ブリッジレポート
(9616:東証1部) 共立メンテナンス 企業HP
石塚 晴久 会長
石塚 晴久 会長
佐藤 充孝 社長
佐藤 充孝 社長
【ブリッジレポート vol.28】2011年3月期通期業績レポート
取材概要「寮事業という安定成長源を有することが同社の魅力である一方、バリュエーション拡大の足枷になっていることも事実である。しかし、今回の決算でホ・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年7月5日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社共立メンテナンス
会長
石塚 晴久
社長
佐藤 充孝
所在地
東京都千代田区外神田 2-18-8
事業内容
学生寮、社員寮の運営・受託管理大手。 ビジネスホテル、リゾートホテル、外食事業も展開。
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 84,983 4,610 3,308 1,052
2010年3月 84,513 4,033 3,012 1,254
2009年3月 82,303 5,349 4,510 2,133
2008年3月 75,606 4,492 4,167 2,740
2007年3月 66,287 3,745 3,787 2,413
2006年3月 63,084 4,611 4,823 2,010
2005年3月 58,014 4,407 4,411 2,343
2004年3月 54,080 4,004 4,059 2,137
2003年3月 50,108 4,148 3,884 2,039
2002年3月 50,064 3,908 3,580 1,821
2001年3月 37,884 2,827 2,643 1,146
2000年3月 36,787 2,368 2,281 906
株式情報(6/3現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,083円 14,364,895株 15,557百万円 3.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
38.00円 3.5% 99.55円 10.9倍 2,099.90円 0.5倍
※株価は6/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
共立メンテナンスの2011年3月期通期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
"ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する"と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
 
 
 
2011年3月期決算
 
 
震災の影響を除けば、ほぼ計画線での着地
2011年3月期は、前期比0.6%増収、同9.8%経常増益となった。会社側は3月に起きた東日本大震災により、売上高936百万円、経常利益765百万円が減少したと推定しており、この影響を考慮すればほぼ会社計画で着地したことになる。主力の寮事業、ホテル事業が共に堅調に推移した。当期純利益については、震災損失111百万円、資産除去債務会計基準適用に伴う影響額696百万円などが計上されたため、前期比減益に転じた。設備投資額は3,037百万円(前期実績13,203百万円)。
具体的な震災の影響は、1)寮事業において東北6県からの申込減少(影響額:売上高60百万円、経常利益60百万円)、2)同じく寮事業において海外留学生の帰国・キャンセル(影響額:売上高20百万円、経常利益20百万円)、3)ビジネスホテルでの予約キャンセル・宿泊減少(影響額:売上高156百万円、経常利益125百万円)、4)リゾートホテルでの予約キャンセル・宿泊減少(影響額:売上高700百万円、経常利益560百万円)、など。なお、特別損失には災害による損失111百万円が計上された。
 
 
寮事業
寮事業は、前期比1.1%増収、同16.3%営業増益となった。期末事業所数は412ヶ所(前期末比+4ヶ所)、定員数は31,660名(同+811名)。
学生寮の売上高は前期比1.9%増の23,001百万円。契約者数は同4.7%増の18,180名。震災の影響により海外留学生の帰国・キャンセル等が発生したものの、新たに湘南工科大学、日本体育大学、相模女子大学、日本女子大学等との契約を締結したこと、既契約校との関係強化に努めたこと、により増収を確保した。
社員寮の売上高は前期比2.4%減の9,126百万円。利用実績企業数は1,203社、契約者数は前期比2.8%増の7,722名と稼働状況は堅調だった。しかし、前期と比較すると大口契約による契約金等が減少したこともあり、減収となった。
ドミール事業の売上高は前期比2.7%増の3,479百万円、入居者数は同7.4%増の4,054名となった。ワンルームマンションタイプの寮が、学生の一人暮らし需要、企業独身寮の個人契約とうまくマッチしたことが増収に繋がった。受託寮の売上高は前期比3.7%増の2,991百万円。
収益面では、新規寮開業に伴うコスト増、留学生の制度契約の期ズレがあったものの、1事業所単位でのコスト管理の徹底に努めたことが実を結び、大幅増益を実現した。
 
