ブリッジレポート
(6050) イー・ガーディアン株式会社

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ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.3

(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン 企業HP
高谷 康久 社長
高谷 康久 社長

【ブリッジレポート vol.3】2011年9月期業績レポート
取材概要「これまで一部の大口顧客への依存度が高かった同社だが、それ以外でも数多くの優良顧客を抱え、その大半は未だ取引拡大の余地が大きく、・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年11月22日掲載
企業基本情報
企業名
イー・ガーディアン株式会社
社長
高谷 康久
所在地
東京都港区麻布十番1-2-3
決算期
9月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年9月 1,907 176 161 88
2010年9月 1,340 204 212 119
2009年9月 858 123 123 116
2008年9月 461 0 0 -5
2007年9月 362 15 15 -6
2006年9月 606 -9 -17 0
2005年9月 684 6 3 -133
2005年3月 1,425 79 77 43
株式情報(11/9現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
885円 1,681,600株 1,488百万円 12.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 8.33円 106.2倍 550.63円 1.6倍
※株価は11/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
イー・ガーディアンの2011年9月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ブログ、SNS(交流サイト)、インターネット掲示板、ECサイト、オンラインゲーム等のインターネットメディア(以下、サイト)を運営する顧客に対し、これらのサイトに投稿されるコメント等への監視サービスを提供する掲示板投稿監視事業を展開している。ノウハウに基づき厳格に設定された基準の下で厳選されたオペレーターによる高品質な目視監視を行っており、社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントの掲載を防止する事でインターネットメディアの健全化の促進を担っている。また、24時間365日の稼働を強みとする監視センターの機能を活かし、ヘルプデスクやゲームマスター、サイトの運営支援サービス、ソーシャルメディア関連サービスも手掛けている。監視センターは、東京、大阪、宮崎の3都市5拠点に展開している。
 
<事業内容>
事業は掲示板投稿監視事業の単一セグメントで、「投稿監視業務」(11/9期売上構成比76.4%)、「CS(カスタマーサポート)業務」(同11.8%)、「派遣業務」(同3.2%)、「オンラインゲームサポート業務」(同8.6%)の4業務に分かれる。「投稿監視業務」は、本来、NG(削除対象のコメント等)の検出を目的としたものではなく、サイトの活性化を目的としたものであり、「CS業務」や「オンラインゲームサポート業務」もサイトの活性化という目的は同じ。このため、各業務間のシナジーは高く、サービスの基盤となるナレッジやノウハウの共有が可能だ。また、「CS業務」は、いわゆるコールセンター業務だが、大手コールセンター事業者が電話対応のサービスを中心としているのに対して、同社は(サイトの参加者がより利用しやすい)メール対応中心。メール対応となると、大手コールセンター事業者は既存の経営資源を十分に活かせないしコスト面でも無理がある。一方、中小の事業者は、コンプライアンスに対する意識の高い大手のサイト運営者から見た場合、信用力や組織体制等で課題が多く現状では同社を脅かす存在とはなっていない。
 
 
 
2011年9月期決算
 
 
東日本大震災の影響等で売上が伸び悩む中、先行投資が利益を圧迫
薬事法や景表法等にかかる広告審査業務の寄与やソーシャルメディア・ソーシャルゲーム市場向けサービスの本格化で売上が大きく伸びた。ただ、東日本大震災の影響によるキャンペーンの中止や一部大口顧客向けの売上と新規案件の獲得が予想を下回ったため、人員の投入や監視センターの新設・増床等の先行投資を吸収できず、2Q時予想を下回った。
 
 
広告審査業務の寄与やソーシャルメディア・ソーシャルゲーム市場向けサービスの本格化で投稿監視業務の売上が大きく伸びた他、ソーシャルゲームの問い合わせ対応等でCS(カスタマーサポート)業務の売上が約2.1倍に拡大。その後の監視業務の受注につながる派遣業務も堅調に推移した。また、オンラインゲームサポート業務では、ゲームマスター業務が堅調に推移する中、業務範囲の拡大に向けた取り組みが成果をあげ、新規タイトル追加時の業務範囲拡大など既存顧客の深耕が進んだ。一方、一部大口顧客は、全般的な監視量の減少により、当初の想定ほどには売上が伸びなかった。
 
 
売上計画に基づいた監視センターの新設・増床に伴う労務費や家賃・消耗品の増加に加え、外注費も増加し売上原価は13.3億円と前年同期比59.1%増加。一方、売上は計画に届かなかったため、売上原価率は69.8%と同7.4ポイント上昇した。販管費は人件費を中心に3.9億円と同33.2%増加。10年12月の東証マザーズ上場もあり、組織体制の強化を進めた事が増加の要因。人員拡充により営業の強化も進んだ。
 
