ブリッジレポート
(6050) イー・ガーディアン株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.1

(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン 企業HP
高谷 康久 社長
高谷 康久 社長

【ブリッジレポート vol.1】2011年9月期上期業績レポート
取材概要「掲示板投稿監視業務の目的がサイトの健全性維持から広告審査業務や風評調査業務へ広がりを見せる中、Facebookなどソーシャルメディアの利用が・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年6月7日掲載
企業基本情報
企業名
イー・ガーディアン株式会社
社長
高谷 康久
所在地
東京都港区麻布十番1-2-3
決算期
9月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年9月 1,340 204 212 119
2009年9月 858 123 123 116
2008年9月 461 0 0 -5
2007年9月 362 15 15 -6
2006年9月 606 -9 -17 0
2005年9月 684 6 3 -133
2005年3月 1,425 79 77 43
株式情報(5/27現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,960円 1,679,200株 4,970百万円 31.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 99.63円 29.7倍 542.47円 5.5倍
※株価は5/27終値。
 
東証マザーズに株式を上場するイー・ガーディアンについて、2011年9月期上期決算の概要と共にご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ブログ、SNS(交流サイト)、インターネット掲示板、ECサイト、オンラインゲーム等のインターネットメディア(以下、サイト)を運営する顧客に対し、これらのサイトに投稿されるコメント等への監視サービスを提供する掲示板投稿監視事業を展開している。社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントの掲載を防止する事でインターネットメディアの健全化の促進を担っており、併せて、ヘルプデスクやゲームマスター等、サイトの運営支援サービス、ソーシャルメディア関連サービスも行っている。
 
<沿革 コンテンツプロバイダーからサイト運用のアウトソーサーへ>
97年11月、「ホットポット」として創業し、無料レンタル掲示板事業やレンタルサーバー事業を開始した。98年5月には株式会社に改組し、同年7月に携帯電話向けコンテンツ配信事業を開始。その後、携帯電話販売事業にも進出し、業容を拡大させた。一方、現在の収益基盤である投稿監視事業は自社コンテンツの品質管理の一環として行っていた監視業務をベースとしており、通信キャリアからの品質管理要請に応じて開始した業務である。通信キャリアから同様の要請を受けたが自社では対応できない企業向けが多く、徐々に監視サービスの外販(アウトソーサーとしてのビジネス)が拡大。2001年6月にコールセンター事業を、同年12月に人材派遣事業を、それぞれ開始し、サイト運営の支援を含めて監視サービスのアウトソーシングサービスを強化した。03年4月には掲示板投稿監視事業として営業を本格化し、05年10月にはイー・ガーディアン(株)に商号を変更すると共にコンテンツ配信部門を会社分割して(株)エディア(東京都千代田)に承継。06年6月には携帯電話販売事業を(株)菱和テレコムに、同年7月には人材派遣事業の一部を(株)フジスタッフにそれぞれ売却しサイトの管理や運営支援にフォーカスしたアウトソーシングサービスに経営資源を集中。10年12月、東証マザーズ市場に株式を上場した。
 
 
<事業内容>
事業は掲示板投稿監視事業の単一セグメントで、「投稿監視業務」(10/9期売上構成比81.2%)、「CS(カスタマーサポート)業務」(同7.9%)、「派遣業務」(同3.9%)、「オンラインゲームサポート業務」(同7.0%)の4業務に分かれる。
 
 
(1)業務内容
投稿監視業務
同社の監視センター(東京都内3拠点、大阪1拠点、宮崎1拠点)に配備するインターネット端末からオペレーターが、顧客の運営するサイトに対して24時間365日「人の目」による目視チェックを行い、投稿されたコメント等がサイト上に反映される前、もしくは、既にサイト上に反映されているコメント等が、掲載基準に合致するか否かを判断し、基準に合致しない場合、これを削除する。また、派生業務として、顧客のアフィリエイト広告を出稿しているサイトの運営状況(各種法令に抵触するような記載内容や違法サイトへのリンクの有無等)を監視する「広告審査業務」やインターネット上で公開されているブログや掲示板等の情報から顧客企業や製品・サービスに対する風評等を調査する「風評調査業務」も手掛けている。
 
