ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.17

(4829:東証2部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.17】2011年5月期業績レポート
取材概要「国内では広告事業が牽引してソリューション事業が好調。コンテンツサービスはフィーチャーフォン向けコンテンツの競争力維持と、スマートフォンの・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年8月23日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年5月 2,370 266 283 168
2010年5月 2,147 150 173 77
2009年5月 2,475 292 317 175
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(7/29現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
7,060円 377,000株 2,662百万円 5.9% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
130.00円 1.8% 450.93円 15.7倍 7,711.90円 0.9倍
※株価は7/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本エンタープライズの2011年5月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。コンテンツの自社開発にこだわり、合言葉は「コンテンツで勝つ!」。音楽やゲーム・デコメ等のコンテンツを制作し携帯等を通じて配信するコンテンツサービスと、企業のコンテンツ制作・運営やシステム構築等を手掛けるソリューションが2本柱。また、日本のコンテンツを世界へ広げるべく海外展開にも力を入れており、第3世代携帯電話(3G)向けサービスが開始された中国で3Gサービスの普及を睨み、各種コンテンツを配信している他、携帯電話の加入者数が急拡大しているインドでは現地法人を設立し、本格的な参入に向けて準備を進めている。
 
コンテンツサービス事業
携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイといったインターネットに接続が可能な携帯電話の公式サイトや、mixi、モバゲーTOWN、GREEといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へ自社開発したコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリア等から受取っている。オリジナルキャラクター等によるライセンスビジネスへの参入、主に中国、インドをターゲットとした、海外事業を強化している。
ソリューション事業
コンテンツサービスから派生したビジネス。モバイルサイト構築・運用業務、ユーザーサポート業務、デバッグ業務、サーバネットワークの運用・監視・保守、自社コンテンツの2次利用(以上、ソリューション)、他社コンテンツの制作・運営(ソリューションコンテンツ)、更には、広告、及び物販等を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提供している。
 
<「ケータイ書店Booker’s」の共同運営>
この2月に国内向けの電子書籍総合販売サイト「ケータイ書店Booker’s」の共同運営を開始した。同サイトは東京都書店商業組合と(株)ACCESS(共に東京都千代田区)が共同運営していたが、今回、(株)ACCESSから運営権を引き継いだ。同社は、これまで日本向けの制作事業(書籍の電子化)と中国向けの制作事業及び配信事業を手掛けていたが、同サイトの共同運営により、日本向けの配信事業がスタートした。急成長を遂げた電子書籍市場だが、スマートフォンの普及に伴い更なる市場拡大が見込まれ、09年度実績で約580億円だった市場規模が、14年度には約1,300億円に拡大するとの予想があるほど。
同サイトは都内約600店舗の書店店頭と連携した販促活動を行っており、書店店員の推薦作品や書評、街の書店情報の検索、書店のイベント情報や売り上げランキング等、“ネットとリアル”を連動させる事で差別化を図ると共に集客を高めている。着うたフルとCD、デコメキャラクターとぬいぐるみ、携帯ショップ(携帯販売代理店)でのコンテンツ販売等、“ネットとリアル”の連動は同社が得意とするところであり、今後の展開に期待が高まる。
 
 
2011年5月期決算
 
 
前年同期比10.4%の増収、同62.8%の経常増益
売上高は前期比10.4%増の23.7億円。ゲームや音楽の苦戦でコンテンツサービスの売上が11.7億円と前期比2.5%減少したものの、順調に売上を伸ばした店頭アフィリエイト(広告)を牽引役にソリューションの売上が11.9億円と同27.1%増加した。利益面では、店頭アフィリエイトの増加が売上原価の増加要因になったものの、売上の増加とコンテンツ制作の内製化(外注費削減)や全社的なコスト管理の徹底による経費削減で吸収。営業利益は2.6億円と同76.9%増加した。尚、上記のセグメント売上高の前年同期比は11/5期のセグメント区分変更に伴い遡及修正した10/5期の実績との比較である(以下、10/5期のセグメント売上高については全て遡及修正済み)。
 
 
 
