ブリッジレポート
(6890:JASDAQ) フェローテック 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート vol.31】2012年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期業績が期初予想を上回ったため、この上振れ分を上期予想に上乗せした。ただ、第2四半期以降は新工場の立ち上げ(工員が約200名増・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年9月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテック
社長
山村 章
所在地
東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル
事業内容
半導体・液晶装置用及びHDD用部品の世界シェアトップ。
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 57,880 6,931 6,290 4,483
2010年3月 31,541 703 524 156
2009年3月 36,653 2,790 2,097 743
2008年3月 36,625 3,057 2,414 1,903
2007年3月 32,517 2,288 2,081 1,703
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
2002年3月 14,775 916 984 -357
2001年3月 16,435 2,665 2,561 1,644
2000年3月 7,988 892 629 288
株式情報(8/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,466円 29,953,102株 43,911百万円 19.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 1.4% 172.16円 8.5倍 986.60円 1.5倍
※株価は8/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末の実績。
 
フェローテックの2012年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
シリコン単結晶引上装置等の太陽電池関連製品、半導体製造装置やフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)製造装置の部品、半導体材料、各種温度調節に使われるサーモモジュール等の製造・販売を行っている。いずれも目に触れる機会はないものの、パソコンや携帯電話、液晶やプラズマ等、身近な分野で同社の技術が活かされている。グループは、同社の他、生産の中心を占める中国等の他、欧米、ロシア、台湾等に展開する連結子会社20社、韓国等の非連結子会社3社、及び持分法適用会社4社。
事業は装置関連事業、電子デバイス事業、太陽電池関連事業に分かれ、11/3期の売上構成比は、それぞれ48%、12%、37%(この他、ソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれない「その他」が3%)。近年、急速な伸びを示しているのが、製造装置や石英坩堝等の消耗品を手掛ける太陽電池関連事業である。太陽電池の材料となるシリコン結晶製造装置には、同社の製品である真空シールが主要部材として使われており、これまで蓄積してきた技術やノウハウが活かされている。
 
<中期経営計画「Challenge 1000」>
同社グループでは、創業31年目を迎える12/3期を「第2の創業」と位置付け、太陽電池関連事業とLED関連事業を成長ドライバーとする中期経営計画「Challenge1000」(12/3期〜14/3期)をスタートさせた。
 
 
太陽電池関連装置・消耗品ビジネスの更なる拡大
インゴット切断装置やウエーハ検査装置をラインナップに加える事で、結晶製造からウエーハ加工及び検査に至る一貫ラインを提供できる体制を整えると共に、自らもインゴットやウエーハの製造・販売を手掛け、装置ビジネスと装置納入後も収益が見込める消耗品・材料ビジネスを平行して進めていく。
尚、インゴット切断装置とウエーハ検査装置では結晶製造装置ビジネスを通して得た顧客ニーズを開発に活かす事で差別化を図る考えで、インゴット切断装置では、遊離砥粒に比べて研磨の時間や加工効率に優れた固定砥粒対応ワイヤーソーの開発にも取り組む。また、インゴットやウエーハの製造・販売では、グループでの一貫生産により大幅なコストダウンを図り価格競争力を全面に拡販を図る(インゴットやウエーハの製造・販売は、自社製造装置のプロモーションと顧客ニーズの把握といったシナジーも期待できる)。
一方、既存の結晶製造装置(単結晶引上装置、多結晶製造装置)では、大型炉の搭載、全自動化・省エネ、追いチャージ・リチャージ機能といったシリコン製造コストの低減に寄与する機能を搭載した装置を発売し、顧客ニーズ応えると共に差別化を進める。
 
