ブリッジレポート
(2468:東証マザーズ) フュートレック 企業HP
藤木 英幸 社長
藤木 英幸 社長

【ブリッジレポート vol.19】2012年3月期上期業績レポート
取材概要「同社は前期からスマートフォン対応を進めていたが、携帯キャリアの販売政策もあり、予想以上に早くスマートフォンの普及が進んだため、事業環境と・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年12月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フュートレック
社長
藤木 英幸
所在地
大阪市淀川区西中島 6-1-1
事業内容
携帯電話用音源LSIの開発で成長し、現在は音声認識ソフトウェアや音声対話システムの開発を中心に新たなビジネスマーケットを開拓中。知財戦略重視。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 2,085 482 485 284
2010年3月 1,996 530 540 315
2009年3月 1,777 404 415 221
2008年3月 1,598 264 277 159
2007年3月 1,253 249 256 162
2006年3月 1,443 173 165 99
2005年3月 1,059 69 79 33
2004年3月 907 9 6 -1
2003年3月 736 12 12 3
2002年3月 435 17 34 29
株式情報(12/2現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
116,000円 46,564株 5,401百万円 11.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,100.00円 1.8% 6,442.75円 18.0倍 55,787.46円 2.1倍
※株価は12/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
フュートレックの2012年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
音声認識・UIソリューション事業分野と音源事業分野を柱に事業領域を拡大してきている。音声認識ソフトウェアの開発や音声認識サービスを提供する(株)ATR-Trek、CRMソリューションを手掛けるイズ(株)、及びiPhoneアプリ開発を含めたシステム開発の(株)スーパーワン等を連結子会社としてグループを形成している。
 
 
音声認識・UIソリューション事業分野の収益は、同社の製品が機器に搭載される事による「イニシャルフィー」と「ランニングロイヤルティ」、製品を搭載する際のカスタマイズにかかる「カスタマイズ収益」、及び同社自らがコンテンツを提供した場合のエンドユーザーからの月額使用料からなる。
 
<音声認識製品ブランド「vGate(ブイゲート)」>
スマートフォンやタブレット端末を活用した業務支援ソリューションへの事業展開を加速させるために、新たに音声認識製品のブランドとして「vGate(ブイゲート)」を立ち上げた。今後は、顧客製品への技術の組込みを提案するビジネス(従来からのビジネス)にとどまらず、同社グループ自身での製品の企画・販売にも取り組んでいく考え。
 
vGate」の「V」は“Voice”の「V」であり、“Victory”の「V」。
vGate」とは、次世代のユーザーインターフェイスである音声認識、音声合成、音声対話の技術によって、今まで経験した事のないような近未来世界への門(ゲート)を開く事をイメージしている。
 
同社グループの「音声対話技術」には、ユーザーの声を認識する技術(音声認識)、ユーザーの質問内容を特定し、どのような返事を返すかを判断する技術(対話制御)、及び判断された返事を発話させる技術(音声合成)の3つの技術が盛り込まれている。「音声認識技術」は(株)国際電気通信基礎技術研究所(以下ATR)の高度な技術によって支えられ、ノイズ環境に強く屋外での利用に耐えうるもので、「対話制御技術」はユーザーの質問からキーワードを抽出・理解し、それに対応した対話シナリオから返答や動作を選択する。「音声合成技術」はHMM 音声合成を利用する事で小容量ながら自然な音声合成(発話)を実現している。NTTドコモ2010-2011冬春モデルから「音声クイック起動」として搭載されており、画面上のマチキャラと会話する感覚で携帯電話の問いかけに声で答えていくと、希望する操作ができる画面にたどり着く(ボタン操作する事無く、基本的な機能を使う事が可能)。

「vGate」の音声認識製品には、次の3種類がある。
 
<同社の製品・技術が使われているアプリケーション・サービス>
同社グループの音声認識技術を利用した有料サービスとしては、NTTドコモが提供している音声入力メール(メールの件名や本文を携帯電話に向かって話すだけで入力できる)がある。また、子会社(株)ATR-Trekが運営するiアプリ「しゃべって翻訳」では、携帯電話に話しかけた言葉を翻訳できる(現在は、日英版・日中版にて展開。日英版では、日本語⇔英語、日中版では日本語⇔中国語の相互翻訳が可能)。この他、強みである「ノイズ環境下での認識精度の高さ」と「カスタマイズ可能な柔軟性」を活かし、法人向けサービス(業務ソリューション)にも力を入れていく考え。
 