売上高6億円台を持続、経費削減で大幅増益
第4四半期(3~5月)は、前年同期との比較では、店頭アフィリエイトを中心にソリューションの売上が大きく伸びた他、コンテンツサービスも伸びた。営業利益は50百万円から72百万円に拡大し、好業績を持続した。第3四半期との比較では減収減益となったものの、これは第3四半期が良過ぎた反動と考えてよいだろう。低迷していたコンテンツサービスは下げ止まり、ソリューションは好調持続の印象。そういった中で販管費を抑えたことによって通期の大幅増益につながった。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
11/5期末の総資産は前期末比1.3億円増の32.3億円。長期預金からの振替や利益の計上で現預金が増加した。CFの面では、税負担が増加したものの、利益の増加を反映して営業CFが増加。一方、投資CFはマイナスとなったが、これは余資運用によるもので、実質的には投資CF、フリーCF共に黒字。配当金の支払いで財務CFもマイナスとなり、現金及び現金同等物の第3四半期末残高は11.5億円と前期末比0.6億円減少した。また、余資運用分も含めた貸借対照表上の現預金は26.8億円と同2.9億円増加した。
 
 
 
2012年5月期業績予想
 
 
12/5期は11/5期比19.4%の増収、同6.0%の経常増益予想
12/5期は、コンテンツサービス事業では公式サイトの会員を維持しつつ、ソーシャルアプリやスマートフォン市場でのマネタイズ化(現金化、収益化)を図る。ソリューション事業では店頭アフィリエイトでスマートフォン向けを強化する。スマートフォンに関する「サポート業務」の支援も強化する。これらにより増収増益を計画する。配当は1株当たり11/5期と同額の130円を予定している。上期は減益予想であるが、これはスマートフォン対応や海外事業において開発費を要するため。下期からの成長を見込んでいる。
 
 
(2)事業別の見通し
①国内事業
コンテンツサービス事業
MM総研によると、10年度に895万件だったスマートフォンの契約数が15年度には6,035万件に達し、契約全体に占めるスマートフォンの比率は8.3%から51.0%に高まる見込みと言う。対応してスマートフォンに絡む事業に本格参入する。具体的には、①既存公式サイトのスマートフォン化やキャリア課金をベースとした新規スマートフォン向けアプリ投入、②キャリアやプラットフォーマーとのコラボレーション、といったことを計画する。主にAndroidマーケット向けに展開する。また、同業他社がスマートフォンを強化する中で、引き続きフィーチャーフォンサイトの競争力アップも図る。具体的には、デコメ、着うた、健康といった強みを有する分野にフォーカスする事で公式サイトの収益力維持に努める。
スマートフォンの普及は想定された以上に急ピッチで進んでいる。一方でコンテンツのマネタイズ化には業界で遅れも見られるが、現在その対策が急ピッチで進められている。
 
ソリューション事業
携帯電話代理店との協業を引き続き強化する。好調な店頭アフィリエイトでは、新端末への対応や取扱商材の拡大により携帯ショップの顧客とのタッチポイントの更なる拡大を図る。当然ながらスマートフォン向けも強化する。スマートフォンについては「サポート業務」の支援も強化する。企業向けソリューション事業では特に大手クライアント向けサービスを強化する。スマートフォン対応のサポート・検証、及び開発強化も積極的に行う。
 
②海外事業
スマートフォン用OSの世界市場シェアではAndroidが38.9%とトップシェア、また2015年にはシェア43.8%に伸びると見込まれている。Androidを自社戦略の基盤とする端末メーカーの増加が見込まれ、同社もAndroidOSの成長を促進する。これまでのフィーチャーフォン(通信機能を主体とし、カメラやワンセグ等の特徴的な機能を多く搭載した高機能携帯電話)では、国内でしか利用できないコンテンツとなっていた。つまり、i-mode等に向けたコンテンツは制作しても海外では利用できない、日本独特のシステムであった。しかし、Androidの普及により海外展開がより容易になったといえる。戦略ジャンルに注力し、世界のアプリマーケットで展開、多言語化を促進する。現在、「電子書籍事業(中国)」、「携帯通信キャリアとの連携(中国・インド)」、「海外進出支援事業(中国・インド)」を3本柱として施策を進めている。「電子書籍事業」では、配信(中国向け)、制作(中国向け、日本向け)、及び漫画家新媒体連盟を通じたコミックコンテンツ流通の活性化に取り組んでおり、「携帯通信キャリアとの連携」では、中国及びインドにおいて携帯通信キャリアとの強固な関係の構築を念頭に事業を進めている。また、「海外進出支援事業」では、中国やインドに進出する日本企業のサポートを手掛けている。
 