ホテル事業
ホテル事業の売上高は前期比12.6%増となり、営業利益は黒字転換を果たした。既存事業所の収益性改善、前期に比べ新規開業負担が減少したこと、などが営業黒字に結びついた。なお、会社側は東日本大震災発生以降、自粛ムードの高まりもあってか全国的に宿泊キャンセルが発生したことにより、営業利益が685百万円押し下げられたと推定している。この影響を鑑みると、ホテル事業は再び成長ドライバーとして動き始めたと評価していいだろう。
ビジネスホテルの売上高は前期比18.9%増の14,378百万円、営業利益は235百万円(前期実績247百万円赤字)となった。既存事業所の稼働率は78.0%(前期実績79.5%)に留まったものの、前期開業6事業所が通年稼動したことに加え、5事業所(ドーミーイン帯広、ドーミーイン旭川、ドーミーインPREMIUM京都駅前、ドーミーイン長崎、ドーミーインPREMIUM下関)の開業が増収の牽引役となった。宿泊特化型のビジネスホテルが主流となる中、「温泉感覚を取り入れた大浴場」、「美味しい朝食の提供」といったホスピタリティ重視の戦略が、企業の出張宿泊ニーズだけでなく、家族旅行等のニーズをも囲い込み始めていることが好調の背景にはある。平均単価は前期比50円増の7,237円となった。
リゾートホテルの売上高は前期比7.4%増の15,897百万円、営業利益は101百万円(前期実績100百万円赤字)。新規開業は「草津温泉 湯宿 季の庭・お宿 木の葉」。既存事業所の平均単価は15,761円と、前期比677円減になったものの、稼働率は72.1%(前期実績67.7%)に改善した。平日の稼働率改善を意識した販売戦略が功を奏したとみられる。
 
その他のセグメントについて
総合ビルマネジメント事業は前期比1.2%増収、同4.9%営業増益。前期大口解約のあった賃貸ビル事業の稼働率は着実に改善したものの、値下げ要請圧力は依然として強く、回復力は弱い。フーズ事業は前期比8.2%増収となったものの、新規開業費用負担を補うには至らず、再び営業赤字となった。自社開発物件の減少したデベロップメント事業は前期比20.2%減収、同38.3%営業減益となった。
 
 
2011年3月期決算最大のポイントは自社保有物件の出口戦略がようやく実現したことだろう。2月10日に同社から自社所有の8物件(ドーミー芦屋、河合塾京都学伸寮、駿台堀川寮、ドミトリー洛北、立教大学国際交流寮RUID志木、ドーミー中板橋、フィロソフィア西台、ドーミー武蔵小杉)を日本アコモデーションファンド投資法人に譲渡(譲渡価額は81.3億円)と開示されたのに加え、ビジネスホテル2事業所(譲渡価額約39億円)、リゾートホテル2事業所(譲渡価額約19億円)も売却した結果、トータルで約140億円の物件売却が実現した。
同スキーム最大のポイントは、資金の早期回収によって財務体質が強化される点にある。財務体質の改善は再投資資金の調達枠確保に繋がるため、今後は新たな開発も可能になるだろう。期末においては売却代金が現預金に計上されているため、資産、負債とも膨らんだままの状態ではあるが、今後新たな投資資金若しくは有利子負債削減などに振り分けられることになろう。会社計画では、2011年3月末のネット有利子負債残高(長期リース債務を含む有利子負債から手元流動性を差し引いた残高)557億円を、2012年3月末には523.1億円まで削減することになっている。
なお、譲渡後も賃貸借契約により物件の管理運営を手掛けるため、期間損益に与える影響は軽微である(減価償却費・保険料・租税・支払利息等の負担が減少する反面、支払賃料負担が増加)。
 
