ブリッジレポート
(2468) 株式会社フュートレック

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ブリッジレポート:(2468)フュートレック vol.16

(2468:東証マザーズ) フュートレック 企業HP
藤木 英幸 社長
藤木 英幸 社長

【ブリッジレポート vol.16】2011年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期予想に対する進捗率は、売上高が78.7%(前年同期は70.4%)、営業利益は87.0%(同65.1%)、経常利益87.8%(同65.2%)。売上・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年3月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フュートレック
社長
藤木 英幸
所在地
大阪市淀川区西中島 6-1-1
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 1,996 530 540 315
2009年3月 1,777 404 415 221
2008年3月 1,598 264 277 159
2007年3月 1,253 249 256 162
2006年3月 1,443 173 165 99
2005年3月 1,059 69 79 33
2004年3月 907 9 6 -1
2003年3月 736 12 12 3
2002年3月 435 17 34 29
株式情報(3/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
168,700円 46,564株 7,855百万円 13.9% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,100.00円 1.2% 6,442.75円 26.2倍 56,433.30円 3.0倍
※株価は3/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フュートレックの2011年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
音声認識・UIソリューション事業分野と音源事業分野を柱に事業領域を拡大してきている。音声認識ソフトウェアの開発や音声認識サービスを提供する(株)ATR-Trekと共にグループを形成している。
 
 
<音声認識・UIソリューション事業分野について>
音声認識関連分野を最重要事業と位置づけると共に今後の更なる発展を図るべく、これまで独自の事業展開を進めていた音声認識事業とUIソリューション事業を“音声認識・UIソリューション事業分野”として一体化させた。
 
(1)製品ラインナップと収益
音声認識・UIソリューション事業分野の収益は、製品が搭載された事による「イニシャルフィーとランニングロイヤルティ」、製品搭載に伴う「カスタマイズ収益」、及びエンドユーザーからの月額使用料(「しゃべって翻訳」)からなる。
 
(2)近未来の技術を実現した音声対話 -機械と対話しながら操作-
画面上のマチキャラ®と会話する感覚で携帯電話の問いかけに声で答えていくと、希望する操作ができる画面にたどり着くため、マニュアルを読まなくても簡単に色々な機能を使う事ができる。10年11月にNTTドコモ2010-2011年冬春モデル13機種に「音声クイック起動」として搭載された。音声対話技術には、ユーザーの声を認識する技術(音声認識)、ユーザーの質問内容を特定し、どのような返事を返すかを判断する技術(対話制御)、及び判断された返事をマチキャラ®に話させる技術(音声合成)の3つの技術が盛り込まれている。音声認識技術は、(株)国際電気通信基礎技術研究所(以下ATR)の高度な技術によって支えられ、特にノイズ環境に強く、屋外での利用に耐えうるものだ。対話制御技術はユーザーの質問からキーワードを抽出・理解し、それに対応した対話シナリオを選択し応える。また、音声合成技術はHMM 音声合成を利用する事で小容量ながら自然な音声合成(発話)を実現している。
 
(3)サービス
音声認識を利用したサービスとしては、NTTドコモが提供している音声入力メール(メールの件名や本文を携帯電話に向かって話すだけで入力できる)や(株)ATR-Trekが運営するiアプリ®「しゃべって翻訳」(月額150円、読み上げを行うDX版は同200円)がある。今後は、これまでUIソリューション事業として手掛けていた電子ヘルプソリューション「使いかたナビ®」(多機能な電化製品を使いこなすための電子ヘルプ機能)を音声認識に対応させていく事でサービスラインナップを拡充していく考え。
 
 
2011年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比17.6%の増収、同24.7%の経常増益
売上高は前年同期比17.6%増の16.5億円。カスタマイズ業務や(株)NTTドコモに提供した音声対話技術のランニングロイヤルティ収入の増加等で音声認識・UIソリューション事業分野の売上が増加。ソフトウェア音源の売上が寄与し、音源事業分野の売上も第3四半期(10-12月)に急増した。利益面では、収益性の高い主力2事業を中心に売上が増加した事で売上総利益率が61.1%と3.9ポイント改善。音声認識・UIソリューション事業分野を中心にした研究開発費の増加等で販管費が増加したものの、営業利益は4.3億円と同26.1%増加した。
 
 
音声認識・UIソリューション事業分野
売上高は前年同期比19.8%増の7.7億円。イニシャルフィーによる収入が減少したものの(前年同期はイニシャルフィー約1億円を計上)、カスタマイズ業務や(株)NTTドコモに提供した音声対話技術のランニングロイヤルティ収入が増加した他、総務省の採択プロジェクト関連の売上を計上した。
 
音源事業分野
売上高は前年同期比18.3%増の7.1億円。国内市場における音源搭載台数の伸び悩みで、(株)NTTドコモとの音源IPライセンス契約に基づくロイヤルティ収入が減少したものの、ソフトウェア音源の売上が寄与し、第3四半期に売上が急増した。

この他、受託業務を中心に基盤事業分野の売上高が61百万円と前年同期比5.2%増加した他、英語リスニング模擬試験用メモリーカードの書込みが堅調に推移した事でカード事業分野の売上高が107百万円と同5.9%増加した。
 
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比4.8億円増の32.7億円。借方では、フリーCFの改善と借入金の積み増しで現預金が増加した他、投資有価証券の取得等で投資その他が増加。貸方では、短期借入金や純資産が増加した。CFの面では、利益の増加と棚卸資産の減少等で営業CFが増加する一方、ソフトウェア開発や設備投資の減少で投資CFのマイナス幅が縮小したためフリーCFが改善(2.7億円を確保した)。短期借入金の積み増しもあり、現金及び現金同等物の第3四半期末残高は18.8億円と前期末比4.7億円増加した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更は無く、前年同期比5.2%の増収、同7.5%の経常減益予想
通期業績予想を据え置いたため、結果として第4四半期(10-12月)の業績予想が保守的なものとなった。会社側では、携帯電話で培った技術を他の分野へ展開するべく音声認識及びUIソリューションの分野を中心に研究開発費を積み増すとしている。配当は、前期に実施した1株当たり250円の記念配を普通配に切り替え、年2,100円を予定している。
 
 
 
取材を終えて
通期予想に対する進捗率は、売上高が78.7%(前年同期は70.4%)、営業利益は87.0%(同65.1%)、経常利益87.8%(同65.2%)。売上・利益の両面で順調に進捗しており、また、足下の良好な業績モーメンタムを考えると第4四半期の大幅な減収・減益は考え難い。第4四半期が前年同期並みで着地した場合、通期の売上高は22.5億円、営業利益及び経常利益は6.2億円程度になる。その場合、研究開発費の増加を織り込んでも、5.5億円~6.0億円程度の営業利益及び経常利益を確保できるのではないだろうか。