中国事業
中国の携帯電話契約数は9.1億台(11年5月現在)、うち3G端末は7,375万台、普及率は8.1%にとどまる。しかし、所得の増加に伴い3G端末の普及が進むものと思われる。こういった中、「電子書籍事業」の収益化に向け10年12月にモバイル向け電子コミックストア「漫魚(まんぎょ)」をオープンした。「漫魚」は、同社独自の課金システムによる有料サービスであり、Android端末はもちろん、2G・2.5G携帯端末にも対応し、通信キャリアを問わない。現在、同社が保有する中国オリジナルコミック(300タイトル以上)の他、ソフトバンク クリエイティブ(株)と(株)ハーレクインの協力の下、ハーレクインのロマンス小説を原作としたコミック「ハーレクインコミックス」中国語(簡体字)版(20本以上)を配信している。また、現地の携帯キャリアのサイトや携帯メーカーのサイトへの供給を開始している。
 
 
インド事業
インドの携帯電話契約数は8.3億万台(11年4月現在)。同社は、インド子会社「NEモバイル」がボリウッド関連アプリ 「Bollywood on the GO」の配信を開始した。Bollywoodとはインド・ムンバイ(旧地名「ボンベイ」)の映画産業で、米国のHollywoodを意識して付けられた名称。「Bollywood on the GO」ではボリウッドカレンダー、ボリウッド待ちうけ、ボリウッド占い、ボリウッドニュース、ボリウッドゴシップ、ボリウッド上映スケジュール、ボリウッドレビューを配信している。無料アプリを提供し利用者を増加させる事で広告収入の獲得につなげていく考えで、積極的に新規アプリを投入していく計画。「Bollywood on the GO」は配信5ヶ月で10万DL(ダウンロード)を突破した。同社としては50~100万DLから広告収入を得ることが出来ると見込んでいる。また、インドの携帯端末で利用が一般化している「BTAD(Bluetooth Advertisement)」を利用した企業向けソリューションも展開しており、一部の地域ではあるが、既に日系の自動車メーカーやパソコンメーカーの販売支援で実績を挙げている。尚、「BTAD」とは、Bluetooth技術を活用して携帯電話に、アニメーションを使った広告、ディスカウントクーポン、無料壁紙等を配信する広告で、インドでは企業の販促策として利用が進んでいる(日本では通常Bluetooth機能が「オフ」になっているが、インドでは「オン」になっており、その利用が日常化している)。
 
 
取材を終えて
国内では広告事業が牽引してソリューション事業が好調。コンテンツサービスはフィーチャーフォン向けコンテンツの競争力維持と、スマートフォンの普及に伴うマネタイズ化が鍵となりそう。
一方、同社が最も力を注いでいるのは海外事業。特にインド・中国の携帯電話普及台数は日本をはるかに凌ぐ。今後はより高機能な携帯電話の普及が見込まれることから、早期に進出した同社にはコンテンツサービス、ソリューション双方で多くのビジネスチャンスが控えている。
国内事業は安定成長が見込まれるだろう。一方、長期的な成長には海外事業の貢献が欠かせない。同社もそういった環境を見込んで海外事業を強化している。
中期的には国内事業安定の実現と、海外事業の収益への本格的貢献が課題となる。長期的には海外事業の本格貢献を待ちたい。自己資本比率89.8%、また現預金は24.6億円と総資産の76%を占めており財務体質は極めて良好。PBRは低位にあることから、海外事業の本格貢献は同社の株価水準を大幅に変える可能性を秘めている。