 
 
「音声クイック起動」はNTTドコモ2010−2011冬春モデルから搭載されており、また、スマートフォン向けでは、「しゃべってカンタン操作」が8月7日にNTTドコモから発売されたF-12Cにアプリケーションとして初めて搭載され、2011-2012冬春モデルでも継続して採用されている。一連の動作がすべて音声で行えるので、実際に会話している感覚でスマートフォンを操作する事ができる(様々な機能を声で簡単に操作する事が可能)。
 
 
「dメニュー」からのダウンロード提供も開始
「しゃべってカンタン操作」は、11年11月18日にオープンしたNTTドコモのスマートフォン用新ポータルサイト「dメニュー」からのダウンロードも可能。
 
 
2012年3月期上期決算
 
 
前年同期比23.5%の増収、同61.2%の経常増益
売上高は前年同期比23.5%増の1,243百万円。ランニングロイヤルティの寄与と下期に予定していたイニシャルフィー等の前倒し計上で音声認識・UIソリューション事業分野の売上が大きく伸びた。利益面では、イズ(株)の子会社化で販管費が増加したものの、売上の増加と利益率の高いライセンス収入の増加による売上総利益率の改善で吸収。営業利益は252百万円と同63.8%増加した。尚、売上・利益が期初予想を上回ったのは、上記要因による音声認識・UIソリューション事業分野の好調が要因。
 
 
音声認識・UIソリューション事業分野の売上高は前年同期比23.5%増の692百万円。カスタマイズ業務による収入が減少したものの、ランニングロイヤルティによる収入が順調に推移。第3四半期(10-12月)に予定していたイニシャルフィーによる収入が第2四半期(7-9月)に前倒し計上された事も大きかった。尚、11年8月7日発売の富士通製スマートフォン(F-12C)に音声対話技術を使用したアプリ「しゃべってカンタン操作」が搭載された。今後はスマートフォンへの対応を加速させると共に、業務支援ソリューションとして携帯電話以外の業界への展開も進めていく。
音源事業分野の売上高は前年同期比30.4%減の235百万円。イニシャルフィーによる収入が増加したものの、国内市場における音源搭載台数の伸び悩みによりNTTドコモとの音源IPライセンス契約に基づくロイヤルティ収入が減少した。今後は、ソフト音源等でスマートフォンへの展開を図り、搭載台数の増加につなげていく。

CRMソリューション事業分野では、第1四半期(4-6月)に新しくグループに加わったイズ(株)の持つCRM製品の売上高205百万円を計上した。現在、イズ(株)のCRM製品「Visionary(ビジョナリー)」(後述)を用いたシステム開発やサーバホスティング等を手掛けているが、今後、(株)フュートレックのコア技術である音声認識・音声合成・音声対話とイズ(株)のWeb アプリケーション開発能力を融合させたソリューションビジネスを展開し、新たな顧客層(新たな業界)の開拓につなげていく。

基盤事業分野の売上高は前年同期比1.5%増の45百万円。カスタマイズ業務による収入が減少したものの、新規プロジェクト「E検定〜電気・電子系技術者育成プログラム〜」による収入と、イズ(株)の子会社化に伴い連結子会社となった(株)スーパーワン(イズの子会社)の寄与で吸収した。
この他、カード事業分野の売上高が63百万円と前年同期比2.1%増加した。
 
※ CRMソフトウェア「Visionary(ビジョナリー)」
CRMソフトウェア「Visionary」とは、Webやモバイルを活用し、顧客コミュニケーションを実現するCRMソリューション。パッケージライセンスによる一括提供に加え、ASP方式でも提供しているため必要な機能だけを組み合わせた利用が可能。また、顧客毎の環境や利用目的に応じたカスタマイズにも対応する。
 
収益
・パッケージライセンスによる一括提供
・ASP提供(月額使用料)
・カスタマイズ費用

導入企業例
(株)アトレ、(株)帝国データバンク、(株)アプラス、(株)昭文社、SBIライフリビング(株)、ソフトバンクBB(株)

(同社資料より)
 