 
2012年9月期業績予想
 
これまで同社は、「We guard all」の経営理念の下、「お客様の繁栄と、インターネット社会の健全な進歩発展に貢献するセキュリティーの創造を目指します」をコンセプトとして、誰もがインターネットを安心・安全に利用できる社会の創造に寄与するべく事業を展開してきた。しかし、12/9期より「Build Happy Internet Life」へ経営理念を改新し、「すべてのインターネット利用者に安心・安全をベースに“楽しい”を提供します」をコンセプトとして、ユーザーとユーザー、或いはユーザーと企業のコミュニケーションをサポートしていく考え。
 
 
 
 
前期比0.6%の増収、同81.4%の経常減益予想
売上高は前期比0.6%増の19.2億円。ソーシャルゲームの伸びやソーシャルメディアのサポート業務の拡大等で下期にかけて投稿監視業務、CS業務、及びオンラインゲームサポート業務の売上の伸びが加速する。利益面では、売上が伸び悩む中、前期に体制の整備を進めた事に伴い増加する労務費・人件費が負担となり、経常利益が同81.4%減少する見込み。
尚、上期は大口顧客向けの売上減少が響き損益分岐点売上高に届かないが、下期は上記要因による限界利益の増加で経常損益の黒字化が見込まれる。
 
 
 
 
(2)12/9期の施策
①新規顧客の開拓と既存顧客の深耕
新規顧客の開拓と既存顧客の深耕により大口顧客に依存しない収益体質の構築に取り組む考え。新規顧客の開拓については、ソーシャルゲーム市場の拡大に合わせたサービス設計により、2次対応に特化すると共に多言語対応を進める。また、ソーシャルメディア市場において主導権を握るべく、アクティブサポートや運営運用など多種多様なサービス展開を進める。一方、既存顧客の深耕では、未提供サービスの提供やニーズに合わせたサービスのカスタマイズで取引の拡大を図ると共にリレーションシップを強化する。
 
②ソーシャルメディア関連の需要の取り込み
FacebookとTwitterは世界的に普及が進む2大ソーシャルメディアだが、未だ日本では十分に普及しておらず成長余地は大きい。同社は、ソーシャルメディア関連の需要を取り込むべく、11年4月に(株)電通の100%子会社である(株)サイバー・コミュニケーションズが展開するソーシャルメディアにおけるマーケティング支援に参画した他、同年8月には、(株)博報堂DYホールディングスの連結子会社であるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(株)及び(株)リクルートが出資している(株)メンバーズとFacebookページ運用において提携。企業ページの企画からプロモーション、運用・監視に至るまでの包括的なマーケティング活動を、顧客にワンストップで提供できる体制を整えた。
 
 (同社資料より、出典:三菱UFJモルガンスタンレー証券「ソーシャルゲームの正体を探る(Ⅲ)」)
 
(3)高付加価値監視システム「E-Trident」
11年6月に、ソーシャルWebサービス向けの次世代型運用システム「E-Trident」初期機能版の提供を開始した。「E-Trident」は、同社が蓄積してきたノウハウを活かし、投稿監視を効率的に行うツールとしてだけでなく、分析やレポーティング・ベイジアンフィルタ(注)等の付加価値の高い機能も実装(開発完了は12年2月を予定)。これまでは顧客毎に個別システムを構築していたが、今後は汎用性の高いシステムに顧客・サービスを集約していく。コストパフォーマンスに優れた高付加価値システムの提供で競争優位性を確保したい考え。
 
①「E-Trident」の特徴
・マンパワーに頼ない効率的な監視体制の運用が可能
・ベイジアンフィルタ機能で、自己学習により監視の制度が自動的に向上
・分析/レポーティング機能、Facebook対応、多言語対応等による差別化
・柔軟・高速なワークフローエンジンを搭載
・顧客の要望ごとにカスタマイズ可能な接続性
 
(注)ベイジアンフィルタ
ベイズ理論を応用したフィルタ。対象となるデータを自動的に解析・学習して分類し、振り分け対象のデータが増えるほど学習量が増えて精度が上がる(処理するほどに判断精度が高まる)。
 
②競合状態
 
③開発スケジュール
 
 
今後の注目点
これまで一部の大口顧客への依存度が高かった同社だが、それ以外でも数多くの優良顧客を抱え、その大半は未だ取引拡大の余地が大きく、また、ソーシャルメディアやソーシャルゲーム等のソーシャルWebサービスの拡大を追い風に新規開拓のチャンスも広がっている。マザーズ上場に伴う組織体制の整備で、管理面だけなく、営業面での強化が進んだ事に加え、「E-Trident」の稼働によりサービス体制も強化された。
一方、11/9期実績及び12/9期業績予想については失望した投資家が少なくなかったのではないか。しかし、注目度の高い新興企業ほど先を焦り無理をしがちで、業績予想の下方修正等をすると、次の期には無理な計画を立てることが多い。結果として、更に深みにはまっていくのだが、同社においては12/9期業績予想を見る限り焦りはなく、じっくりと足場固めを図る考えだ。第2の成長ステージに立つための基盤固めをしっかりとやってもらいたい。ソーシャルWebサービスの活性化が進む一方で、その安全性を求める声が一層の高まりを見せる中では、基盤整備が進めば、成長軌道への回帰には時間を要しないと考える。