ブリッジレポート
(6890:JASDAQ) フェローテック 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート vol.29】2011年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「3月11日に発生した東日本大震災では、岩手県釜石市及び福島県会津若松市の事業所が被災したものの、従業員の安否は確認されており人的被害は・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年4月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテック
社長
山村 章
所在地
東京都中央区京橋 1-4-14
事業内容
半導体・液晶装置用及びHDD用部品の世界シェアトップ。
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 31,541 703 524 156
2009年3月 36,653 2,790 2,097 743
2008年3月 36,625 3,057 2,414 1,903
2007年3月 32,517 2,288 2,081 1,703
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
2002年3月 14,775 916 984 -357
2001年3月 16,435 2,665 2,561 1,644
2000年3月 7,988 892 629 288
株式情報(4/8現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,755円 24,803,678株 43,530百万円 0.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 1.1% 129.01円 13.6倍 926.76円 1.9倍
※株価は4/8終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フェローテックの2011年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
シリコン単結晶引上装置等の太陽電池関連製品、半導体製造装置やフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)製造装置の部品、半導体材料、各種温度調節に使われるサーモモジュール等の製造・販売を行っている。いずれも目に触れる機会はないものの、パソコンや携帯電話、液晶やプラズマ等、身近な分野で同社の技術が活かされている。もともとは磁性を持つ液体である磁性流体応用製品のメーカー。その代表例が、半導体やFPDの製造装置の部品となる真空シールであり、我国の半導体・液晶の製造装置産業の発展に大きく寄与した。磁性流体応用製品に次ぐ主力製品となったサーモモジュールもそうだが、Only Oneの製品であり、超精密部品であるため、金属加工や表面処理等で高い技術が要求される。この技術を中国に持ち込み、現地の安価な労働力と融合させたのが、事業セグメントの一つである受託生産(CMS)事業である。更に、近年、急速な伸びを示しているのが、シリコン結晶製造装置や石英坩堝等の消耗品を手掛ける太陽電池関連事業である。太陽電池の材料となるシリコン結晶製造装置には、同社の製品である真空シールが主要部材として使われており、これまで蓄積してきた技術やノウハウが活かされている。

国内外の連結子会社20社及び持分法適用会社5社とグループを形成しており、事業セグメントは次の通り。
 
装置関連事業  : 真空シール、石英製品、半導体用シリコン、セラミックス、蒸着装置、シリコンウエーハ加工等
太陽電池関連事業: シリコン(多・単)結晶製造装置、角切ソー装置、太陽電池用シリコンインゴット、石英坩堝
電子デバイス事業: サーモモジュール、磁性流体等
その他     : ソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等(報告セグメントに含まれない事業セグメント)
 
 
 
2011年3月期第3四半期決算
 
 
主力3セグメントが順調に拡大、累計の売上・利益が過去最高に
売上高は前期比79.3%増の397.5億円。半導体・液晶・有機EL等の設備投資の活発化やこれらデバイスの生産増で装置関連事業の売上が同2.7倍に拡大。太陽電池関連事業では、シリコン結晶製造装置が堅調に推移する中、消耗品である石英坩堝が大きく伸びた他、新たに販売を開始した角切ソー装置(シリコンインゴットを全自動で角柱に切断加工するマルチワイヤーソー装置)や太陽電池用ウエーハも順調な立ち上がりを見せた。また、電子デバイス事業も、中国市場での自動車販売拡大を追い風にした自動車温調シート向けに加え、半導体製造装置、医療用検査装置、光通信向け等も伸びたサーモモジュールの売上が倍増した。
利益面では、変動費の増加や抑制していた経費の正常化で販管費が増加したものの、売上の大幅な増加と稼働率の向上による売上総利益率の改善で吸収し、前年同期は5百万円の損失だった営業損益が43.5億円の利益に転換。為替差損4.4億円(前年同期は0.2億円の差益)や減損損失など特別損失1.7億円を計上したものの、26.5億円の四半期純利益を確保した。
 
 
 