装置関連事業におけるLED 関連ビジネスの着実な成長
10年1月に同社の米国連結子会社が英国のEdwards Vacuum Inc.からTemescal事業部(真空蒸着装置関連事業)を譲受した。
超寿命・低消費電力等を強みにLEDデバイスの市場が拡大しているが、LEDデバイスの素子となる化合物半導体結晶の作製の際にはMOCVD装置という真空蒸着装置が必要となる(MOCVD装置の真空チャンバー内でサファイヤ基板等に金属や酸化物を成膜し、酸化物を成長させる事で素子を作製する)。MOCVD装置にはシール用の部品として同社の真空シールが使われており、また、LEDの製造プロセスにおいてセラミックス製品や石英製品も使われている事から、事業譲受前から同社グループではその要素技術を有していたわけだが、この事業譲受でLED関連事業を強化・拡大するための主要なピースが大方揃った。当初は、真空技術を活かし、MOCVD装置の心臓部であるチャンバーの製造・販売に注力していく考えだ。この他、シリコン結晶製造技術を活かし、単結晶サファイヤ(LEDの結晶成長用基板として用いられる)を成長させるための成長燒結炉(サファイア炉)の開発及び結晶製造技術の確立にも取り組んでいく考え(単結晶サファイヤの品質がLEDの品質を大きく左右する他、そのコストを下げる事でLEDの価格競争力を高める事ができる)。
 
※ Edwards Vacuum Inc.のTemescal事業部と真空蒸着
Edwards Vacuum Inc.のTemescal事業部は、化合物半導体向け電子ビーム蒸着装置(電子ビームを用いた真空蒸着装置)を手掛け、米国内で豊富な納入実績を有する。電子ビーム蒸着とは、チャンバー内(真空)で電子ビームを照射し金属や酸化物等を加熱・蒸発させ基板上に堆積・蒸着(成膜)させる技術で、他の蒸着技術のように加熱温度に上限が無いため、どんな物質でも蒸発でき、かつ膜厚等の精密なコントロールが可能。同装置は、LED、太陽電池、携帯電話、衛星、ケーブルテレビ、光通信等様々な分野で使用されている。また、(株)フェローテックの独連結子会社がMOCVD装置に必要なエレクトロン・ビーム・ガン(EB-ガン:電子ビームを照射する装置)を製造・販売している。現在、MOCVD装置向けには供給していないが、(株) フェローテックでは、「今後、同装置向けのビジネスでシナジーが期待でき、双方の顧客ルートを活用し各種製品販売も強化していく」としている。
 
(2)14/3期に売上高1,000億円へ
12/3期は売上高700億円、営業利益75億円(営業利益率10.7%)を計画しているが、来13/3期は売上高を750億円〜800億円に拡大させ、営業利益率を10%〜12%に引き上げる。そして最終の14/3期は10%〜12%の営業利益率を維持した上で900億円〜1,000億円の売上高を目指している。
この7月には公募増資を実施して66.2億円を調達。「Challenge1000」の達成に向けた設備投資資金を確保すると共に財務基盤の整備(短期借入金の返済)を進めた。
 
 
 
2012年3月期第1四半決算
 
 
前年同期比75.8%の増収、同158.2%の経常増益
売上高は前年同期比75.8%増の188.1億円。豊富な受注残を抱える太陽電池用シリコン結晶製造装置の売上が同4.5倍に拡大する等、太陽電池関連事業の売上が93.4億円と同3.2倍に増加。半導体やFPD向けが中心の装置関連事業の売上も71.7億円と同20.6%増加した。利益面では、変動費の増加や抑制していた経費の復元等で売上原価及び販管費が増加したものの、増収効果で吸収。為替差損益の改善(△23百万円→75百万円)もあり、経常利益は23.6億円と同2.6倍弱に拡大した。特別損益が悪化したものの、海外子会社の好調による税負担率の低下で四半期純利益は同2.3倍の15.4億円。
 
 
 
装置関連事業
売上高は前年同期比20.6%増の71.7億円、セグメント利益は同37.1%増の7.6億円。台湾メーカーや韓国メーカーの活発な半導体・FPD投資を受けて、LED製造装置向けも含めて真空シールが伸びた他、石製製品やセラミックス製品といった半導体製造に使われる製品の売上も増加した。
 
