減益予想
第3四半期決算発表と同時に通期業績予想を下方修正した。積極的なプロモーション活動により「ご飯がススム」シリーズの販売が伸びるものの、売上全体では予想を下回る見込み。加えて、原料野菜の価格高騰による売上総利益率の悪化もあり、広告宣伝費の増加や関西地区新工場の立ち上げ費用等が負担となる。
ただ、第4四半期(12-2月)は、ご飯がススム」シリーズをけん引役とする売上の増加と野菜価格の落ち着きによる売上総利益率の改善により販管費の増加を吸収。前年同期比42.0%の経常増益が見込まれる。
配当は、期初の発表通り1株当たり10円の期末配当を実施する予定。
 
 
 
取材を終えて
「ご飯がススム」シリーズは好調な販売が続いており、通期の売上高は期初予想の195.5億円を7.5%上回る見込み。しかし、天候要因による2度の野菜価格の高騰といった想定外の収益悪化要因を吸収するには、他の製品も含めて売上の伸びがもう一伸び足りなかった(言い換えると、修正予想の215.5億円の売上が必要だった)。しかし、小売各社の決算を見ると、景気の影響を受け難い食品といえども買上点数の抑制という形で影響を受けている事がわかる。政治の混乱による先行きの不透明感から消費者の財布の紐は固く、特に年央以降はプロモーションの成果が得難い状況だった事も確かで、売上増に向けた積極的なプロモーション活動が逆に重荷となった同社の決算もうなずける。
とは言うものの、2桁の増収であり、基本的に販売は好調だ。加えて、「ご飯がススム 鍋の素」をはじめ、「ラ~油うま辛きゅうり」、「うま辛ザーサイキャベツ」、「ねぎキムチ」、「カレー福神漬」、「生姜福神漬」といった「ご飯がススム」シリーズの新製品や、チーズやワインに合う程良い甘みとすっきりとした酸味が特長の「チーズとワインとピックルス」シリーズ等の新しい分野での新製品に代表されるように製品開発も順調。天候要因によるアクシデント的な事象は止むを得ない面があるが、今期の反省を基に費用対効果の観点からプロモーションの見直しを行い、その効率性を高める事で来期は売上と利益のバランスの取れた成長が期待できよう。11/2期は減益決算となるが、方向性は悪くない。