前年同期との比較では、3セグメントの売上が大きく伸びる中、収益性の改善も進み同67.9%の営業増益。第2四半期(7-9月)との比較では、シリコン結晶製造装置の出荷が順調に進む等、全製品の売上が高い伸びを示した太陽電池関連事業の売上が57%強増加。電子デバイス事業もサーモモジュールが好調を維持した。また、調整局面入りを予想していたい装置関連事業も、消耗品である石英製品やセラミックス製品を中心に売上が増加した。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第3四半期末の総資産は前期末比102.9億円増の582.5億円。受注・売上の増加で運転資金が増加した他、太陽電池関連事業を中心にした設備投資等で固定資産も増加。手元資金を取り崩すと共に転換社債型新株予約権付社債20億円)の発行等で成長資金を取り込んだ。CFの面では、運転資金の増加や税負担の増加で営業CFが減少する中、石英坩堝の生産能力増強など太陽電池関連事業を中心に設備投資が増加したため、フリーCFが15.1億円のマイナスとなった。一方、積極的な成長資金の取り込みで財務CFが30.9億円の黒字となり、現金及び現金同等物の第3四半期末残高は70.9億円と前期末比12.2億円増加した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比71.2%の増収、同777.5%の経常増益
全セグメントで売上見通しを上方修正した。太陽電池関連事業は、当初から下期に高い伸びを見込んでいたが、シリコン結晶製造装置の出荷が順調に進む中、角切ソー装置や太陽電池用ウエーハが予想以上に伸びる。また、装置関連事業は、半導体・FPD関連投資が予想通り一服するものの、高水準の生産を受けて消耗品が予想以上に堅調。電子デバイス事業もサーモモジュールが予想を上回る見込み。利益面では、売上総利益率の改善が進む一方、販管費の伸びは抑制され、営業利益が上振れ。営業利益、経常利益、当期純利益が過去最高を大幅に更新する。

1株当たり配当金は前期比8円増の20円を予定。第3四半期までの業績推移と今後の業績見通しを踏まえ普通配当を6円増配すると共に、会社設立30周年を記念し記念配当2円を実施する。
 
 
 
取材を終えて
3月11日に発生した東日本大震災では、岩手県釜石市及び福島県会津若松市の事業所が被災したものの、従業員の安否は確認されており人的被害は無かった。既に受注している製品の納品に関しては、中国杭州工場及び千葉テクニカルセンターにおける代替生産及び品質試験による納期遵守に向けた取り組みが進められている。11/3期については、上記事業所関連の特別損失が計上される可能性はあるが影響は軽微と思われる。12/3期についても、同社個別では特段の不安は無い。気になるのは東北地方に工場を有する顧客(主に装置関連事業)の状況だが、有力顧客の一つで岩手県や宮城県に複数の拠点(製造子会社)を有する大手半導体製造装置メーカーは、被災地域に拠点がある全てのサプライヤーと連絡が取れ、そのうち9割以上は供給再開の目途がたっている。このため、12/3期上期の生産計画に大きな影響はない見通し。また、青森県八戸市に拠点(製造子会社)を持つ真空装置メーカーも、製造子会社が3月15日に生産を再開しており、交替勤務の実施等で製品出荷の影響を最小限にするために全力を尽くしている、との事。計画停電の影響等に留意する必要はあるのだろうが、12/3期の同社の業績にブレーキがかかる可能性は低そうだ。
一方、太陽電池関連の見通しは明るい。同社が製造拠点を置く中国では、3月14日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)第4回会議において「第12次5カ年計画」(2011〜15年)が採択されたが、その2本柱は「消費拡大と民生改善」と「産業構造の高度化と省エネ推進、環境保全への配慮」。後者においては、単位GDP当たりのCO2排出量削減(10年比で17%削減)といった数値目標が掲げられており、再生可能エネルギーを使用する太陽光発電への投資加速を示唆しているものと思われる。また、新聞報道によると、中国政府は、東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故を受けて中国国内の原発建設に不確定要素が生まれているため、15年末を目処に太陽光発電の発電能力を10年末の10倍の1千万キロワットに増やす方向で検討に入ったと言う。中国に生産拠点を置く同社は、こうした政策効果をフルに享受できるものと思われる。
以上のことも踏まえて12/3期の業績をイメージすると、装置関連事業及び電子デバイス事業が高い水準で堅調に推移する中、太陽電池関連事業をけん引役に売上・利益が拡大すると言ったところだろうか。株価は期末にかけて騰勢を強めたが、あと一歩で2,000円の大台には届かなかった。しかし、12/3期の業績は、2,000円前後の株価に割高感を感じさせないものになると予想する。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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