尚、掲載基準は顧客の意向を受けて事前に作成された掲載基準定義書に規定されており、具体的な項目毎に掲載可否判定基準が設定されている。
 
「CS業務」、「派遣業務」、「オンラインゲームサポート業務」
「CS業務」では、サイト利用者からのメールによるテクニカルサポートや入退会の問い合わせ対応(必要な場合には電話による問い合わせも可能)等のヘルプデスクサービスを行っており、対応件数に応じて収益をあげている。また、「派遣業務」では自社でのサイト監視業務を希望する運営会社に監視員を派遣。「オンラインゲームサポート業務」では、オンラインゲーム運営会社に対し、ゲームマスター(不具合対応を含めたゲームの運営状況のチェックや不正取り締まり等を行う)業務、ゲーム内及びWebサイト上の掲示板等の投稿監視業務、サーバ監視業務、及びユーザーからの通報・問い合わせ対応業務等、オンラインゲームの運営に必要なサービスを提供している。
 
(2)業務の特徴
「投稿監視業務」は目視の確認件数に応じて売上が計上され、「CS業務」は原則問い合わせ件数に応じて売上が計上されるため、集客力のあるサイトほど、また、利用者の活動が活発なサイトほど、同社の売上も大きくなる。一方、「派遣業務」は顧客との間で交わされた派遣契約に基づき売上が計上され、「オンラインゲームサポート業務」はサービス内容によって、件数ベースの売上計上や受託契約に近い形での売上計上がなされる。
 
「投稿監視業務」は、本来、NG(削除対象のコメント等)の検出を目的としたものではなく、サイトの活性化を目的としたものであり、「CS業務」や「オンラインゲームサポート業務」もサイトの活性化という目的は同じ。このため、各業務間のシナジーは高く、サービスの基盤となるナレッジやノウハウの共有が可能だ。また、「CS業務」は、いわゆるコールセンター業務だが、大手コールセンター事業者が電話対応のサービスを中心としているのに対して、同社はメール対応中心。メール対応となると、大手コールセンター事業者は既存の経営資源を十分に活かせないし、コスト面でも無理がある。一方、中小の事業者は、特にコンプライアンスに対する意識の高い大手のサイト運営者から見た場合、信用力や組織体制等で課題が多く、現状では同社を脅かす存在とはなっていない。
 
<強みと成長力>
(1)強み
同社の強みとして、サイトごとの課題整理・運用設計・運用実施からレポート検証までを実施することで長期的視点に立ったサイトの価値向上に貢献できる「提案力」、厳正に採用するだけでなくISO基準に基づき定期的な知識の確認を実施しているオペレーターによる高品質な有人監視のサービスを24時間365日実施できる「運用力」、ニーズの的確な把握による新サービスの創出と、300サイト以上の運用実績ノウハウを集約した独自のフィルタリングシステムを開発・改良・カスタマイズし低コストで精度の高い監視を行える「開発力」、以上3点を挙げる事ができる。
 
(2)市場動向
大手証券系調査会社では、ネットビジネス市場が14年度に15兆円市場に拡大すると見ており、このうちオンラインゲーム市場は家庭用ゲーム機経由の利用が頭打ちとなるものの、スマートフォンの普及やSNS向けコンテンツのオープン化により市場が拡大しているソーシャルゲームをけん引役に09年の1,100億円から1,580億円程度へ、ネット広告市場に至っては携帯電話向けを中心に6,000億円強から約9,000億円に拡大すると予想している(国内総広告費の12%強に相当)。
 
