ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.31

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 社長
泉澤 豊 社長

【ブリッジレポート vol.31】2011年2月期業績レポート
取材概要「11/2期は個人消費の低迷で主力のコンビニ事業が苦戦したが、(株)アスクの寄与やグループシナジーの発揮に加え、コンビニ事業での経費削減も進み大・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年5月10日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
社長
泉澤 豊
所在地
千葉県浦安市美浜1-9-2
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(4/20現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
103円 24,683,602株 2,542百万円 5.8% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4.00円 3.9% 5.91円 17.4倍 167.42円 0.6倍
※株価は4/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2011年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
(株)サークルKサンクスの企業フランチャイズ本部として、東京都内9区(新宿区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、港区、葛飾区、足立区、台東区)及び千葉県全域においてコンビニエンス・ストア(コンビニ)「サンクス」を展開すると共に、加盟店の指導や経営ノウハウ等の提供を行なっている。
 
<非コンビニ事業の育成-「便利さの提供」を追求->
「便利さの提供」を企業理念に掲げ、この一環としてコンビニの店舗で「クリーニング取次ぎサービス」や「宝くじ」販売等の独自サービスを提供している他、非コンビニ事業の育成にも注力している。具体的には、09年11月にJR京葉線市川塩浜駅前にビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」(千葉県市川市)を開業した他、連結子会社(株)エフ.エイ.二四がマンションフロントでの「クリーニング取次ぎサービス」(200物件以上でサービスを提供中)や「お掃除サービス」等を手掛けている。また、09年10月にはマンション向けフロント(コンシェルジュ)サービスで業界トップの(株)アスクを子会社化した。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」
市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。投資額は7億円(建物6.5億円、客室設備0.5億円)。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分。東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く(朝食付きで1泊5,800円から)、周辺には競合となるビジネスホテルがない状態。
 
連結子会社(株)アスク社
マンションの居住者向けに、クリーニング等の取次ぎや各種案内といったフロント業務(コンシェルジュサービス)、メンテナンスサポートやハウスクリーニング業者紹介等のレジデンスサポート、ミニショップや売店の運営、更にはカーシェアリング等のサービスを提供しており、コンシェルジュサービスでは業界トップ。現在、不動産会社やマンション管理会社等から854物件を受託しており、「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」等サービスでは連結子会社(株)エフ.エイ.二四との相乗効果も期待できる。また、中期的には、フロント業務をベースに少子高齢化社会に対応したサービスや物販サービスを手掛ける事で業容の拡大を図っていく考え。
 
 
2011年2月期決算
 
 
(株)アスクの寄与と経費削減等で営業利益が1.4倍に拡大
FC加盟店の売上も含めたコンビニ全店の売上高は前期比6.2%減の250.1億円。夏場の猛暑効果はあったものの、期を通してみると個人消費が総じて低迷。天候不順による春先の落ち込みも響き比較的大きな落ち込みとなったが、想定していた247.8億円を0.9%上回った。
一方、営業総収入は(株)アスクが通期で寄与した(前期は5ヶ月間)事で286.3億円と同8.8%増加。利益面でも(株)アスクの寄与が大きかったが、コンビニ事業での経費削減やホテル開業費用一巡で個別ベースの営業利益も二桁の増益。ただ、有価証券運用益(1.5億円→0.1億円)や不動産賃貸料(4.0億円→3.5億円)の減少で営業外損益が悪化した他、税負担や少数株主利益の増加等で当期純利益はわずかに減少した。
 
 
前期比4.5%の減収ながら、経費削減の進展で同17.9%の営業増益
コンビニ事業の苦戦が響き売上が減少したものの、ホテル事業が通期で寄与した事で売上総利益率が改善する一方、コンビニ事業での経費削減やホテル開業費用の一巡で販管費が減少。営業利益は4.3億円と同17.9%増加した。有価証券運用益や不動産賃貸料の減少等で経常利益が同12.6%減少したものの、店舗閉鎖損失の減少等による特別損益の改善で当期純利益は同2.3%の減少にとどまった。コンビニ事業の期末店舗数は前期末比3店舗減の127店舗。既存店売上高は前期実績を3.8%下回った。
尚、販管費については、売上の減少に合わせたシフトの見直しでパートやバイトの給与を削減(△41百万円)した他、設備投資の抑制や減損処理によりリース料(△34百万円)やリース資産を含めた減価償却費も減少(△33百万円)。店舗閉鎖で賃借料も減少した(△46百万円)。
 