 
太陽電池関連事業
売上高は前年同期比3.2倍の93.4億円、セグメント利益は同5倍弱の12.0億円。受注残の消化が進んだシリコン結晶製造装置の売上が同4.5倍に拡大した他、シリコンインゴットや太陽電池用ウエーハの販売好調で太陽電池用シリコンの売上も同2.4倍弱に拡大。需要増に増産投資で応えた石英坩堝の売上も高い伸びを示した。
尚、この7月に多結晶製造装置に用いる角槽の新工場(中国・杭州市)が竣工。石英坩堝、太陽電池用シリコンの新工場(共に中国・寧夏銀川市)の建設も進んでいる。
 
 
電子デバイス事業
売上高は前年同期比23.2%増の17.7億円、セグメント利益は同2.1倍の3.2億円。サーモモジュールは、家電需要が一巡したものの、中国での高級車販売の増加等、新興国市場での自動車販売の拡大を受けて主力の自動車温調シート向けが増加した他、半導体製造機器や光通信向け等の高機能製品も堅調に推移。また、パワーデバイス向け基板(サーモモジュールを搭載したパワー半導体の放熱板)の販売を開始した。
 
 
 
第1四半期末の総資産は前期末比78.5億円増の693.5億円。借方では、受注・売上の拡大で売上債権やたな卸資産が増加した他、太陽電池関連の設備投資で固定資産が増加した。貸方では、短期借入金を中心に有利子負債が増加(7月に調達した資金を用いて削減する予定)した他、仕入債務や純資産も増加した。CFの面では、税金費用が増加(1.4億円→6.0億円)したものの、利益の増加と資金効率の改善で営業CFが大幅に増加。太陽電池関連での積極的な設備投資を受けて投資CFのマイナスが倍増したものの、営業CFの範囲内にとどまり、5.5億円のフリーCFを確保した(前年同期は1.0億円のマイナス)。短期借入金の借り増しで財務CFも黒字となり、現金及び現金同等物の第1四半期末残高は96.4億円と前期末比23.3億円増加した。
 
 
 
2012年3月期業績予想
 
通期業績予想に変更は無く、前期比20.9%の増収、同14.5%の経常増益予想
第1四半期決算を踏まえて、上期業績予想を上方修正した。ただ、為替の動向に加え、装置関連事業の先行きにも不透明感があるため、通期業績予想を据え置いた。会社側は、市場の拡大が続く太陽電池関連事業の伸びを見込むものの、半導体・FPD投資に一巡感のある装置関連事業や各国政府の自動車販売支援策の終了の影響を受ける電子デバイス事業の見通しに慎重だ。配当は、記念配2円を落として、普通配を1株当たり2円増配する考えで、期末20円を予定している。
 
 
 
今後の注目点
第1四半期業績が期初予想を上回ったため、この上振れ分を上期予想に上乗せした。ただ、第2四半期以降は新工場の立ち上げ(工員が約200名増加)で負担が増す中、装置関連事業や電子デバイス事業の減速が予想される。このため、下期業績が下振れする可能性も否定できない。しかし、来13/3期は、世界経済が大きな変調をきたさない限り、新工場の寄与が本格化する太陽電池関連事業の伸びとLED関連事業(装置関連事業に含まれる)の軌道化が見込まれ不安は少ない。
尚、リーマン・ショック後には同社の太陽電池関連事業も調整を余儀なくされたが、現在の最終需要の中心は電力インフラ整備の一環としてソーラーパワー発電に力を入れている中国であり、リーマン・ショック前のように高単価の電力買取り制度の下でブーム的な過熱感さえ感じられた地域ではない。加えて、現在の製品ラインナップが、設備投資に影響され難い坩堝等の消耗品や、シリコンインゴット・太陽電池用ウエーハといった原材料へ広がっている事も当時との大きな違いである(当時はシリコン結晶製造装置への依存が極めて高かった)。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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