こうした高い成長が見込まれるネットビジネス市場だが、市場や業容の拡大と共にサイト運営者の社会的な責任がより重みを増す事は言うまでも無く、社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントの掲載防止等、サイトの健全性維持が今以上に求められるであろう事は想像に難くない。また、インターネット上に掲載されている広告、テキスト、画像情報等を、景品表示法、特定商取引法、薬事法等の各種関連法規及び顧客の掲載基準に基づいて審査する広告審査業務や、インターネット上で公開されているブログや掲示板等の情報から製品・サービスに対する風評等を調査する風評調査業務、或いは市場が拡大しているソーシャルゲーム(マニュアルが無い)の運営支援や問い合わせ対応等も、今後、更なる需要の増加が見込まれている。
 
(3)既存顧客の深耕と新規顧客の開拓の両面で大きい事業拡大余地
上記の市場動向から考えて、既存顧客の深耕と新規顧客の開拓の両面で同社の事業拡大余地は大きいと言える。
 
 
多くのコンテンツを有するサイト運営者との取引は、通常、一部のコンテンツでサービス提供が始まり、その実績を踏まえて他のコンテンツへとサービスの対象が広がっていく。実際、足下でも拡大が続いているグリー(株)との取引では、これまでの実績が評価されサービスの対象が広がり売上が拡大傾向である。このため、グリー(株)以外でも、(株)エムティーアイ、(株)バンダイナムコゲームス、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)、ニフティ(株)、(株)シーエー・モバイル、(株)ベネッセホールディングス、楽天(株)等、多くの優良企業を顧客に抱える同社の潜在成長力は極めて大きいと考える。
 
②潜在市場の取り込みで更なる成長
投稿監視業務において最大の潜在市場は顧客の内製である。しかし、監視業務の目的がサイトの健全性維持にとどまらず、広告審査業務や風評調査業務へ広がりを見せる中では内製での対応には限界があり、この分野のスペシャリストに任せる方が業務の確実性が高まり、コストも抑える事ができる。このため、多くのサービスでアウトソーシング化が進んだように、今後、認知度の高まりと共に監視業務においてもアウトソーシングが一般化していくものと思われる。加えて、昨年12月の株式上場により社会的な知名度と信用力が大きく向上。大手企業からの新規の引き合いが格段に増えていると言う。
 
 
2011年9月期上期決算
 
 
前年同期比57.1%の増収、同26.0%の経常増益
売上高は前年同期比57.1%増の918百万円。サイトの安全性に対する意識の高まりやソーシャルメディア(SNS、Twitter、Facebook等)の市場拡大が追い風となる中、広告審査業務など新たなニーズの取り込みも進み主力の投稿監視業務の売上が伸長。未だ事業規模は小さいものの、CS業務やオンラインゲームサポート業務の売上も倍増した。利益面では、10年10月の六本木センター(東京都港区)開設やシステム投資等の先行投資負担を吸収して営業利益が同42.0%増加。株式公開費用16百万円を営業外費用に計上した他、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額等2百万円を特別損失に計上したものの、四半期純利益は同25.0%増加した。
 
期初予想との比較では、一部大口案件で投稿数が想定を下回った事に加え、3月11日に発生した東日本大震災に伴う計画停電の影響を受けて新規顧客案件でリリース延期が生じたため、売上高が期初予想に届かなかった。一方、利益面では、人員の適正配置等によるオペレーションの効率化で原価低減が進み、営業利益が上振れ。これにより、経常利益、四半期純利益も予想を上回った。
 
 
投稿監視業務は売上高が711百万円と前年同期比50%増加した。スマートフォン上での電子書籍のチェック業務など監視対象の広がりや既存顧客が運営するソーシャルメディアの拡大で従来からの掲示板投稿監視業務が伸びた他、景品表示法、特定商取引法、薬事法等の各種関連法規及び顧客の掲載基準に基づいてアフィリエイト広告等を審査する広告審査業務も軌道化してきた。
 
CS業務の売上高は同118%増の96百万円。多数のプレーヤーが複数のソーシャルアプリタイトルをリリースするなど事業環境に恵まれた事に加え、(株)デジタルハーツとの業務提携(後述)によりCS業務だけでなく、デバッグにも対応できる体制を整備した事が他社との差別化につながり、新規案件の獲得が進んだ。
 