 
 
消費の低迷に加え、新規出店をしていない事が全店平均日販の減少につながっており、「サークルKサンクス」チェーンでの交通系ICカードへの対応遅れも響いている。既存店は、タバコの増税もあり単価が下げ止まったものの、客数の減少が響き平均日販が減少。粗利率については、PB弁当や自社調達商材を拡充したものの、タバコの売上比率上昇で小幅に低下した。
 
②ビジネスホテル事業(JR京葉線市川塩浜駅前で「CVS・BAY HOTEL」を運営)
2年目(1年目の10/2期は約3ヶ月間の稼動)となった11/2期は売上高が162百万円にとどまり、目標としていた170百万円に届かなかった。稼働率が60.6%にとどまり、目標(65%)を下回った事が売上未達の要因で、千葉国体への対応に伴う9月の稼働率低下が響いた(昨秋に開催された千葉国体の指定宿泊施設となったため9月は一般利用者の予約を受けなかったが、敗退した選手が残りの契約期間の宿泊をキャンセルしたため稼働率が大幅に低下した)。
 
 
営業総収入の内訳は、クリーニング事業が前期比224.3%増の11.0億円、その他のヘアカット事業等が同31.4%減の1.1億円。(株)アスクとの提携効果でクリーニング取次ぎサービスを提供するマンション施設が増加した他、リネンサービスや掃除サービスも伸びた。ヘアカット事業等の売上が減少したのは、ヘアカット事業の運営方式を運営委託に変更し、手数料収入のみを売上計上する事となったため。
 
 
営業総収入の内訳は、フロント受託事業39.1億円(予算比0.8%減)、クリーニング事業3.9億円(同1.3%増)、ショップ事業が4.7億円(同7.3%減)、受託販売等のその他事業4.4億円(同49.2%減)。受託販売の予算未達が響き営業総収入が予算を下回ったものの、フロント受託事業がほぼ予算に沿った推移となった他、(株)エフ.エイ.二四とのシナジーでクリーニング事業が予算を上回った。利益面では、主力事業が堅調に推移した事と販管費の抑制が想定以上に進み、営業利益が大幅に予算を上回った。尚、期末管理物件数は854物件。
 
 
2012年2月期業績予想
 
 
前期比1.0%の減収、同8.0%の経常減益予想
東日本大震災の影響を受けるものの、主力のコンビニ事業で既存店売上高が回復基調にあり、ほぼ前期比並みの営業総収入及び営業利益を確保できる見込み。ただ、有価証券関連の収益を見込んでいない事や投資不動産の修繕費の期ズレ計上等で経常利益が同8.0%減少。資産除去債務や東日本大震災関連の特損を織り込んだため、当期純利益は同37.3%減少する見込み。1株当たり4円(上期末配当2円を含む)の配当を予定している。
 
 
東日本大震災の影響を織り込み、1.2%の減収、同9.6%の経常減益予想
営業総収入は前期比1.2%減の221億円。コンビ事業、ホテル事業共に震災の影響を受けるものの、コンビニ事業の既存店売上高が回復基調にある上、ホテル事業も国体関連の特殊要因が無くなるため前期並みの売上を確保できる見込み。利益面では、引き続きリース料や減価償却費を中心に販管費の減少が見込まれ、営業利益が4.3億円と同1.2%増加する。経常利益が減少するのは、有価証券関連の収益を見込んでいない事や投資不動産の修繕費の修繕費の期ズレ計上等による。資産除去債務1.1億円や商品の廃棄損など等震災関連の損失0.9億円を特別損失に織り込んだ。
 