 
2012年3月期業績予想
 
 
震災の影響を考慮しても増益基調を確保
2012年3月期は、前期比8.3%増収、同5.8%経常増益を計画している。震災の影響として、売上高1,900百万円(寮事業400百万円、リゾートホテル事業1,500百万円)、経常利益1,030百万円(寮事業208百万円、リゾートホテル事業822百万円)を計画に織り込んでいる。設備投資額は4,700百万円(前期実績3,037百万円)を想定。
収益の柱となる寮事業では、4月に入って首都圏を中心に7棟、689室が新規開業、総定員が416棟、32,062室まで拡大したうえ、期初稼働率が95.3%(前年同月比+2.4ポイント)と好調なスタートを切った。加えて、1棟ごとに稼働状況も含めたコスト管理を引き続き徹底することで、収益性の改善を図る。
第2の成長ドライバーとして期待されるホテル事業は、前期比5.0%増収、同15.2%営業増益を見込む。震災の影響を最も受けるセグメントであり、先行きを見通しにくいため、保守的な前提になっている。具体的には、既存ビジネスホテルの緩やかな回復(稼働率前提は前期比1.0ポイント改善の77.8%)、前期開業した6事業所の通年寄与、今期開業事業所の売上寄与を想定している。リゾートホテルについては、稼働率が前期の70.8%から67.4%まで悪化する前提になっている。
 
新たな取組み
注目すべき新たな取組みとして、「ドーミーインの海外展開」、「PKP事業への取組み」が掲げられた。
ドーミーインの海外展開については、海外事業開発部を新設し、海外展開の検証・事業化に動き出している。2011年6月中にも韓国に海外現地法人を設立し、2012年度中にはソウル市内にドーミーインを開業する計画である。J.D.POWER ASIA PACIFIC調査による「2010年日本ホテル宿泊客満足度調査(1泊9,000円未満部門)」において宿泊客満足度第1位を獲得するなど、ドーミーインのブランド力が高まっていること、アジア圏の高い経済成長力、などが海外進出の背景となっている。寮事業において海外からの留学生を積極的に受け入れてきたという歴史も影響しているのだろう。日本国内で行っている「温泉感覚を取り入れた大浴場」、「美味しい朝食の提供」といったホスピタリティ重視の戦略を海外でも展開するとのことである。最初に進出するソウルでは宿泊施設が約2万室足りないと言われている上、既存のホテルも高級ホテルと廉価ホテルに偏っているため、ドーミーインに対するニーズは相当あると推測される。
PKP事業は次世代事業の大きな柱として位置付けられている。PKPとはPublic(自治体)-Kyoritsu(共立メンテナンス)-Partnership(連携)の略。行財政改革を推進する地方自治体業務(施設運営管理、車両運行管理、地域活性化支援など)を同社が包括請負する事業である。地方自治体にとっては財政負担の軽減と住民サービスの向上を両立出来得る事業形態となる。既に多くの自治体が関心を寄せているとのこと。2012年度の黒字化が当面の目標となる。
 
 
取材を終えて
寮事業という安定成長源を有することが同社の魅力である一方、バリュエーション拡大の足枷になっていることも事実である。しかし、今回の決算でホテル事業の成長が再び加速するシナリオが描けるようになってきたとの印象を受けている。更に将来の成長ドライバーとして海外展開、PKP事業への取組みが動き出したこともポジティブに受け止めている。当面は震災の影響が不透明要因となるが、中期展望には明るさが増している。
同社にとって永遠の課題だった財務戦略の進展も今決算の重要なポイントである。機関投資家は安定成長を評価しつつも、同等に拡大していく総資産に対する懸念を示す声が少なくなかった。それが低PBRに甘んじていた要因の1つにもなっている。リーマンショック後の不動産不況により、なかなか財務の健全化が進捗しなかったことは事実だが、今回のセールス・アンド・リースバック実現が将来を明るく照らし始めたと我々は受け止めている。今後もセールス・アンド・リースバックは継続的に行っていく計画になっており、今後も注目していきたい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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