この他、CS業務と連動した需要の増加で派遣業務の売上高が33百万円と同26%増加した他、オンラインゲームサポート業務も、ゲームサイトの掲示板やチャットの監視へ業務範囲が広がり、売上高が77百万円と同125%増加した。
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比451百万円増の1,188百万円。10年12月の東証マザーズ上場に伴う資金調達で現預金及び純資産が増加した他、10年10月の六本木センターの開設で有形固定資産も増加した。CFの面では、法人税等の支払い(97百万円)が負担となったものの、47百万円の営業CFを確保。六本木センターの開設やシステム開発等の先行投資で投資CFが48百万円のマイナスとなったが、ほぼ営業CFの範囲内に収まった。東証マザーズ上場に伴う資金調達で財務CFが369百万円の黒字となり、現金及び現金同等物の上期末残高は811百万円と前期末比368百万円増加した。
 
 
(4)上期の取り組み
10年10月に六本木センターを開設した他、11年1月にSNSやオンラインゲーム市場での競争力強化に向け、携帯電話、ゲーム、ソフトウェアの検証・デバッグを手掛ける(株)デジタルハーツと業務提携を行い、「ソーシャルアプリOnestop Solution(略称:SOS)サービス」の提供を開始した。また、SNSを活用した企業向け採用サービスや人材紹介会社向けのマーケットサイトを手掛ける(株)grooves(グルーヴス)と、1月にFacebookページを活用したソーシャルリクルーティング支援サービスで連携した他、3月には人材紹介会社向けのFacebook運用サポートサービスを開始した。
この他、社内体制の充実にも努め、2月にシステム開発能力強化のため情報システム部門を新設した他、3月にはソーシャルメディアサービス強化に向けソーシャルメディア事業部を新設した。
 
 
2011年9月期業績予想
 
 
前期比51.7%の増収、同34.7%の経常増益予想
売上高は前期比51.6%増の2,033百万円。従来からの監視サービスに加え、広告審査やSNS関連等の新たなニーズの取り込みもあり、主力の投稿監視業務を中心に高い売上の伸びが見込まれる。一方、旺盛な需要に応えるべく、10月の六本木センターに続き、6月に宮崎センターを開設する他、既存センターの増床も進める。加えて、上場に伴い管理コスト(開示、内部統制、株式事務等)も増加する他、システム投資も負担となるが、増収効果で吸収して営業利益は3.0億円と同48.8%増加する見込み。
 
予想との比較では、一部大口案件の投稿数の伸び悩みが響く上、下期は震災の影響によるキャンペーン自粛等の影響を大きく受ける。このため、売上高が期初予想を下回る見込みで、営業利益以下の各利益も期初予想比で下振れ避けられない。
 
 
中長期ビジョン
 
 
(1)事業戦略
掲示板投稿監視を拡大させると共に、オンラインゲームや広告審査といったその周辺サービスへ展開する事で業績を伸ばしている同社だが、今後は、上記既存市場(既存ビジネス)の更なる深耕に加え、多言語対応を含めて新規市場(ソーシャルメディア関連ビジネス)に展開すると共に、サービスのターゲット(顧客)を、従来の国内・IT事業者から国内外の様々な業種の企業へ広げていく。
 
野村総合研究所「IT市場ナビゲーター2011年度版」によると、09年度に10.1兆円だったWebビジネス市場が12年度には14.9兆円に、15年度には18.5兆円に拡大する見込み。概ね年率9%の成長であり、投稿監視、カスタマーサポート、広告審査等のサービス(既存市場)も15年度にかけて同様の成長が続くと考える事ができる。
 