 
上期末の総資産は前期末比14百万円増の3,222百万円。借方では、売上の増加で売上債権が増加した他、イズ(株)の子会社化に伴いのれん(無形固定資産)が増加。一方、買収資金の支払いで現預金や有価証券(定期預金の一種)が減少した。貸方では、短期借入金は返済により減少したが、イズ(株)の子会社化により発生した長期借入金が増加したため、有利子負債が全体としてわずかに増加した。
 
 
2012年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比24.7%の増収、同2.9%の経常増益予想
上期の売上・利益が上振れしたものの、売上の前倒し計上があった事や景気の先行き不透明感もあり、期初予想を据え置いた。ただ、音声認識技術の更なる向上と新たな業界への進出を睨んだ上期の投資効果が、下半期以降、スマートフォン関連や業務支援ソリューション等で徐々に表れてくる見込み。1株当たり2,100円の期末配当を予定。
 
(2)今後の取り組み
同社は、これまで受託→音源→音声認識へと主要な事業を変えながら事業を拡大させてきたが、今後は音声認識・UIソリューション事業分野が事業の中心となり、従来型の事業領域の強化に加え、新たな事業領域を開拓していく。
 
 
iPhone 4Sの音声対話、Googleの音声検索、東芝の音声で動くエアコン等、音声認識技術は今最も注目される技術の一つである。同社は、新規事業領域である業務日報ソリューション(銀行向け)等の業務支援ソリューションと従来型の事業領域である製品への技術搭載ビジネス(スマートフォン・カーナビ・家電・デジタル機器等へ展開)の2つのビジネスを中心に、音声認識・UIソリューション事業分野を強化して行く考え。
 
 
・営業マンの業務日報作成
音声による要点入力の際に、各社の日報の書式でサーバに保存。日報作成の時間短縮と情報共有を実現。
・介護職の業務日報作成
移動時間を使って手早く書類作成ができる。作成された日報は社内のサーバに保存され、情報共有も可能。
・音声対話を使った点検
端末が点検項目を管理し、項目毎に一つ一つ話しかけるため、点検漏れ等が防止できる。
 
グループ企業との連携やアライアンスによる業務支援ソリューションの展開
グループ企業との連携で音声認識ソリューションの新たな可能性を模索する他、パートナー各社との連携で質の高いソリューションやサービスを提供していく。
 
 
具体的には、イズ(株)の持つCRM製品と音声認識製品など、企業各々の強みを活かした組み合わせによる独自のホールセールプロダクトやソリューションの提供に取り組む他、(株)アクロディアとの共同開発による携帯電話・家電等のあらゆる機器の操作性向上を目的とする次世代UIプラットフォームの開発も進めていく。
 
新規事業 E検定〜電気・電子系技術者育成プログラム〜
同社は電気・電子系技術者育成プログラム「E検定」を開発し、デンソーなど自動車関連の複数の企業へ試行提供を開始した。「E検定」は、実務経験豊富な現場の技術者が作成するもので、机上の知識ではなく、実務の優先度に応じてノウハウ等を育成する事に重点が置かれ、短期間で必要な知識を習得、応用できる様にプログラムが構成されている。
昨今、電気・電子系ハードウェアの技術者育成にはあまり力が注がれず、技術力低下の問題が顕在化しつつある。同社は、高い電気・電子系のハードウェア開発技術で各社の研究開発を支えてきた。今後の市場拡大が見込まれる電気自動車やエコプロダクツの開発にはハードウェアとソフトウェアの技術の融合が必須である事から、「E検定」を通して同社の技術力を教育に応用していく考え。また、今後は大手企業だけでなく、中堅企業に対しても同プログラムの導入を積極的に推進していく。
 
今後の方向性
 
 
今後の注目点
同社は前期からスマートフォン対応を進めていたが、携帯キャリアの販売政策もあり、予想以上に早くスマートフォンの普及が進んだため、事業環境と同社の対応の間にギャップが生じた。このため、前期から今上期にかけて業績の端境期を迎えたが、上期でスマートフォン対応が一巡し、下期以降、徐々にその成果が現れてくる見込み。音声認識技術の有用性と現実性は、既にiPhoneやAndroid端末等のスマートフォンによって実証されているところであり、音声合成や音声対話と共に潜在市場は大きい。特に、日本語対応に関してはApple社やGoogle社も十分と言えず、アドバンテージを有する同社にとって大きなビジネスチャンスである。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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