ブリッジレポート
(2462:東証1部) ジェイコムホールディングス 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート vol.20】2011年5月期業績レポート
取材概要「11/5期初には18.6%にとどまった受託案件比率が期末には41.7%に上昇した。11/5期は急激な受託案件比率上昇が利益率の悪化を招いたが、12/5期は派遣・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年7月26日掲載
企業基本情報
企業名
ジェイコムホールディングス株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市中央区西心斎橋 2-1-3
事業内容
携帯電話業界向けを中心とした総合人材サービス会社
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年5月 15,905 901 955 489
2010年5月 13,522 789 834 475
2009年5月 14,162 913 953 340
2008年5月 12,404 885 907 489
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(7/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
950円 9,156,000株 8,698百万円 12.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 2.6% 68.26円 13.9倍 462.03円 2.1倍
※株価は7/12終値。発行済株式数は11年6月の株式分割を反映。
 
ジェイコムホールディングスの2011年5月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
純粋持株会社である同社、総合人材サービス事業と携帯電話キャリアショップの運営を手掛ける連結子会社ジェイコム(株)、持分法適用関連会社サクセスホールディングス(株)とその傘下で認可保育園等の運営を手掛ける(株)サクセスアカデミーの3社でグループを形成。主力の総合人材サービス事業では、携帯電話業界に特化した差別化戦略が奏功し、業界動向や顧客ニーズを的確に捉えたサービスと情報の提供が顧客企業から高い評価を受けている。ただ、中期的には、既存事業を中心にしつつも、グループ全体での幅広いサービスの提供を目指している。
 
<沿革>
1993年9月、パッケージ旅行の企画会社(株)パワーズインターナショナルとして設立されたが、携帯電話市場の成長性に着目して96年4月に携帯電話ショップの運営を開始。同年11月にはジェイコム(株)に商号を変更すると共に定款を変更し携帯電話業界に完全にシフトした。98年10月にはショップ運営のノウハウを活かして携帯電話業界向け人材ビジネスに参入。人材ビジネスの順調な拡大を背景に、2005年12月の東証マザーズ上場、更には07年2月の東証1部への市場変更とステータスも向上した。09年12月には、更なる業容の拡大を目指して持株会社体制へ移行すると共に商号をジェイコムホールディングス(株)に変更。併せて、認可・認証保育園の開設や院内・企業内・学内での保育サービスの受託を手掛ける(株)サクセスアカデミー(現サクセスホールディングス(株))に資本参加し、持分法適用関連会社とした。
 
<事業内容>
事業は、携帯電話業界向けを中心に、情報通信、金融、アパレル・美容等を顧客とする総合人材サービス事業と携帯電話ショップ運営のマルチメディアサービス事業に分かれ、11/5期は前者の売上高が全体の97.2%を占めた。総合人材サービス事業は契約形態により、派遣契約、業務委託契約(同社から見れば業務の受託)、及び紹介予定・職業紹介契約に分かれ、セグメント内の売上構成比は、それぞれ68.1%、31.8%、0.1%。また、マルチメディアサービスでは、各通信キャリアと丸紅テレコム(株)との三者間契約により、関西地区でドコモショップ1店舗、ソフトバンクショップ1店舗を運営している。
 
<若年層のステップアップを支援>
総合人材サービス事業では、派遣社員等やアルバイトを受け入れる企業側のメリットだけを追求するのではなく、働く側のキャリアアップにも配慮している。具体的には、派遣社員もしくはアルバイトとして採用した社会経験の浅い学生やフリーター等の若年層を、教育やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)により勤続年数に応じてステップアップさせ、最終的には希望する職業へ正社員として就職できるよう支援するシステムが構築されている。
 
 
2011年5月期決算
 
 
前期比17.6%増収、同14.5%の経常増益
連結売上高は前期比17.6%増の159.0億円。マルチメディアサービス事業の売上が4.5億円と同10.4%減少したものの、家電量販店での携帯電話販売業務全般の受託案件を全国規模で受注した総合人材サービスの売上が154.5億円と同18.7%増加した。受託案件のサービス開始が集中した事で売上総利益率が低下する一方、人件費を中心に販管費が増加したが、増収効果で吸収。営業利益は9.0億円と同14.2%増加した。受取配当金や持分法投資利益の増加で営業外損益も改善したが、特別損益の悪化で当期純利益は4.8億円と同2.9%の増加にとどまった(関係会社株式売却益等が減少する一方、投資有価証券評価損やゴルフ会員権評価損等を計上)。
尚、3月11日に発生した東日本大震災において人的・物的の両面で被害を受ける事は無かったが、震災に伴うキャンペーンのキャンセルや休業補償等で影響を受けた(売上ベースで1.1億円、当期純利益ベースで0.1億円の下押し要因となった)。
 
(2)総合人材サービス事業の動向
契約形態別では、雇用情勢の悪化から紹介予定・職業紹介契約が減少したものの、家電量販店での全国規模の受託案件を受注した携帯電話業界向けを中心に業務委託契約が前年同期比85.9%増加した他、派遣契約も同1.8%増と堅調に推移。業界別では、携帯電話販売業務全般の受託強化が奏功し携帯電話業界向けが同20.0%増加した他、求人サイト事業を足がかりに新規取引が増加したアパレル・美容業界向けが同2.8倍に拡大した。また、顧客別では、業務受託を中心に大手携帯電話販売代理店向けが増加した他、スマートフォンの市場の拡大等で携帯キャリアやその他販売代理店向けも伸びた。
地域別では、業務受託案件の取り込みが進み全国的に売上が増加。特に東日本地区は、震災後の受注キャンセルの影響を吸収して同20%超の増収となった。
 