一方、新規市場として取り組むソーシャルメディアについては、ニールセンの調査によると、Facebookが月次の訪問者数ベースで約15%の成長(10年3月度:1,679千人→11年3月度:7,659千人)、Twitterが同約8%の成長(10年3月度:7,522千人→11年3月度:17,571千人)。Facebook、Twitter共に高い成長が続いており、また、Facebookについては人口に占めるユーザーの比率が(Facebookサイト公表数値と統計局公表数値から同社が算出)、米国や英国では50%近くに達しており(米国49%、英国48%)、EUの主要国でも、フランス35%、イタリア32%、ドイツ22%と高い。これに対して、日本は2%に過ぎず、つまり、急成長しているFacebookだが、日本での利用は緒に就いたばかり。加えて、ソーシャルメディアのビジネス用ツールとしての有望性に着目する企業が増えており、言い換えると、顧客と密接な関係を構築するためのプラットホームとしてもFacebookが注目を集めており、実際、ユニクロや無印良品等、非IT分野の有力企業でも活用が進んでいる。
しかし、Facebookの運用ノウハウを持つ企業が少ないため、Facebookを利用したい企業が増える一方で、Facebookのビジネス利用は必ずしも進んでいない。同社はこうした点に着目し、ソーシャルメディア導入実績が皆無の企業でも、安心・安全にソーシャルメディアを利用できるサービスの提供に力を入れていく考え。同社は投稿監視・広告審査でのノウハウを有し、ソーシャルメディアの導入支援・啓蒙・運用・監視・広告審査・風評調査まで幅広く実施できる上、この1月には(株)デジタルハーツと業務提携を行い、「ソーシャルアプリOnestop Solution(略称:SOS)サービス」の提供も開始した。
 
(2)技術戦略
現在、同社では労務費が、売上高の53%、売上原価の85%を占めている。このため、システム化を進め、マンパワー依存度の低い収益構造へ体質改善を図っていく考えで、現在、来期(11年10月)の本格稼動を目指して新システムの開発を進めている(新システムの稼動により原価低減とサービスの拡充が進む)。
 
 
新システムは、マンパワーに頼らない効率的な監視体制の運用が可能で、ベイジアンフィルタ(後述)機能により自己学習の精度が自動的に向上する。また、分析・レポートティング機能も備え、Facebookへの対応はもちろん、基幹システムのクラウド化により拡張やAPI(Application Programming Interface:アプリケーションの開発負担を軽減できる)化も可能で、多言語に対応する。尚、ベイジアンフィルタとは、ベイズ理論を応用したフィルタの事で、対象となるデータを自動的に解析・学習して分類し、振り分け対象のデータが増えるほど学習量が増えて精度が上がる。
 
 
(3)リスクへの対応
同社は今後のリスクとして、新規参入リスクと事業継続リスクを挙げており、リスクへの対応策を次のように説明している。
 
①新規参入リスク
優位性の源泉であるノウハウを更に研鑽し、高い参入障壁を維持すると共に、ノウハウをシステム化する事で経営効率の向上を図る。
 
②事業継続リスク
災害や大規模停電等発生時のリスクを低減するため、6月に宮崎センターを開設すると共に東京圏内の人員・ITインフラを今期に再編成した。また、その他の事業継続リスクを低減するため、新たなサービスを創造し特定業務や特定顧客への依存度を引き下げる。
 
 
取材を終えて
掲示板投稿監視業務の目的がサイトの健全性維持から広告審査業務や風評調査業務へ広がりを見せる中、Facebookなどソーシャルメディアの利用が爆発的に拡大しており、この分野のパイオニアである同社はその恩恵をフルに享受している。また、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する企業が増えている事が同社のポテンシャルを高めており、中期的な見通を明るくしている。もちろん課題が無い訳ではなく、例えば、現状では大口顧客への依存度が高いため、業績が振れやすく、また、マンパワーに頼り、かつ、変動費的な労務費が多いため、売上が増えている割には利益が増えない。
もっとも、これらの課題は、いずれも過渡期の現象と考える。ソーシャルメディアへの展開が軌道に乗れば、客層の広がりと顧客数の増加が期待でき、また、今秋に予定されている新システムの稼動で、システムによる機械監視や生産性の向上、更には一段の受注能力の拡大が期待できる。11/9期の下期から12/9期にかけて、課題の克服に向け一歩も二歩も前進すると考える。