① コンビニ事業
加盟店を含む売上高を前期比2.4%減の244.2億円、既存店売上高を前期比98.2%と想定しており、出店及び閉店の予定は無い(期末127店舗)。東日本震災による周辺地盤の液状化の影響で2店舗が営業休止となった(このうち1店舗は4月4日に営業を再開したが、もう1店舗の再開は5月以降となる見込み)影響や、集客につながる8月上旬の「東京湾大華火祭」の開催中止の影響も業績予想に織り込んだ。この他、複数の店舗で建物等に損傷はあるものの、特損を計上する程の大規模修繕が必要な被害は受けていないと言う。尚、既存店売上高は、タバコ税増税に伴う駆け込み需要の反動で昨年10月に大きく落ち込んだものの、この2月には前年同月並みの水準に回復した。3月(同107%)は東日本大震災の影響で乱高下したが、足下は(4月11日現在)、ソフトドリンク、酒、チルドパック飲料、タバコの供給が制約を受けているものの、天候不順で前年同期の水準が低かった事もあり堅調に推移している模様。
 
② ビジネスホテル事業
開業3年目を迎えるヒシネスホテル事業では売上高1.62億円、営業損失0.9億円を見込んでいる。東日本大震災に伴う周辺地域の液状化等の影響でホテルの下水関係設備が一部損傷したため、3月12日より稼働部屋数を抑えて営業しているが、4月下旬までこの状態が続く見込み。このため、これまで3年目の目標としていた売上高(1.83億円)及び営業損益(0.1億円の利益)を見直した他、破損設備の撤去費用や固定資産の除去損など約0.3百万円を特別損失に織り込んだ(暫定見積もり額のため変動の可能性がある)が、夏場に予想される計画停電の影響は予測出来ないため織り込んでいない。

この他、大口契約の解約等で低下した投資不動産(幕張新都心に保有するオフイスビル)の入居率も回復傾向にあり、営業外収益に計上する不動産賃貸料が小幅に増加する見込み。一方、東日本大震災により損傷した配管設備等の修理費用約60百万円(暫定見積もり額)を特別損失に織り込んだ。
 
 
営業総収入の内訳は、クリーニング事業が前期比11.7%増の12.3億円、その他のヘアカット事業等が同3.4%増の1.2億円。引き続きクリーニング事業において(株)アスクとの提携効果が期待できる他、ユニフォームの企画からクリーニングまでを手掛けるユニフォーム事業が拡大する。
 
 
管理物件数は横ばいを想定しており、営業総収入の内訳は、フロント受託事業が前期比1.4%減の38.6億円、クリーニング事業が同9.9%減の3.5億円、ショップ事業が同3.0%減の4.5億円、受託販売等のその他事業が同4.5%減の4.2億円。クリーニング事業が減収となるのは、(株)エフ.エイ.二四への業務集約や取次業務の売上計上方式変更による。
 
 
取材を終えて
11/2期は個人消費の低迷で主力のコンビニ事業が苦戦したが、(株)アスクの寄与やグループシナジーの発揮に加え、コンビニ事業での経費削減も進み大幅な営業増益となった。12/2期業績予想は東日本大震災の影響等によるマクロ経済の先行き不透明感を踏まえ慎重なものとなったが、主力のコンビニ事業で既存店売上高が回復基調にある上、(株)アスクの子会社化で非コンビニ事業の拡大に弾みが付いており、同社グループの業績モーメンタムは良好だ。「サークルKサンクス」との「中途解約権不存在確認訴訟」に関しては目立った進展ないが、12年2月末で現在の契約が満了となるため、訴訟の結果がどうであれ、来13/2期は新たなスタートを切る事になり、コンビニ事業の成長の原動力である新規出店も再開する見込み。また、マンションのフロントサービスについては、中国や東南アジアでの法人向けアパートメントのフロントサービスも視野に入れており、コンビニ事業とのシナジーを追求すると共に様々な周辺業務を手掛ける事でグループの成長につなげていきたい考え。