 
 
受託案件のサービス開始が集中したため原価率が1.1ポイント上昇したものの、売上の増加とコスト管理の徹底や業務効率の改善により販管費率が1.0ポイント改善したため、営業利益率は0.1ポイントの低下にとどまった。もっとも、原価率の上昇は受託案件のサービス開始当初の一時的な現象であり、想定の範囲内。また、人件費を中心に増加した販管費も、営業管理の徹底と業務効率の改善で人件費率が低下した他、人材教育を強化したものの、求人効率の改善により採用教育費率も低下した。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末総資産は前期末比7.4億円増の62.0億円。借方では、売上の増加で売掛金が3.6億円増加した他、余資運用に伴う有価証券・投資有価証券が8.8億円増加(短期信託受益権は3.9億円減少)。貸方では、売上の増加で未払金(スタッフに支払う給与)が2.5億円、利益計上により純資産が3.1億円、それぞれ増加した。CFの面では、未払金の増加や未収消費税の減少等により営業CFが増加する一方、余資運用に伴う収入の増加や新規余資運用の減少で投資CFのマイナス幅が縮小したため、2.6億円のフリーCFを確保した。
 
 
 
2012年5月期業績予想
 
 
前期比16.3%の増収、同23.5%の経常増益予想
売上高は前期比16.3%増の185億円。スマートフォンやタブレット型端末の普及で活況を呈する携帯電話業界向けを中心に総合人材サービスの売上が伸びる。利益面では、前下期に受注した受託案件のサービス開始に伴い売上総利益率が影響を受ける他、新規事業関連で人件費が増加するものの増収効果で吸収。営業利益は10.7億円と同19.2%増加する見込み。持分法投資利益の増加による営業外損益の改善や特別損失の一巡等で当期純利益は6.2億円と同27.7%の増加が見込まれる。配当は1株当たり年25円を予定(上期末配当10円を含む。1単元当たりの配当は前期と同額)。
尚、グループ会社で認可保育園等の運営や保育施設の運営受託を手掛けるサクセスホールディングス(株)の11/12期は、売上高59.6億円(10/12期52.3億円)、経常利益4.3億円(同1.7億円)を見込んでいる。10/12期末現在、認可保育園・認証保育所、公設民営保育園、学童クラブ等51ヵ所の運営を手掛けている他、東京大学や大阪大学等の大学内保育施設や病院・企業内の保育施設143ヵ所の運営を受託しており、11/12期は新規開設27ヶ所を計画。ジェイコム(株)が手掛ける保育士派遣サービスとのシナジーを追及しつつ事業を進めていく考え。
 
 
上期は携帯電話業界向けを中心に売上が増加するものの、前下期に受注した受託案件サービス開始で売上総利益率が悪化する他、新規事業関連の人件費の増加もあり営業利益率が5.1%と前年同期に比べて0.7ポイント低下する見込み。下期は季節的に増加するキャンペーン受注の拡大と新規事業の寄与を見込む。また、利益面では、受託案件の利益率改善が進む他、採算の良いキャンペーン案件の寄与や保育業界向けサービス等の新規事業の拡大で収益性の改善も進む見込み。
 
(2)12/5期の重点施策
12/5期の重点施策として、次の4点を挙げている。

ゞ般骸託の品質向上
第2・第3の柱となる新規事業の確立
グループ会社の管理体制強化
せ業環境に迅速に対応できるコンプライアンス体制の維持
 
ゞ般骸託の品質向上
法令遵守を含めた東証1部上場企業としての信頼性、案件の理解力、これまでの実績や組織体制に基づく有事対応力、更には成果意欲に優れた販売能力のあるスタッフの供給力等が取引先から評価され、携帯電話業界を中心に北海道から鹿児島に至る各拠点で受託案件の取り込みが順調に進んでいる。ただ、獲得した受託案件を継続的に受注していくためには、取引先の信頼に応え続ける品質を維持する必要がある。このため、6月1日付けで新設した「業務企画部」を中心に採用力の強化と研修効果の向上に努める。
 
第2・第3の柱となる新規事業の確立
携帯電話業界向けサービスに次ぐ第2・第3の柱となる事業を早期に確立すべく、6月1日付けで「事業開発部」を新設した。事業開発部はMF事業部(07年6月に新設)を吸収し、MF事業部が手掛けていたアパレル業界向け販売員派遣や保育業界向け保育士派遣、教育訓練事業、更には林業向けサービス等の育成・拡大に取り組む。また、成果報酬型求人サイト「Jobマーケット」のドアノックツールとしての機能を活かし、新規取引先やサービス提供業種の拡大を図る他、資本・業務提携先であるTOWとの連携による店頭キャンペーンの獲得にも力を入れる。
 
グループ会社の管理体制強化
持株会社体制の下、持株会社と事業会社の役割と責任を明確化し、また、グループとしての戦略立案を強化する事により、グループの企業価値の極大化を図っていく。
 
せ業環境に迅速に対応できるコンプライアンス体制の維持
株主、取引先、スタッフ、地域社会、エンドユーザーと言った全てのステークホルダーに支持されるコンプライアンス体制を推進する。
 
 
今後の注目点
11/5期初には18.6%にとどまった受託案件比率が期末には41.7%に上昇した。11/5期は急激な受託案件比率上昇が利益率の悪化を招いたが、12/5期は派遣から受託へのシフトがほぼ一巡し、受託案件比率は40%台で推移する見込み。このため、下期以降、主力の携帯電話業界向けサービスの利益率改善が見込まれる。
今後は、徐々に成果をあげつつあるアパレル業界向け派遣や今期より本格化する保育士派遣等、新規事業の動向に注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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